有価証券報告書-第6期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易問題等により成長速度が徐々に減速していたところ、第4四半期に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的流行)や原油価格の急落等により先行きの悪化が見込まれております。
アメリカ経済は、堅調な雇用を背景とした個人消費に景気が下支えされ、中国との貿易問題にも進展が見られましたが、前述のCOVID-19により足元では雇用環境の悪化が顕著となりました。中国経済は、アメリカとの貿易摩擦の影響により景気が減速していたところにCOVID-19が発生し、生産活動が落ち込んでいます。ニュージーランド経済は、前述の環境の下、中央銀行による過去最低の0.25%への利下げや政府のインフラ整備案等で下支えを図ってきましたが、COVID-19により一層の下押しは不可避と予想されております。
このような環境下において、前述の通り、当連結会計年度末付近においてニュージーランドにおけるCOVID-19による警告システムのレベルは最悪の4に至り事業活動に一部、制約を受けたものの、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の中核事業会社である㈱日貿においては、新規顧客の貢献やESC(横滑り防止装置)義務化前の駆け込み需要等により販売台数は37,283台となり、前年同期比18.7%増加しました。また、物流セグメントの中核事業子会社Dolphin Shipping New Zealand Limitedにおいては、セグメント売上高の大部分を占めるニュージーランド向けの輸送台数が、中古車販売台数の増加により42,882台となり前年同期比12.5%増加しました。
他方、検査セグメントにおいては、㈱日本輸出自動車検査センターにおけるニュージーランド向けバイオ検査(検疫)件数が88,441件(前年同期比3.2%減)となった一方、カメムシ問題(注1)対応のため2018年9月より開始したバイオセキュリティ熱処理システム検査(以下「熱処理検査」)件数が61,154件と推移いたしました。
サービスセグメントにおいては、当社子会社のTrade Cars LimitedやAuto Finance Direct Limited等の業容が堅調に推移しました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(注1)2018年2月にニュージーランドのオークランドに入港した日本発の自動車運搬船においてカメムシ(害虫指定のクサギカメムシ)が発見され、車両の荷揚げが制限された事象。
イ.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ11億73百万円増加し、238億54百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ25億54百万円増加し、144億93百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ13億80百万円減少し、93億60百万円となりました。
ロ.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高265億20百万円(前年同期比3.4%増)、営業利益13億19百万円(同0.3%増)、経常利益11億71百万円(同19.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益7億13百万円(同54.7%減)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
貿易では、売上高152億17百万円(前年同期比6.3%増)、セグメント利益1億66百万円(前年同期は70百万円の損失)となりました。
物流では、売上高53億8百万円(前年同期比11.8%増)、セグメント利益4億54百万円(同12.1%減)となりました。
サービスでは、売上高60億49百万円(前年同期比7.6%増)、セグメント利益1億41百万円(同35.5%増)となりました。
検査では、売上高44億8百万円(前年同期比6.2%減)、セグメント利益6億8百万円(同30.7%減)となりました。
②キャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動の結果減少した資金は7億5百万円(前年同期は4億71百万円の増加)となりました。
また、投資活動の結果減少した資金は17億5百万円(前年同期は2億30百万円の増加)となり、財務活動の結果増加した資金は16億72百万円(前年同期は1億11百万円の増加)となりました。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、41億83百万円(前年同期比7億74百万円の減少)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
ロ.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.物流セグメントにおいては商品仕入活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
ハ.受注実績
役務または商品等の受注から完了または納品等までの所要時間が短いため、常に受注残高は僅少であり、期中の受注高と販売実績とがほぼ同額であるため、記載を省略しております。
ニ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.相手先別の販売実績につきましては、総販売実績に対して10%以上の相手先がありませんので、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、経営者の判断に基づく会計方針の選択と適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りにつきましては、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果につきましては、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成に当たり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。当該見積り項目において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響についても、その収束の見通し等について一定の仮定を置いた上で見積りを行っております。
