有価証券報告書-第14期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/25 15:39
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
(単位:百万円)2025年3月期 連結会計年度2026年3月期
連結会計年度
増減増減率(%)増減の主要因ほか
営業収益20,66625,2584,59122.2①電力取引関連事業(+5,815)※2
②再生可能エネルギー関連事業(+183)
③小売事業(△1,263)
④ディーリング事業(+44)
営業費用20,84322,6221,7788.5電力仕入の増加(+1,670)
営業利益又は営業損失(△)△1762,6352,812-
経常利益又は経常損失(△)△1462,5342,680-①前年同期間は投資有価証券売却益を計上(△151)
②違約金収入(+14)
特別利益21146125590.0①前年度は訴訟損失引当金戻入額(△21)を計上
②投資有価証券売却益(+146)
特別損失94939412.1貸倒引当金繰入額(+38)
税金等調整前当期純利益又は
税金等調整前当期純損失(△)
△1342,6312,765-
法人税等合計(※1)96836736,742.4
非支配株主に帰属する当期純利益又は非支配株主に帰属する当期純損失(△)2△8△11-
親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)△1461,9562,103-

※1 「法人税等合計」には、「法人税、住民税及び事業税」と「法人税等調整額」を含みます。
※2 当連結会計年度の営業収益における電力取引関連事業に係るヘッジ目的で行う電力先物取引による影響の内容については、「セグメント毎の経営成績及び取り組み状況<2 電力取引関連事業>」をご参照ください。
当社グループは、金融及び市場取引分野において創業以来培ってきたノウハウを活用し、総合エネルギー事業をコアとした事業展開をしております。
当連結会計年度(2025年4月1日~2026年3月31日)における我が国の経済状況は、所得・雇用環境の改善などを背景に緩やかな回復基調が継続しております。一方、物価上昇の長期化、米国の保護主義的な貿易政策、日中間の緊張の高まりや中東情勢の行方等が、企業活動や市場心理に大きな影響を与えており、先行きには引き続き十分な注視が必要な状況です。
このような中、当社グループは、2026年3月期から2028年3月期の3年を対象期間とする「中期ビジョン2028」を策定し、発電事業者、小売電気事業者、電力需要家のあらゆるニーズに応える、「エネルギートータルソリューションプロバイダー」を目指しております。財務面においては、資本コストや株価を意識した経営への取り組みとしてROIC管理を行い、事業ポートフォリオの見直しの実施や、株主資本コストの低下、IR活動の強化を通じてPBR1倍超を目指しております。
当連結会計年度における経営成績は以下のとおりです。
営業収益は、電力取引関連事業における増収を背景に前年同期間比22.2%増加の増収となりました。損益面ではディーリング事業における事業撤退に向けた事業規模縮小と裁定取引の取引対象商品の大幅な価格変動等によるネガティブな影響を受けたものの、イラン情勢の緊迫化による原油や天然ガス等の急騰を受け電力価格が急上昇したため、電力取引関連事業において大幅なヘッジ益が生じ、全体として営業利益、経常利益が拡大しました。また、資本効率の向上と財務体質の強化を図るため、非上場有価証券を2025年7月に売却したことで、投資有価証券売却益として146百万円を特別利益として計上いたしました。一方、2025年10月に電力取引関連事業の取引先が民事再生手続きを開始したことに伴い、売掛債権等38百万円を貸倒引当金繰入額として特別損失を計上しております。これらの結果、親会社株主に帰属する当期利益は1,956百万円となりました。
当連結会計年度における主なトピックスは以下のとおりです。
・ヒューリックプロパティソリューション株式会社との資本業務提携(2025年5月)
・電力仕入れにかかる資金のためのコミットメントライン契約を締結(2025年9月)
・東京証券取引所スタンダード市場における所属業種が「電気・ガス業」に変更(2025年10月)
・系統用蓄電所(北海道札幌市)完工、運用開始(2025年11月)
・株式会社竹中工務店を引受人としたアストマックスえびの地熱株式会社の第三者割当増資を実施(2025年11月)
・次世代マネジメント体制への移行に向けた第一歩となる経営体制の再編(2026年3月)
