有価証券報告書-第77期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/28 16:18
【資料】
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【項目】
122項目

対処すべき課題

日本では、インバウンド需要を取り込んだ産業や、機能性表示を求める食品分野にビジネスチャンスが生まれています。海外では、米国が緩やかな景気回復を維持する一方、中国をはじめとするアジア新興国の景気が減速しています。しかしながら、国内と比較するとまだ高い成長率と人口増加が見込まれます。これら国内と海外の両市場に応じた事業戦略とその遂行が重要と考えています。
当社グループは、中期経営計画(平成27年4月~平成30年3月期)を平成27年12月に発表しました。「新たな視点で次のステージへ」をスローガンとして策定し、「質の追求」を基本戦略に営業、生産、品質保証、研究開発など事業に関わる全ての質の向上を図ります。そして、①高付加価値製品の開発、②最適生産・最適販売、③グローバル経営基盤の強化、を戦略課題として取り組みます。
事業環境は、原油安や海外金融市場の混乱の影響を受け、先行き不透明な状況が続くと予想されますが、これらの戦略課題を着実に達成することにより新たな価値を創造し、収益を拡大し企業価値を高め、永続的な社会貢献することを目指します。
1.コラーゲン素材事業
① ゼラチン事業の供給力増強とグローバル競争力強化
ゼラチンの市場は、国内では食品用途を中心に需要増が見込まれます。海外では、人口増加、経済発展が進む中国、インドを中心とするアジア市場および北米市場では需要増加が見込まれますが、競合も激しくなっています。国内向けには、原料からの一貫生産という強みを生かし、顧客ニーズに最適な製品の開発と供給を行います。また海外向けには、生産技術革新によりグローバルコストを実現し、最適地からの供給により競争力を強化します。
② ペプチド事業のグローバル事業拡大
コラーゲンペプチドは、国内では健康食品用途と機能性表示をする食品用途への需要増が見込まれます。
この需要増への対応とともに、機能性を強化した製品の投入により利益性の高い新規市場開拓を行います。
また、各製造拠点を活かし、米国、中国、アジア市場でグローバルに事業を拡大します。
③ ケーシング事業の販売拡大
新興国の経済発展に伴い、ソーセージの需要の増加が見込まれ、また天然ケーシングからの切替えが今後進むことが見込まれます。足元の事業環境は、ドル高と競合激化により厳しい状況ですが、北米工場の生産性向上と中国での生産販売体制の整備により販売拡大を図ります。また、日本市場への再参入の準備を進めていきます。
④ ライフサイエンス事業育成
当社グループの将来の新たな収益源として、ライフサイエンス事業の育成に積極的に取り組んでいきます。 高度な安全性を担保した医療用ゼラチン・コラーゲンの生産技術を活かして、iPS細胞関連産業や医療機器メーカーでの商品開発の為に高付加価値の素材を提供し、新事業として育成します。
2.フォーミュラソリューション事業
① 食品材料事業のフードソリューションによる事業拡大
少子高齢化、既存市場の成熟化により、主力の製菓・デザート市場の伸長は見込めませんが、総菜市場、医療食などのシニア食市場は今後拡大することが見込まれ、この市場開拓が今後重要な課題であると認識しています。当社のアプリケーション技術と、学生の商品アイデアや他の素材メーカーの技術を融合させて、お客様にとって新しい価値をもったフードソリューションを提供し、事業を拡大していきます。
② 接着剤事業の供給対応と用途開拓
接着剤は、衛生材料用の需要増が見込まれており、生産対応を行います。また高機能樹脂(G-zain®)は、新しい用途開拓と新製品開発を通じて販売拡大を行います。