有価証券報告書-第1期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/21 16:02
【資料】
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【項目】
133項目

対処すべき課題

今後の見通しにつきましては、日本経済は、堅調なインバウンド需要などに支えられた緩やかな景気回復の継続が期待されるものの、中国をはじめとする新興国等の景気拡大テンポの下振れが懸念されるなど、不透明な状況が続くと考えられます。石油業界につきましては、自動車の燃費改善、社会における省エネルギー指向の高まり及び少子高齢化などにより、燃料油の国内需要減少のトレンドは続くものと予想されますが、成長を続けるアジア諸国を中心に石油製品の需要増加が見込まれます。
このような経営環境を踏まえて、引き続き第5次連結中期経営計画を着実に実行し、投資の選択と集中、更なる合理化・効率化などにより収益力を強化するとともに、有利子負債の削減を図り財務体質の改善に努めてまいります。
[4つの基本方針と6つの施策]
Ⅰ.石油精製販売事業における競争力の強化
施策:①製油所の安全操業・安定供給に関する取り組み強化
②供給部門を中心とした徹底的な合理化
③リテールビジネスの強化
Ⅱ.前中期経営計画で実施した戦略投資の確実な回収
施策:④石油化学事業
⑤石油開発事業
⑥再生可能エネルギー事業
Ⅲ.International Petroleum Investment Company(IPIC)、Hyundai Oilbank Co., Ltd.(HDO)との
アライアンス強化
Ⅳ.CSR経営の推進
石油事業につきましては、生産面では「安全・環境・品質・健康」を基本として安全操業・安定供給を継続することに加え、連結子会社コスモ石油㈱千葉製油所における京葉精製共同事業合同会社による製油所競争力の強化、平成28年度の認定工場取得により見込まれる精製コストの大幅な改善、コスモ石油㈱四日市製油所における昭和四日市石油㈱との事業提携による精製設備の最適化を図ってまいります。
販売面では、「顧客の創造」、「お客様との関係性強化」、「車両販売への積極的な取り組み」の3つを軸に燃料油のみならずカーライフ全般の需要を獲得することを目的とした「コスモビークルビジョン」を掲げております。この方針の下、異業種提携、インターネットを通じたサービスの拡充及びビークルショップの全国展開などの施策を推進し、カーライフ価値提供業への業態変革を実現してまいります。
石油化学事業につきましては、平成28年3月に実施した丸善石油化学㈱の連結子会社化により、コスモ石油㈱千葉製油所と丸善石油化学㈱千葉工場の一体運営が可能となり、これによるシナジーを更なる競争力強化につなげてまいります。また、アジア地域での需要の拡大が見込まれるミックスキシレン・パラキシレン事業において、Hyundai Cosmo Petrochemical Co., Ltd.(HCP)を中心に据え、燃料油・ガス留分を高付加価値の石油化学製品に転換することにより収益の拡大を目指すとともに、継続して省エネルギー・合理化を推進してまいります。これらの取り組みにより、当社グループは、国内のミックスキシレン事業とHCPにおけるパラキシレン事業を一つのサプライチェーンと捉え、石油化学事業を資源開発、石油精製、石油販売に続く第4の柱へと成長させることを目指しております。
石油開発事業につきましては、平成29年度上期から本格的な生産を見込むヘイル鉱区の開発を着実に実行してまいります。また、Compañía Española de Petróleos, S.A.U.(CEPSA)との間では、IPICを株主とするアブダビファミリー企業として共同で新鉱区獲得や事業拡大を推進するなど、戦略的包括パートナーシップをさらに深め、次期中期経営計画につながる新たな事業機会の獲得について検討を進めてまいります。
再生可能エネルギー事業につきましては、石油業界の中でもトップクラスの総発電容量(18.4万kW)を誇る風力発電事業において、既存の発電設備の高稼働を継続します。また、度会サイト、酒田港湾サイトの建設を着実に実行することに加え、更なる新規風力発電設備の建設を検討してまいります。メガソーラー事業では、現在建設中の大三島太陽光発電所(愛媛県今治市)について、平成28年度の営業運転開始に向けて工事を着実に進めてまいります。
CSR経営の推進につきましては、CSR活動方針に基づく取り組みを推し進めるとともに、社員一人ひとりが誠実に業務を遂行し、社会からの期待に応えることで、継続して社会に貢献し、当社グループの企業価値を高めてまいります。
当社グループといたしましては、持株会社化による新体制の下、各事業会社のスピード感ある経営判断を基盤に、アグレッシブな事業活動と柔軟かつ迅速なアライアンス戦略(協業・共同・統合)を展開し、事業ごとの競争力を強化していくとともに、経営資源の最適配分を推進し、「グローバルな垂直型一貫総合エネルギー企業」を目指してまいります。
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月21日)現在において当社グループが判断したものであり、実際の業績は今後の様々な要因によって、計画と異なる場合があります。