有価証券報告書-第24期(2024/04/01-2025/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、円安や原材料価格高騰に伴う物価上昇等を背景に、個人消費に一部足踏みの状況がみられたものの、好調な企業収益の下、設備投資の増加や賃上げ等による雇用所得環境の改善、訪日観光客の増加に伴うインバウンド需要の回復等、内需主導で緩やかな回復基調がみられました。一方で、トランプ米新政権下における関税措置の強化や中国の不動産市場の低迷に起因する外部環境の悪化などが輸出や企業収益へ影響を及ぼす懸念もあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社が事業を展開するCRMソリューション市場においては、ユーザーニーズの多様化に加え、生産年齢人口の減少や労働力不足、人件費の高騰等を背景に、メール、チャット、Webフォーム、SNS、FAQ等のノンボイス系システム(音声を使わないコミュニケーション手段)の需要が増加しております。また、コールセンターの位置付けが、従来のコストセンターから顧客との重要なタッチポイントとなるプロフィットセンターへと変化してきており、生成AIや音声認識等の技術の進展により、VoC(顧客の声)の収集・分析・活用を促進するとともに、企業のDX化を加速させるものと予想されます。
このような環境のもと、当社は、2023年5月10日に公表した中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)に基づき、以下の[成長戦略]による販売拡大並びに業績回復に向けた全社的な[コスト改善施策]により、早期に安定した収益基盤を確立できるよう事業を推進してまいりました。
[成長戦略]
(1)「@nyplace」の安定成長
新機能及びサービス拡張、基盤強化等を実装するためのバージョンアップを実施し、継続して既存顧客の移行計画を遂行しております。また、サービス提供に係る作業の自動化・効率化による外注費の削減及びリソースの最適化による固定費削減やサービス提供見合いの通信原価の削減等、コスト削減を図り、利益最大化を推進してまいりました。
(2)独自サービスの飛躍成長
AIコールセンターシステム「VLOOM」における顧客要望開発や、AIマーケティングシステム「UZ」及びAI顧客分析/リスト作成サービス「GOLDEN LIST」の大規模バージョンアップ等、顧客ニーズに応じた機能開発と継続的な商品価値向上を図っており、生成AIや音声認識による自動化及びDX化の訴求とともに、顧客ターゲットを明確にした販売戦略やキャンペーン等の実施により、販売拡大を推進してまいりました。
[コスト改善施策]
当事業年度の重点施策と位置づける[コスト改善施策]においては、サービス提供体制に合わせた最適な人員配置による、生産性向上や原価構造の抜本的な見直し等を推進した結果、適正な経営資源の再配置が進み、主に外注費等のコスト削減が当初の想定よりも前倒しで進捗いたしました。
上記に加えて、各サービスに特化した組織体制による販売推進力の強化を図り、この体制の下、業界最大級のビジネスイベントへの出展、DX化推進やAI活用にフォーカスしたイベントへの登壇、SEO対策(※1)やリスティング広告(※2)、サービスサイトの全面リニューアルによるWeb施策等により、新規リードの獲得に注力してまいりました。また、定期的なヒアリング訪問やアンケート調査活動、顧客ニーズを反映する機能開発やシステムバージョンアップ等のリテンション活動により、クロスセルやアップセルでの収益機会の拡大にも注力したほか、昨今の特殊詐欺犯罪等の防止を背景とした、電話事業者認証機構による優良電話事業者認証の取得により、顧客並びにステークホルダーに対する信頼性向上にも努めてまいりました。
これらの取り組みのもと、「VLOOM」「UZ」等の独自サービスにおいては、AIや音声認識機能のニーズの高まりを背景とした新規顧客の獲得等により、新たな収益基盤として確立されつつある一方、主にテレマーケティングやBPO事業者における特定の大口顧客の業務縮小等の影響により、「@nyplace」等の現有サービスにおいて、売上高が大きく減少したことが、当事業年度の業績にも影響している状況となっております。
上記の結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べて16,430千円減少し、1,735,753千円となりました。
当事業年度末における負債総額は、前事業年度末に比べて203,356千円減少し、444,043千円となりました。
当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べて186,926千円増加し、1,291,710千円となりました。
b. 経営成績
