四半期報告書-第18期第1四半期(令和3年5月1日-令和3年7月31日)
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。なお、本文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当社グループは米国Massachusetts Institute of Technology(マサチューセッツ工科大学、以下「MIT」という。)のShuguang Zhang博士の発明による自己組織化ペプチド技術を基にした医療製品の開発・製造・販売に引き続き注力しており、主に外科領域では吸収性局所止血材:TDM-621(以下「止血材」という。)、粘膜隆起材:TDM-644(以下「粘膜隆起材」という。)、癒着防止材:TDM-651(以下「癒着防止材」という。)、再生医療領域では歯槽骨再建材:TDM-711(以下「歯槽骨再建材」という。)及び創傷治癒材:TDM-511(以下「創傷治癒材」という。)、ドラッグ・デリバリー・システム(以下「DDS」という。)領域ではsiRNA核酸医薬:TDM-812の開発を行う等事業展開を進めてまいりました。
[研究開発の状況]
当社グループは、外科医療や再生医療の発展に寄与すべく、自己組織化ペプチド技術を、外科領域では止血材、粘膜隆起材、後出血予防材や癒着防止材等、再生医療領域では歯槽骨再建材及び創傷治癒材等、DDS領域ではsiRNA核酸医薬等のパイプラインへ応用し、製品化に向けた研究開発活動を行っております。
外科領域:
止血材(TDM-621)
日本において消化器内視鏡治療における漏出性出血に対する止血を対象として実施しておりました治験が、2019年7月に終了し、2019年10月に製造販売承認申請を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)に提出しておりましたが、2020年7月にPMDAより製造販売承認を取得しております。
欧州では2014年にCEマークを取得しており、現在欧州全域において販売中です。中枢神経分野等領域の拡大や創傷治癒等機能の拡大等、今後も継続して複数の分野で適応拡大を進め、オンリーワンの製品となれるよう価値を一層高めていく方針です。
米国では2021年1月に消化器内視鏡治療領域において、米国食品医薬品局(以下「FDA」という。)に510(k)のプロセスにて承認申請を行っておりましたが、2021年6月25日に承認を取得しております。今後も引き続き創傷治癒や癒着削減等のより高い付加価値がつけられる開発方針を模索してまいります。
粘膜隆起材(TDM-644)
止血材とは別の配列を用い、自己組織化によりゲルを形成するため隆起維持性能に優れており、また、生物由来成分ではないためウイルス等の混入リスクがない安全性の高さを持ち合わせています。ポリープ、腫瘍等を切除する内視鏡手術時に幅広く使用される可能性があります。
2020年12月に製造販売承認申請を提出しておりましたが、2021年5月11日付でPMDAより製造販売承認を取得しております。現在保険収載に向けた準備を進めており、今後は早期に止血材とのクロスセルができる体制を構築してまいります。
後出血予防材
欧州において消化器内視鏡治療時に生じる後出血予防効果に関して、2018年12月に適応追加が承認されました。また、オーストラリアにおいても後出血予防効果に関して、2019年9月に適応追加が承認されました。治療後に起こる後出血は、再手術が必要となることから患者及び医療機関双方の負担が大きく、強いニーズがあります。消化器内視鏡治療における出血はおおよそ5%程度であるのに対し、治療後に後出血が懸念されるリスクの高い患者・手技はおおよそ30%あるとされており、本適応の追加により当社製品が獲得可能な市場は数倍に拡大する可能性があります。
次世代止血材(TDM-623)
MITからライセンス供与を受けた自己組織化ペプチド技術をベースとした、現在の止血材と異なる当社が独自に特許を保有する新規ペプチド配列を用いた開発品です。現在の止血材より止血効果に優れ、ペプチド原材料価格のコスト低減等の優位性があることから、将来的に主力製品として市場に供給すべく開発を進めてまいります。欧州においては、製造管理・品質管理基準であるGMP(Good Manufacturing Practice)に則ったコマーシャルスケールの製造方法は既に確立しており最終製品を用いた前臨床試験が終了し、2020年10月にベルギーの監督当局に治験計画届を提出しておりましたが、2021年5月に治験計画届の承認がなされ、2021年7月より第1症例の組み入れを行い治験を開始しております。日本においては、既に承認されている製品を先行品として、改良医療機器(臨床試験なし)での申請可能性も検討しつつ、開発を進めてまいります。
