有価証券報告書-第15期(平成30年5月1日-平成31年4月30日)
(1) 経営成績等の概要
①経営成績の分析
当社グループは主要技術である自己組織化ペプチド技術による医療製品の開発に引き続き注力しており、主に外科領域では吸収性局所止血材:TDM-621(以下「本止血材」という。)、粘膜隆起材:TDM-641(以下「粘膜隆起材」という。)、再生医療領域では歯槽骨再建材:TDM-711(以下「歯槽骨再建材」という。)および創傷治癒材:TDM-511(以下「創傷治癒材」という。)の事業展開を進めてまいりました。
[研究開発の状況]
日本:
本止血材
内視鏡的粘膜下層剥離術下の漏出性出血に対する止血効果等の有効性評価や安全性評価を含めた総合的判断を行うという治験計画を構築し、2017年4月11日に臨床試験を開始するための治験計画届を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)に提出しました。今回の治験は消化器内視鏡治療の領域において、本止血材の有効性を従来の止血法と比較する試験であり、2017年8月に開始しております。複数の治験施設で治験を進め、対象となる症例の組入れを実施しておりますが、症例組入れの完了時期の変更に伴い2020年4月期第1四半期中での治験終了に予定を変更し、製造販売承認申請についても2020年4月期上期中のターゲットに予定を変更しております。
粘膜隆起材
2014年12月11日に国内での臨床試験を開始し、有効性をより明確にできる試験方法や製材の検討を実施するために、2015年2月16日に自主的に臨床試験を一時中断しております。その後、製品の優位性の検討を進める中、ペプチドに改良を加え一定程度の結果や成果が得られております。2019年4月期下期より改良版の製材を用いた新治験プロトコルにつきPMDAとの協議再開しております。また一方で治験を必要としない改良医療機器での承認申請の方策も模索しており、早期の製品上市に向けて研究開発を進めてまいります。
DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)
国立がん研究センターとの「RPM2標的核酸医薬によるトリプルネガティブ乳がん治療」共同プロジェクトにおいて自己組織化ペプチドA6KをsiRNA核酸医薬のDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)として提供しておりました。当社は国立がん研究センターと共同でがん幹細胞に対する治療薬や診断方法の特許を取得しており、同分野や関連分野の共同研究/共同開発に向けた取り組みを進めております。
また広島大学との共同プロジェクトにおいても、悪性胸膜中皮腫を対象疾患とする革新的抗腫瘍核酸医薬に界面活性剤ペプチドを提供し、共同開発を進めております。
欧州:
本止血材
まず内視鏡領域に関しては、2019年6月にFUJIFILMと独占販売の締結を致しました。その他の領域に関しては、複数社との交渉を継続して進めております。
後出血予防材
内視鏡手術時に生じる後出血予防効果に関して、2017年12月に欧州の認証機関にCEマーキング適用追加の再申請を実施しております。その後も認証機関との審査対応を実施し、2018年12月に認証を取得いたしました。術後に起こる後出血は、再手術が必要となることから、患者及び医療機関双方の負担が大きく、強いニーズがあります。本適用追加により、本製品が内視鏡領域で獲得可能な市場は数倍に拡大する可能性があります。
次世代止血材
本止血材と異なる新規ペプチド配列を用いた開発品です。MITからライセンス供与を受けた自己組織化ペプチド技術をベースとした開発品であり、製品プロダクト化も概ね終了し、最終製品を用いた前臨床試験を実施中です。今後も検証を重ね、早期に臨床試験に移行させる予定であります。本止血材より止血効果に優れ、ペプチド原材料価格のコスト低減等の優位性があることから、将来的に次世代止血材を主力製品として市場に供給すべく開発を進めてまいります。
米国:
癒着防止材
耳鼻咽喉科領域での製品販売に向け米国食品医薬品局(以下「FDA」という。)に市販前届510(K)を申請しておりましたが、2019年4月に医療機器(クラスⅡ)での販売承認を受けました。癒着防止、止血、創傷治癒を同時に行えることから、付加価値の高い製品として鼻甲介切除切除術や鼻中隔形成術の適用で高いニーズも見込まれます。米国内での本領域は約200億円の市場規模を有するマーケットであり、2020年4月期上期中の製品販売に向け製造を開始し、販売体制の構築など準備を進めております。
本止血材
FDAと引き続き臨床試験開始に向けたプロトコルの構築に向け協議を実施しており、2019年4月期中に癒着防止材の申請後、2020年4月期中での臨床試験開始をターゲットに開発を進めてまいります。
歯槽骨再建材
米国での臨床試験で15症例の施術・経過観察が完了し骨形成に良好な結果やデータを得たことから、FDA承認の後、前第1四半期より次のフェーズでの臨床試験を開始しております。骨形成を確認するため経過観察に時間を要することから、当期末においても臨床試験を継続しており、今後も製品化に向けた開発を進めてまいります。
創傷治癒材
米国:2014年10月23日に医療機器の審査プロセスの1つである市販前届510(k)を米国FDAに申請し、2015年2月16日に米国FDAより承認を受け販売の許認可を取得しております。他薬剤とのコンビネーション(抗生物質・抗がん剤・ヒアルロン酸等との混合投与)による治療効果の増大に向け、熱傷治療、皮膚がん治療を中心に美容整形分野等で研究を進め、付加価値の高い製品化に向けて取組んでおります。
[販売進捗の状況]
欧州:2014年1月14日にCEマーキング指令適合を受けた後、事業収益化に向けてドイツ、フランス、英国等の主要国を含めたヨーロッパ全域で、有力医療施設をターゲットに代理店(各国別での販売に特化した販売代理店)を通じた製品販売を開始しております。製品販売に関しては通期192百万円となり前期比125%の成長となりました。
主要国であるドイツにおいて大手体外診断用医療品メーカー/医療機器販売代理店のWERFENグループ(ドイツでの代理店はニコライ社)により販売が進展し、イギリスでは医療機器販売代理店でロンドン証券取引所にも上場しているヘルスケア21グループの医療機器販売子会社(イギリスでの代理店はアクイラント社)により販売が進展しました。一方で、フランス大手代理店PENTAXの本格的な販売が開始されておらず、販売提携の締結が完了しなかったことで大きなロットの受注が見込めなかったことが計画との差異が生じた要因です。
