有価証券報告書-第7期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 11:14
【資料】
PDFをみる
【項目】
145項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行が継続する中で、主要国が財政出動と金融緩和により景気を下支えする構図が継続しました。
当社事業の中核市場であるニュージーランドにおける経済は、2020年暦年では-2.9%台の成長率とみられています(IMF、2021年4月)。拡大した財政には注意が必要と思われるものの、他国に比べてCOVID-19の抑制に成功する中で、個人消費等の内需を牽引役に景気は回復途上にあります。また、同国の中古自動車市場では、昨年からESC(横滑り防止装置)規制が完全導入されたことにより輸入中古自動車総量は前年比縮小しているものの、移動手段としてのマイカーニーズの高止まりもあり、市場の購買意欲は高位推移しております。
このような経済状況のもと、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の中核会社である㈱日貿においては、ESC規制による輸入総量の縮小に加え、当連結会計年度第1四半期におけるニュージーランドでのCOVID-19対応のためのロックダウンの影響から、極めて厳しい出足となりましたが、当連結会計年度後半において、前述のような中古自動車需要回復基調を捉えて販売数量を伸ばした結果、年間販売台数は30,584台と、前年同期比18.0%の減少に留めることができました。また、物流セグメントの中核事業子会社Dolphin Shipping New Zealand Limitedにおいては、セグメント売上高の大部分を占めるニュージーランド向けの輸送台数は、32,337台と前年同期比24.6%減少しました。検査セグメントでは、COVID-19の影響でニュージーランド向け以外の輸出前検査数量も激減、主力のニュージーランド向けにおいても㈱日貿以外の物量の回復が遅れたことから、ニュージーランド向けバイオ検査(検疫)件数は59,088件(前年同期比33.2%減)となりました。
サービスセグメントにおいては、レンタカー事業子会社であるUniversal Rental Cars Limited において、ニュージーランドにおけるCOVID-19対応のための渡航制限から観光需要の減少の影響を受け、当該事業からの撤退を決定し、期中にて事業を停止しております。一方、中古自動車卸売事業子会社であるTrade Cars Limitedにおいては、中古自動車需要の回復もあり前連結会計年度を上回る販売数量となりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
イ.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ68億38百万円増加し、306億92百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ45億80百万円増加し、190億74百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ22億57百万円増加し、116億18百万円となりました。
ロ.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高249億20百万円(前年同期比6.0%減)、営業利益8億64百万円(同34.5%減)、経常利益12億62百万円(同7.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益9億53百万円(同33.7%増)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
貿易では、売上高157億46百万円(前年同期比3.5%増)、セグメント利益1億82百万円(同9.7%増)となりました。
物流では、売上高44億8百万円(前年同期比17.0%減)、セグメント利益2億94百万円(同35.2%減)となりました。
サービスでは、売上高62億29百万円(前年同期比3.0%増)、セグメント利益3億54百万円(同151.2%増)となりました。
検査では、売上高34億12百万円(前年同期比22.6%減)、セグメント利益16百万円(同97.2%減)となりました。
②キャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動の結果減少した資金は14億99百万円(前年同期は7億5百万円の減少)となりました。
また、投資活動の結果減少した資金は1億21百万円(前年同期は17億5百万円の減少)となり、財務活動の結果増加した資金は26億24百万円(前年同期は16億72百万円の増加)となりました。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、52億80百万円(前年同期比10億97百万円の増加)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
ロ.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
貿易16,322,282128.5
サービス187,63783.5
検査76623.6
合計16,510,686127.7

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.物流セグメントにおいては商品仕入活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
ハ.受注実績
役務または商品等の受注から完了または納品等までの所要時間が短いため、常に受注残高は僅少であり、期中の受注高と販売実績とがほぼ同額であるため、記載を省略しております。
ニ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
貿易12,587,35799.4
物流3,737,97980.7
サービス6,143,063102.9
検査2,388,67973.7
その他63,067327.6
合計24,920,14794.0

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.相手先別の販売実績につきましては、総販売実績に対して10%以上の相手先がありませんので、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、経営者の判断に基づく会計方針の選択と適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りにつきましては、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果につきましては、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成に当たり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。当該見積り項目において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響についても、その収束の見通し等について一定の仮定を置いた上で見積りを行っております。
(固定資産)
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価に当たり、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。
固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損損失が計上される可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(貸倒引当金)
債権の貸倒損失に備えるため、当社及び国内連結子会社は一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。また、在外子会社は主として特定の債権について回収不能見込額を計上しております。将来、債権の相手先の財務状況がさらに悪化して支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績等
(イ)財政状態
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ33.8%増加し、258億30百万円となりました。これは主に現金及び預金が10億97百万円、売掛金が13億56百万円、販売金融債権が8億72百万円、たな卸資産が26億10百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ6.8%増加し、48億62百万円となりました。これは主にレンタカー事業子会社であるUniversal Rental Cars Limitedの撤退決定による保有車両の売却が進んだこと等で車両運搬具の5億71百万円の減少があったものの、在外連結子会社における固定資産の邦貨換算額が為替レートの円安変動により増加したこと、回収可能性見直しによる繰延税金資産が増加したこと等によるものです。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ28.7%増加し、306億92百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ47.9%増加し、159億50百万円となりました。これは主に、短期借入金が31億98百万円、1年内返済予定の長期借入金が12億1百万円それぞれ増加したこと等によります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ15.8%減少し、31億24百万円となりました。これは主に長期借入金が6億92百万円減少したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べ31.6%増加し、190億74百万円となりました。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ24.1%増加し、116億18百万円となりました。これは主に為替レートの円安進展による為替換算調整勘定が14億76百万円増加したこと等によるものであります。
