有価証券報告書-第22期(2022/04/01-2023/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響は残るものの、行動制限や水際対策の緩和など各種政策の効果もあり、経済社会活動の正常化が進み、景気は緩やかに持ち直しの動きがみられております。一方で、世界的な金融引締めによる金融資本市場への影響、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化による原材料価格やエネルギー価格の高騰、円安等の為替動向の懸念等により、依然として先行きは不透明な状況となっております。
当社を取り巻く国内クラウド型コールセンター市場におきましては、新型コロナウイルス感染拡大を背景に、在宅勤務が浸透したことでデジタルシフトが加速し、数年ごとに大規模なシステム投資が必要なオンプレミス型(※1)から拡張性が高いクラウド型(※2)への移行が顕著化しております。また、官公庁や行政でのDX推進等により、今後はクラウドに抵抗感があった比較的大規模なオンプレミスユーザーにおいてもクラウドの導入が広がっていくものと予想されております。加えて、チャット及びチャットボット、SMS、LINE等のマルチチャネル(※3)対応が求められる他、コールセンターで蓄積された情報を活用してマーケティング活動を行う等、コールセンターの役割が「コストセンター」から、収益を生みだすための「プロフィットセンター」へ本格移行する過渡期に入ったとの見方も強まっております。
このような環境のもと、当社は、2020年5月12日に開示した「中期経営計画(2021年3月期~2023年3月期)」に基づき、次世代コールセンターシステムに関する知的システムの開発に取り組み、人材育成や開発強化等を含めた先行的な開発投資を進めてまいりました。3つの成長戦略における実績は、以下のとおりであります。
■成長戦略1:現有サービスへの新ITソリューション追加開発
本戦略は、コールセンターのマルチチャネル化、デジタルシフトをサポートするサービスとして、現有サービスラインナップにSMS/チャット/チャットボット/FAQの4つのITソリューションを新たに開発・リリースするという計画であり、これに対する実績としては、新サービスとして、チャットボット&有人チャットサービスの「Challbo」及びFAQサービスの「CollasQ」をリリースしました。また、SMS送信機能は、「COLLABOS PHONE」の新機能としてリリースしました。
■成長戦略2:AI技術を活用した新コールセンターソリューションのリリース
本戦略は、昨今の自動化の流れに基づき、AI技術をフル活用した新しいコールセンターソリューションを開発・リリースするという計画であり、これに対する実績としては、サービスを具体化していく中で、より市場のニーズを捉えた機能や内容の拡充等に伴い開発内容を変更しており、かつ製造後のテスト工程において、品質強化のためテスト要件を厳格化したことに伴い、リリース時期を2023年夏へと変更しております。
■成長戦略3:コールセンターに集まるデータを活用したマーケティング事業領域への参入
本戦略は、コールセンターで収集・蓄積したビックデータを分析し、マーケティングへ活用するために、CRM機能とマーケティング機能の両方を兼ね備えた新サービスを開発・リリースするという計画であり、これに対する実績としては、2021年12月に統合CRMマーケティングシステム「GROWCE」をリリースしており、これにより、マーケティング事業領域への参入を進めてまいります。
現有サービスにつきましては、引き続きオンプレミス型からクラウド型へのシステム移行及び他社クラウドサービスから当社クラウドサービスへの切り替え提案等に注力するとともに、「@nyplace」、「COLLABOS PHONE」及び「GROWCE」等を中心とした拡販に努めてまいりました。
新規案件の獲得につきましては、販売パートナーや既存顧客からの紹介、成果報酬型のテレアポ代行活用の他、SEOやリスティング広告の強化、協業企業との共催セミナーの開催等により、販売チャネル拡大を推進するとともに、既存顧客においては、定期的なヒアリング訪問やアンケート調査を基に、顧客ニーズを反映した要望機能開発やシステムバージョンアップ等のリテンション活動により、クロスセルやアップセルでの収益機会の拡大に注力してまいりました。
また、当社クラウド型コールセンターシステム「COLLABOS PHONE」と他社サービスとのシステム連携も積極的に推進してまいりました。具体的には、株式会社アクリートが提供するSMS配信サービス「SMSコネクト」や、株式会社Zooops Japanが提供する顧客管理・営業支援システム「Zoho CRM」とのシステム連携により、サービス拡張とともに販路拡大の仕組みを構築いたしました。さらに、データベース管理システム「Claris FileMaker」のシステム開発を得意とする株式会社サポータスや、「kintone」のカスタマイズや導入支援を得意とする株式会社サティライズと販売パートナー契約を締結し、「COLLABOS PHONE」の販売体制を強化いたしました。