また欧州全域への製品販売を目的とした包括的販売提携につき販売パートナー候補先(対象全域に販売網、プロモーション機能を有する企業)の3社と契約締結に向け交渉を進めておりました。当期中での契約締結には至りませんでしたが、消化器内視鏡領域に関しては2019年6月13日に欧州子会社とFUJIFILMとの間で欧州全域における本止血材「PuraStat」の独占販売契約を締結いたしました(詳細は2019年6月13日付の適時開示をご参照ください)。今後、FUJIFILMが有する幅広い顧客基盤に対して共同で売り込むことで、営業時間の大幅な短縮と即時の顧客カバレッジの拡大を目指してまいります。その他の領域である心臓血管外科領域や消化器外科領域については、引き続き候補先と契約締結に向け交渉を進めてまいります。
アジア、オセアニア:CEマーキング採用地域であり、各国で医療機器としての製品登録申請や製品販売に向けた活動に取り組んでおります。主要市場のオーストラリアでは、大手医療機器のゲティンゲグループを通じた製品販売を行っておりましたが、2018年10月にゲティンゲグループのバイオサージェリー部門が中国ヘルスケア企業に売却されたことにより、ゲティンゲグループとの販売代理契約は終了し、第3四半期から第4四半期にかけて自社販売に移行いたしました。しかしながら、経験豊富な営業マネージャー担当の採用が進んだことで、自社販売移行後の第4四半期だけで約57百万円と過去最高の販売で、2019年4月期の通期でも製品販売127百万円と前期比187%の成長となり、当期の販売計画を超過しました。販売領域は主に耳鼻咽喉科ですが、来期に向け内視鏡や腹腔鏡手術などの新しい領域での販売も拡大見込みであり、顧客医療機関数も拡大傾向であるため、来期は更なる販売拡大を計画しております。
また韓国での販売承認取得に向けDaewoong Pharmaceutical Co., Ltd. による当局との審査対応が継続しておりますが、当期中での審査完了には至りませんでした。早期の販売承認に向け同社の審査対応をサポートするとともに、2020年4月期での承認取得に向け協働してまいります。
中南米/カナダ:CEマーキング採用地域であり、各国で医療機器としての製品登録申請や製品販売に向けた活動を進めております。製品販売に向けてブラジル、メキシコ、チリでは現地の販売代理店と販売契約を締結済みです。販売拡大に向け取り組んでおり、製品販売に関しては少額となりましたが、一方で2019年1月にカナダ当局より製品登録の承認がなされ、同月にはロンドン証券取引所に上場するDiploma PLCのグループ企業であるVantage Endoscopy社と販売代理契約を締結しております。現在、販売に向けた製品製造の段階であり、2020年4月期での販売開始を予定しております。
このような結果、当連結会計年度の業績につきましては、事業収益面に関しては本止血材の製品販売321百万円(欧州:192百万円、アジア/オセアニア:127百万円、中南米:2百万円)、研究試薬販売7百万円となり、事業収益の合計は328百万円(前年同期比100百万円の増加)となりました。費用面に関しては販売管理費、研究開発費を含め通期計画の想定範囲で推移しており、その結果、経常損失2,426百万円(前年同期は経常損失1,767百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失2,554百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失1,866百万円)となりました。
②財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、4,092,627千円(前連結会計年度末比956,895千円増加)となりました。
流動資産につきましては、4,066,796千円(同956,031千円増加)となりました。これは主に、現金及び預金の増加640,218千円、たな卸資産の増加264,316千円及び売掛金の増加48,853千円によるものです。
固定資産につきましては、25,830千円(同864千円増加)となりました。これは主に、投資その他の資産に含まれる敷金の増加1,817千円によるものです。
負債につきましては、2,579,626千円(同1,645,775千円増加)となりました。
流動負債につきましては、1,279,636千円(同345,785千円増加)となりました。これは主に、未払金の増加228,566千円及び短期借入金の増加100,000千円によるものです。
固定負債につきましては、1,299,990千円(同1,299,990千円増加)となりました。これは、転換社債型新株予約権付社債の発行1,299,990千円によるものです。
純資産の部につきましては、1,513,000千円(同688,879千円減少)となりました。これは主に、新株発行による資本金及び資本準備金の増加1,710,156千円がある一方で、親会社株主に帰属する当期純損失による利益剰余金の減少2,554,559千円によるものです。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ640,218千円増加し、1,802,708千円となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況は以下の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、減少した資金は2,301,529千円(前連結会計年度末は2,020,656千円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失2,553,349千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、減少した資金は136,902千円(前連結会計年度末は81,736千円の減少)となりました。これは主に、長期前払費用の取得による支出109,554千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、得られた資金は3,084,332千円(前連結会計年度末は1,503,669千円の増加)となりました。これは主に、株式の発行による収入1,688,910千円及び転換社債型新株予約権付社債の発行による収入1,271,990千円によるものであります。
(2) 生産、受注及び販売の状況
当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記の金額は、製造原価によっております。
3 当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは、主にアジア・オセアニアにおいて前期より代理店販売から直接販売に営業活動を切り替えたことで、想定通りに受注が増加したことによるものであります。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績を示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは、主にアジア・オセアニアにおいて前期より代理店販売から直接販売に営業活動を切り替えたことで、想定通りに受注が増加したことによるものであります。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。