癒着防止材(TDM-651)
2019年4月に米国にて、耳鼻咽喉科領域においてFDAより販売承認を受けております。当社グループの米国における初めての上市製品です。本製品は、癒着防止、止血及び創傷治癒を同時に行える現状唯一の製品であることから、鼻甲介切除術や鼻中隔形成術等において高い臨床的価値を提供でき得るものと期待しております。
再生医療領域:
歯槽骨再建材(TDM-711)
米国での臨床試験で15症例の施術・経過観察が完了し、骨形成に良好な結果やデータを得ております。一方で、プロトコルに改善の余地があったため、2018年4月期に臨床試験を12症例追加で継続する等臨床試験を継続しており、今後も引き続き製品化に向けた開発を進めてまいります。現在の試験完了後のステップについてはFDAと協議中です。
創傷治癒材(TDM-511)
2015年2月にFDAより承認を受け販売の許認可を取得しております。より高い臨床的価値が求められる重度の熱傷や皮膚がんの分野への進出を目指して、他薬剤とのコンビネーション(抗生物質、抗がん剤等)も視野に入れて研究を進めております。また、巨大市場である美容整形分野にもアクセスすべく、2019年11月にFDAへ適応拡大申請を提出しておりましたが、2020年5月にその承認を取得しております。美容整形分野は一般の医療市場とは異なるマーケティング・アプローチが必要と考えており、まずは市場開拓に必要な臨床データを取得しつつ、市場ニーズや市場構造を踏まえた販売戦略・販売チャネルを企画してまいります。
放射線性直腸炎治癒材
2021年1月に、FDAへ510(k)のプロセスにて口腔粘膜炎治癒材の販売承認申請を提出しております。当社は、口腔粘膜炎治癒材の承認取得を放射線性直腸炎治癒材の開発に向けた前段階と位置付けております。放射線性直腸炎は、前立腺がんや子宮がん等への放射線療法に起因する副作用で、大腸粘膜の炎症を高頻度で引き起こします。また、2割程度の患者は慢性的な下血、頻繁な排便、激しい腹痛等の晩期障害に悩まされており、有効な治療法の確立が望まれております。
当社の止血材製品は、欧州の臨床研究において放射線性直腸炎に対して画期的な治癒効果が観察されております。当社は本領域のアンメットニーズに応えるため、早期の製品化を目指し開発を進めてまいります。
DDS領域:
国立がん研究センターとの「RPN2標的核酸医薬によるトリプルネガティブ乳がん治療」共同プロジェクトにおいて、自己組織化ペプチドA6KをsiRNA核酸医薬のDDSとして提供しておりました。本研究を引き継ぐTDM-812に関しては、聖路加国際病院による治療抵抗性の乳がんを対象とした第Ⅰ相医師主導の治験計画届を、2020年3月にPMDAへ提出いたしました。当社は、国立がん研究センターと共同でがん幹細胞に対する治療薬や診断方法の特許を取得しており、同分野や関連分野の共同研究/共同開発に向けた取り組みを進めております。
広島大学との共同プロジェクトにおいても、悪性胸膜中皮腫を対象疾患とする革新的抗腫瘍核酸医薬に当社界面活性剤ペプチドA6Kを提供し共同開発を進めておりましたが、広島大学の田原栄俊教授により新たに設立された株式会社PURMX Therapeuticsが今後の製品開発を主導することとなり、現在同社が治験の準備を進めております。当社も同社株式を10%取得し今後も引き続き共同で製品開発を進めてまいります。当社の核酸医薬へのDDSの提供は、上記のトリプルネガティブ乳がん治療のためのRPN2標的核酸医薬に続く2つ目の案件となります。今後の核酸医薬の広まりとともに、当社の自己組織化ペプチドA6Kが核酸のデリバリーのオプションとして更なる広がりをみせる可能性が出てきております。
製品原価率を大幅に低減するための製造方法の変更検討:
当社グループは、当社製品群の製品原価率を大幅に低減すべく、滅菌方法の変更及び製造スケール・アップを進めております。2020年10月に欧州の第三者認証機関であるBSIに新たな製造方法への変更申請を提出しておりましたが、2021年5月10日付でその承認を取得しております。本製法による製造は当第1四半期より順調に開始されており、新しい原価は当期下期より順次適応される見込みとなっております。この製法変更により製品原価率は大幅に低減し、2023年4月期以降の黒字化に向けてのボトルネックが解消されたと考えております。