(固定資産)
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価に当たり、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。
固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損損失が計上される可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(貸倒引当金)
債権の貸倒損失に備えるため、当社及び国内連結子会社は一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。また、在外子会社は主として特定の債権について回収不能見込額を計上しております。将来、債権の相手先の財務状況がさらに悪化して支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績等
(イ)財政状態
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ5.7%増加し、193億1百万円となりました。これは主に現金及び預金が7億74百万円減少及びたな卸資産が7億78百万円減少した一方、自動車ローン事業における販売金融債権が11億78百万円増加したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ3.1%増加し、45億53百万円となりました。これは主に在外連結子会社において、IFRS第16号(リース)の適用等に伴い有形固定資産が1億43百万円増加したことやレンタカー事業買収に伴いのれんが1億28百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ5.2%増加し、238億54百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ6.1%増加し、107億82百万円となりました。これは主に、短期借入金が16億70百万円増加したことによります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ109.1%増加し、37億10百万円となりました。これは主に在外連結子会社において、IFRS第16号(リース)の適用等に伴いその他固定負債が3億15百万円増加および長期借入金17億33百万円増加によるものであります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べ21.4%増加し、144億93百万円となりました。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ12.9%減少し、93億60百万円となりました。これは主に自己株式7億71百万円増加及び為替換算調整勘定10億61百万円減少によるものであります。
(ロ)経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べて3.4%増加し、265億20百万円となりました。
当社グループの主力事業を担う貿易セグメントの中核事業会社である㈱日貿では、新規顧客の貢献やESC(横滑り防止装置)義務化前の需要増等により、販売台数は37,283台と前年同期比18.7%増となり、貿易セグメントの売上高は152億17百万円(前年同期比6.3%増)となりました。
物流セグメントでは、中核事業子会社Dolphin Shipping New Zealand Limitedのニュージーランド向けの輸送台数が、中古車販売台数の増加により42,882台となり、物流セグメントの売上高は53億8百万円(同11.8%増)となりました。
サービスセグメントでは、当社子会社のTrade Cars LimitedやAuto Finance Direct Limited等の業容が堅調に推移し、売上高は60億49百万円(同7.6%増)となりました。
検査セグメントでは、㈱日本輸出自動車検査センターにおけるニュージーランド向けバイオ検査(検疫)件数が88,441件(前年同期比3.2%減少)となったものの、カメムシ問題(注1)対応のため2018年9月より開始したバイオセキュリティ熱処理システム検査の件数が61,154件と推移したことにより、売上高は44億8百万円(同6.2%減)となりました。
(注1)2018年2月にニュージーランドのオークランドに入港した日本発の自動車運搬船においてカメムシ(害虫指定のクサギカメムシ)が発見され、車両の荷揚げが制限された事象
(売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べて3.7%増加し、205億円となりました。これは主に貿易セグメントにおける販売台数の増加等によるものであります。
この結果、当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べて2.6%増加し、60億20百万円となりました。
(営業損益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べて3.3%増加し、47億円となりました。これは主に中古車販売台数増加に伴う輸出作業料の増加、事業譲受において生じた人員増加による人件費の増加やのれん償却額の増加等によるものであります。
この結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べて0.3%増加し、13億19百万円となりました。
(経常損益)
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べて64.8%減少し、96百万円となりました。これは、主に円高進行により為替差益が為替差損へ転じたことによるものであります。
当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度に比べて77.1%増加し、2億44百万円となりました。これは、主に、円高進行による為替差損の増加によるものであります。
この結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べて19.3%減少し、11億71百万円となりました。
(特別損益及び税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度に比べて4億95百万円減少し、62百万円となりました。これは、主に、前連結会計年度に発生した本社ビル売却による固定資産売却益の計上がなくなったことによるものであります。