(注)1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 当連結会計年度のPENTAX Europe GmbHに対する販売実績につきましては、当該割合が10%未満の為記載を省略しております。
(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度現在において、当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択、適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討等
A. 収益面の特徴
a.独占販売権許諾による一時金・マイルストーン収入
提携先企業との独占販売権契約により、その対価については、契約一時金、マイルストーン等を段階的に受領することとしております。契約一時金は、契約時に一定の権利の付与に対して受取る対価として一括収益計上しており、マイルストーンは自社あるいは提携先企業における研究開発の進捗(予め設定されたイベント達成等)に応じて受取る対価となっております。一般的に医療機器の開発期間は基礎研究開始から上市までに通常3~5年程度の長期間に及ぶものでもあり研究開発の進捗および医療機器発売・販売の状況等に依存するもので、これらが事業収益として計上されるにはかなりの長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。さらに、提携先企業等との契約締結の可否、契約締結時期および収益の発生時期によって当社グループの業績は大きく変動する傾向にあり、これによる業績の上期または下期への偏重が生じる可能性、または場合によっては決算期ごとの業績変動要因となる可能性があります。
b.製品販売収入
当社グループは、主要技術である自己組織化ペプチド技術による医療機器を欧州、アジア/オセアニアを中心に販売しております。当連結会計期間におきましては、欧州での売上はドイツ、フランス、英国等の主要国での販売を中心に通期で192百万円となり前期比125%の成長となっております。また、アジア/オセアニアでの製品売上は主要市場のオーストラリアを中心に通期で127百万円と前期比187%の成長となりました。グループ全体の製品販売収入は通期で328百万円と前期比143%となりました。一方で欧州においてはフランス大手代理店PENTAXの本格的な販売が開始されず、販売提携の締結が完了しなかったことで大きな受注が見込めなかったことが計画との差異が生じた要因です。
B. 費用面の特徴
当社グループは研究開発型企業として、当連結会計年度においては研究開発費786百万円を計上しております。
当連結会計期間におきましては外科領域であります国内の吸収性局所止血材の臨床試験や欧州での後出血予防材としての適応拡大及び米国での癒着防止材のための研究開発費用が中心となりました。今後も外科領域のパイプラインであります粘膜隆起材や次世代止血材及び再生医療領域の歯槽骨再建材やドラッグ・デリバリー・システム領域における開発等、継続的に研究開発費が必要となると想定されます。
③ 当連結会計年度の経営成績の分析
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ①経営成績の分析」に記載のとおりです。
④ 当連結会計年度の財政状態の分析
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ②財政状態の分析」に記載のとおりです。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析・キャッシュ・フローの分析
(キャッシュ・フローの分析)
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(資金の需要)
当社グループは、米国マサチューセッツ工科大学からライセンス供与を受け、独占的・全世界事業化権を保有している自己組織化ペプチド技術を基盤技術として、外科領域・再生医療領域・DDS領域における医療機器等の研究開発を行っております。当社グループは研究開発型企業であり、当社グループの資金需要のうち主なものは、研究開発費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
(資金の調達及び流動性)
当社グループは医療製品事業においてグローバルに展開している吸収性局所止血材の製品販売による売上収入を計上し、主に欧米・アジア・南米地域における販売権許諾等の契約一時金やマイルストーンペイメント収入を獲得してまいります。また親子会社間での研究開発において基礎研究の共有・効率化も進んでいることから、業務効率化による諸経費の節減等にも注力し販売費及び一般管理費の圧縮にも取り組んでまいります。
また、当社グループの研究開発及び事業運営を進めるための十分な資金確保に向けて、2019年3月に米国においてバイオ業界への投資に多くの実績を有する投資ファンドのハイツ・キャピタル・マネジメント・インクに対し第三者割当による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債を発行し、2019年4月に1,299百万円の調達をしております。また第20回新株予約権(行使価額修正条項付)及び第21回新株予約権も発行し資金調達を実行し、2019年6月末までにその一部が行使され、413百万円を調達しております。しかしながら、今後も新株予約権の行使に関しては株価下落などにより当初想定した資金調達を確保できないリスクもあります。そのため、当該リスクに備えるためにも新たな資金調達手段の検討を進めてまいります。その他の機動的な資金調達手段として、株式会社三井住友銀行に加えて株式会社りそな銀行との間で借入コミットメントライン契約を締結しており、別途借入枠の設定も継続して更新しております。
⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営戦略等及び(3)目標とする経営指標 に記載のとおりとなっております。当連結会計年度の達成状況につきまして、連結事業収益につきましては、欧州及びアジア/オセアニア(主にオーストラリア)における製品販売収入により、328百万円となりました。また、研究開発費については、786百万円となりました。当期の経営成績ならびに研究開発活動の詳細につきましては「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」ならびに「第2 事業の状況 5研究開発活動 (2)研究開発活動」をご覧ください。