抗体検査領域:
COVID-19抗体検査キットを、欧米に販売実績のあるPrometheus Bio社と日本市場向けに共同開発を進めております。Prometheus Bio社の抗体検査キットであるCoronavirus IgG/IgM Antibody(COVID-19)Test Cassetteは、血液、血清及び血漿中の2019-nCoVに対する抗体を検出する対外診断薬用のイムノアッセイであり、COVID-19の感染による免疫能獲得の存在を示唆する抗ウイルス抗体を検出することが可能であり、これを日本にて共同で開発を進めております。
また、アンジェス株式会社が大阪大学と2020年3月に発表した「プラスミドDNA製造技術を用いた新型コロナウイルス感染症向け予防用DNAワクチンの共同開発」に参画し、アンジェス株式会社と共同で日本国内での臨床試験データを収集し、ワクチン臨床試験における投与前抗体有無の確認等抗体検査キットの利用可能性を検討してまいります。
[販売進捗の状況]
欧州における製品販売は、190,247千円となり前年同期比で95.3%増と拡大しました。
欧州におきましては、新型コロナウイルスのワクチン接種が進み社会生活への制限が概ね解除されてきている中、手術件数も回復傾向にあります。そのような中、当第1四半期の売上は計画通り進捗し、直前四半期の売上と比べても約30%増と引き続き拡大しております。
オーストラリアにおける製品販売は、127,013千円となり前年同期比で30.9%増と拡大しました。当期に入りCOVID-19の感染者数が大幅に増加しており、州境を超える移動の制限等経済活動への影響が高まってきております。そのような中、病院・ドクターへの訪問も制約を受け、当社の販売・マーケティング活動も影響を受けておりますが、前年同期比では順調に売上を伸ばし、予算比でもほぼ計画通り進捗しております。
米国では、2019年4月にFDAより承認を取得した耳鼻咽喉科領域の癒着防止材兼止血材「PuraSinus」の販売を当期より直販体制で開始しております。当第1四半期は計画通りに新規アカウントを獲得しており、また、2021年7月にテキサス州 Austinで開催されたARS学会において新規リードも多数獲得しておりますので、今後に向けての十分な見込顧客を確保している状況です。購入を開始した施設・医師における当社製品の使用率も高く、製品競争力が高いことを裏付け始めております。加えて、2021年6月には当社の想定よりも早い段階で、消化器内視鏡領域の止血材の承認をFDAより取得することが出来ましたので、当期中の市場投入に向けた準備を速やかに進めてまいります。
日本におきましては、現在保険収載のプロセスを進めております。一方で、既に想定以上の引き合い、問い合わせを頂いている状況で営業活動は計画を大幅に超えて進捗しております。実販売は保険収載後となりますが、既に国内における著名な施設、医師には使用を開始して頂いております。今後早期に保険収載を完了し売上を計上していきたいと考えております。
新型コロナウイルス抗体検査キットに関しましては、試験研究用として2020年4月より大学等の研究機関への提供を開始しておりましたが、2020年7月からは一般企業向けにも販売を開始しており、当第1四半期におきましては16,941千円の売上を計上いたしました。
このような結果、当第1四半期連結累計期間の業績については、止血材の製品販売は欧州で190,247千円、オーストラリアで127,013千円、その他エリアで6,618千円を計上し、新型コロナウイルス抗体検査キットを含む研究試薬の販売で16,941千円を計上したことから、事業収益340,821千円(前年同期比131,227千円増加)と前年同期の62.6%増となりました。
費用面に関しては、通期計画の範囲内で推移しており、その結果、経常損失775,307千円(前年同期は経常損失375,488千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失797,099千円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失408,536千円)となりました。