(ロ)経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べて6.0%減少し、249億20百万円となりました。
当社グループの主力事業を担う貿易セグメントの中核事業会社である㈱日貿では、販売台数は減少したものの、中古自動車需要増を受けた販売単価の上昇がみられ、貿易セグメントの売上高は157億46百万円(前年同期比3.5%増)となりました。
物流セグメントでは、前述のように中核事業子会社Dolphin Shipping New Zealand Limitedの輸送台数の減少を受け、物流セグメントの売上高は44億8百万円(同17.0%減)となりました。
サービスセグメントでは、レンタカー事業子会社Universal Rental Cars Limitedの不振及び撤退決定後の事業の停止による売上減少はあるものの、中古自動車卸売事業子会社であるTrade Cars Limitedの販売数量の回復や販売単価上昇により、売上高は62億29百万円(同3.0%増)となりました。
検査セグメントでは、前述のようにニュージーランド向け含めた輸出前検査数量の減少により、売上高は34億12百万円(同22.6%減)となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べて2.3%減少し、200億27百万円となりました。これは主に貿易セグメントにおける販売台数の減少等によるものであります。
この結果、当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べて18.7%減少し、48億92百万円となりました。
(営業損益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べて14.3%減少し、40億27百万円となりました。これは主に中古自動車販売台数減少に伴う輸出作業料の減少や、人件費の減少、COVID-19による旅費交通費やその他経費の減少によるものであります。
この結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べて34.5%減少し、8億64百万円となりました。
(経常損益)
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べて446.1%増加し、5億24百万円となりました。これは、主に円安進行により為替差損が為替差益へ転じたこと等によるものであります。
当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度に比べて48.3%減少し、1億26百万円となりました。これは、主に、円安進行による為替差損の減少によるものであります。
この結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べて7.8%増加し、12億62百万円となりました。
(特別損益及び税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度に比べて83百万円増加し、1億45百万円となりました。これは、主に、Universal Rental Cars Limitedの撤退決定による車両の売却益や非連結子会社のJEVIC Singapore Pte Ltd.の清算に伴うものであります。
当連結会計年度の特別損失は、前連結会計年度に比べて55百万円増加し、2億14百万円となりました。これは、主に、子会社における撤退決定による減損損失等によるものであります。
この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べて11.1%増加し、11億94百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の法人税等合計は国内税効果における評価性引当額減少の影響等により税負担率減少となり2億40百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて33.7%増加し、9億53百万円となりました。
(ハ)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比べて10億97百万円増加(前年同期比26.2%増加)し、52億80百万円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果減少した資金は14億99百万円(前年同期は7億5百万円の減少)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益11億94百万円、減価償却費4億39百万円等の増加要因はあるものの、売上債権の増加9億46百万円、たな卸資産の増加24億81百万円等の減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果減少した資金は1億21百万円(前年同期は17億5百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の売却による収入6億99百万円等の増加要因はあるものの、有形固定資産の取得による支出3億17百万円、短期貸付金の純増減額2億60百万円等の減少要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果増加した資金は26億24百万円(前年同期は16億72百万円の増加)となりました。これは主に短期借入金の純増額26億65百万円の増加要因によるものであります。
ロ.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しており、それらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
ハ.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要の主なものは、中古自動車の仕入れ、自動車ローンの貸付資金及びその他の売上原価であります。運転資金の財源は、自己資金及び金融機関からの借入金によっています。
投資を目的とした資金需要は、設備投資や事業買収等による投資であります。投資を目的とした資金は、自己資金を主たる財源としつつ、必要に応じて金融機関からの借入や社債及び株式の発行によって資金の調達を行う方針であります。
なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は162億46百万円となっております。また、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は52億80百万円となっております。
ニ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、収益性及び効率性の観点から、連結営業利益額、連結経常利益額及び自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標と考えております。
また、収益性の観点から、連結子会社である㈱日貿の中古自動車販売台数を重要業績評価指標(KPI)として考えております。その理由は、同社における販売のみならず、物流、サービス、検査等が直接的に影響を受けるためであります。
当連結会計年度における連結営業利益額は8億64百万円(前年同期比4億54百万円減)、連結経常利益額は12億62百万円(同91百万円増)及び自己資本当期純利益率(ROE)は9.1%(前年同期は7.1%)となりました。また、㈱日貿の中古自動車販売台数は30,584台(前年同期比6,699台減)となりました。
ホ.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(貿易)
貿易では、前述のように販売台数は減少したものの、中古自動車需要増を受けた販売単価の上昇がみられました。この結果、売上高157億46百万円(前年同期比3.5%増)、セグメント利益1億82百万円(同9.7%増)となりました。
(物流)
物流では、前述のように中核事業子会社Dolphin Shipping New Zealand Limitedの輸送台数の減少を受け、売上高は44億8百万円(前年同期比17.0%減)、セグメント利益は2億94百万円(同35.2%減)となりました。
(サービス)
サービスでは、レンタカー事業子会社Universal Rental Cars Limitedの不振及び撤退決定後の事業の停止による売上減少はあるものの、中古自動車卸売事業子会社であるTrade Cars Limitedの販売数量の回復や販売単価上昇による売上増他、諸経費削減の効果もあり、売上高は62億29百万円(前年同期比3.0%増)、セグメント利益3億54百万円(同151.2%増)となりました。
(検査)
検査では、ニュージーランド向けバイオ検査(検疫)件数は59,088件と前年同期比33.2%減となるなど、ニュージーランド向けを含めた輸出前検査数量の減少による売上減、またCOVID-19を受けたニュージーランド検査方法の変更などによる関連経費増加などの影響もあり、売上高34億12百万円(同22.6%減)、セグメント利益16百万円(同97.2%減)となりました。