⑦ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、MITより自己組織化ペプチド技術にかかる特許実施権の許諾を受け、同技術を用いた開発パイプラインの拡充、製品化への研究開発、事業化戦略の立案等の企画機能に特化する戦略を取っています。
中期的に重要な影響を与える要因は主要パイプラインである吸収性局所止血材製品の各国での上市及び製品販売であります。当社グループの事業収益は、止血材製品の開発に係るマイルストーンペイメント及び止血材製品売上が高い比重を占めます。欧州においては2014年1月にCEマーキングの指令適合についての認証を取得したことにより製品販売を開始いたしました。また日本においても2017年4月に臨床試験を開始するための治験計画届のPMDAへの提出を実施し、2019年7月に臨床試験を終了した段階です。米国においては臨床試験の開始準備中のステージにあります。従いまして、止血材製品の各国での上市に至る開発状況及び販売状況が、当社グループの損益に大きな影響を及ぼすこととなります。
⑧ 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、自己組織化ペプチドを基盤技術として外科領域、再生医療領域、DDS領域において医療機器及び医薬品の開発を進めており、本基盤技術を用いたパイプラインの探索を経て、医療機器を開発し製品の上市を目指し製品販売によって事業収益を確保していくことを基本方針としております。
また製品については販売権等を許諾した事業提携先に対して販売を行うこととしており、販売権等の許諾による対価として契約一時金やマイルストーン収益の獲得によっても事業収益を確保していくこととし、具体的な経営目標を下記と定めております。
・事業化戦略や企画機能に特化して開発パイプラインのラインナップの拡充を図る。
・複数の領域で早期に製品を上市し安定的な製品売上の獲得、シェア拡大に取り組む。
・製造や販売機能は事業提携によって補完するビジネスモデルの更なる体制拡充を図る。
・グローバル展開を図り、製品開発・販売に向けた事業提携による体制を構築する。
外科領域のパイプラインである吸収性局所止血材に関して国内では、再度の臨床試験の開始に向けてPMDAと臨床試験に関するプロトコルについて協議を継続しておりましたが、内視鏡的粘膜下層剥離術下の漏出性出血に対する止血効果等の有効性評価や安全性評価を含めた総合的判断を行うという治験計画を構築し、2017年4月に臨床試験を開始するための治験計画届をPMDAに提出いたしました。本治験は2019年7月に終了し、その後に製造販売承認申請を目指してまいります。また製造・販売の体制については扶桑薬品工業株式会社との間で契約を締結し上市に向けた体制を構築しており、早期に製造販売承認を取得し、日本国内での販売を開始することが重要課題であると認識しております。
吸収性局所止血材に関して欧州では、まず内視鏡領域に関しては、2019年6月にFUJIFILMと独占販売の締結を致しました。その他の領域に関しては、複数社との交渉を継続して進めております。
吸収性局所止血材に関して、米国では臨床試験の実施に向けたプロトコル準備段階であり、プロトコル策定後に臨床試験の開始を予定しております。またアジア・南米では主にオーストラリア・インドネシア等の東南アジアで製品販売を開始し、ブラジル・メキシコ・コロンビア・チリ等で製品販売を開始してまいります。
その他パイプラインについては、歯槽骨再建材の米国での臨床試験を継続し、粘膜隆起材は治験を中断しておりますが、製品優位性を確保してまいります。その他では国立がん研究センターとの共同プロジェクトにおいて、界面活性ペプチド(A6K)をsiRNA核酸医薬のDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)として用いる国立がん研究センターによる乳がん治療を目的とした医師主導治験が開始されるなどDDS分野での開発も進めてまいります。
⑨ 事業等のリスクに記載した重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善する ための対応策
「2 事業等のリスク ⑥継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおり、当社グループは研究開発費用が先行して計上されることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると認識しております。
当該重要事象等を解消又は改善するために、当社グループは医療製品事業においてグローバルに展開している吸
収性局所止血材の製品販売による売上収入を計上し、主に欧米・アジア・南米地域における販売権許諾等の契約一
時金やマイルストーンペイメント収入を獲得してまいります。また親子会社間での研究開発において基礎研究の共
有・効率化も進んでいることから、業務効率化による諸経費の節減等にも注力し販売費及び一般管理費の圧縮にも
取り組むことで収益構造を改善し、重要事象等の解消に向け取り組んでまいります。
また当社グループの研究開発及び事業運営を進めるための十分な資金確保に向けて、2019年3月に米国においてバイオ業界への投資に多くの実績を有する投資ファンドのハイツ・キャピタル・マネジメント・インク対し第三者割当による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債を発行し、2019年4月に1,299百万円の調達をしております。また第20回新株予約権(行使価額修正条項付)及び第21回新株予約権も発行し資金調達を実行し、2019年6月末までにその一部が行使され、413百万円を調達しております。しかしながら、今後も新株予約権の行使に関しては株価下落などにより当初想定した資金調達を確保できないリスクもあります。そのため、当該リスクに備えるためにも新たな資金調達手段の検討を進めてまいります。その他の機動的な資金調達手段として、株式会社三井住友銀行に加えて株式会社りそな銀行との間で借入コミットメントライン契約を締結しており、別途借入枠の設定も継続して更新しております。
①経営成績の分析
当社グループは主要技術である自己組織化ペプチド技術による医療製品の開発に引き続き注力しており、主に外科領域では吸収性局所止血材:TDM-621(以下「本止血材」という。)、粘膜隆起材:TDM-641(以下「粘膜隆起材」という。)、再生医療領域では歯槽骨再建材:TDM-711(以下「歯槽骨再建材」という。)および創傷治癒材:TDM-511(以下「創傷治癒材」という。)の事業展開を進めてまいりました。
[研究開発の状況]
日本:
本止血材