当事業年度の経営成績は、売上高1,906,946千円(前事業年度比11.5%減)、営業利益75,493千円(前事業年度は営業損失294,326千円)、経常利益102,944千円(前事業年度は経常損失276,410千円)、当期純利益144,924千円(前事業年度は当期純損失798,320千円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度末に比べて128,782千円増加し、1,307,016千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動の結果得られた資金は、208,583千円(前事業年度は104,179千円の収入)となりました。主な要因は、関係会社株式売却益64,671千円、仕入債務の減少額48,844千円、賞与引当金の減少額27,700千円があった一方で、税引前当期純利益142,056千円の計上、減価償却費97,330千円、その他の増加53,400千円、売上債権の減少額30,926千円、減損損失26,501千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動の結果得られた資金は、31,295千円(前事業年度は360,694千円の支出)となりました。主な要因は、「@nyplace」用設備への投資や新サービス及び現有サービスへのITソリューション開発投資等の有形及び無形固定資産の取得による支出44,343千円があった一方で、ギークフィード社の関係会社株式売却による収入78,782千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動の結果支出した資金は、111,096千円(前事業年度は180,795千円の収入)となりました。主な要因は、新株予約権の行使に伴う株式発行による収入49,181千円があった一方で、長期借入金の返済による支出100,000千円及びリース債務の返済による支出54,040千円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社の主たる業務はクラウドサービス事業のため、生産活動を行っておらず、生産設備を保有していないため、記載を省略しております。
b. 受注実績
a. 生産実績と同様に、当社の主たる業務であるクラウドサービス事業の事業特性に馴染まないため、記載を省略しております。
c. 販売実績
当事業年度の販売実績について、当社の報告セグメントは単一セグメントでありますが、サービス別に示すと、下表のとおりであります。
(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
1)財政状態
(資産)
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べて16,430千円減少し、1,735,753千円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加があった一方で、売掛金の減少、減価償却に伴う有形固定資産の減少、ソフトウエアの減損による無形固定資産の減少、関係会社株式の売却に伴う投資その他の資産の減少によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債は、前事業年度末に比べて203,356千円減少し、444,043千円となりました。主な要因は、未払消費税の増加があった一方で、買掛金の減少、未払金の減少、リース債務の減少、長期借入金返済による減少によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べて186,926千円増加し、1,291,710千円となりました。主な要因は、自己株式の取得による減少があった一方で、新株予約権行使による資本金及び資本準備金の増加、繰越利益剰余金が増加したことによるものであります。
2)経営成績
(売上高)
当事業年度における売上高は1,906,946千円(前事業年度比11.5%減)となりました。製品・サービスごとの状況は、以下のとおりであります。
・「@nyplace」につきましては、既存顧客の業務拡大及びシステムバージョンアップや移転作業等による一時売上高の増加があった一方で、特定の大口顧客における業務縮小並びに人件費の高騰に伴う全社的なコストダウン等が重なったことから、期間平均利用席数は5,111席(同1,241席減)、売上高は1,158,846千円(同16.8%減)となりました。
・「COLLABOS PHONE」につきましては、既存顧客における業務拡大や、コストダウンを目的としたソフトフォンへの切り替え等による新規案件の受注があった一方で、特定の大口顧客における業務縮小等により、期間平均利用チャネル数は2,680チャネル(同914チャネル減)、売上高は413,520千円(同14.2%減)となりました。
・「VLOOM」につきましては、AI音声認識需要の高まりに加え、在宅環境や海外拠点での利用といった柔軟性や拡張性が求められるニーズの増加を背景に、協業企業からの紹介や当社既存顧客からの新規案件の獲得が進んだことにより、期間平均利用チャネル数は506チャネル(同151チャネル増)、売上高は57,603千円(同148.2%増)となりました。