セグメント毎の経営成績及び取り組み状況は次のとおりです。
(セグメント別営業収益・セグメント損益)
(単位:百万円)営業収益セグメント損益
2025年3月期
連結会計年度
2026年3月期
連結会計年度
増減2025年3月期
連結会計年度
2026年3月期
連結会計年度
増減
再生可能エネルギー関連事業739928189135△46△182
電力取引関連事業(※1)13,05218,8655,812△1012,8462,947
小売事業6,8615,598△1,26315872△85
ディーリング事業8913344△231△17159
アセット・マネジメント事業(※2)195-△19536-△36
調整額△272△2674△144△166△22
当連結財務諸表計上額20,66625,2584,591△1462,5342,680

※1 当連結会計年度の営業収益における電力取引関連事業に係るヘッジ目的で行う電力先物取引による影響の内容については、「セグメント毎の経営成績及び取り組み状況<2 電力取引関連事業>」をご参照ください。
※2 アセット・マネジメント事業は2025年3月31日をもって廃止いたしました。
※3 セグメント損益は、当連結会計年度の経常損益と調整を行っており、セグメント間の内部取引消去等の調整額が含まれております。各事業に帰属する特別利益及び特別損失は含んでおりません。
<1 再生可能エネルギー関連事業>営業収益:928百万円(前年同期間比189百万円(25.6%)の増加)
セグメント損益:46百万円のセグメント損失(前年同期間は135百万円のセグメント利益)
太陽光発電所全体の売電収入は経済的出力抑制の影響を受けたものの前年同期間比増加しました。一方、セグメント損益は、保険料の増額、系統用蓄電池事業における新規案件に向けた営業費用の先行発生、並びに地熱発電事業における継続的な費用先行、加えて2026年3月期末までに見込んでいた系統用蓄電池事業の事業体制構築が翌年度にずれ込んだことが影響し、セグメント損失となりました。なお、前年は当社で手掛けていた系統用蓄電池案件のうち1件をエリア分散の観点から2024年12月に他社に譲渡し151百万円の営業外収益(投資有価証券売却益)を計上していたため、前年比の差異が大きくなっております。
・CO2削減目標 :2030年までに最大年間66,000トン(太陽光100MW相当)
・太陽光 :発電事業13.1MW 、維持・運営管理(O&M事業)31.6MW、コーポレートPPA 計8か所
・系統用蓄電所:開発・維持管理:北海道札幌市で系統用蓄電所完工、運転開始(2025年11月)
・地熱 :宮崎県えびの市で4.4MW計画、株式会社竹中工務店による当社子会社の増資引受(2025年11月)
当連結会計年度の主な動きは以下のとおりです。
(太陽光発電事業)
当社は既存太陽光発電事業において安定的な売電収入の確保を継続するとともに、リパワリングやFIP制度への移行も含めた採算性向上の検討を進めております。2025年12月に低圧の太陽光発電所2件を取得し、当社グループが保有する太陽光発電所の発電容量は0.1MW増加し13.1MWとなりました。
なお、出力抑制等の発令が東京電力管轄内においても発出されるようになり、事業環境は変化しております。
(系統用蓄電池事業)
当社は大和エナジー・インフラ株式会社、芙蓉総合リース株式会社が主体となり共同で匿名組合出資する合同会社DAXより、北海道札幌市内にて系統用蓄電池(定格出力50MW、定格容量100MWh)事業のオペレーターとして、蓄電所の運営、維持・管理、AIを活用した需給調整や市場予測等の機能を活用した電力取引の業務を受託しております。当該系統用蓄電所は2025年度に完工し、2025年11月1日付で運転を開始いたしました。
引き続き他のエリアでの展開も検討を進めており、幾つかの案件について具体的な事業化に向けて取り組みを進めております。
(地熱発電事業)
当社グループは2015年より宮崎県えびの市で地熱発電開発に着手し、掘削した4本の井戸で発電事業に必要な能力を確認しました。一方、送配電事業者との連系は制度改正の影響で長期化し、全4.4MWの契約は2024年度に完了しました。その間、許認可や工事契約等の準備を進めつつ、円安・物価高による建設費高騰を踏まえた体制の再検討を行い、2025年11月には事業基盤強化と採算性向上を目的に、株式会社竹中工務店を引受人とするアストマックスえびの地熱株式会社の第三者割当増資を実施し、併せて事業計画の見直しを行っております。