内視鏡的粘膜下層剥離術下の漏出性出血に対する止血効果等の有効性評価や安全性評価を含めた総合的判断を行うという治験計画を構築し、2017年4月11日に臨床試験を開始するための治験計画届を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)に提出しました。今回の治験は消化器内視鏡治療の領域において、本止血材の有効性を従来の止血法と比較する試験であり、2017年8月に開始しております。複数の治験施設で治験を進め、対象となる症例の組入れを実施しておりますが、症例組入れの完了時期の変更に伴い2020年4月期第1四半期中での治験終了に予定を変更し、製造販売承認申請についても2020年4月期上期中のターゲットに予定を変更しております。
粘膜隆起材
2014年12月11日に国内での臨床試験を開始し、有効性をより明確にできる試験方法や製材の検討を実施するために、2015年2月16日に自主的に臨床試験を一時中断しております。その後、製品の優位性の検討を進める中、ペプチドに改良を加え一定程度の結果や成果が得られております。2019年4月期下期より改良版の製材を用いた新治験プロトコルにつきPMDAとの協議再開しております。また一方で治験を必要としない改良医療機器での承認申請の方策も模索しており、早期の製品上市に向けて研究開発を進めてまいります。
DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)
国立がん研究センターとの「RPM2標的核酸医薬によるトリプルネガティブ乳がん治療」共同プロジェクトにおいて自己組織化ペプチドA6KをsiRNA核酸医薬のDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)として提供しておりました。当社は国立がん研究センターと共同でがん幹細胞に対する治療薬や診断方法の特許を取得しており、同分野や関連分野の共同研究/共同開発に向けた取り組みを進めております。
また広島大学との共同プロジェクトにおいても、悪性胸膜中皮腫を対象疾患とする革新的抗腫瘍核酸医薬に界面活性剤ペプチドを提供し、共同開発を進めております。
欧州:
本止血材
まず内視鏡領域に関しては、2019年6月にFUJIFILMと独占販売の締結を致しました。その他の領域に関しては、複数社との交渉を継続して進めております。
後出血予防材
内視鏡手術時に生じる後出血予防効果に関して、2017年12月に欧州の認証機関にCEマーキング適用追加の再申請を実施しております。その後も認証機関との審査対応を実施し、2018年12月に認証を取得いたしました。術後に起こる後出血は、再手術が必要となることから、患者及び医療機関双方の負担が大きく、強いニーズがあります。本適用追加により、本製品が内視鏡領域で獲得可能な市場は数倍に拡大する可能性があります。
次世代止血材
本止血材と異なる新規ペプチド配列を用いた開発品です。MITからライセンス供与を受けた自己組織化ペプチド技術をベースとした開発品であり、製品プロダクト化も概ね終了し、最終製品を用いた前臨床試験を実施中です。今後も検証を重ね、早期に臨床試験に移行させる予定であります。本止血材より止血効果に優れ、ペプチド原材料価格のコスト低減等の優位性があることから、将来的に次世代止血材を主力製品として市場に供給すべく開発を進めてまいります。
米国:
癒着防止材
耳鼻咽喉科領域での製品販売に向け米国食品医薬品局(以下「FDA」という。)に市販前届510(K)を申請しておりましたが、2019年4月に医療機器(クラスⅡ)での販売承認を受けました。癒着防止、止血、創傷治癒を同時に行えることから、付加価値の高い製品として鼻甲介切除切除術や鼻中隔形成術の適用で高いニーズも見込まれます。米国内での本領域は約200億円の市場規模を有するマーケットであり、2020年4月期上期中の製品販売に向け製造を開始し、販売体制の構築など準備を進めております。
本止血材
FDAと引き続き臨床試験開始に向けたプロトコルの構築に向け協議を実施しており、2019年4月期中に癒着防止材の申請後、2020年4月期中での臨床試験開始をターゲットに開発を進めてまいります。
歯槽骨再建材
米国での臨床試験で15症例の施術・経過観察が完了し骨形成に良好な結果やデータを得たことから、FDA承認の後、前第1四半期より次のフェーズでの臨床試験を開始しております。骨形成を確認するため経過観察に時間を要することから、当期末においても臨床試験を継続しており、今後も製品化に向けた開発を進めてまいります。
創傷治癒材
米国:2014年10月23日に医療機器の審査プロセスの1つである市販前届510(k)を米国FDAに申請し、2015年2月16日に米国FDAより承認を受け販売の許認可を取得しております。他薬剤とのコンビネーション(抗生物質・抗がん剤・ヒアルロン酸等との混合投与)による治療効果の増大に向け、熱傷治療、皮膚がん治療を中心に美容整形分野等で研究を進め、付加価値の高い製品化に向けて取組んでおります。
[販売進捗の状況]
欧州:2014年1月14日にCEマーキング指令適合を受けた後、事業収益化に向けてドイツ、フランス、英国等の主要国を含めたヨーロッパ全域で、有力医療施設をターゲットに代理店(各国別での販売に特化した販売代理店)を通じた製品販売を開始しております。製品販売に関しては通期192百万円となり前期比125%の成長となりました。
主要国であるドイツにおいて大手体外診断用医療品メーカー/医療機器販売代理店のWERFENグループ(ドイツでの代理店はニコライ社)により販売が進展し、イギリスでは医療機器販売代理店でロンドン証券取引所にも上場しているヘルスケア21グループの医療機器販売子会社(イギリスでの代理店はアクイラント社)により販売が進展しました。一方で、フランス大手代理店PENTAXの本格的な販売が開始されておらず、販売提携の締結が完了しなかったことで大きなロットの受注が見込めなかったことが計画との差異が生じた要因です。
また欧州全域への製品販売を目的とした包括的販売提携につき販売パートナー候補先(対象全域に販売網、プロモーション機能を有する企業)の3社と契約締結に向け交渉を進めておりました。当期中での契約締結には至りませんでしたが、消化器内視鏡領域に関しては2019年6月13日に欧州子会社とFUJIFILMとの間で欧州全域における本止血材「PuraStat」の独占販売契約を締結いたしました(詳細は2019年6月13日付の適時開示をご参照ください)。今後、FUJIFILMが有する幅広い顧客基盤に対して共同で売り込むことで、営業時間の大幅な短縮と即時の顧客カバレッジの拡大を目指してまいります。その他の領域である心臓血管外科領域や消化器外科領域については、引き続き候補先と契約締結に向け交渉を進めてまいります。
