有価証券報告書-第5期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 11:05
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157項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米中相互の関税引き上げ等の影響を受け、第3四半期より成長が鈍化しております。
アメリカ経済は、中国との貿易摩擦により中国向け輸出が減少しているものの、堅調な雇用に基づく個人消費や政策的なサポートにより、足元の景気が下支えされております。中国経済は、アメリカとの貿易摩擦の影響による景気の減速傾向が顕著になっているものの、インフラ投資や消費刺激策等の政策効果による下支えに対する期待もあり、停滞局面の継続が見込まれます。ニュージーランド経済は、政策金利の過去最低水準である1.75%の据え置きが経済の下支えとなっているものの、世界的な景気下振れリスクの高まりや企業マインドの低下により、成長が鈍化してまいりました。
このような経済状況のもと、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の中核事業会社である㈱日貿においては、顧客であるニュージーランドのディーラーの購買スタンスが慎重となった影響を受け販売台数は31,405台となり、前年同期比15.3%減少しました。また、物流セグメントの中核事業子会社Dolphin Shipping New Zealand Limitedにおいては、セグメント売上高の大部分を占めるニュージーランド向けの輸送台数が、カメムシ問題(注)の影響により前連結会計年度から当連結会計年度へずれ込んだこともあり、32,769台となり前年同期比2.7%増加しました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(注)2018年2月にニュージーランドのオークランドに入港した日本発の自動車運搬船においてカメムシ(害虫指定のクサギカメムシ)が発見され、車両の荷揚げが制限された事象。
イ.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ19億89百万円増加し、226億80百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ7億20百万円増加し、119億39百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ12億69百万円増加し、107億41百万円となりました。
ロ.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高256億44百万円(前年同期比1.9%減)、営業利益13億16百万円(同8.7%
増)、経常利益14億51百万円(同9.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益15億73百万円(同73.0%増)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
貿易では、売上高143億13百万円(前年同期比15.5%減)、セグメント損失70百万円(前年同期は87百万円の利益)となりました。
物流では、売上高47億46百万円(前年同期比16.3%増)、セグメント利益5億16百万円(同15.5%減)となりました。
サービスでは、売上高56億20百万円(前年同期比18.5%増)、セグメント利益1億4百万円(同193.2%増)となりました。
検査では、売上高46億98百万円(前年同期比20.7%増)、セグメント利益8億78百万円(同53.0%増)となりました。
②キャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動の結果増加した資金は4億71百万円(前年同期は5億22百万円の減少)となりました。
また、投資活動の結果増加した資金は2億30百万円(前年同期は8億2百万円の減少)となり、財務活動の結果増加した資金は1億11百万円(前年同期は10億60百万円の増加)となりました。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、49億58百万円(前年同期比7億63百万円の増加)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
ロ.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
貿易12,750,48685.4
サービス440,111305.9
合計13,190,59787.5

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.物流セグメント及び検査セグメントにおいては商品仕入活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
ハ.受注実績
役務または商品等の受注から完了または納品等までの所要時間が短いため、常に受注残高は僅少であり、期中の受注高と販売実績とがほぼ同額であるため、記載を省略しております。
ニ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
貿易12,233,99883.4
物流4,200,301119.4
サービス5,538,804118.2
検査3,671,011112.7
合計25,644,11598.1

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.相手先別の販売実績につきましては、総販売実績に対して10%以上の相手先がありませんので、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、経営者の判断に基づく会計方針の選択と適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りにつきましては、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果につきましては、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成に当たり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績等
(イ)財政状態
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて11.9%増加し、182億64百万円となりました。これは、主に当連結会計年度末の固定資産売却により現金及び預金が5億43百万円増加したこと、サービスセグメント子会社でニュージーランドの一般消費者向け自動車ローン事業を営むAuto Finance Direct Limitedの貸出残高の増加により売掛金が10億35百万円増加したことや、レンタカー事業買収等に伴いその他流動資産が7億41百万円増加したことによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて1.0%増加し、44億15百万円となりました。これは、㈱日本輸出自動車検査センターにおいて熱処理検査用装置の取得を行った一方、本社ビルを売却したため有形固定資産が2億25百万円減少しましたが、新オフィスのための差入保証金や繰延税金資産等の増加により、投資その他の資産が2億19百万円増加したことによります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて9.6%増加し、226億80百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて5.0%減少し、101億64百万円となりました。これは、主に短期借入金が8億9百万円減少したことによります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて244.2%増加し、17億74百万円となりました。これは、主に長期借入金が13億24百万円増加したことによります。
この結果、負債は、前連結会計年度末に比べて6.4%増加し、119億39百万円となりました。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べて13.4%増加し、107億41百万円となりました。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことによるものであります。
(ロ)経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べて1.9%減少し、256億44百万円となりました。
当社グループの主力事業を担う貿易セグメントの中核事業子会社である㈱日貿では、顧客であるニュージーランドのディーラーの購買スタンスが慎重となった影響を受け販売台数が減少し、当連結会計年度の中古自動車販売台数は31,405台と前年同期比15.3%減となり、貿易セグメントの売上高は143億13百万円(前年同期比15.5%減)となりました。
物流セグメントでは、中核事業子会社Dolphin Shipping New Zealand Limitedの輸送台数が、カメムシ問題の影響により、前連結会計年度よりずれ込み32,769台となり、また熱処理検査代金の売上高計上もあったため、物流セグメントの売上高は47億46百万円(同16.3%増)となりました。