今後は、追加調査を実施しつつ、追加の資本増強や資金調達、発電規模拡大の可能性等について検討を行い、事業計画の進捗状況を確認してまいります。なお、上記第三者割当増資に伴い、匿名組合出資予定者である大和エナジー・インフラ株式会社との匿名組合契約等は解除いたしました。
<2 電力取引関連事業>営業収益:18,865百万円(前年同期間比5,812百万円(44.5%)の増加)
セグメント損益:2,846百万円のセグメント利益(前年同期間は101百万円のセグメント損失)
ヘッジ目的で行う電力先物取引による一時的な影響を考慮した実質ベースでは、営業収益及びセグメント損益はそれぞれ上記数字から2,473百万円下方修正され、セグメント利益は373百万円となります。詳細は後段(ヘッジ目的で行う電力先物取引による営業収益等への一時的な影響)および当社ホームページに掲載する決算短信の補足説明資料にて補足説明しておりますので、ご参照ください。
2026年度及び2027年度を対象とする電力価格の長期固定化に関する受注は、堅調に推移いたしました。特に、2026年3月に発生したイラン情勢の緊迫化を背景として現物売り注文が大幅に増加し、電力取引量及び営業収益はいずれも前年同期間比で増加いたしました。
・電力卸売取引 :小売電気事業者向け電力取引および電力小売顧客向け固定価格取引等による電力の提供
・業務代行サービス:AIを活用した需給管理ほか
・系統用蓄電所運用:アグリゲーターとして2025年11月より運用開始。アグリゲーター業務の拡大を図る
当連結会計年度の主な動きは以下のとおりです。
(系統用蓄電所運用)
系統用蓄電所の運用に必要となるAIアルゴリズムの開発とシステム構築を行い、AIを活用した市場予測を基に、卸電力市場、需給調整市場、容量市場での取引を行います。2025年11月より北海道にて実運用を開始いたしました。
(ヘッジ目的で行う電力先物取引による営業収益等への一時的な影響)
電力取引関連事業においては、電力現物先渡取引の価格変動リスクをヘッジする目的で電力先物取引を利用しております。電力現物先渡取引は受渡が完了した時点で損益を計上する一方、電力先物取引はデリバティブ取引として時価評価を行い損益を計上しているため、電力現物先渡取引に係る損益と電力先物取引に係る損益の計上時期が相違しております。
当連結会計年度における、電力現物先渡取引が当連結会計年度の受渡にもかかわらず前連結会計年度に計上された電力先物取引に係る損益と、電力現物先渡取引が当連結会計年度末を越えて受渡が行われるにもかかわらず当連結会計年度に計上された電力先物取引の損益は差し引き+2,473百万円であり、当連結会計年度の損益を実質的に押し上げる要因になっております。
なお、前年同期間の当該損益は104百万円であり、前年同期間の損益を実質的に押し下げる要因になっておりました。
<3 小売事業>営業収益:5,598百万円(前年同期間比1,263百万円(18.4%)の減少)
セグメント損益:72百万円のセグメント利益(前年同期間比85百万円(54.1%)の減少)
容量拠出金単価が前年同期間と比較して大幅に減少した影響に加え、顧客獲得に時間を要し大口顧客への電力供給開始が2026年3月にずれ込んだことや、価格競争の激化に伴いマージンが圧縮されたためにより、営業収益及びセグメント利益はいずれも前年同期間を下回る結果となりました。このような状況の中、収益の改善を図るべく、当社の強みである電力トレーディングに関するノウハウを活用した電力プランの提案など、付加価値を高める取り組みを推進しております。
・特別高圧・高圧:請求単位の顧客数483件(前年末比△65件)、コミットメントライン40億円契約
・低圧 :空室通電サービス開始、顧客数は緩やかな増加傾向
当連結会計年度の主な動きは以下のとおりです。
(電力小売事業)
特別高圧・高圧の電力市場では営業を強化し、個別対応や提案を通じて新規顧客の獲得を進めているものの、2026年3月末の特別高圧・高圧の顧客数(請求単位)は前連結会計年度末比65件減少の483件となりました。
電力仕入に係る資金を安定的かつ機動的に調達することを目的にコミットメントライン契約を締結しておりますが、今回は主要行4行を含む6金融機関との間でコミットメント金額を10億円増額した総枠40億円の契約を2025年9月に締結し、36百万円の資金調達費用を一時費用として計上いたしました。これは、足元では電力供給量が前年同期間比減少しているものの、大口契約を見据えた増枠となります。
低圧市場については、販売代理店拡充の一環として、2025年5月より不動産賃貸管理会社向けに空室通電サービスを開始し、顧客数は徐々に増加しております。
(ガス小売事業)
当事業は、取次元事業者の切り替えに伴い、2026年3月末をもって終了いたしました。