・「COLLABOS CRM」及び「COLLABOS CRM Outbound Edition」につきましては、インバウンド用の「COLLABOS CRM」において、既存顧客における業務縮小等により契約数が減少した一方、アウトバウンド用の「COLLABOS CRM Outbound Edition」においては、既存顧客のアウトバウンド業務拡大やシステムリプレイスに伴う新規案件の獲得により、契約数が増加いたしました。この結果、「COLLABOS CRM」につきましては、期間平均利用ID数は1,412ID(同396ID減)、売上高は101,275千円(同17.3%減)となった一方で、「COLLABOS CRM Outbound Edition」につきましては、期間平均利用ID数は502ID(同37ID増)、売上高は33,588千円(同16.5%増)となりました。
・DX化推進による業務効率化やマーケティング活動を支援する各サービスにつきましては、音声認識やVoC(顧客の声)活用のニーズの高まりを背景に、AI技術搭載のリアルタイム音声認識システム「AmiVoice Communication Suiteprovided by コラボス」やAIマーケティングシステム「UZ」において新規獲得が増加したほか、AI顧客分析・予測ツール「GOLDEN LIST」における生命保険業務でのアウトバウンドコールの費用対効果向上の提案や、統合CRMマーケティングシステム「GROWCE」における健診奨励業務での業務効率化提案等、販売戦略に伴う新規受注も獲得しており、売上高は142,111千円(同34.7%増)となりました。
(売上原価)
当事業年度の売上原価は、1,227,620千円(同26.1%減)となりました。主な要因としては、サービス提供体制に合わせた最適な人員配置による生産性向上や原価構造の抜本的な見直しを推進した結果、外注費等の大幅なコスト削減が当初の想定よりも前倒しで進捗した他、ソフトウエア償却費及び通信利用料等が減少したことによるものであります。サービス別の売上原価の内訳としては、「@nyplace」は、726,893千円(同22.7%減)、「COLLABOS PHONE」は、217,874千円(同29.6%減)、「VLOOM」は、117,873千円(同23.1%減)、「COLLABOS CRM」及び「COLLABOS CRM Outbound Edition」は、43,115千円(同17.5%減)、その他、新サービス及び業務効率化を実現する付加的サービスは、121,863千円(同40.9%減)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、603,831千円(同23.2%減)となりました。主な要因としては、効率性及び生産性を踏まえた業務の見直しによる旅費交通費及び交際費等の変動費の抑制、前事業年度における検証作業に伴うホスティング一時費用の減少及び人件費の減少等によるものであります。
これらの結果、営業利益は75,493千円(前事業年度は営業損失294,326千円)となりました。経常利益については、システム開発における受取損害賠償金26,026千円を計上したこと等により、102,944千円(前事業年度は経常損失276,410千円)となりました。また、関係会社株式売却益64,671千円を特別利益として計上したこと、並びにソフトウエア資産の減損損失26,501千円を特別損失として計上したこと等により、当期純利益は144,924千円(前事業年度は当期純損失798,320千円)となりました。
b. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、設立以来、コールセンター向けクラウドサービスの提供を中心に事業を展開しており、コールセンターのシステム構築から運用における業務課題解決に向けたサポート、また、AIやデータ活用によるマーケティング支援に至るまで、企業の生産性向上や業務効率の改善、販売促進等に貢献すべくサービスの提供に努めております。
当社が属するクラウドサービス市場につきましては、2023年末のクラウドサービス利用企業の割合は前年末より5.5ポイント増加し、77.7%に及んでおり、上昇傾向が続いております。(出典:「令和6年版情報通信白書」(総務省))
また、クラウド型CRM市場の市場規模につきましては、2023年度に5,392億円(前年比15.2%増)となり、2023年度においてクラウド型とオンプレミス型(※3)の市場構成比は、54.8%対45.2%とクラウド型市場の成長率は落ち着いたものの、2022年度にクラウド型市場がオンプレミス型市場を逆転して以降、引き続き、クラウド型のニーズが高く推移している状況となっております。
最近においては、オンプレミス型システムのクラウド提供の開始に伴い、これまで移行に慎重であった比較的大規模な案件のリプレイスも増加しているほか、生成AIの普及に伴う各クラウド製品における生成AIを活用した機能の搭載、顧客設定の多様化やデータ及び機能の連携需要も高まっており、着実にクラウド型での導入が市場全体に浸透してきております。