当連結会計年度の特別損失は、前連結会計年度に比べて1億23百万円増加し、1億58百万円となりました。これは、主に、子会社におけるのれんの減損損失や緑化事業からの撤退による事業撤退損等によるものであります。
この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べて45.5%減少し、10億75百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の法人税等合計は3億61百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて54.7%減少し、7億13百万円となりました。
(ハ)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比べて7億74百万円減少(前年同期比15.6%減少)し、41億83百万円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果減少した資金は7億5百万円(前年同期は4億71百万円の増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益10億75百万円、減価償却費5億6百万円、たな卸資産の減少6億92百万円等の増加要因と、売上債権の増加11億79百万円、販売金融債権の増加18億71百万円、法人税等の支払額5億94百万円等の減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果減少した資金は17億5百万円(前年同期は2億30百万円の増加)となりました。これは主に有形固定資産の売却による収入2億59百万円等の増加要因と、事業譲受による支出6億34百万円、短期貸付金の純増減額8億58百万円等の減少要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果増加した資金は16億72百万円(前年同期は1億11百万円の増加)となりました。これは主に自己株式の取得による支出7億71百万円等の減少要因と短期借入金の純増額19億95百万円の増加要因によるものであります。
ロ.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しており、それらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
ハ.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要の主なものは、中古自動車の仕入れ、自動車ローンの貸付資金及びその他の売上原価であります。運転資金の財源は、自己資金及び金融機関からの借入金によっています。
投資を目的とした資金需要は、設備投資や事業買収等による投資であります。投資を目的とした資金は、自己資金を主たる財源としつつ、必要に応じて金融機関からの借入や社債及び株式の発行によって資金の調達を行う方針であります。
なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は124億90百万円となっております。また、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は41億83百万円となっております。
ニ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、収益性及び効率性の観点から、連結営業利益額、連結経常利益額及び自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標と考えております。
また、収益性の観点から、連結子会社である㈱日貿の中古自動車販売台数を重要業績評価指標(KPI)として考えております。その理由は、同社における販売のみならず、物流、サービス、検査等が直接的に影響を受けるためであります。
当連結会計年度における連結営業利益額は13億19百万円(前年同期比3百万円増)、連結経常利益額は11億71百万円(同2億79百万円減)及び自己資本当期純利益率(ROE)は7.1%(前年同期は15.6%)となりました。また、㈱日貿の中古車販売台数は37,283台(前年同期比5,878台増)となりました。
ホ.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(貿易)
貿易では、新規顧客の貢献やESC(横滑り防止装置)義務化前の駆け込み需要等により販売台数が増加いたしました。この結果、売上高152億17百万円(前年同期比6.3%増)、セグメント利益1億66百万円(前年同期は70百万円の損失)となりました。
セグメント資産は、37百万円減少し、84億40百万円となりました。
(物流)
物流では、中核事業子会社Dolphin Shipping New Zealand Limitedの輸送台数が、中古車販売台数の増加により42,882台となり、また熱処理検査代金相当分の売上高計上もあったため、売上高は53億8百万円(前年同期比11.8%増)となりましたが、熱処理検査代金の同額原価計上により、セグメント利益は4億54百万円(同12.1%減)となりました。
セグメント資産は4億16百万円増加し、17億43百万円となりました。
(サービス)
サービスでは、当社子会社のTrade Cars LimitedやAuto Finance Direct Limited等の業容が堅調に推移し、売上高は60億49百万円(前年同期比7.6%増)となりました。セグメント利益は、個人向け自動車ローンの貸出件数の増加を主因に、1億41百万円(同35.5%増)となりました。
セグメント資産は、販売金融債権の増加等により9億93百万円増加し、103億47百万円となりました。
(検査)
検査では、バイオ検査(検疫)件数は88,441件(前年同期比3.2%減)となりました。一方、2018年9月より開始した熱処理検査件数が61,154件と推移いたしました。この結果、売上高44億8百万円(同6.2%減)、セグメント利益6億8百万円(同30.7%減)となりました。
セグメント資産は1億61百万円減少し、31億56百万円となりました。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易問題等により成長速度が徐々に減速していたところ、第4四半期に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的流行)や原油価格の急落等により先行きの悪化が見込まれております。