一方、新型コロナウイルス関連のスポット公共案件等が、前事業年度に比べ縮小したことによる売上高の減少も発生しております。
これらの結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べて144,744千円減少し、2,229,626千円となりました。
当事業年度末における負債総額は、前事業年度末に比べて169,179千円減少し、326,643千円となりました。
当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べて24,435千円増加し、1,902,983千円となりました。
b. 経営成績
当事業年度の経営成績は、売上高2,349,041千円(前事業年度比0.8%減)、営業利益101,439千円(同46.5%増)、経常利益100,313千円(同31.4%増)、当期純利益67,861千円(同25.1%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度末に比べて304,643千円減少し、1,253,952千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動の結果得られた資金は、165,681千円(前事業年度は297,382千円の収入)となりました。主な要因は、税引前当期純利益94,193千円、減価償却費204,596千円、法人税等の支払額63,386千円、賞与引当金の減少額44,000千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動の結果支出した資金は、344,909千円(前事業年度は174,158千円の支出)となりました。主な要因は、中期経営計画における@nyplace用設備への投資や新サービス及び現有サービスへのITソリューション開発投資等の有形及び無形固定資産の取得による支出343,270千円に加え、資産除去債務の履行による支出39,600千円、本社移転に伴う差入保証金の回収による収入37,961千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動の結果支出した資金は、125,415千円(前事業年度は104,138千円の支出)となりました。主な要因は、リース債務の返済による支出82,218千円及び自己株式の取得による支出43,197千円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社の主たる業務はクラウドサービス事業のため、生産活動を行っておらず、生産設備を保有していないため、記載を省略しております。
b. 受注実績
a. 生産実績と同様に、当社の主たる業務であるクラウドサービス事業の事業特性に馴染まないため、記載を省略しております。
c. 販売実績
当事業年度の販売実績について、当社の報告セグメントは単一セグメントでありますが、サービス別に示すと、下表のとおりであります。
(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績対する割合は、次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
1)財政状態
(資産)
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べて144,744千円減少し、2,229,626千円となりました。主な要因は、中期経営計画における新サービス及び現有サービスへのITソリューション開発投資等による無形固定資産が増加した一方で、現金及び預金の減少、本社移転に伴う差入保証金の減少によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債は、前事業年度末に比べて169,179千円減少し、326,643千円となりました。主な要因は、賞与引当金の減少、本社移転に伴う資産除去債務の減少、未払法人税等の減少によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べて24,435千円増加し、1,902,983千円となりました。主な要因は、利益剰余金の増加があった一方で、自己株式の取得による減少によるものであります。
2)経営成績
(売上高)
当事業年度における売上高は2,349,041千円(前事業年度比0.8%減)となりました。製品・サービスごとの状況は、以下のとおりであります。
・「@nyplace」につきましては、オンプレミス型からクラウド型への新規リプレイス案件の獲得、既存顧客における通販関連業務や運輸関連業務の拡大等に伴う契約数の増加があったものの、前事業年度において、交換機拡張や機器の入れ替え等のスポット案件があったことによる一時売上高の減少、新型コロナウイルス関連のスポット公共案件の業務終了等に伴う契約数の減少等により、期間平均利用席数は7,603席(同239席減)、売上高は1,590,396千円(同0.5%減)となりました。
