有価証券報告書-第12期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)
有報資料
当社グループは、人・機械・情報系を融合・複合した新しい研究領域であるサイバニクスを事業のドメインとして、サイバニクス技術を用いて人や社会の役に立つ製品・サービスを開発・提供することを事業の目的としております。この革新的なサイバニクス技術を駆使して開発したロボットスーツHAL®は、世界で初めて人間装着型ロボットとして実用化に成功しており、これを世界規模での社会貢献に役立てるための当社グループの課題としては、次のように考えております。
(1) 革新技術・新産業創出のための研究開発活動
当社グループの研究開発活動は、「チャレンジ(挑戦)」「海外展開」「イノベーション(革新)」の3つのキーワードを柱とし、高齢化社会を支えるイノベーション企業として「革新技術の創出」「新産業創出」を含む「社会実装」を実現し事業推進するための研究開発や事業戦略の研究開発などを複眼的に行っています。
最先端サイバニクス技術を駆使したロボット医療機器を革新技術として創出するためには、国内の大学・研究機関、病院、行政機関、企業等と連携し、また医薬品や再生医療との複合療法などの研究開発を推進して参ります。
(2) 目的志向の研究開発を基軸とした人材育成
当社グループは、日本発の革新技術を国際展開して新産業として創出するために、「目的指向の研究開発」を基軸としています。その担い手である当社グループの研究員には、人や社会事業としての目標達成の観点から必要とあれば、たとえ異分野の研究開発、ノウハウ習得であってもその専門家となって研究開発活動等を推進する突出した能力、自分の専門にこだわらない適応性・柔軟性、そして「出口指向の発想力」が求められています。今後、海外の病院や大学、企業や自治体等と連携して、革新技術・機器を用いた新しい治療手法や運用技術そして海外拠点でプロモータとして活躍すべき人材を当社グループに集積し、グローバルに活躍できる人材の育成を図って参ります。
(3) EU主要各国での各種保険の収載
HAL®医療用(下肢タイプ)は、平成25年6月にロボット治療機器として、EU市場へ医療機器を輸出するために必要なMDD(欧州医療機器指令)について、第三者認証機関であるTÜV Rheinlandより適合認証を取得しております。これにより、HAL®医療用(下肢タイプ)は、CEマーキングを表示することによって、EUの国別の規制を受けることなく、世界の医療機器市場の31%(※1)を占めるEU域内で自由に流通・販売させることができます。また現在、EU最大の医療機器市場であるドイツにおいて、HAL®医療用(下肢タイプ)を利用した機能改善治療の治療費の全額が、公的労災保険に収載されており、さらに公的医療保険にも平成27年10月に申請し、医療機器としてのロボットスーツHAL®の新市場が開拓される過程にあります。
一方で、今後EUにおいてロボットスーツHAL®が世界標準の医療・介護福祉機器として販路・数量の拡大を加速するためには、EUの主要な国々における医療保険制度や介護保険制度において、保険収載され、かつ、適切な保険点数を獲得する必要があります。当社グループは、現在各国への適用拡大を目指すために、スウェーデンのカロリンスカ研究所(ダンドリード病院)とドイツのベルクマンスハイル大学病院においてHAL®の臨床試験を実施し、EUの主要な国々での各種保険の早期かつ好条件での収載を目指します。
(4) 米国での医療機器販売許可
今後当社グループがHAL®を世界の医療機器市場の39%(※1)を占める米国内で流通させるためには、医療機器としてFDA(米国食品医薬品局)の販売許可を取得する必要があり、平成26年11月にFDAにHAL®医療用(下肢タイプ)の医療機器承認の申請書類を提出しております(平成27年6月には510k(510kとは、クラスIならびに一部のクラスIIの医療機器について米国市販承認を求めるプロセスです。申請者が意図する使用(intended use)、技術的な特徴 (technological characteristics) 及び性能評価(performance testing)において米国での市販品と同等以上の安全性と有効性を有することを示すことで、FDAによる審査を経て承認が与えられます。)に変更申請)。当社グループとしては、FDAの早期承認を目指しつつ、各種保険適用を米国事業の重要なマイルストーンとして位置付け、戦略的に推進してまいります。
(5) 日本国内での医療機器の許認可取得