<4 ディーリング事業>営業収益:133百万円(前年同期間比44百万円(49.7%)の増加)
セグメント損益:171百万円のセグメント損失(前年同期間は231百万円のセグメント損失)
前連結会計年度末に生じていた裁定取引対象商品における市場の歪みは、当連結会計年度末時点に向けて縮小傾向となりましたが、営業費用を賄うことはできず、セグメント損失となりました。
当事業では、国内外の主要取引所において商品先物を中心に、株価指数等の金融先物を取引対象とした自己勘定による裁定取引を主に行っておりますが、2025年5月に開示のとおり、事業間のシナジーや投下資本効率を改めて検討した結果、2027年3月期末までの廃止に向け段階的に規模を縮小しております。あわせて、トレーディングおよびリスク管理のノウハウを電力取引関連事業へ移管し、同事業における差別化の強化に取り組んでおります。
上記、セグメント損益は当連結会計年度の経常損益と調整を行っており、セグメント間の内部取引消去等の調整額が含まれております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、3,432百万円(前年同期間比24.9%増)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主として税金等調整前当期純利益(2,631百万円)、自己先物取引差金の増減額(2,262百万円)、差入保証金の増減額(△4,047百万円)等により、1,012百万円(前年同期は△58百万円)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主として有形固定資産の取得による支出(△386百万円)、投資有価証券の売却による収入(276百万円)等により、△169百万円(前年同期は△30百万円)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主として非支配株主からの払込みによる収入(860百万円)、短期借入金の返済による支出(短期借入れによる収入との純額は△883百万円)、長期借入金の返済による支出(長期借入れによる収入との純額は△174百万円)等により、△158百万円(前年同期は△831百万円)となりました。
③ 営業収益の状況
a. 営業収益実績
当連結会計年度における営業収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
前年同期比(%)
再生可能エネルギー関連事業(千円)850,86727.6
電力取引関連事業(千円)18,670,68845.2
小売事業(千円)5,595,546△18.4
ディーリング事業(千円)133,88049.7
その他の営業収益(千円)7,363-

合 計(千円)25,258,34622.2

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 当社グループの事業は生産・受注といった区分が困難であるため、「生産・受注及び販売の状況」に代わり「営業収益の状況」を記載しております。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
株式会社東名4,660,05922.55,136,95220.3


b. 太陽光発電所発電量実績[再生可能エネルギー関連事業]
以下の表は、当社グループが保有する太陽光発電所の発電実績を示したものです。
発電所数パネル出力(MW)発電量(kWh)
(調整量を含む)
オンライン代理制御(注2)調整電力量(kWh)CO2削減効果(kg-CO2)(調整量含)(注1)
2025年4月513.01,205,564△ 333,832663,060
5月513.01,210,761△ 287,958665,919
6月513.01,296,791△ 33,947713,235
7月513.01,787,7090983,240
8月513.01,518,78417835,331
9月513.01,248,322191686,577
10月513.01,126,5730619,615
11月513.0965,322△ 54,024530,927
12月713.1938,9100516,401
2026年1月713.11,074,107△ 17,150590,759
2月713.1959,364△ 80,286527,650
3月713.11,545,784850,181
合計--14,877,991△ 806,9898,182,895