これらを背景に、2024年度以降も市場は年平均14.9%で成長し、2028年度には市場規模は約1兆円、クラウド型とオンプレミス型の構成比は、80.9%対19.1%にまで広がるものと予測されております。(出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社「マーテック市場の現状と展望2024年度版〈クラウド型CRM市場編〉」)
このような状況の中、当社が属するコールセンター市場は、慢性的な人材不足や人件費の高騰等を背景に、メール、チャット、Webフォーム、SNS等をはじめとしたノンボイス系システムの需要が増加しており、既存業務の生産性向上や顧客対応の自動化等がますます重要視されています。また、生成AIや音声認識等のIT技術の進展により、顧客接点の多様な領域でVoC(顧客の声)の活用が活性化しています。特に生成AIを活用したチャットボット(※4)やボイスボット(※5)の導入によるオペレーター業務の効率化や、データ分析や予測モデルを活用した付加価値の高いサービスが注目されており、今後、企業のDX化が一層加速すると予想されます。
当社は、このような将来の自動化・AI化のニーズを先読みすべく、次世代のコールセンターシステムに関する知的システムの開発に着手し、コールセンターのプロフィット化を推進する新たなサービスのリリースを進めてまいりました。2025年3月期においては、この成長投資による「VLOOM」及び「GROWCE」等の独自サービスについて、着実に売上高を伸長している状況にありますが、当初より想定する売上貢献には至っておらず、加えて「@nyplace」及び「COLLABOS PHONE」等の現有サービスにおける契約数の減少により、売上高は前事業年度比において減少いたしました。一方、重点施策としたコスト改善施策においては、経営資源の再配置等によるコスト削減が、確実に結果に結びついている状況にあります。これらの状況から、引き続き、中期経営計画における「@nyplaceの安定成長」及び「独自サービスの飛躍成長」の2つの成長戦略の実行に注力するとともに、経営資源の最適化やコスト構造の見直しに継続的に取り組み、早期に安定した収益基盤を確立できるよう事業を推進してまいります。具体的な成長戦略は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおりであります。
c. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、事業活動の成果を示す売上高及びサービス別月次利用数を重要な経営指標としており、当事業年度における売上高は1,906,946千円(前事業年度比11.5%減)となりました。
サービス別売上高及び月次利用数の内訳は、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 a. 経営成績等 2)経営成績」に記載のとおりであります。引き続き、これらの指標を拡大していくように取り組んでまいります。
d. セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の報告セグメントは、クラウドサービス事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
a.資金需要の主な内容
当社の運転資金需要のうち主なものは、情報通信機器の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
b.資金調達
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金や設備投資等の調達につきましては、自己資金、金融機関からの借入及びリースを基本としております。
なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、285,531千円であります。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、1,307,016千円であります。
[用語解説]
※1.SEO対策
検索エンジンの検索結果で自社サイトを上位に表示されるように最適化すること。
※2.リスティング広告
検索エンジンの検索結果に自社サイトを広告として表示させ集客すること。
※3.オンプレミス型
企業が利用するシステムや設備等を自社で保有し、自社で構築、運用する仕組み。
※4.チャットボット
テキストで自動応答する会話システム。
※5.ボイスボット