なお、2020年12月21日に開示しました通り、当社は、2009年7月17日に扶桑薬品工業株式会社との間で締結した日本における自己組織化ペプチド(RADA16)を用いた吸収性局所止血材の独占販売権許諾契約及び2011年5月23日に締結した製造委受託契約が、2020年7月10日付の解除通知により終了したことを確認し、新たな製造受託先への移行までに必要と想定される製造量についての製造を行うことを扶桑薬品工業株式会社との間で合意しております。
製造所移管に関しましては、次世代止血材の製造を行っている相手先を第一候補として、製造バリデーションで求められる3バッチの製造を既に成功裏に完了しており、承認申請に向けた準備は最終段階に入っております。
(2) 財政状態の状況
当第1四半期連結会計期間における総資産は3,441,408千円(前連結会計年度末比66,879千円の減少)となりました。
流動資産につきましては、3,411,848千円(同64,137千円の減少)となりました。これは主に、現金及び預金の増加120,713千円及び売掛金の増加19,150千円がある一方、棚卸資産の減少110,894千円及び前渡金の減少81,823千円があることによるものです。
固定資産につきましては、29,559千円(同2,741千円の減少)となりました。これは、投資その他の資産の減少によるものです。
流動負債につきましては、806,191千円(同32,538千円の増加)となりました。これは主に、未払法人税等の増加28,183千円によるものです。
固定負債につきましては、1,072,987千円(同1,818千円の減少)となりました。これは、その他の減少1,818千円によるものです。
純資産につきましては、1,562,229千円(同97,599千円の減少)となりました。これは主に、資本金及び資本剰余金のそれぞれ313,678千円の増加及び為替換算調整勘定の増加67,918千円がある一方、親会社株主に帰属する四半期純損失による利益剰余金の減少797,099千円があることによるものです。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はありません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は186,395千円であります。当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありませんが、当四半期連結会計期間の末日現在における研究開発活動の進捗状況については、(1)経営成績の状況 の [研究開発の状況] に記載してあります。
(1) 経営成績の状況
当社グループは米国Massachusetts Institute of Technology(マサチューセッツ工科大学、以下「MIT」という。)のShuguang Zhang博士の発明による自己組織化ペプチド技術を基にした医療製品の開発・製造・販売に引き続き注力しており、主に外科領域では吸収性局所止血材:TDM-621(以下「止血材」という。)、粘膜隆起材:TDM-644(以下「粘膜隆起材」という。)、癒着防止材:TDM-651(以下「癒着防止材」という。)、再生医療領域では歯槽骨再建材:TDM-711(以下「歯槽骨再建材」という。)及び創傷治癒材:TDM-511(以下「創傷治癒材」という。)、ドラッグ・デリバリー・システム(以下「DDS」という。)領域ではsiRNA核酸医薬:TDM-812の開発を行う等事業展開を進めてまいりました。
[研究開発の状況]
当社グループは、外科医療や再生医療の発展に寄与すべく、自己組織化ペプチド技術を、外科領域では止血材、粘膜隆起材、後出血予防材や癒着防止材等、再生医療領域では歯槽骨再建材及び創傷治癒材等、DDS領域ではsiRNA核酸医薬等のパイプラインへ応用し、製品化に向けた研究開発活動を行っております。
外科領域:
止血材(TDM-621)
日本において消化器内視鏡治療における漏出性出血に対する止血を対象として実施しておりました治験が、2019年7月に終了し、2019年10月に製造販売承認申請を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)に提出しておりましたが、2020年7月にPMDAより製造販売承認を取得しております。
欧州では2014年にCEマークを取得しており、現在欧州全域において販売中です。中枢神経分野等領域の拡大や創傷治癒等機能の拡大等、今後も継続して複数の分野で適応拡大を進め、オンリーワンの製品となれるよう価値を一層高めていく方針です。