・「COLLABOS PHONE」につきましては、他社サービスとのシステム連携や販売パートナー契約の締結により、新規案件が堅調に増加し、期間平均利用チャネル数は3,724チャネル(同277チャネル増)となりました。一方で、新型コロナウイルス関連のスポット公共案件の業務終了に伴う契約数や通信利用料の減少に伴い、売上高は486,210千円(同0.1%減)となりました。
・「COLLABOS CRM」及び「COLLABOS CRM Outbound Edition」につきましては、新規案件の獲得やBPO事業者等の業務拡大に伴う契約数の増加があった一方で、新型コロナウイルス関連のスポット公共案件の業務終了等により、契約数が減少いたしました。これらの結果、インバウンド用(受信)の「COLLABOS CRM」につきましては、期間平均利用ID数は2,242ID(同333ID減)、売上高は143,097千円(同12.0%減)となり、アウトバウンド(発信)用の「COLLABOS CRM Outbound Edition」につきましては、期間平均利用ID数は572ID(同217ID減)、売上高は34,489千円(同17.8%減)となりました。
・その他、業務効率化等を実現する付加的サービスにつきましては、音声認識システム「AmiVoice Communication Suite provided by コラボス」、AIデータ解析サービス「GOLDEN LIST」、FAQサービスの「CollasQ」等の新規案件の獲得により、売上高は94,847千円(同20.5%増)となりました。
(売上原価)
当事業年度の売上原価は、1,463,823千円(同2.2%増)となりました。主な要因としては、前事業年度における交換機拡張や機器の入れ替え等のスポット案件の仕入原価の減少、新型コロナウイルス関連のスポット公共案件の業務終了等に伴う通信利用料の減少等があった一方で、「@nyplace」のバージョンアップに伴う外注費の増加、中期経営計画における新サービス「GROWCE」のソフトウエア償却費等の先行コストが発生したためであります。サービス別の売上原価の内訳としては、「@nyplace」は、955,302千円(同2.7%増)、「COLLABOS PHONE」は、319,179千円(同11.0%減)、「COLLABOS CRM(Outbound Edition含む)」は、60,375千円(同4.3%減)、その他は、128,966千円(同60.7%増)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、783,778千円(同9.6%減)となりました。主な要因としては、本社移転に伴う旧本社設備の耐用年数の短縮による減価償却費の増加、中期経営計画における開発推進及びサービス提供における運用体制強化に伴う人件費の増加等があった一方で、賞与の減少及び中期経営計画の新サービス開発に関する要件定義費用の減少、本社移転に伴う家賃の減少等があったためであります。
以上の結果、損益につきましては、営業利益は101,439千円(同46.5%増)、経常利益は100,313千円(同31.4%増)、当期純利益につきましては、67,861千円(同25.1%増)となりました。
b. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、設立以来、コールセンター向けクラウドサービスの提供を中心に事業を展開しており、業界のパイオニアとして多くのナレッジを基に、コールセンターのシステム構築から運用における業務課題解決に向けたサポートまで、企業の生産性向上や業務効率改善に貢献すべくサービスの提供に努めております。
当社が属するクラウドサービス市場につきましては、2021年末のクラウドサービス利用企業の割合は前年末より1.7ポイント増加し、70.4%に及んでおります。(出典:総務省「情報通信白書 2022年版」)
また、クラウド型CRM市場の市場規模につきましては、2022年度の集計見込みは4,797億円となり、前事業年度4,047億円から18.5%増加の見通しとなっております。資産を持たずコストメリットやスピードメリットに優れるクラウド型の市場は着実に拡大しており、2022年度にはこれまで主流であったシステムを自社保有及び自社運用するオンプレミス型の市場を逆転することが見込まれています。この背景としては、新型コロナウイルス感染拡大下において在宅勤務が浸透し、場所に依存せず働ける体制の整備が求められたこと、また、デジタルシフトの進展等により急速に変化する環境に対応する上で、数年ごとに大きな投資が必要ない点や、新しいサービスや機能を容易に加えられる拡張性・スケーラビリティ、などといったクラウドのメリットを求めるユーザーが増えており、クラウドファーストの動きが進んでいることが挙げられます。今後もクラウド型への移行拡大により、同市場は、2023年度も成長率として前事業年度比18.3%増加となる5,673億円となり、2021年度以降としては年平均成長率17.9%と高水準での増加推移が見込まれ、2026年度には9,203億円にまで拡大すると予想されております。(出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社「マーテック市場の現状と展望2022年度版〈クラウド型CRM市場編〉」)