音声で自動応答する会話システム。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、円安や原材料価格高騰に伴う物価上昇等を背景に、個人消費に一部足踏みの状況がみられたものの、好調な企業収益の下、設備投資の増加や賃上げ等による雇用所得環境の改善、訪日観光客の増加に伴うインバウンド需要の回復等、内需主導で緩やかな回復基調がみられました。一方で、トランプ米新政権下における関税措置の強化や中国の不動産市場の低迷に起因する外部環境の悪化などが輸出や企業収益へ影響を及ぼす懸念もあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社が事業を展開するCRMソリューション市場においては、ユーザーニーズの多様化に加え、生産年齢人口の減少や労働力不足、人件費の高騰等を背景に、メール、チャット、Webフォーム、SNS、FAQ等のノンボイス系システム(音声を使わないコミュニケーション手段)の需要が増加しております。また、コールセンターの位置付けが、従来のコストセンターから顧客との重要なタッチポイントとなるプロフィットセンターへと変化してきており、生成AIや音声認識等の技術の進展により、VoC(顧客の声)の収集・分析・活用を促進するとともに、企業のDX化を加速させるものと予想されます。
このような環境のもと、当社は、2023年5月10日に公表した中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)に基づき、以下の[成長戦略]による販売拡大並びに業績回復に向けた全社的な[コスト改善施策]により、早期に安定した収益基盤を確立できるよう事業を推進してまいりました。
[成長戦略]
(1)「@nyplace」の安定成長
新機能及びサービス拡張、基盤強化等を実装するためのバージョンアップを実施し、継続して既存顧客の移行計画を遂行しております。また、サービス提供に係る作業の自動化・効率化による外注費の削減及びリソースの最適化による固定費削減やサービス提供見合いの通信原価の削減等、コスト削減を図り、利益最大化を推進してまいりました。
(2)独自サービスの飛躍成長
AIコールセンターシステム「VLOOM」における顧客要望開発や、AIマーケティングシステム「UZ」及びAI顧客分析/リスト作成サービス「GOLDEN LIST」の大規模バージョンアップ等、顧客ニーズに応じた機能開発と継続的な商品価値向上を図っており、生成AIや音声認識による自動化及びDX化の訴求とともに、顧客ターゲットを明確にした販売戦略やキャンペーン等の実施により、販売拡大を推進してまいりました。
[コスト改善施策]
当事業年度の重点施策と位置づける[コスト改善施策]においては、サービス提供体制に合わせた最適な人員配置による、生産性向上や原価構造の抜本的な見直し等を推進した結果、適正な経営資源の再配置が進み、主に外注費等のコスト削減が当初の想定よりも前倒しで進捗いたしました。
上記に加えて、各サービスに特化した組織体制による販売推進力の強化を図り、この体制の下、業界最大級のビジネスイベントへの出展、DX化推進やAI活用にフォーカスしたイベントへの登壇、SEO対策(※1)やリスティング広告(※2)、サービスサイトの全面リニューアルによるWeb施策等により、新規リードの獲得に注力してまいりました。また、定期的なヒアリング訪問やアンケート調査活動、顧客ニーズを反映する機能開発やシステムバージョンアップ等のリテンション活動により、クロスセルやアップセルでの収益機会の拡大にも注力したほか、昨今の特殊詐欺犯罪等の防止を背景とした、電話事業者認証機構による優良電話事業者認証の取得により、顧客並びにステークホルダーに対する信頼性向上にも努めてまいりました。
これらの取り組みのもと、「VLOOM」「UZ」等の独自サービスにおいては、AIや音声認識機能のニーズの高まりを背景とした新規顧客の獲得等により、新たな収益基盤として確立されつつある一方、主にテレマーケティングやBPO事業者における特定の大口顧客の業務縮小等の影響により、「@nyplace」等の現有サービスにおいて、売上高が大きく減少したことが、当事業年度の業績にも影響している状況となっております。
上記の結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べて16,430千円減少し、1,735,753千円となりました。
当事業年度末における負債総額は、前事業年度末に比べて203,356千円減少し、444,043千円となりました。
当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べて186,926千円増加し、1,291,710千円となりました。
b. 経営成績
当事業年度の経営成績は、売上高1,906,946千円(前事業年度比11.5%減)、営業利益75,493千円(前事業年度は営業損失294,326千円)、経常利益102,944千円(前事業年度は経常損失276,410千円)、当期純利益144,924千円(前事業年度は当期純損失798,320千円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度末に比べて128,782千円増加し、1,307,016千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動の結果得られた資金は、208,583千円(前事業年度は104,179千円の収入)となりました。