アジア、オセアニア:CEマーキング採用地域であり、各国で医療機器としての製品登録申請や製品販売に向けた活動に取り組んでおります。主要市場のオーストラリアでは、大手医療機器のゲティンゲグループを通じた製品販売を行っておりましたが、2018年10月にゲティンゲグループのバイオサージェリー部門が中国ヘルスケア企業に売却されたことにより、ゲティンゲグループとの販売代理契約は終了し、第3四半期から第4四半期にかけて自社販売に移行いたしました。しかしながら、経験豊富な営業マネージャー担当の採用が進んだことで、自社販売移行後の第4四半期だけで約57百万円と過去最高の販売で、2019年4月期の通期でも製品販売127百万円と前期比187%の成長となり、当期の販売計画を超過しました。販売領域は主に耳鼻咽喉科ですが、来期に向け内視鏡や腹腔鏡手術などの新しい領域での販売も拡大見込みであり、顧客医療機関数も拡大傾向であるため、来期は更なる販売拡大を計画しております。
また韓国での販売承認取得に向けDaewoong Pharmaceutical Co., Ltd. による当局との審査対応が継続しておりますが、当期中での審査完了には至りませんでした。早期の販売承認に向け同社の審査対応をサポートするとともに、2020年4月期での承認取得に向け協働してまいります。
中南米/カナダ:CEマーキング採用地域であり、各国で医療機器としての製品登録申請や製品販売に向けた活動を進めております。製品販売に向けてブラジル、メキシコ、チリでは現地の販売代理店と販売契約を締結済みです。販売拡大に向け取り組んでおり、製品販売に関しては少額となりましたが、一方で2019年1月にカナダ当局より製品登録の承認がなされ、同月にはロンドン証券取引所に上場するDiploma PLCのグループ企業であるVantage Endoscopy社と販売代理契約を締結しております。現在、販売に向けた製品製造の段階であり、2020年4月期での販売開始を予定しております。
このような結果、当連結会計年度の業績につきましては、事業収益面に関しては本止血材の製品販売321百万円(欧州:192百万円、アジア/オセアニア:127百万円、中南米:2百万円)、研究試薬販売7百万円となり、事業収益の合計は328百万円(前年同期比100百万円の増加)となりました。費用面に関しては販売管理費、研究開発費を含め通期計画の想定範囲で推移しており、その結果、経常損失2,426百万円(前年同期は経常損失1,767百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失2,554百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失1,866百万円)となりました。
②財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、4,092,627千円(前連結会計年度末比956,895千円増加)となりました。
流動資産につきましては、4,066,796千円(同956,031千円増加)となりました。これは主に、現金及び預金の増加640,218千円、たな卸資産の増加264,316千円及び売掛金の増加48,853千円によるものです。
固定資産につきましては、25,830千円(同864千円増加)となりました。これは主に、投資その他の資産に含まれる敷金の増加1,817千円によるものです。
負債につきましては、2,579,626千円(同1,645,775千円増加)となりました。
流動負債につきましては、1,279,636千円(同345,785千円増加)となりました。これは主に、未払金の増加228,566千円及び短期借入金の増加100,000千円によるものです。
固定負債につきましては、1,299,990千円(同1,299,990千円増加)となりました。これは、転換社債型新株予約権付社債の発行1,299,990千円によるものです。
純資産の部につきましては、1,513,000千円(同688,879千円減少)となりました。これは主に、新株発行による資本金及び資本準備金の増加1,710,156千円がある一方で、親会社株主に帰属する当期純損失による利益剰余金の減少2,554,559千円によるものです。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ640,218千円増加し、1,802,708千円となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況は以下の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、減少した資金は2,301,529千円(前連結会計年度末は2,020,656千円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失2,553,349千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、減少した資金は136,902千円(前連結会計年度末は81,736千円の減少)となりました。これは主に、長期前払費用の取得による支出109,554千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、得られた資金は3,084,332千円(前連結会計年度末は1,503,669千円の増加)となりました。これは主に、株式の発行による収入1,688,910千円及び転換社債型新株予約権付社債の発行による収入1,271,990千円によるものであります。
(2) 生産、受注及び販売の状況
当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(千円) | 前年同期比(%) |
| 医療製品事業 | 394,070 | +188.7 |
| 合計 | 394,070 | +188.7 |
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記の金額は、製造原価によっております。
3 当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは、主にアジア・オセアニアにおいて前期より代理店販売から直接販売に営業活動を切り替えたことで、想定通りに受注が増加したことによるものであります。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績を示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) |
| 医療製品事業 | 315,631 | +37.5 | ― | ― |
| 合計 | 315,631 | +37.5 | ― | ― |