米国では2021年1月に消化器内視鏡治療領域において、米国食品医薬品局(以下「FDA」という。)に510(k)のプロセスにて承認申請を行っておりましたが、2021年6月25日に承認を取得しております。今後も引き続き創傷治癒や癒着削減等のより高い付加価値がつけられる開発方針を模索してまいります。
粘膜隆起材(TDM-644)
止血材とは別の配列を用い、自己組織化によりゲルを形成するため隆起維持性能に優れており、また、生物由来成分ではないためウイルス等の混入リスクがない安全性の高さを持ち合わせています。ポリープ、腫瘍等を切除する内視鏡手術時に幅広く使用される可能性があります。
2020年12月に製造販売承認申請を提出しておりましたが、2021年5月11日付でPMDAより製造販売承認を取得しております。現在保険収載に向けた準備を進めており、今後は早期に止血材とのクロスセルができる体制を構築してまいります。
後出血予防材
欧州において消化器内視鏡治療時に生じる後出血予防効果に関して、2018年12月に適応追加が承認されました。また、オーストラリアにおいても後出血予防効果に関して、2019年9月に適応追加が承認されました。治療後に起こる後出血は、再手術が必要となることから患者及び医療機関双方の負担が大きく、強いニーズがあります。消化器内視鏡治療における出血はおおよそ5%程度であるのに対し、治療後に後出血が懸念されるリスクの高い患者・手技はおおよそ30%あるとされており、本適応の追加により当社製品が獲得可能な市場は数倍に拡大する可能性があります。
次世代止血材(TDM-623)
MITからライセンス供与を受けた自己組織化ペプチド技術をベースとした、現在の止血材と異なる当社が独自に特許を保有する新規ペプチド配列を用いた開発品です。現在の止血材より止血効果に優れ、ペプチド原材料価格のコスト低減等の優位性があることから、将来的に主力製品として市場に供給すべく開発を進めてまいります。欧州においては、製造管理・品質管理基準であるGMP(Good Manufacturing Practice)に則ったコマーシャルスケールの製造方法は既に確立しており最終製品を用いた前臨床試験が終了し、2020年10月にベルギーの監督当局に治験計画届を提出しておりましたが、2021年5月に治験計画届の承認がなされ、2021年7月より第1症例の組み入れを行い治験を開始しております。日本においては、既に承認されている製品を先行品として、改良医療機器(臨床試験なし)での申請可能性も検討しつつ、開発を進めてまいります。
癒着防止材(TDM-651)
2019年4月に米国にて、耳鼻咽喉科領域においてFDAより販売承認を受けております。当社グループの米国における初めての上市製品です。本製品は、癒着防止、止血及び創傷治癒を同時に行える現状唯一の製品であることから、鼻甲介切除術や鼻中隔形成術等において高い臨床的価値を提供でき得るものと期待しております。
再生医療領域:
歯槽骨再建材(TDM-711)
米国での臨床試験で15症例の施術・経過観察が完了し、骨形成に良好な結果やデータを得ております。一方で、プロトコルに改善の余地があったため、2018年4月期に臨床試験を12症例追加で継続する等臨床試験を継続しており、今後も引き続き製品化に向けた開発を進めてまいります。現在の試験完了後のステップについてはFDAと協議中です。
創傷治癒材(TDM-511)
2015年2月にFDAより承認を受け販売の許認可を取得しております。より高い臨床的価値が求められる重度の熱傷や皮膚がんの分野への進出を目指して、他薬剤とのコンビネーション(抗生物質、抗がん剤等)も視野に入れて研究を進めております。また、巨大市場である美容整形分野にもアクセスすべく、2019年11月にFDAへ適応拡大申請を提出しておりましたが、2020年5月にその承認を取得しております。美容整形分野は一般の医療市場とは異なるマーケティング・アプローチが必要と考えており、まずは市場開拓に必要な臨床データを取得しつつ、市場ニーズや市場構造を踏まえた販売戦略・販売チャネルを企画してまいります。
放射線性直腸炎治癒材
2021年1月に、FDAへ510(k)のプロセスにて口腔粘膜炎治癒材の販売承認申請を提出しております。当社は、口腔粘膜炎治癒材の承認取得を放射線性直腸炎治癒材の開発に向けた前段階と位置付けております。放射線性直腸炎は、前立腺がんや子宮がん等への放射線療法に起因する副作用で、大腸粘膜の炎症を高頻度で引き起こします。また、2割程度の患者は慢性的な下血、頻繁な排便、激しい腹痛等の晩期障害に悩まされており、有効な治療法の確立が望まれております。