主な要因は、関係会社株式売却益64,671千円、仕入債務の減少額48,844千円、賞与引当金の減少額27,700千円があった一方で、税引前当期純利益142,056千円の計上、減価償却費97,330千円、その他の増加53,400千円、売上債権の減少額30,926千円、減損損失26,501千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動の結果得られた資金は、31,295千円(前事業年度は360,694千円の支出)となりました。主な要因は、「@nyplace」用設備への投資や新サービス及び現有サービスへのITソリューション開発投資等の有形及び無形固定資産の取得による支出44,343千円があった一方で、ギークフィード社の関係会社株式売却による収入78,782千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動の結果支出した資金は、111,096千円(前事業年度は180,795千円の収入)となりました。主な要因は、新株予約権の行使に伴う株式発行による収入49,181千円があった一方で、長期借入金の返済による支出100,000千円及びリース債務の返済による支出54,040千円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社の主たる業務はクラウドサービス事業のため、生産活動を行っておらず、生産設備を保有していないため、記載を省略しております。
b. 受注実績
a. 生産実績と同様に、当社の主たる業務であるクラウドサービス事業の事業特性に馴染まないため、記載を省略しております。
c. 販売実績
当事業年度の販売実績について、当社の報告セグメントは単一セグメントでありますが、サービス別に示すと、下表のとおりであります。
| サービスの名称 | 売上高(千円) | 前年同期比(%) |
| @nyplace | 1,158,846 | 83.2 |
| COLLABOS PHONE | 413,520 | 85.8 |
| VLOOM | 57,603 | 248.2 |
| COLLABOS CRM | 101,275 | 82.7 |
| COLLABOS CRM Outbound Edition | 33,588 | 116.5 |
| その他 | 142,111 | 134.7 |
| 合計 | 1,906,946 | 88.5 |
(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 前事業年度 | 当事業年度 | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| ㈱カスタマーリレーションテレマーケティング | 276,723 | 12.85 | 148,778 | 7.80 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
1)財政状態
(資産)
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べて16,430千円減少し、1,735,753千円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加があった一方で、売掛金の減少、減価償却に伴う有形固定資産の減少、ソフトウエアの減損による無形固定資産の減少、関係会社株式の売却に伴う投資その他の資産の減少によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債は、前事業年度末に比べて203,356千円減少し、444,043千円となりました。主な要因は、未払消費税の増加があった一方で、買掛金の減少、未払金の減少、リース債務の減少、長期借入金返済による減少によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べて186,926千円増加し、1,291,710千円となりました。主な要因は、自己株式の取得による減少があった一方で、新株予約権行使による資本金及び資本準備金の増加、繰越利益剰余金が増加したことによるものであります。
2)経営成績
(売上高)
当事業年度における売上高は1,906,946千円(前事業年度比11.5%減)となりました。製品・サービスごとの状況は、以下のとおりであります。
・「@nyplace」につきましては、既存顧客の業務拡大及びシステムバージョンアップや移転作業等による一時売上高の増加があった一方で、特定の大口顧客における業務縮小並びに人件費の高騰に伴う全社的なコストダウン等が重なったことから、期間平均利用席数は5,111席(同1,241席減)、売上高は1,158,846千円(同16.8%減)となりました。
・「COLLABOS PHONE」につきましては、既存顧客における業務拡大や、コストダウンを目的としたソフトフォンへの切り替え等による新規案件の受注があった一方で、特定の大口顧客における業務縮小等により、期間平均利用チャネル数は2,680チャネル(同914チャネル減)、売上高は413,520千円(同14.2%減)となりました。
