四半期報告書-第16期第2四半期(平成29年7月1日-平成29年9月30日)

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2017/11/09 16:47
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第2四半期連結累計期間(以下、「当累計期間」という。)の中小型ディスプレイ業界において、当社の業績に大きな影響を与えるスマートフォン市場では、アスペクト比18:9のディスプレイデザインで従来品と比べ縦長のスマートフォンが相次いで発表され市場トレンドの変化が見られました。また、有機EL(OLED)ディスプレイを採用したハイエンドスマートフォンが複数のグローバルスマートフォンメーカーから発表され、今後の中小型ディスプレイ市場へ影響を与えました。
上記環境の中、当社グループにおいては主要な事業分野であるモバイル分野で、欧米地域向けの売上高は前年同四半期累計期間と同水準となり、中国以外のアジア地域においては増加が見られたものの、中国地域向けの売上高が、スマートフォンの製品デザイン変更をメーカー各社が見極める時期となったことやハイエンド製品分野における主要顧客のOLED採用、競合他社の価格攻勢などから前年同四半期累計期間比で減少し、売上高全体では前年同四半期累計期間と同水準となりました。
当社グループでは、来期以降の業績回復を実現するべく中期経営計画を策定し、平成29年8月9日に発表いたしました。本中期経営計画では、大幅な固定費削減を図るため、製造ラインの閉鎖や事業用資産及び遊休資産の減損損失計上、人員削減、子会社再編などを含めた抜本的な構造改革の実施を決定いたしました。
今回実施の事業構造改革に伴い、約1,700億円の事業構造改善費用を当連結会計年度に特別損失として計上する見込みですが、本構造改革の実施や、全社活動を通じた変動費の低減や製品の高付加価値化により、従来の高コスト体質からの脱却を図ります。また、中期経営方針として掲げた「OLEDの量産技術の確立と事業化の加速」や「成長領域事業への経営リソース増強」などを実現し、来期以降モバイル、ノンモバイル分野の双方で見込まれる収益機会において利益の最大化を目指してまいります。
以下はアプリケーション分野別の状況です。
(モバイル分野)
当分野には、スマートフォン、タブレット、携帯電話端末用のディスプレイが含まれます。当累計期間のモバイル分野の売上高は、売上高の80.4%を占める300,418百万円(前年同四半期累計期間比0.5%増)となりました。
当累計期間は、欧米地域向けの売上高が前年同四半期累計期間と同水準となったものの、中国地域向けの売上高は、スマートフォンメーカーの在庫調整や、スマートフォンのディスプレイデザインのトレンド変化を受け顧客が市場の方向性を見極める端境期となったことから、前年同四半期累計期間比で減少となりました。中国以外のアジア地域においては、新規ビジネスの獲得に伴う需要増などから、前年同四半期累計期間比で売上高が増加いたしました。
(車載・ノンモバイル分野)
当分野には車載用、デジタルカメラやウェアラブル機器等の民生機器用、医療用モニター等の産業用のディスプレイの他、特許収入等が含まれます。当累計期間の車載・ノンモバイル分野の売上高は、売上高の19.6%を占める73,437百万円(前年同四半期累計期間比1.8%増)となりました。
当累計期間は、車載ディスプレイの大型化などを背景に、車載用ディスプレイの販売は増加しましたが、民生機器用ディスプレイの販売が減少し、売上高は前年同四半期累計期間と比べると同水準の売上高となりました。
当社グループでは、当累計期間において車載用ディスプレイ市場の拡大と高精細化・高付加価値化のニーズに応えるため、石川工場で車載用LTPS液晶ディスプレイの量産出荷を開始いたしました。
上記の結果、当社グループの当累計期間の売上高は373,856百万円(前年同四半期累計期間比0.8%増)となりました。営業損失については、白山工場の稼動に係る減価償却費やOLED開発に係る研究開発費等の固定費が前年同四半期累計期間に比べ増加していることから26,806百万円(前年同四半期累計期間は営業損失2,176百万円)となりました。経常損失については、営業外費用で6,455百万円の持分法による投資損失が生じたこと等により40,178百万円(前年同四半期累計期間は経常損失20,557百万円)となりました。親会社株主に帰属する四半期純損失は、上記事業構造改善費用の内、16,480百万円を特別損失として計上した結果、68,033百万円(前年同四半期累計期間は親会社株主に帰属する四半期純損失16,701百万円)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は66,839百万円となり、前連結会計年度末に比べ15,407百万円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは4,848百万円の支出(前年同四半期累計期間は106,141百万円の収入)となりました。これは減価償却費46,536百万円、売上債権の減少30,181百万円、未収入金の減少7,697百万円、未払金の増加4,669百万円等の増加要因及び税金等調整前四半期純損失58,126百万円、前受金の減少35,609百万円等の減少要因があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは30,035百万円の支出(前年同四半期累計期間は62,158百万円の支出)となりました。これは、主に固定資産の取得による支出26,971百万円等があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財政活動によるキャッシュ・フローは18,472百万円の収入(前年同四半期累計期間は22,270百万円の支出)となりました。これは、短期借入金の増加30,959百万円、リース債務の返済による支出12,486百万円があったことによるものです。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はあ
りません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題に重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は10,913百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 事業等のリスクに記載した重要事象等を解消するための対応策
当社グループは、「第2 事業の状況 1 事業等のリスク」に記載のとおり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しておりますが、資金調達、資金繰りの安定を図るための財務施策を実行することによりキャッシュ・フローの改善を図っております。また、生産体制の見直し及び固定費の圧縮、事業の選択と捨象、組織体制の再構築等の施策により、柔軟で筋肉質な企業体質への変革等、抜本的構造改革を実施することで経営の合理化を行い、今後の収益の改善を図っております。併せて、OLEDの量産技術の確立と事業化、成長領域事業への経営リソース増強を加速し収益構造の転換を推進しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。