当社の止血材製品は、欧州の臨床研究において放射線性直腸炎に対して画期的な治癒効果が観察されております。当社は本領域のアンメットニーズに応えるため、早期の製品化を目指し開発を進めてまいります。
DDS領域:
国立がん研究センターとの「RPN2標的核酸医薬によるトリプルネガティブ乳がん治療」共同プロジェクトにおいて、自己組織化ペプチドA6KをsiRNA核酸医薬のDDSとして提供しておりました。本研究を引き継ぐTDM-812に関しては、聖路加国際病院による治療抵抗性の乳がんを対象とした第Ⅰ相医師主導の治験計画届を、2020年3月にPMDAへ提出いたしました。当社は、国立がん研究センターと共同でがん幹細胞に対する治療薬や診断方法の特許を取得しており、同分野や関連分野の共同研究/共同開発に向けた取り組みを進めております。
広島大学との共同プロジェクトにおいても、悪性胸膜中皮腫を対象疾患とする革新的抗腫瘍核酸医薬に当社界面活性剤ペプチドA6Kを提供し共同開発を進めておりましたが、広島大学の田原栄俊教授により新たに設立された株式会社PURMX Therapeuticsが今後の製品開発を主導することとなり、現在同社が治験の準備を進めております。当社も同社株式を10%取得し今後も引き続き共同で製品開発を進めてまいります。当社の核酸医薬へのDDSの提供は、上記のトリプルネガティブ乳がん治療のためのRPN2標的核酸医薬に続く2つ目の案件となります。今後の核酸医薬の広まりとともに、当社の自己組織化ペプチドA6Kが核酸のデリバリーのオプションとして更なる広がりをみせる可能性が出てきております。
製品原価率を大幅に低減するための製造方法の変更検討:
当社グループは、当社製品群の製品原価率を大幅に低減すべく、滅菌方法の変更及び製造スケール・アップを進めております。2020年10月に欧州の第三者認証機関であるBSIに新たな製造方法への変更申請を提出しておりましたが、2021年5月10日付でその承認を取得しております。本製法による製造は当第1四半期より順調に開始されており、新しい原価は当期下期より順次適応される見込みとなっております。この製法変更により製品原価率は大幅に低減し、2023年4月期以降の黒字化に向けてのボトルネックが解消されたと考えております。
抗体検査領域:
COVID-19抗体検査キットを、欧米に販売実績のあるPrometheus Bio社と日本市場向けに共同開発を進めております。Prometheus Bio社の抗体検査キットであるCoronavirus IgG/IgM Antibody(COVID-19)Test Cassetteは、血液、血清及び血漿中の2019-nCoVに対する抗体を検出する対外診断薬用のイムノアッセイであり、COVID-19の感染による免疫能獲得の存在を示唆する抗ウイルス抗体を検出することが可能であり、これを日本にて共同で開発を進めております。
また、アンジェス株式会社が大阪大学と2020年3月に発表した「プラスミドDNA製造技術を用いた新型コロナウイルス感染症向け予防用DNAワクチンの共同開発」に参画し、アンジェス株式会社と共同で日本国内での臨床試験データを収集し、ワクチン臨床試験における投与前抗体有無の確認等抗体検査キットの利用可能性を検討してまいります。
[販売進捗の状況]
欧州における製品販売は、190,247千円となり前年同期比で95.3%増と拡大しました。
欧州におきましては、新型コロナウイルスのワクチン接種が進み社会生活への制限が概ね解除されてきている中、手術件数も回復傾向にあります。そのような中、当第1四半期の売上は計画通り進捗し、直前四半期の売上と比べても約30%増と引き続き拡大しております。
オーストラリアにおける製品販売は、127,013千円となり前年同期比で30.9%増と拡大しました。当期に入りCOVID-19の感染者数が大幅に増加しており、州境を超える移動の制限等経済活動への影響が高まってきております。そのような中、病院・ドクターへの訪問も制約を受け、当社の販売・マーケティング活動も影響を受けておりますが、前年同期比では順調に売上を伸ばし、予算比でもほぼ計画通り進捗しております。
米国では、2019年4月にFDAより承認を取得した耳鼻咽喉科領域の癒着防止材兼止血材「PuraSinus」の販売を当期より直販体制で開始しております。当第1四半期は計画通りに新規アカウントを獲得しており、また、2021年7月にテキサス州 Austinで開催されたARS学会において新規リードも多数獲得しておりますので、今後に向けての十分な見込顧客を確保している状況です。購入を開始した施設・医師における当社製品の使用率も高く、製品競争力が高いことを裏付け始めております。加えて、2021年6月には当社の想定よりも早い段階で、消化器内視鏡領域の止血材の承認をFDAより取得することが出来ましたので、当期中の市場投入に向けた準備を速やかに進めてまいります。