一方、今後の経済の見通しについては、新型コロナウイルス感染症の規制が緩和され、政府の経済対策の効果による景気の回復が期待されますが、ロシアのウクライナ侵攻の長期化による更なる地政学リスクの高まり、インフレや各国の金融引締めの影響による世界的経済成長の減速など、依然として景気の先行きは不透明な状況が続くことが予想されます。
このような状況の中、当社が属するコールセンター市場は、人材不足が深刻化しており、顧客との接点は労働集約的な人による対応から自動化やAI化が加速していくものと考えられます。また、今後のコールセンターシステムは、コールセンターにおいて収集した情報をAIに分析させ、広告配信や効果的な販売に結び付ける等、DXによる統合化が進んでいくことが予想されます。
当社は、このような将来の自動化・AI化のニーズを先読みすべく、次世代のコールセンターシステムに関する知的システムの開発を進めており、前中期経営計画(2021年3月期から2023年3月期)において、3つの成長戦略による新サービス等の開発投資を実施してまいりました。この成長投資により創出した新たなサービスを新たな中期経営計画(2024年3月期から2026年3月期)において、確実に収益へつなげることにより、更なる企業価値の向上に取り組んでまいります。
c. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、事業活動の成果を示す売上高及びサービス別月次利用数を重要な経営指標としており、当事業年度における売上高は2,349,041千円(前事業年度比0.8%減)となりました。
サービス別売上高及び月次利用数の内訳は、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 a. 経営成績等 2)経営成績」に記載のとおりであります。引き続き、これらの指標を拡大していくように取り組んでまいります。
d. セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の報告セグメントは、クラウドサービス事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
a.資金需要の主な内容
当社の運転資金需要のうち主なものは、情報通信機器の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
b.資金調達
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金や設備投資等の調達につきましては、自己資金、金融機関からの短期借入及びリースを基本としております。
なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、154,365千円であります。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、1,253,952千円であります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。
この財務諸表の作成にあたり、資産・負債及び収益・費用の報告数値について影響を与える見積りは、過去の実績や状況に応じて、可能な限り合理的と考えられる根拠や要因等に基づき実施しております。しかしながら、これらの見積りについては不確実性を伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社は、財務諸表作成にあたって会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の内、重要なものと新型コロナウイルス感染症及びロシア・ウクライナ情勢の影響に関する会計上の見積りへの影響については、「第5経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
[用語解説]
※1.オンプレミス型
企業が利用するシステムや設備等を自社で保有し、自社で構築、運用する仕組み。
※2.クラウド型
企業自身では設備を持たず、インターネット等のネットワークを経由してサービスを利用する仕組み。
※3.マルチチャネル
電話やメール、FAX、Webの問い合わせフォーム、チャット、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)等の複数の問い合わせ手段をもつこと。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響は残るものの、行動制限や水際対策の緩和など各種政策の効果もあり、経済社会活動の正常化が進み、景気は緩やかに持ち直しの動きがみられております。一方で、世界的な金融引締めによる金融資本市場への影響、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化による原材料価格やエネルギー価格の高騰、円安等の為替動向の懸念等により、依然として先行きは不透明な状況となっております。