世界の医療機器市場の9%(※1)を占める日本国内においては、HAL®医療用(下肢タイプ)について、平成27年11月25日に神経・筋難病疾患に対する「新医療機器」として厚生労働省より日本における製造販売承認を取得し、平成28年4月25日に厚生労働省がHAL®医療用(下肢タイプ)を用いた治療に係る技術料等の保険点数解釈を公表し、ロボット治療として世界で初めて公的医療保険の償還価格が決定しました。なお、当該保険算定については、一回あたりの診療報酬が最大で85,100円〜49,600円であり、効果が確認される場合には回数に制限なく算定可能となっています。また、今後は、神経・筋難病疾患以外にも適用疾患の拡大を目指し、脳卒中や脊髄疾患に対しても臨床試験を実施してまいります。
(6) 介護福祉ロボット事業の推進
現在、日本は超高齢社会となり、65歳以上の高齢者が平成26年10月1日現在約3,300万人(総人口の26.0%)、介護保険制度における要介護者または要支援者は平成24年度末で約545.7万人(※2)となっており、年々増加傾向にあります。また、介護従事者は、平成37年には、現在の2倍、約250万人が必要とされると予測され(※3)、介護離職ゼロに向けて今後は厚生労働省の介護ロボット導入支援事業等の国による普及のための施策により大幅な導入増加が期待されています。
当社は、平成26年度に介護福祉用HAL®として、介護が必要な方の体に装着して立ち座りや歩行などをサポートする福祉用(下肢タイプ)及びベッドで寝たままの姿勢で腕や脚の関節のトレーニングに対応する自立支援用(単関節タイプ)、介助者の腰の負担を軽減する介護支援用(腰タイプ)の製品化を実現し、今後更なる高機能化を進めて参ります。
(7) 製品ラインナップの早期拡充
当社グループは健康長寿社会及び重介護ゼロ®社会の実現を目指して、1)患者の身体機能改善を目的とした医療用、2)体に障がいのある方の自立動作補助を目的とした生活支援用、3)介護や工場での重作業の負荷軽減を目的とした介護・作業支援用の各分野を対象とするHAL®の製品化を実現し、更なる高機能化を推進しております。また、自動搬送ロボットや自動清掃ロボット、病気を未然に防ぐバイタルセンサーの開発を行っています。当社グループは、これらの製品ラインナップの早期展開に向けて、新製品の設計・開発だけでなく、現場ユーザーと協力して実運用フィールドからのフィードバックを図り、更なる高機能化に取り組んでまいります。
(8) 経営管理体制の強化及び人材の育成
当社グループは、グローバル展開に対応するための経営管理体制の強化及び次世代の人材育成を進める必要があります。当社グループは、当期において、内部統制システムの強化が重要な課題と考えており、今後の事業拡大に合わせて、充分な経営管理体制を維持強化すべく、高度で幅広い専門知識や経験を有する次世代の人材の育成を進めて参ります。
出典
※1.Espicom Business Intelligence, “The World Markets Fact Book 2013”
※2.内閣府「平成27年度版 高齢社会白書」
※3.厚生労働省「平成27年版 厚生労働白書」
(1) 革新技術・新産業創出のための研究開発活動
当社グループの研究開発活動は、「チャレンジ(挑戦)」「海外展開」「イノベーション(革新)」の3つのキーワードを柱とし、高齢化社会を支えるイノベーション企業として「革新技術の創出」「新産業創出」を含む「社会実装」を実現し事業推進するための研究開発や事業戦略の研究開発などを複眼的に行っています。
最先端サイバニクス技術を駆使したロボット医療機器を革新技術として創出するためには、国内の大学・研究機関、病院、行政機関、企業等と連携し、また医薬品や再生医療との複合療法などの研究開発を推進して参ります。
(2) 目的志向の研究開発を基軸とした人材育成
当社グループは、日本発の革新技術を国際展開して新産業として創出するために、「目的指向の研究開発」を基軸としています。その担い手である当社グループの研究員には、人や社会事業としての目標達成の観点から必要とあれば、たとえ異分野の研究開発、ノウハウ習得であってもその専門家となって研究開発活動等を推進する突出した能力、自分の専門にこだわらない適応性・柔軟性、そして「出口指向の発想力」が求められています。今後、海外の病院や大学、企業や自治体等と連携して、革新技術・機器を用いた新しい治療手法や運用技術そして海外拠点でプロモータとして活躍すべき人材を当社グループに集積し、グローバルに活躍できる人材の育成を図って参ります。
(3) EU主要各国での各種保険の収載
HAL®医療用(下肢タイプ)は、平成25年6月にロボット治療機器として、EU市場へ医療機器を輸出するために必要なMDD(欧州医療機器指令)について、第三者認証機関であるTÜV Rheinlandより適合認証を取得しております。これにより、HAL®医療用(下肢タイプ)は、CEマーキングを表示することによって、EUの国別の規制を受けることなく、世界の医療機器市場の31%(※1)を占めるEU域内で自由に流通・販売させることができます。また現在、EU最大の医療機器市場であるドイツにおいて、HAL®医療用(下肢タイプ)を利用した機能改善治療の治療費の全額が、公的労災保険に収載されており、さらに公的医療保険にも平成27年10月に申請し、医療機器としてのロボットスーツHAL®の新市場が開拓される過程にあります。