日本におきましては、現在保険収載のプロセスを進めております。一方で、既に想定以上の引き合い、問い合わせを頂いている状況で営業活動は計画を大幅に超えて進捗しております。実販売は保険収載後となりますが、既に国内における著名な施設、医師には使用を開始して頂いております。今後早期に保険収載を完了し売上を計上していきたいと考えております。
新型コロナウイルス抗体検査キットに関しましては、試験研究用として2020年4月より大学等の研究機関への提供を開始しておりましたが、2020年7月からは一般企業向けにも販売を開始しており、当第1四半期におきましては16,941千円の売上を計上いたしました。
このような結果、当第1四半期連結累計期間の業績については、止血材の製品販売は欧州で190,247千円、オーストラリアで127,013千円、その他エリアで6,618千円を計上し、新型コロナウイルス抗体検査キットを含む研究試薬の販売で16,941千円を計上したことから、事業収益340,821千円(前年同期比131,227千円増加)と前年同期の62.6%増となりました。
費用面に関しては、通期計画の範囲内で推移しており、その結果、経常損失775,307千円(前年同期は経常損失375,488千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失797,099千円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失408,536千円)となりました。
なお、2020年12月21日に開示しました通り、当社は、2009年7月17日に扶桑薬品工業株式会社との間で締結した日本における自己組織化ペプチド(RADA16)を用いた吸収性局所止血材の独占販売権許諾契約及び2011年5月23日に締結した製造委受託契約が、2020年7月10日付の解除通知により終了したことを確認し、新たな製造受託先への移行までに必要と想定される製造量についての製造を行うことを扶桑薬品工業株式会社との間で合意しております。
製造所移管に関しましては、次世代止血材の製造を行っている相手先を第一候補として、製造バリデーションで求められる3バッチの製造を既に成功裏に完了しており、承認申請に向けた準備は最終段階に入っております。
(2) 財政状態の状況
当第1四半期連結会計期間における総資産は3,441,408千円(前連結会計年度末比66,879千円の減少)となりました。
流動資産につきましては、3,411,848千円(同64,137千円の減少)となりました。これは主に、現金及び預金の増加120,713千円及び売掛金の増加19,150千円がある一方、棚卸資産の減少110,894千円及び前渡金の減少81,823千円があることによるものです。
固定資産につきましては、29,559千円(同2,741千円の減少)となりました。これは、投資その他の資産の減少によるものです。
流動負債につきましては、806,191千円(同32,538千円の増加)となりました。これは主に、未払法人税等の増加28,183千円によるものです。
固定負債につきましては、1,072,987千円(同1,818千円の減少)となりました。これは、その他の減少1,818千円によるものです。
純資産につきましては、1,562,229千円(同97,599千円の減少)となりました。これは主に、資本金及び資本剰余金のそれぞれ313,678千円の増加及び為替換算調整勘定の増加67,918千円がある一方、親会社株主に帰属する四半期純損失による利益剰余金の減少797,099千円があることによるものです。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はありません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は186,395千円であります。当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありませんが、当四半期連結会計期間の末日現在における研究開発活動の進捗状況については、(1)経営成績の状況 の [研究開発の状況] に記載してあります。