当社を取り巻く国内クラウド型コールセンター市場におきましては、新型コロナウイルス感染拡大を背景に、在宅勤務が浸透したことでデジタルシフトが加速し、数年ごとに大規模なシステム投資が必要なオンプレミス型(※1)から拡張性が高いクラウド型(※2)への移行が顕著化しております。また、官公庁や行政でのDX推進等により、今後はクラウドに抵抗感があった比較的大規模なオンプレミスユーザーにおいてもクラウドの導入が広がっていくものと予想されております。加えて、チャット及びチャットボット、SMS、LINE等のマルチチャネル(※3)対応が求められる他、コールセンターで蓄積された情報を活用してマーケティング活動を行う等、コールセンターの役割が「コストセンター」から、収益を生みだすための「プロフィットセンター」へ本格移行する過渡期に入ったとの見方も強まっております。
このような環境のもと、当社は、2020年5月12日に開示した「中期経営計画(2021年3月期~2023年3月期)」に基づき、次世代コールセンターシステムに関する知的システムの開発に取り組み、人材育成や開発強化等を含めた先行的な開発投資を進めてまいりました。3つの成長戦略における実績は、以下のとおりであります。
■成長戦略1:現有サービスへの新ITソリューション追加開発
本戦略は、コールセンターのマルチチャネル化、デジタルシフトをサポートするサービスとして、現有サービスラインナップにSMS/チャット/チャットボット/FAQの4つのITソリューションを新たに開発・リリースするという計画であり、これに対する実績としては、新サービスとして、チャットボット&有人チャットサービスの「Challbo」及びFAQサービスの「CollasQ」をリリースしました。また、SMS送信機能は、「COLLABOS PHONE」の新機能としてリリースしました。
■成長戦略2:AI技術を活用した新コールセンターソリューションのリリース
本戦略は、昨今の自動化の流れに基づき、AI技術をフル活用した新しいコールセンターソリューションを開発・リリースするという計画であり、これに対する実績としては、サービスを具体化していく中で、より市場のニーズを捉えた機能や内容の拡充等に伴い開発内容を変更しており、かつ製造後のテスト工程において、品質強化のためテスト要件を厳格化したことに伴い、リリース時期を2023年夏へと変更しております。
■成長戦略3:コールセンターに集まるデータを活用したマーケティング事業領域への参入
本戦略は、コールセンターで収集・蓄積したビックデータを分析し、マーケティングへ活用するために、CRM機能とマーケティング機能の両方を兼ね備えた新サービスを開発・リリースするという計画であり、これに対する実績としては、2021年12月に統合CRMマーケティングシステム「GROWCE」をリリースしており、これにより、マーケティング事業領域への参入を進めてまいります。
現有サービスにつきましては、引き続きオンプレミス型からクラウド型へのシステム移行及び他社クラウドサービスから当社クラウドサービスへの切り替え提案等に注力するとともに、「@nyplace」、「COLLABOS PHONE」及び「GROWCE」等を中心とした拡販に努めてまいりました。
新規案件の獲得につきましては、販売パートナーや既存顧客からの紹介、成果報酬型のテレアポ代行活用の他、SEOやリスティング広告の強化、協業企業との共催セミナーの開催等により、販売チャネル拡大を推進するとともに、既存顧客においては、定期的なヒアリング訪問やアンケート調査を基に、顧客ニーズを反映した要望機能開発やシステムバージョンアップ等のリテンション活動により、クロスセルやアップセルでの収益機会の拡大に注力してまいりました。
また、当社クラウド型コールセンターシステム「COLLABOS PHONE」と他社サービスとのシステム連携も積極的に推進してまいりました。具体的には、株式会社アクリートが提供するSMS配信サービス「SMSコネクト」や、株式会社Zooops Japanが提供する顧客管理・営業支援システム「Zoho CRM」とのシステム連携により、サービス拡張とともに販路拡大の仕組みを構築いたしました。さらに、データベース管理システム「Claris FileMaker」のシステム開発を得意とする株式会社サポータスや、「kintone」のカスタマイズや導入支援を得意とする株式会社サティライズと販売パートナー契約を締結し、「COLLABOS PHONE」の販売体制を強化いたしました。
一方、新型コロナウイルス関連のスポット公共案件等が、前事業年度に比べ縮小したことによる売上高の減少も発生しております。
これらの結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べて144,744千円減少し、2,229,626千円となりました。
当事業年度末における負債総額は、前事業年度末に比べて169,179千円減少し、326,643千円となりました。