(注) 1 環境省の制定する「CO2削減効果算定マニュアル」に基づき算出し、端数は四捨五入しています。
CO2排出係数(代替値):0.55kg-CO2/kWh
(注) 2.オンライン代理制御とは、オンライン制御事業者がオフライン制御事業者の代わりに出力制御を行い、オフライン制御事業者がオンライン事業者に対価を支払う経済的出力制御のこと。オンライン代理制御による調整電力量はおよそ3か月後に判明します。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、以下のとおりとなりました。
営業収益25,258百万円(前期比4,591百万円の増加)
営業費用22,622百万円(前期比1,778百万円の増加)
営業利益2,635百万円(前期は176百万円の営業損失)
経常利益2,534百万円(前期は146百万円の経常損失)
税金等調整前当期純利益は2,631百万円(前期は134百万円の税金等調整前当期純損失)
法人税等合計は683百万円(前期比673百万円の増加)
非支配株主に帰属する当期純損失は8百万円(前期は2百万円の非支配株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は1,956百万円(前期は146百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)
当連結会計年度の営業収益は前期比22.2%増の25,258百万円となり、増収を確保しました。また、営業損益・経常損益ともに黒字化し、収益面では大きな改善が見られました。主たる要因は、電力取引関連事業における、取引数量の拡大やヘッジ取引にかかる期末近辺における電力価格の上昇を背景とする収益拡大です。
一方で、当該ヘッジ取引は、2026年3月に生じた電力先物価格の高騰によるヘッジ益を会計基準に従い当期の損益として計上したこと等により、収益が2,473百万円押し上げられている格好となっております。これはヘッジ対象とヘッジ取引の損益計上時期のズレによるものであり、実態的な収益力を評価する上では慎重な見方が必要です。
また、事業廃止に向けて規模を縮小しているディーリング事業の赤字の継続や、小売事業の収益が減少に転じたことなど、事業全体の収益安定性については、なお課題が残る状況です。
当連結会計年度の経営成績と事業の種類別セグメント情報の詳細やその背景となる当社を取り巻く環境等につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
経営者の問題認識と今後の方針については、以下のとおりであります。
当社の経営者は、現状の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。
(A) 経営者の問題認識
当社は、エネルギー政策の追い風を受け成長機会がある一方、以下の課題を認識しています。
1 収益・資本効率の低さ
PBR:0.4倍と市場評価が低位
ROE:2.5%(実績補正後)と低水準
ROIC:直近ではWACCを下回り、資本効率に課題
2 会計上の収益の不安定性
電力価格変動およびヘッジ取引により損益の振れが大きい
3 事業環境の競争激化
小売電力市場での競争の激化
4 経営面の課題
次世代マネジメントへの事業継承
資本効率性評価の定着
安定した収益基盤の確立
(B) 今後の方針
1 成長戦略の方向性
「中期ビジョン2028(Shift Up)」のもと、
・ 再生可能エネルギー開発・運用、BPO、電力トレード及びリスク管理ノウハウをフルに活かし、
「エネルギートータルソリューションプロバイダー」へ進化
2 重点事業領域
・ 系統用蓄電池を軸としたアグリゲーション事業の拡大
新川で培った知見とトレーディング力を活用し、各市場(容量・需給調整他)での収益最大化を追求
新たな運用手法の開発と運用力を強化、「運用で勝てるアグリゲーター」への進化
・ 電力小売事業の強化
トレーディング力による高付加価値プラン(固定・スポット連動・キャップ付き等)の展開
高付加価値提案型営業への転換、「選ばれる電力会社」への進化
・ 蓄電池を核とした再エネビジネスの拡大
系統用蓄電所開発
FIP化+併設蓄電池、需要家への設置モデルを展開
・ 営業力強化とDX推進による全社最適の実現
営業力の部署横断連携と総合提案力の強化
DX推進によりスピード・データ活用を強化
システム化による業務効率化・コスト削減
3 経営改革・資本効率向上
・ 事業ポートフォリオの見直しによる資本効率の向上
ディーリングから成長領域(電力取引・再エネ関連)へ資本再配分
・ ROIC経営の徹底
投下資本管理の高度化