アメリカ経済は、堅調な雇用を背景とした個人消費に景気が下支えされ、中国との貿易問題にも進展が見られましたが、前述のCOVID-19により足元では雇用環境の悪化が顕著となりました。中国経済は、アメリカとの貿易摩擦の影響により景気が減速していたところにCOVID-19が発生し、生産活動が落ち込んでいます。ニュージーランド経済は、前述の環境の下、中央銀行による過去最低の0.25%への利下げや政府のインフラ整備案等で下支えを図ってきましたが、COVID-19により一層の下押しは不可避と予想されております。
このような環境下において、前述の通り、当連結会計年度末付近においてニュージーランドにおけるCOVID-19による警告システムのレベルは最悪の4に至り事業活動に一部、制約を受けたものの、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の中核事業会社である㈱日貿においては、新規顧客の貢献やESC(横滑り防止装置)義務化前の駆け込み需要等により販売台数は37,283台となり、前年同期比18.7%増加しました。また、物流セグメントの中核事業子会社Dolphin Shipping New Zealand Limitedにおいては、セグメント売上高の大部分を占めるニュージーランド向けの輸送台数が、中古車販売台数の増加により42,882台となり前年同期比12.5%増加しました。
他方、検査セグメントにおいては、㈱日本輸出自動車検査センターにおけるニュージーランド向けバイオ検査(検疫)件数が88,441件(前年同期比3.2%減)となった一方、カメムシ問題(注1)対応のため2018年9月より開始したバイオセキュリティ熱処理システム検査(以下「熱処理検査」)件数が61,154件と推移いたしました。
サービスセグメントにおいては、当社子会社のTrade Cars LimitedやAuto Finance Direct Limited等の業容が堅調に推移しました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(注1)2018年2月にニュージーランドのオークランドに入港した日本発の自動車運搬船においてカメムシ(害虫指定のクサギカメムシ)が発見され、車両の荷揚げが制限された事象。
イ.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ11億73百万円増加し、238億54百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ25億54百万円増加し、144億93百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ13億80百万円減少し、93億60百万円となりました。
ロ.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高265億20百万円(前年同期比3.4%増)、営業利益13億19百万円(同0.3%増)、経常利益11億71百万円(同19.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益7億13百万円(同54.7%減)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
貿易では、売上高152億17百万円(前年同期比6.3%増)、セグメント利益1億66百万円(前年同期は70百万円の損失)となりました。
物流では、売上高53億8百万円(前年同期比11.8%増)、セグメント利益4億54百万円(同12.1%減)となりました。
サービスでは、売上高60億49百万円(前年同期比7.6%増)、セグメント利益1億41百万円(同35.5%増)となりました。
検査では、売上高44億8百万円(前年同期比6.2%減)、セグメント利益6億8百万円(同30.7%減)となりました。
②キャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動の結果減少した資金は7億5百万円(前年同期は4億71百万円の増加)となりました。
また、投資活動の結果減少した資金は17億5百万円(前年同期は2億30百万円の増加)となり、財務活動の結果増加した資金は16億72百万円(前年同期は1億11百万円の増加)となりました。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、41億83百万円(前年同期比7億74百万円の減少)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
ロ.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |
金額(千円) | 前年同期比(%) | |
貿易 | 12,703,410 | 99.6 |
サービス | 224,769 | 51.1 |
検査 | 3,243 | - |
合計 | 12,931,423 | 98.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.物流セグメントにおいては商品仕入活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
ハ.受注実績
役務または商品等の受注から完了または納品等までの所要時間が短いため、常に受注残高は僅少であり、期中の受注高と販売実績とがほぼ同額であるため、記載を省略しております。
ニ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |
金額(千円) | 前年同期比(%) | |
貿易 | 12,661,974 | 103.5 |
物流 | 4,630,707 | 110.2 |
サービス | 5,968,209 | 107.8 |
検査 | 3,240,611 | 88.3 |
その他 | 19,250 | - |
合計 | 26,520,752 | 103.4 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.相手先別の販売実績につきましては、総販売実績に対して10%以上の相手先がありませんので、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、経営者の判断に基づく会計方針の選択と適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りにつきましては、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果につきましては、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成に当たり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。当該見積り項目において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響についても、その収束の見通し等について一定の仮定を置いた上で見積りを行っております。