・「VLOOM」につきましては、AI音声認識需要の高まりに加え、在宅環境や海外拠点での利用といった柔軟性や拡張性が求められるニーズの増加を背景に、協業企業からの紹介や当社既存顧客からの新規案件の獲得が進んだことにより、期間平均利用チャネル数は506チャネル(同151チャネル増)、売上高は57,603千円(同148.2%増)となりました。
・「COLLABOS CRM」及び「COLLABOS CRM Outbound Edition」につきましては、インバウンド用の「COLLABOS CRM」において、既存顧客における業務縮小等により契約数が減少した一方、アウトバウンド用の「COLLABOS CRM Outbound Edition」においては、既存顧客のアウトバウンド業務拡大やシステムリプレイスに伴う新規案件の獲得により、契約数が増加いたしました。この結果、「COLLABOS CRM」につきましては、期間平均利用ID数は1,412ID(同396ID減)、売上高は101,275千円(同17.3%減)となった一方で、「COLLABOS CRM Outbound Edition」につきましては、期間平均利用ID数は502ID(同37ID増)、売上高は33,588千円(同16.5%増)となりました。
・DX化推進による業務効率化やマーケティング活動を支援する各サービスにつきましては、音声認識やVoC(顧客の声)活用のニーズの高まりを背景に、AI技術搭載のリアルタイム音声認識システム「AmiVoice Communication Suiteprovided by コラボス」やAIマーケティングシステム「UZ」において新規獲得が増加したほか、AI顧客分析・予測ツール「GOLDEN LIST」における生命保険業務でのアウトバウンドコールの費用対効果向上の提案や、統合CRMマーケティングシステム「GROWCE」における健診奨励業務での業務効率化提案等、販売戦略に伴う新規受注も獲得しており、売上高は142,111千円(同34.7%増)となりました。
(売上原価)
当事業年度の売上原価は、1,227,620千円(同26.1%減)となりました。主な要因としては、サービス提供体制に合わせた最適な人員配置による生産性向上や原価構造の抜本的な見直しを推進した結果、外注費等の大幅なコスト削減が当初の想定よりも前倒しで進捗した他、ソフトウエア償却費及び通信利用料等が減少したことによるものであります。サービス別の売上原価の内訳としては、「@nyplace」は、726,893千円(同22.7%減)、「COLLABOS PHONE」は、217,874千円(同29.6%減)、「VLOOM」は、117,873千円(同23.1%減)、「COLLABOS CRM」及び「COLLABOS CRM Outbound Edition」は、43,115千円(同17.5%減)、その他、新サービス及び業務効率化を実現する付加的サービスは、121,863千円(同40.9%減)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、603,831千円(同23.2%減)となりました。主な要因としては、効率性及び生産性を踏まえた業務の見直しによる旅費交通費及び交際費等の変動費の抑制、前事業年度における検証作業に伴うホスティング一時費用の減少及び人件費の減少等によるものであります。
これらの結果、営業利益は75,493千円(前事業年度は営業損失294,326千円)となりました。経常利益については、システム開発における受取損害賠償金26,026千円を計上したこと等により、102,944千円(前事業年度は経常損失276,410千円)となりました。また、関係会社株式売却益64,671千円を特別利益として計上したこと、並びにソフトウエア資産の減損損失26,501千円を特別損失として計上したこと等により、当期純利益は144,924千円(前事業年度は当期純損失798,320千円)となりました。
b. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、設立以来、コールセンター向けクラウドサービスの提供を中心に事業を展開しており、コールセンターのシステム構築から運用における業務課題解決に向けたサポート、また、AIやデータ活用によるマーケティング支援に至るまで、企業の生産性向上や業務効率の改善、販売促進等に貢献すべくサービスの提供に努めております。
当社が属するクラウドサービス市場につきましては、2023年末のクラウドサービス利用企業の割合は前年末より5.5ポイント増加し、77.7%に及んでおり、上昇傾向が続いております。(出典:「令和6年版情報通信白書」(総務省))
また、クラウド型CRM市場の市場規模につきましては、2023年度に5,392億円(前年比15.2%増)となり、2023年度においてクラウド型とオンプレミス型(※3)の市場構成比は、54.8%対45.2%とクラウド型市場の成長率は落ち着いたものの、2022年度にクラウド型市場がオンプレミス型市場を逆転して以降、引き続き、クラウド型のニーズが高く推移している状況となっております。