セグメント別採算の定期見直し
・ 収益力強化
コスト削減(売上原価・販管費)
業務効率化による基礎収益向上
・ 次世代マネジメントへの事業継承
次世代の経営を担う人材の育成は重要な経営課題の一つと認識
求められる資質を踏まえ執行役員を中核候補として位置づけ、計画的かつ継続的な育成に取り組む
4 資本政策・ガバナンス
・ PBR1倍超の早期実現
・ 成長投資と株主還元のバランス確保
・ 「選択と集中」の徹底
・ ガバナンス強化
当社は、エネルギー市場の構造変化を成長機会と捉えつつ、蓄電池・アグリゲーション・小売電力を軸に、ROIC重視の経営とポートフォリオ改革により資本効率を高め、持続的成長と市場評価の向上を実現する方針です。
一方、各事業の成果は、電力関連市場及び商品先物市場等の動向の影響を受けるほか、電力システムを取り巻く環境は変化が激しく注視が必要です。想定と異なる動きやそもそもの動きが想定できない可能性もあり、それらの影響を大きく受ける可能性があります。このため、これらの市場等に関する情報を幅広く入手し、市場動向に迅速に対応すべく努力することは以前にも増して重要となっております。
業績と事業計画に大きな乖離が生じる可能性がある場合には、事業計画を抜本的に見直すことも含めて、環境変化への対応を適切に行ってまいります。
② キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(資産、負債及び純資産の状況)
当連結会計年度における総資産は、主に差入保証金の増加(4,047百万円)、自己先物取引差金の増加(1,624百万円)現金及び預金の増加(684百万円)等により、21,370百万円(前年同期比42.8%増)となりました。
負債は、主に自己先物取引差金の増加(3,887百万円)、未払法人税等の増加(719百万円)等により、13,439百万円(前年同期比35.5%増)となりました。
純資産は、主に利益剰余金の増加(1,869百万円)、資本剰余金の増加(459百万円)、非支配株主持分の増加(361百万円)等により、7,931百万円(前年同期比57.3%増)となりました。
(キャッシュ・フローの状況)
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、3,432百万円(前年同期間比24.9%増)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主として税金等調整前当期純利益(2,631百万円)、自己先物取引差金の増減額(2,262百万円)、差入保証金の増減額(△4,047百万円)等により、1,012百万円(前年同期は△58百万円)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主として有形固定資産の取得による支出(△386百万円)、投資有価証券の売却による収入(276百万円)等により、△169百万円(前年同期は△30百万円)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主として非支配株主からの払込みによる収入(860百万円)、短期借入金の返済による支出(短期借入れによる収入との純額は△883百万円)、長期借入金の返済による支出(長期借入れによる収入との純額は△174百万円)等により、△158百万円(前年同期は△831百万円)となりました。
再生可能エネルギー関連事業における資金需要については、主としてプロジェクトファイナンスによって投資資金を確保することを想定しております。なお、手元流動性を超える資金需要の増加が見込まれる場合におきましては、銀行借入れ等による財務活動を通じた資金調達も視野に入れております。
電力小売事業における資金需要については、手元流動性に加え、銀行借入れにより確保しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(減損の認識)
当社グループでは、「固定資産の減損に係る会計基準」及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」に基づき、収益性が著しく低下した資産又は資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
また、地熱発電開発事業に係る固定資産の評価に関する会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

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