(固定資産)
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価に当たり、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。
固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損損失が計上される可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(貸倒引当金)
債権の貸倒損失に備えるため、当社及び国内連結子会社は一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。また、在外子会社は主として特定の債権について回収不能見込額を計上しております。将来、債権の相手先の財務状況がさらに悪化して支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績等
(イ)財政状態
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ5.7%増加し、193億1百万円となりました。これは主に現金及び預金が7億74百万円減少及びたな卸資産が7億78百万円減少した一方、自動車ローン事業における販売金融債権が11億78百万円増加したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ3.1%増加し、45億53百万円となりました。これは主に在外連結子会社において、IFRS第16号(リース)の適用等に伴い有形固定資産が1億43百万円増加したことやレンタカー事業買収に伴いのれんが1億28百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ5.2%増加し、238億54百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ6.1%増加し、107億82百万円となりました。これは主に、短期借入金が16億70百万円増加したことによります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ109.1%増加し、37億10百万円となりました。これは主に在外連結子会社において、IFRS第16号(リース)の適用等に伴いその他固定負債が3億15百万円増加および長期借入金17億33百万円増加によるものであります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べ21.4%増加し、144億93百万円となりました。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ12.9%減少し、93億60百万円となりました。これは主に自己株式7億71百万円増加及び為替換算調整勘定10億61百万円減少によるものであります。
(ロ)経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べて3.4%増加し、265億20百万円となりました。
当社グループの主力事業を担う貿易セグメントの中核事業会社である㈱日貿では、新規顧客の貢献やESC(横滑り防止装置)義務化前の需要増等により、販売台数は37,283台と前年同期比18.7%増となり、貿易セグメントの売上高は152億17百万円(前年同期比6.3%増)となりました。
物流セグメントでは、中核事業子会社Dolphin Shipping New Zealand Limitedのニュージーランド向けの輸送台数が、中古車販売台数の増加により42,882台となり、物流セグメントの売上高は53億8百万円(同11.8%増)となりました。
サービスセグメントでは、当社子会社のTrade Cars LimitedやAuto Finance Direct Limited等の業容が堅調に推移し、売上高は60億49百万円(同7.6%増)となりました。
検査セグメントでは、㈱日本輸出自動車検査センターにおけるニュージーランド向けバイオ検査(検疫)件数が88,441件(前年同期比3.2%減少)となったものの、カメムシ問題(注1)対応のため2018年9月より開始したバイオセキュリティ熱処理システム検査の件数が61,154件と推移したことにより、売上高は44億8百万円(同6.2%減)となりました。
(注1)2018年2月にニュージーランドのオークランドに入港した日本発の自動車運搬船においてカメムシ(害虫指定のクサギカメムシ)が発見され、車両の荷揚げが制限された事象
(売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べて3.7%増加し、205億円となりました。これは主に貿易セグメントにおける販売台数の増加等によるものであります。
この結果、当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べて2.6%増加し、60億20百万円となりました。
(営業損益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べて3.3%増加し、47億円となりました。これは主に中古車販売台数増加に伴う輸出作業料の増加、事業譲受において生じた人員増加による人件費の増加やのれん償却額の増加等によるものであります。
この結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べて0.3%増加し、13億19百万円となりました。
(経常損益)
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べて64.8%減少し、96百万円となりました。これは、主に円高進行により為替差益が為替差損へ転じたことによるものであります。
当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度に比べて77.1%増加し、2億44百万円となりました。これは、主に、円高進行による為替差損の増加によるものであります。