当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べて24,435千円増加し、1,902,983千円となりました。
b. 経営成績
当事業年度の経営成績は、売上高2,349,041千円(前事業年度比0.8%減)、営業利益101,439千円(同46.5%増)、経常利益100,313千円(同31.4%増)、当期純利益67,861千円(同25.1%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度末に比べて304,643千円減少し、1,253,952千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動の結果得られた資金は、165,681千円(前事業年度は297,382千円の収入)となりました。主な要因は、税引前当期純利益94,193千円、減価償却費204,596千円、法人税等の支払額63,386千円、賞与引当金の減少額44,000千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動の結果支出した資金は、344,909千円(前事業年度は174,158千円の支出)となりました。主な要因は、中期経営計画における@nyplace用設備への投資や新サービス及び現有サービスへのITソリューション開発投資等の有形及び無形固定資産の取得による支出343,270千円に加え、資産除去債務の履行による支出39,600千円、本社移転に伴う差入保証金の回収による収入37,961千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動の結果支出した資金は、125,415千円(前事業年度は104,138千円の支出)となりました。主な要因は、リース債務の返済による支出82,218千円及び自己株式の取得による支出43,197千円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社の主たる業務はクラウドサービス事業のため、生産活動を行っておらず、生産設備を保有していないため、記載を省略しております。
b. 受注実績
a. 生産実績と同様に、当社の主たる業務であるクラウドサービス事業の事業特性に馴染まないため、記載を省略しております。
c. 販売実績
当事業年度の販売実績について、当社の報告セグメントは単一セグメントでありますが、サービス別に示すと、下表のとおりであります。
| サービスの名称 | 売上高(千円) | 前年同期比(%) |
| @nyplace | 1,590,396 | 99.5 |
| COLLABOS PHONE | 486,210 | 99.9 |
| COLLABOS CRM | 143,097 | 88.0 |
| COLLABOS CRM Outbound Edition | 34,489 | 82.2 |
| その他 | 94,847 | 120.5 |
| 合計 | 2,349,041 | 99.2 |
(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績対する割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 前事業年度 | 当事業年度 | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| ㈱カスタマーリレーションテレマーケティング | 298,031 | 12.58 | 347,236 | 14.78 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
1)財政状態
(資産)
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べて144,744千円減少し、2,229,626千円となりました。主な要因は、中期経営計画における新サービス及び現有サービスへのITソリューション開発投資等による無形固定資産が増加した一方で、現金及び預金の減少、本社移転に伴う差入保証金の減少によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債は、前事業年度末に比べて169,179千円減少し、326,643千円となりました。主な要因は、賞与引当金の減少、本社移転に伴う資産除去債務の減少、未払法人税等の減少によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べて24,435千円増加し、1,902,983千円となりました。主な要因は、利益剰余金の増加があった一方で、自己株式の取得による減少によるものであります。
2)経営成績
(売上高)
当事業年度における売上高は2,349,041千円(前事業年度比0.8%減)となりました。製品・サービスごとの状況は、以下のとおりであります。
