訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2015/08/28 10:38
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【項目】
113項目

対処すべき課題

当社グループを取り巻く事業環境は、近年大きく変化してきております。通信技術や情報処理技術の高度化に伴って、ICT(Information and Communication Technology)と称される情報通信技術を利用した様々なサービスの市場が急拡大しております。
国内では、アベノミクス効果や東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催決定に伴い、成長戦略に必要な戦略的公共投資や社会インフラの大規模再構築の必要性が唱えられるとともに、東日本大震災をきっかけに、防災インフラの整備、代替エネルギーへの社会からの要請が高まってきております。また、アセアンを中心としたグローバル市場においても、社会インフラ整備における日本の技術的な役割が求められているところであります。
このような環境変化の中にあって、当社グループは、グループ全体の事業基盤の強化と企業価値の最大化を実現させるため、以下の項目を課題と認識しております。
(1)グループに共通する課題
①人材の確保
当社グループが属する設備工事業界では、現場での実作業においてオートメーション化が及ばない領域が多く、工事を進捗させるために交渉・調整能力に優れた優秀な人材の確保が必要となります。これに対応するため、当社グループでは、ベトナムでの人材育成、積極的な新卒/中途採用及び資格取得支援等の研修により、優秀な人材の育成・確保に努めております。またJESCO安全衛生協議会に外注業者も参加を依頼し、工事現場における安定的な人材の確保に努めております。
今後もこのような取り組みを継続的に実施し、外注業者を含めた優秀な人材を確保していくことが重要な課題となります。
② 内部管理体制の強化
当社グループでは、市場環境の変化及び事業の拡大に伴い、内部管理体制を整備し機能させることが重要であると考えております。金融商品取引法における内部統制に係る報告を実施するため内部管理体制の整備を推進し、コンプライアンス機能の強化、業務マニュアルの整備等を行ってまいりました。今後、業務の効率性・有効性の改善を進め継続的な成長を継続するため、内部管理体制のさらなる強化を推進してまいります。
③グループ間の連携強化
当社グループにおいては、JESCO CNS株式会社と東京メディアコミュニケーションズ株式会社による連携の強化により、相互の品質向上、案件管理の精緻化、受注機会の増加等につなげております。また日本国内のグループ会社とJESCO ASIA JOINT STOCK COMPANYとの技術連携、営業連携等の相互連携強化による業務の効率化及びコスト削減に努めてまいりました。
今後もグループ各社の相互連携の強化により、グループ全体の競争力を高めてまいります。
④ 日本国内で開催される大型イベントに向けた取り組み
今後日本国内では、2019年ラグビーワールドカップ、2020年東京オリンピックといった大型イベントの開催が決定しております。これらのイベント開催により、国内EPC事業においては、各種設備の新設・改修に伴う設備工事案件や、総合メディア事業においても関連施設へのサイネージ・ソリューション(大型ビジョンのシステム企画設計、販売)の提供など、当社グループの事業領域に関わる需要の増加が見込まれます。
当社グループは、この商機をしっかりととらまえるため、営業体制の強化を図ってまいります。
(2) 国内EPC事業に係る課題
①日本国内における収益機会の獲得
当該事業セグメントが属する設備工事業界の成長性は、堅調に推移していますが、ベトナム市場と比較すると低成長となっています。
低成長と言える環境下において安定した収益と着実な成長を得るために、当社グループでは安全品質を含めた高品質な工事実績を積み上げていくことで、継続的な受注を獲得してまいります。
② 防災行政無線に係るデジタル化案件の受注獲得
各市町村では総務省の通達により防災行政無線施設の周波数移行に伴うデジタル化を進めております。また、東日本大震災以降、防災行政にはこれまで以上に多様化・高度化する通信ニーズ(画像伝達・データ伝送等)への対応が要求されております。
当社グループでは従来より防災行政無線工事に係る案件の実績があり、今後同施設のデジタル化の需要増大に対応し受注獲得を図るため、営業体制を強化してまいります。
(3) アセアンEPC事業に係る課題
①アセアン地域における工事施工案件の獲得
当社グループはハノイ市に新設されたノイバイ国際空港第2旅客ターミナルビルの電気設備工事や、日本企業の現地工場の建設などの日本企業によるベトナム国内での施工実績を重ねておりますが、ベトナム現地企業であったJESCO HOA BINH JOINT STOCK CAMPANYを子会社化したことで、今後は日本企業のみならずベトナム現地企業からの工事施工案件を受注する体制を整えてまいります。
また、前述のノイバイ国際空港第2旅客ターミナルビルの電気設備工事や現在建設中の高速道路ITS(高度道路交通システム:Intelligent Transport Systems)工事等インフラ整備に係る工事施工の実績を重ねることで、今後のアセアン地域での同様の案件の獲得を目指してまいります。
②人材の育成・確保
当社グループはベトナム進出以来13年に亘り、現地採用人員の育成・確保に努めてまいりました。
今後も、現地の工業系大学出身者の積極採用により人材を確保し、日本国内同様の品質を目指して、品質・安全・施工管理の教育、ISOマネジメントシステム教育を継続実施し、また日本国内の顧客及び当社グループ内での円滑なコミュニケーションが図れるよう日本語教育を継続実施してまいります。これにより高い能力を有する技術者の育成と確保に努めてまいります。
(4) 総合メディア事業に係る課題
①ロードサイドビジョンに係る事業の収益化
ロードサイドビジョンへの広告枠の販売は、広告代理店への営業を主とする従来の販売方式から、広告主への直接販売を目指す戦略へと変換することにより、収益率の向上に努めてまいります。
また、販売枠の柔軟な設定や成長性の高いインターネット広告とのメディアミックスなど、魅力ある提案を行い、ロードサイドビジョン全体の稼働率を高め、事業の収益化に取り組んでまいります。
②リニューアル需要の獲得
現在、全国の公営競技施設や体育・文化施設、商業施設をはじめとして、全国に大型ビジョンの普及が進んでおり、今後老朽化に伴うリニューアル需要が高まることが期待されております。
当社グループでは、どのメーカーにも属さない独立系であるため、全てのシステムへの対応が可能である強みを生かし、多くの需要を取り込むことができるよう営業体制の強化を図ってまいります。