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは、主にアジア・オセアニアにおいて前期より代理店販売から直接販売に営業活動を切り替えたことで、想定通りに受注が増加したことによるものであります。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
| 医療製品事業 | 328,847 | +43.8 |
| 合計 | 328,847 | +43.8 |
(注)1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
| Getinge Australia Pty Ltd | 66,098 | 28.9 | 63,616 | 19.3 |
| Nicolai Medizintechnik GmbH | 24,012 | 10.5 | 53,024 | 16.1 |
| PENTAX Europe GmbH | 25,465 | 11.1 | ― | ― |
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 当連結会計年度のPENTAX Europe GmbHに対する販売実績につきましては、当該割合が10%未満の為記載を省略しております。
(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度現在において、当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択、適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討等
A. 収益面の特徴
a.独占販売権許諾による一時金・マイルストーン収入
提携先企業との独占販売権契約により、その対価については、契約一時金、マイルストーン等を段階的に受領することとしております。契約一時金は、契約時に一定の権利の付与に対して受取る対価として一括収益計上しており、マイルストーンは自社あるいは提携先企業における研究開発の進捗(予め設定されたイベント達成等)に応じて受取る対価となっております。一般的に医療機器の開発期間は基礎研究開始から上市までに通常3~5年程度の長期間に及ぶものでもあり研究開発の進捗および医療機器発売・販売の状況等に依存するもので、これらが事業収益として計上されるにはかなりの長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。さらに、提携先企業等との契約締結の可否、契約締結時期および収益の発生時期によって当社グループの業績は大きく変動する傾向にあり、これによる業績の上期または下期への偏重が生じる可能性、または場合によっては決算期ごとの業績変動要因となる可能性があります。
b.製品販売収入
当社グループは、主要技術である自己組織化ペプチド技術による医療機器を欧州、アジア/オセアニアを中心に販売しております。当連結会計期間におきましては、欧州での売上はドイツ、フランス、英国等の主要国での販売を中心に通期で192百万円となり前期比125%の成長となっております。また、アジア/オセアニアでの製品売上は主要市場のオーストラリアを中心に通期で127百万円と前期比187%の成長となりました。グループ全体の製品販売収入は通期で328百万円と前期比143%となりました。一方で欧州においてはフランス大手代理店PENTAXの本格的な販売が開始されず、販売提携の締結が完了しなかったことで大きな受注が見込めなかったことが計画との差異が生じた要因です。
B. 費用面の特徴
当社グループは研究開発型企業として、当連結会計年度においては研究開発費786百万円を計上しております。
当連結会計期間におきましては外科領域であります国内の吸収性局所止血材の臨床試験や欧州での後出血予防材としての適応拡大及び米国での癒着防止材のための研究開発費用が中心となりました。今後も外科領域のパイプラインであります粘膜隆起材や次世代止血材及び再生医療領域の歯槽骨再建材やドラッグ・デリバリー・システム領域における開発等、継続的に研究開発費が必要となると想定されます。
③ 当連結会計年度の経営成績の分析
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ①経営成績の分析」に記載のとおりです。
④ 当連結会計年度の財政状態の分析
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ②財政状態の分析」に記載のとおりです。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析・キャッシュ・フローの分析
(キャッシュ・フローの分析)
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(資金の需要)
当社グループは、米国マサチューセッツ工科大学からライセンス供与を受け、独占的・全世界事業化権を保有している自己組織化ペプチド技術を基盤技術として、外科領域・再生医療領域・DDS領域における医療機器等の研究開発を行っております。当社グループは研究開発型企業であり、当社グループの資金需要のうち主なものは、研究開発費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
(資金の調達及び流動性)
当社グループは医療製品事業においてグローバルに展開している吸収性局所止血材の製品販売による売上収入を計上し、主に欧米・アジア・南米地域における販売権許諾等の契約一時金やマイルストーンペイメント収入を獲得してまいります。また親子会社間での研究開発において基礎研究の共有・効率化も進んでいることから、業務効率化による諸経費の節減等にも注力し販売費及び一般管理費の圧縮にも取り組んでまいります。
また、当社グループの研究開発及び事業運営を進めるための十分な資金確保に向けて、2019年3月に米国においてバイオ業界への投資に多くの実績を有する投資ファンドのハイツ・キャピタル・マネジメント・インクに対し第三者割当による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債を発行し、2019年4月に1,299百万円の調達をしております。また第20回新株予約権(行使価額修正条項付)及び第21回新株予約権も発行し資金調達を実行し、2019年6月末までにその一部が行使され、413百万円を調達しております。しかしながら、今後も新株予約権の行使に関しては株価下落などにより当初想定した資金調達を確保できないリスクもあります。そのため、当該リスクに備えるためにも新たな資金調達手段の検討を進めてまいります。その他の機動的な資金調達手段として、株式会社三井住友銀行に加えて株式会社りそな銀行との間で借入コミットメントライン契約を締結しており、別途借入枠の設定も継続して更新しております。
⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営戦略等及び(3)目標とする経営指標 に記載のとおりとなっております。当連結会計年度の達成状況につきまして、連結事業収益につきましては、欧州及びアジア/オセアニア(主にオーストラリア)における製品販売収入により、328百万円となりました。また、研究開発費については、786百万円となりました。当期の経営成績ならびに研究開発活動の詳細につきましては「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」ならびに「第2 事業の状況 5研究開発活動 (2)研究開発活動」をご覧ください。
⑦ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、MITより自己組織化ペプチド技術にかかる特許実施権の許諾を受け、同技術を用いた開発パイプラインの拡充、製品化への研究開発、事業化戦略の立案等の企画機能に特化する戦略を取っています。
中期的に重要な影響を与える要因は主要パイプラインである吸収性局所止血材製品の各国での上市及び製品販売であります。当社グループの事業収益は、止血材製品の開発に係るマイルストーンペイメント及び止血材製品売上が高い比重を占めます。欧州においては2014年1月にCEマーキングの指令適合についての認証を取得したことにより製品販売を開始いたしました。また日本においても2017年4月に臨床試験を開始するための治験計画届のPMDAへの提出を実施し、2019年7月に臨床試験を終了した段階です。米国においては臨床試験の開始準備中のステージにあります。従いまして、止血材製品の各国での上市に至る開発状況及び販売状況が、当社グループの損益に大きな影響を及ぼすこととなります。
⑧ 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、自己組織化ペプチドを基盤技術として外科領域、再生医療領域、DDS領域において医療機器及び医薬品の開発を進めており、本基盤技術を用いたパイプラインの探索を経て、医療機器を開発し製品の上市を目指し製品販売によって事業収益を確保していくことを基本方針としております。
また製品については販売権等を許諾した事業提携先に対して販売を行うこととしており、販売権等の許諾による対価として契約一時金やマイルストーン収益の獲得によっても事業収益を確保していくこととし、具体的な経営目標を下記と定めております。
・事業化戦略や企画機能に特化して開発パイプラインのラインナップの拡充を図る。
・複数の領域で早期に製品を上市し安定的な製品売上の獲得、シェア拡大に取り組む。
・製造や販売機能は事業提携によって補完するビジネスモデルの更なる体制拡充を図る。
・グローバル展開を図り、製品開発・販売に向けた事業提携による体制を構築する。
外科領域のパイプラインである吸収性局所止血材に関して国内では、再度の臨床試験の開始に向けてPMDAと臨床試験に関するプロトコルについて協議を継続しておりましたが、内視鏡的粘膜下層剥離術下の漏出性出血に対する止血効果等の有効性評価や安全性評価を含めた総合的判断を行うという治験計画を構築し、2017年4月に臨床試験を開始するための治験計画届をPMDAに提出いたしました。本治験は2019年7月に終了し、その後に製造販売承認申請を目指してまいります。また製造・販売の体制については扶桑薬品工業株式会社との間で契約を締結し上市に向けた体制を構築しており、早期に製造販売承認を取得し、日本国内での販売を開始することが重要課題であると認識しております。
吸収性局所止血材に関して欧州では、まず内視鏡領域に関しては、2019年6月にFUJIFILMと独占販売の締結を致しました。その他の領域に関しては、複数社との交渉を継続して進めております。
吸収性局所止血材に関して、米国では臨床試験の実施に向けたプロトコル準備段階であり、プロトコル策定後に臨床試験の開始を予定しております。またアジア・南米では主にオーストラリア・インドネシア等の東南アジアで製品販売を開始し、ブラジル・メキシコ・コロンビア・チリ等で製品販売を開始してまいります。
その他パイプラインについては、歯槽骨再建材の米国での臨床試験を継続し、粘膜隆起材は治験を中断しておりますが、製品優位性を確保してまいります。その他では国立がん研究センターとの共同プロジェクトにおいて、界面活性ペプチド(A6K)をsiRNA核酸医薬のDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)として用いる国立がん研究センターによる乳がん治療を目的とした医師主導治験が開始されるなどDDS分野での開発も進めてまいります。
⑨ 事業等のリスクに記載した重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善する ための対応策
「2 事業等のリスク ⑥継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおり、当社グループは研究開発費用が先行して計上されることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると認識しております。
当該重要事象等を解消又は改善するために、当社グループは医療製品事業においてグローバルに展開している吸
収性局所止血材の製品販売による売上収入を計上し、主に欧米・アジア・南米地域における販売権許諾等の契約一
時金やマイルストーンペイメント収入を獲得してまいります。また親子会社間での研究開発において基礎研究の共
有・効率化も進んでいることから、業務効率化による諸経費の節減等にも注力し販売費及び一般管理費の圧縮にも
取り組むことで収益構造を改善し、重要事象等の解消に向け取り組んでまいります。
また当社グループの研究開発及び事業運営を進めるための十分な資金確保に向けて、2019年3月に米国においてバイオ業界への投資に多くの実績を有する投資ファンドのハイツ・キャピタル・マネジメント・インク対し第三者割当による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債を発行し、2019年4月に1,299百万円の調達をしております。また第20回新株予約権(行使価額修正条項付)及び第21回新株予約権も発行し資金調達を実行し、2019年6月末までにその一部が行使され、413百万円を調達しております。しかしながら、今後も新株予約権の行使に関しては株価下落などにより当初想定した資金調達を確保できないリスクもあります。そのため、当該リスクに備えるためにも新たな資金調達手段の検討を進めてまいります。その他の機動的な資金調達手段として、株式会社三井住友銀行に加えて株式会社りそな銀行との間で借入コミットメントライン契約を締結しており、別途借入枠の設定も継続して更新しております。