一方で、今後EUにおいてロボットスーツHAL®が世界標準の医療・介護福祉機器として販路・数量の拡大を加速するためには、EUの主要な国々における医療保険制度や介護保険制度において、保険収載され、かつ、適切な保険点数を獲得する必要があります。当社グループは、現在各国への適用拡大を目指すために、スウェーデンのカロリンスカ研究所(ダンドリード病院)とドイツのベルクマンスハイル大学病院においてHAL®の臨床試験を実施し、EUの主要な国々での各種保険の早期かつ好条件での収載を目指します。
(4) 米国での医療機器販売許可
今後当社グループがHAL®を世界の医療機器市場の39%(※1)を占める米国内で流通させるためには、医療機器としてFDA(米国食品医薬品局)の販売許可を取得する必要があり、平成26年11月にFDAにHAL®医療用(下肢タイプ)の医療機器承認の申請書類を提出しております(平成27年6月には510k(510kとは、クラスIならびに一部のクラスIIの医療機器について米国市販承認を求めるプロセスです。申請者が意図する使用(intended use)、技術的な特徴 (technological characteristics) 及び性能評価(performance testing)において米国での市販品と同等以上の安全性と有効性を有することを示すことで、FDAによる審査を経て承認が与えられます。)に変更申請)。当社グループとしては、FDAの早期承認を目指しつつ、各種保険適用を米国事業の重要なマイルストーンとして位置付け、戦略的に推進してまいります。
(5) 日本国内での医療機器の許認可取得
世界の医療機器市場の9%(※1)を占める日本国内においては、HAL®医療用(下肢タイプ)について、平成27年11月25日に神経・筋難病疾患に対する「新医療機器」として厚生労働省より日本における製造販売承認を取得し、平成28年4月25日に厚生労働省がHAL®医療用(下肢タイプ)を用いた治療に係る技術料等の保険点数解釈を公表し、ロボット治療として世界で初めて公的医療保険の償還価格が決定しました。なお、当該保険算定については、一回あたりの診療報酬が最大で85,100円〜49,600円であり、効果が確認される場合には回数に制限なく算定可能となっています。また、今後は、神経・筋難病疾患以外にも適用疾患の拡大を目指し、脳卒中や脊髄疾患に対しても臨床試験を実施してまいります。
(6) 介護福祉ロボット事業の推進
現在、日本は超高齢社会となり、65歳以上の高齢者が平成26年10月1日現在約3,300万人(総人口の26.0%)、介護保険制度における要介護者または要支援者は平成24年度末で約545.7万人(※2)となっており、年々増加傾向にあります。また、介護従事者は、平成37年には、現在の2倍、約250万人が必要とされると予測され(※3)、介護離職ゼロに向けて今後は厚生労働省の介護ロボット導入支援事業等の国による普及のための施策により大幅な導入増加が期待されています。
当社は、平成26年度に介護福祉用HAL®として、介護が必要な方の体に装着して立ち座りや歩行などをサポートする福祉用(下肢タイプ)及びベッドで寝たままの姿勢で腕や脚の関節のトレーニングに対応する自立支援用(単関節タイプ)、介助者の腰の負担を軽減する介護支援用(腰タイプ)の製品化を実現し、今後更なる高機能化を進めて参ります。
(7) 製品ラインナップの早期拡充
当社グループは健康長寿社会及び重介護ゼロ®社会の実現を目指して、1)患者の身体機能改善を目的とした医療用、2)体に障がいのある方の自立動作補助を目的とした生活支援用、3)介護や工場での重作業の負荷軽減を目的とした介護・作業支援用の各分野を対象とするHAL®の製品化を実現し、更なる高機能化を推進しております。また、自動搬送ロボットや自動清掃ロボット、病気を未然に防ぐバイタルセンサーの開発を行っています。当社グループは、これらの製品ラインナップの早期展開に向けて、新製品の設計・開発だけでなく、現場ユーザーと協力して実運用フィールドからのフィードバックを図り、更なる高機能化に取り組んでまいります。
(8) 経営管理体制の強化及び人材の育成
当社グループは、グローバル展開に対応するための経営管理体制の強化及び次世代の人材育成を進める必要があります。当社グループは、当期において、内部統制システムの強化が重要な課題と考えており、今後の事業拡大に合わせて、充分な経営管理体制を維持強化すべく、高度で幅広い専門知識や経験を有する次世代の人材の育成を進めて参ります。
出典
※1.Espicom Business Intelligence, “The World Markets Fact Book 2013”
※2.内閣府「平成27年度版 高齢社会白書」
※3.厚生労働省「平成27年版 厚生労働白書」