この結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べて19.3%減少し、11億71百万円となりました。
(特別損益及び税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度に比べて4億95百万円減少し、62百万円となりました。これは、主に、前連結会計年度に発生した本社ビル売却による固定資産売却益の計上がなくなったことによるものであります。
当連結会計年度の特別損失は、前連結会計年度に比べて1億23百万円増加し、1億58百万円となりました。これは、主に、子会社におけるのれんの減損損失や緑化事業からの撤退による事業撤退損等によるものであります。
この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べて45.5%減少し、10億75百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の法人税等合計は3億61百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて54.7%減少し、7億13百万円となりました。
(ハ)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比べて7億74百万円減少(前年同期比15.6%減少)し、41億83百万円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果減少した資金は7億5百万円(前年同期は4億71百万円の増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益10億75百万円、減価償却費5億6百万円、たな卸資産の減少6億92百万円等の増加要因と、売上債権の増加11億79百万円、販売金融債権の増加18億71百万円、法人税等の支払額5億94百万円等の減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果減少した資金は17億5百万円(前年同期は2億30百万円の増加)となりました。これは主に有形固定資産の売却による収入2億59百万円等の増加要因と、事業譲受による支出6億34百万円、短期貸付金の純増減額8億58百万円等の減少要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果増加した資金は16億72百万円(前年同期は1億11百万円の増加)となりました。これは主に自己株式の取得による支出7億71百万円等の減少要因と短期借入金の純増額19億95百万円の増加要因によるものであります。
ロ.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しており、それらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
ハ.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要の主なものは、中古自動車の仕入れ、自動車ローンの貸付資金及びその他の売上原価であります。運転資金の財源は、自己資金及び金融機関からの借入金によっています。
投資を目的とした資金需要は、設備投資や事業買収等による投資であります。投資を目的とした資金は、自己資金を主たる財源としつつ、必要に応じて金融機関からの借入や社債及び株式の発行によって資金の調達を行う方針であります。
なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は124億90百万円となっております。また、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は41億83百万円となっております。
ニ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、収益性及び効率性の観点から、連結営業利益額、連結経常利益額及び自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標と考えております。
また、収益性の観点から、連結子会社である㈱日貿の中古自動車販売台数を重要業績評価指標(KPI)として考えております。その理由は、同社における販売のみならず、物流、サービス、検査等が直接的に影響を受けるためであります。
当連結会計年度における連結営業利益額は13億19百万円(前年同期比3百万円増)、連結経常利益額は11億71百万円(同2億79百万円減)及び自己資本当期純利益率(ROE)は7.1%(前年同期は15.6%)となりました。また、㈱日貿の中古車販売台数は37,283台(前年同期比5,878台増)となりました。
ホ.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(貿易)
貿易では、新規顧客の貢献やESC(横滑り防止装置)義務化前の駆け込み需要等により販売台数が増加いたしました。この結果、売上高152億17百万円(前年同期比6.3%増)、セグメント利益1億66百万円(前年同期は70百万円の損失)となりました。
セグメント資産は、37百万円減少し、84億40百万円となりました。
(物流)
物流では、中核事業子会社Dolphin Shipping New Zealand Limitedの輸送台数が、中古車販売台数の増加により42,882台となり、また熱処理検査代金相当分の売上高計上もあったため、売上高は53億8百万円(前年同期比11.8%増)となりましたが、熱処理検査代金の同額原価計上により、セグメント利益は4億54百万円(同12.1%減)となりました。
セグメント資産は4億16百万円増加し、17億43百万円となりました。
(サービス)
サービスでは、当社子会社のTrade Cars LimitedやAuto Finance Direct Limited等の業容が堅調に推移し、売上高は60億49百万円(前年同期比7.6%増)となりました。セグメント利益は、個人向け自動車ローンの貸出件数の増加を主因に、1億41百万円(同35.5%増)となりました。
セグメント資産は、販売金融債権の増加等により9億93百万円増加し、103億47百万円となりました。
(検査)
検査では、バイオ検査(検疫)件数は88,441件(前年同期比3.2%減)となりました。一方、2018年9月より開始した熱処理検査件数が61,154件と推移いたしました。この結果、売上高44億8百万円(同6.2%減)、セグメント利益6億8百万円(同30.7%減)となりました。
セグメント資産は1億61百万円減少し、31億56百万円となりました。