最近においては、オンプレミス型システムのクラウド提供の開始に伴い、これまで移行に慎重であった比較的大規模な案件のリプレイスも増加しているほか、生成AIの普及に伴う各クラウド製品における生成AIを活用した機能の搭載、顧客設定の多様化やデータ及び機能の連携需要も高まっており、着実にクラウド型での導入が市場全体に浸透してきております。
これらを背景に、2024年度以降も市場は年平均14.9%で成長し、2028年度には市場規模は約1兆円、クラウド型とオンプレミス型の構成比は、80.9%対19.1%にまで広がるものと予測されております。(出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社「マーテック市場の現状と展望2024年度版〈クラウド型CRM市場編〉」)
このような状況の中、当社が属するコールセンター市場は、慢性的な人材不足や人件費の高騰等を背景に、メール、チャット、Webフォーム、SNS等をはじめとしたノンボイス系システムの需要が増加しており、既存業務の生産性向上や顧客対応の自動化等がますます重要視されています。また、生成AIや音声認識等のIT技術の進展により、顧客接点の多様な領域でVoC(顧客の声)の活用が活性化しています。特に生成AIを活用したチャットボット(※4)やボイスボット(※5)の導入によるオペレーター業務の効率化や、データ分析や予測モデルを活用した付加価値の高いサービスが注目されており、今後、企業のDX化が一層加速すると予想されます。
当社は、このような将来の自動化・AI化のニーズを先読みすべく、次世代のコールセンターシステムに関する知的システムの開発に着手し、コールセンターのプロフィット化を推進する新たなサービスのリリースを進めてまいりました。2025年3月期においては、この成長投資による「VLOOM」及び「GROWCE」等の独自サービスについて、着実に売上高を伸長している状況にありますが、当初より想定する売上貢献には至っておらず、加えて「@nyplace」及び「COLLABOS PHONE」等の現有サービスにおける契約数の減少により、売上高は前事業年度比において減少いたしました。一方、重点施策としたコスト改善施策においては、経営資源の再配置等によるコスト削減が、確実に結果に結びついている状況にあります。これらの状況から、引き続き、中期経営計画における「@nyplaceの安定成長」及び「独自サービスの飛躍成長」の2つの成長戦略の実行に注力するとともに、経営資源の最適化やコスト構造の見直しに継続的に取り組み、早期に安定した収益基盤を確立できるよう事業を推進してまいります。具体的な成長戦略は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおりであります。
c. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、事業活動の成果を示す売上高及びサービス別月次利用数を重要な経営指標としており、当事業年度における売上高は1,906,946千円(前事業年度比11.5%減)となりました。
サービス別売上高及び月次利用数の内訳は、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 a. 経営成績等 2)経営成績」に記載のとおりであります。引き続き、これらの指標を拡大していくように取り組んでまいります。
d. セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の報告セグメントは、クラウドサービス事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
a.資金需要の主な内容
当社の運転資金需要のうち主なものは、情報通信機器の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
b.資金調達
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金や設備投資等の調達につきましては、自己資金、金融機関からの借入及びリースを基本としております。
なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、285,531千円であります。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、1,307,016千円であります。
[用語解説]
※1.SEO対策
検索エンジンの検索結果で自社サイトを上位に表示されるように最適化すること。
※2.リスティング広告
検索エンジンの検索結果に自社サイトを広告として表示させ集客すること。
※3.オンプレミス型
企業が利用するシステムや設備等を自社で保有し、自社で構築、運用する仕組み。
※4.チャットボット
テキストで自動応答する会話システム。
※5.ボイスボット
音声で自動応答する会話システム。