・「@nyplace」につきましては、オンプレミス型からクラウド型への新規リプレイス案件の獲得、既存顧客における通販関連業務や運輸関連業務の拡大等に伴う契約数の増加があったものの、前事業年度において、交換機拡張や機器の入れ替え等のスポット案件があったことによる一時売上高の減少、新型コロナウイルス関連のスポット公共案件の業務終了等に伴う契約数の減少等により、期間平均利用席数は7,603席(同239席減)、売上高は1,590,396千円(同0.5%減)となりました。
・「COLLABOS PHONE」につきましては、他社サービスとのシステム連携や販売パートナー契約の締結により、新規案件が堅調に増加し、期間平均利用チャネル数は3,724チャネル(同277チャネル増)となりました。一方で、新型コロナウイルス関連のスポット公共案件の業務終了に伴う契約数や通信利用料の減少に伴い、売上高は486,210千円(同0.1%減)となりました。
・「COLLABOS CRM」及び「COLLABOS CRM Outbound Edition」につきましては、新規案件の獲得やBPO事業者等の業務拡大に伴う契約数の増加があった一方で、新型コロナウイルス関連のスポット公共案件の業務終了等により、契約数が減少いたしました。これらの結果、インバウンド用(受信)の「COLLABOS CRM」につきましては、期間平均利用ID数は2,242ID(同333ID減)、売上高は143,097千円(同12.0%減)となり、アウトバウンド(発信)用の「COLLABOS CRM Outbound Edition」につきましては、期間平均利用ID数は572ID(同217ID減)、売上高は34,489千円(同17.8%減)となりました。
・その他、業務効率化等を実現する付加的サービスにつきましては、音声認識システム「AmiVoice Communication Suite provided by コラボス」、AIデータ解析サービス「GOLDEN LIST」、FAQサービスの「CollasQ」等の新規案件の獲得により、売上高は94,847千円(同20.5%増)となりました。
(売上原価)
当事業年度の売上原価は、1,463,823千円(同2.2%増)となりました。主な要因としては、前事業年度における交換機拡張や機器の入れ替え等のスポット案件の仕入原価の減少、新型コロナウイルス関連のスポット公共案件の業務終了等に伴う通信利用料の減少等があった一方で、「@nyplace」のバージョンアップに伴う外注費の増加、中期経営計画における新サービス「GROWCE」のソフトウエア償却費等の先行コストが発生したためであります。サービス別の売上原価の内訳としては、「@nyplace」は、955,302千円(同2.7%増)、「COLLABOS PHONE」は、319,179千円(同11.0%減)、「COLLABOS CRM(Outbound Edition含む)」は、60,375千円(同4.3%減)、その他は、128,966千円(同60.7%増)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、783,778千円(同9.6%減)となりました。主な要因としては、本社移転に伴う旧本社設備の耐用年数の短縮による減価償却費の増加、中期経営計画における開発推進及びサービス提供における運用体制強化に伴う人件費の増加等があった一方で、賞与の減少及び中期経営計画の新サービス開発に関する要件定義費用の減少、本社移転に伴う家賃の減少等があったためであります。
以上の結果、損益につきましては、営業利益は101,439千円(同46.5%増)、経常利益は100,313千円(同31.4%増)、当期純利益につきましては、67,861千円(同25.1%増)となりました。
b. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、設立以来、コールセンター向けクラウドサービスの提供を中心に事業を展開しており、業界のパイオニアとして多くのナレッジを基に、コールセンターのシステム構築から運用における業務課題解決に向けたサポートまで、企業の生産性向上や業務効率改善に貢献すべくサービスの提供に努めております。
当社が属するクラウドサービス市場につきましては、2021年末のクラウドサービス利用企業の割合は前年末より1.7ポイント増加し、70.4%に及んでおります。(出典:総務省「情報通信白書 2022年版」)
また、クラウド型CRM市場の市場規模につきましては、2022年度の集計見込みは4,797億円となり、前事業年度4,047億円から18.5%増加の見通しとなっております。資産を持たずコストメリットやスピードメリットに優れるクラウド型の市場は着実に拡大しており、2022年度にはこれまで主流であったシステムを自社保有及び自社運用するオンプレミス型の市場を逆転することが見込まれています。この背景としては、新型コロナウイルス感染拡大下において在宅勤務が浸透し、場所に依存せず働ける体制の整備が求められたこと、また、デジタルシフトの進展等により急速に変化する環境に対応する上で、数年ごとに大きな投資が必要ない点や、新しいサービスや機能を容易に加えられる拡張性・スケーラビリティ、などといったクラウドのメリットを求めるユーザーが増えており、クラウドファーストの動きが進んでいることが挙げられます。今後もクラウド型への移行拡大により、同市場は、2023年度も成長率として前事業年度比18.3%増加となる5,673億円となり、2021年度以降としては年平均成長率17.9%と高水準での増加推移が見込まれ、2026年度には9,203億円にまで拡大すると予想されております。(出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社「マーテック市場の現状と展望2022年度版〈クラウド型CRM市場編〉」)