サービスセグメントでは、2018年9月に連結子会社であったMD Distributors LimitedがMahindra & Mahindra Limitedの新車等の輸入卸売、小売事業より撤退し清算した一方、当社子会社のTrade Cars LimitedやAuto Finance Direct Limited等が業容を順調に拡大し、売上高は56億20百万円(同18.5%増)となりました。
検査セグメントでは、ニュージーランド向け中古自動車販売台数の減少により、㈱日本輸出自動車検査センターにおけるニュージーランド向けバイオ検査(検疫)件数が91,382件(前年同期比13.4%減少)となったものの、カメムシ問題対応のため2018年9月より開始したバイオセキュリティ熱処理システム検査(以下「熱処理検査」)件数が53,748件と好調に推移したことにより、売上高は46億98百万円(同20.7%増)となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べて3.0%減少し、197億77百万円となりました。これは主に貿易セグメントにおける仕入台数の減少による仕入額の減少等によるものであります。
この結果、当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べて2.2%増加し、58億66百万円となりました。
(営業損益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べて0.5%増加し、45億50百万円となりました。これは主にグループ各社の体制強化のための人員の増加の一方、Mahindra & Mahindra Limitedの新車等の輸入卸売、小売事業より撤退したことに伴う広告宣伝費が減少したこと等によるものであります。
この結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べて8.7%増加し、13億16百万円となりました。
(経常損益)
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べて9.4%減少し、2億72百万円となりました。これは、主に海外子会社等で発生していた為替差益が減少したことによるものであります。
当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度に比べて24.1%減少し、1億38百万円となりました。これは、主に、利率の低下による支払利息の減少、前連結会計年度に発生した株式公開費用の計上がなくなったことによるものであります。
この結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べて9.1%増加し、14億51百万円となりました。
(特別損益及び税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度に比べて5億50百万円増加し、5億58百万円となりました。これは、主に、本社ビル売却による固定資産売却益によるものであります。
当連結会計年度の特別損失は、前連結会計年度に比べて35百万円増加し、35百万円となりました。これは、主に子会社が保有していた不動産の売却に伴う固定資産除売却損や減損損失等によるものであります。
この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べて47.5%増加し、19億74百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の法人税等合計は4億円となりました。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて73.0%増加し、15億73百万円となりました。
(ハ)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比べて7億63百万円増加(前年同期比18.1%増加)し、49億58百万円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果増加した資金は4億71百万円(前年同期は5億22百万円の減少)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益19億74百万円、減価償却費3億26百万円、たな卸資産の減少3億73百万円等の増加要因と売上債権の増加11億10百万円等の減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果増加した資金は2億30百万円(前年同期は8億2百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の売却による収入14億89百万円等の増加要因と有形固定資産の取得による支出12億77百万円等の減少要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果増加した資金は1億11百万円(前年同期は10億60百万円の増加)となりました。これは主に長期借入れによる収入による増加14億円等の増加要因と短期借入金の純減7億94百万円等の減少要因によるものであります。
ロ.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しており、それらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
ハ.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要の主なものは、中古自動車の仕入れ、自動車ローンの貸付資金及びその他の売上原価であります。運転資金の財源は、自己資金及び金融機関からの借入金によっています。
投資を目的とした資金需要は、設備投資や事業買収等による投資であります。投資を目的とした資金は、自己資金を主たる財源としつつ、必要に応じて金融機関からの借入や社債及び株式の発行によって資金の調達を行っております。
なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は96億44百万円となっております。また、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は49億58百万円となっております。
ニ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、収益性及び効率性の観点から、連結営業利益額、連結経常利益額及び自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標と考えております。
また、収益性の観点から、連結子会社である㈱日貿の中古自動車販売台数を重要業績評価指標(KPI)として考えております。その理由は、同社における販売のみならず、物流、サービス、検査等が直接的に影響を受けるためであります。
当連結会計年度における連結営業利益額は13億16百万円(前年同期比1億6百万円増)、連結経常利益額は14億51百万円(同1億21百万円増)及び自己資本当期純利益率(ROE)は15.6%(前年同期は10.3%)となりました。また、㈱日貿の中古車販売台数は31,405台(前年同期比5,684台減)となりました。
ホ.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(貿易)
貿易では、顧客であるニュージーランドのディーラーの購買スタンスが慎重となった影響を受け販売台数が減少いたしました。この結果、売上高143億13百万円(前年同期比15.5%減)、セグメント損失70百万円(前年同期は87百万円の利益)となりました。
セグメント資産は、9億77百万円減少し、84億78百万円となりました。
(物流)
物流では、中核事業子会社Dolphin Shipping New Zealand Limitedの輸送台数が、カメムシ問題の影響によって前連結会計年度よりずれ込み32,769台となり、また熱処理検査代金相当分の売上高計上もあったため、売上高は47億46百万円(前年同期比16.3%増)となりましたが、熱処理検査代金の同額原価計上により、セグメント利益は5億16百万円(同15.5%減)となりました。
セグメント資産は9百万円減少し、13億27百万円となりました。
(サービス)
サービスでは、2018年9月に連結子会社であったMD Distributors LimitedがMahindra & Mahindra Limitedの新車等の輸入卸売、小売事業より撤退し清算した一方、当社子会社のTrade Cars LimitedやAuto Finance Direct Limited等が業容を順調に拡大し、売上高は56億20百万円(前年同期比18.5%増)となりました。セグメント利益は、個人向け自動車ローンの貸出件数の増加を主因に、1億4百万円(同193.2%増)となりました。
セグメント資産は、売掛金の増加等により16億35百万円増加し、93億54百万円となりました。
(検査)
検査では、カメムシ問題の影響等により、バイオ検査(検疫)件数は91,382件(前年同期比13.4%減)となりました。一方、2018年9月より開始した熱処理検査件数が53,748件と好調に推移いたしました。この結果、売上高46億98百万円(同20.7%増)、セグメント利益8億78百万円(同53.0%増)となりました。
セグメント資産は3億51百万円増加し、33億18百万円となりました。