一方、今後の経済の見通しについては、新型コロナウイルス感染症の規制が緩和され、政府の経済対策の効果による景気の回復が期待されますが、ロシアのウクライナ侵攻の長期化による更なる地政学リスクの高まり、インフレや各国の金融引締めの影響による世界的経済成長の減速など、依然として景気の先行きは不透明な状況が続くことが予想されます。
このような状況の中、当社が属するコールセンター市場は、人材不足が深刻化しており、顧客との接点は労働集約的な人による対応から自動化やAI化が加速していくものと考えられます。また、今後のコールセンターシステムは、コールセンターにおいて収集した情報をAIに分析させ、広告配信や効果的な販売に結び付ける等、DXによる統合化が進んでいくことが予想されます。
当社は、このような将来の自動化・AI化のニーズを先読みすべく、次世代のコールセンターシステムに関する知的システムの開発を進めており、前中期経営計画(2021年3月期から2023年3月期)において、3つの成長戦略による新サービス等の開発投資を実施してまいりました。この成長投資により創出した新たなサービスを新たな中期経営計画(2024年3月期から2026年3月期)において、確実に収益へつなげることにより、更なる企業価値の向上に取り組んでまいります。
c. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、事業活動の成果を示す売上高及びサービス別月次利用数を重要な経営指標としており、当事業年度における売上高は2,349,041千円(前事業年度比0.8%減)となりました。
サービス別売上高及び月次利用数の内訳は、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 a. 経営成績等 2)経営成績」に記載のとおりであります。引き続き、これらの指標を拡大していくように取り組んでまいります。
d. セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の報告セグメントは、クラウドサービス事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
a.資金需要の主な内容
当社の運転資金需要のうち主なものは、情報通信機器の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
b.資金調達
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金や設備投資等の調達につきましては、自己資金、金融機関からの短期借入及びリースを基本としております。
なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、154,365千円であります。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、1,253,952千円であります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。
この財務諸表の作成にあたり、資産・負債及び収益・費用の報告数値について影響を与える見積りは、過去の実績や状況に応じて、可能な限り合理的と考えられる根拠や要因等に基づき実施しております。しかしながら、これらの見積りについては不確実性を伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社は、財務諸表作成にあたって会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の内、重要なものと新型コロナウイルス感染症及びロシア・ウクライナ情勢の影響に関する会計上の見積りへの影響については、「第5経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
[用語解説]
※1.オンプレミス型
企業が利用するシステムや設備等を自社で保有し、自社で構築、運用する仕組み。
※2.クラウド型
企業自身では設備を持たず、インターネット等のネットワークを経由してサービスを利用する仕組み。
※3.マルチチャネル
電話やメール、FAX、Webの問い合わせフォーム、チャット、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)等の複数の問い合わせ手段をもつこと。