四半期報告書-第7期第1四半期(令和4年3月1日-令和4年5月31日)

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2022/07/13 15:05
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36項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当社グループは、「Empower Data, Innovate the Business, Shape the Future.情報に価値を、企業に変革を、社会に未来を。」というビジョンを掲げており、社会に存在する様々なデータを活用することで、多くの企業にイノベーションをもたらし、その結果として、より良い社会を実現することを目指しております。
当社グループは、「データエンパワーメント事業」を単一の報告セグメントとしておりますが、提供しているソフトウェア及びサービスの性質により、企業の基幹業務を支える「帳票・文書管理ソリューション」と、様々なデータを活用し、今までにない新たな価値を生み出す「データエンパワーメントソリューション」の2つに売上収益を区分しております。
当第1四半期連結累計期間(2022年3月1日~5月31日)における我が国の経済環境は、新型コロナウイルス感染症の感染者が減少し、経済活動が正常化しつつある一方、国際情勢の影響を大きく受ける状況となりました。2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻は未だ出口が見えない中、経済制裁の影響でロシアからの供給が大幅に減少し、エネルギーや原材料価格が世界的に高騰、加えて、米国ではインフレ抑制のため、急激な政策金利引き上げによる金融引き締めが行われており、この結果、日米の金利差が拡大し、歴史的な円安が進行しています。このような外部要因によって国内の多くの産業でコストが上昇し、2022年5月の国内企業物価指数は前年同月を9.1%上回り、過去最高水準となっております。また、米国だけではなく世界的にも金融引き締めの方向に向かっており、先行きの不透明感は高まっております。
当社グループが属する企業向けIT市場は、コロナ禍の影響による非接触型の活動やサービスの拡大及び企業の生産性の向上や競争力強化のためのデジタルトランスフォーメーション(DX)への投資の強化により、クラウドサービスを中心に拡大しております。今期は世界的な景気回復を背景に製造業を中心に投資の拡大が見込まれ、さらに国内では2022年1月に改正電子帳簿保存法の施行、2023年10月にはインボイス制度の導入等企業活動のデジタル化に関して政策的な後押しがあり、これに加えて企業向けIT市場自体が企業システムのクラウド化やサブスクリプションモデルの浸透といった外部環境の影響を受けにくい産業構造へ変化しており、マクロ的には上述のリスク要因はあるものの、2022年は前年比4.7%増と堅調に成長することが見込まれております(注1)。特にクラウド市場は、パブリッククラウドの拡大に加え、DXやクラウドマイグレーションといった企業自身のクラウドシステムへの投資がより一層進展する影響により、2022年は前年比29.2%と大幅に成長することが見込まれております(注2)。
(注)1 インターナショナルデーターコーポレイションジャパン株式会社「国内IT市場 産業分野別/従業員規模別/年商規模別予測、2022年~2026年(JPJ47870622)」TABLE2 国内IT市場 産業分野別 支出額予測、2020年~2026年、企業分野小計
2 インターナショナルデーターコーポレイションジャパン株式会社「国内クラウド市場予測、2022年~2026年(JPJ47872322)」TABLE 1 国内クラウド市場配備モデル別売上額予測、2021年~2026年
このような状況の下、当社グループは、企業のDXを推し進めるソリューションの強化を行っており、クラウドサービスを中心に機能強化や新サービスのリリースを行いました。自社だけではなく、様々な企業とのエコシステムを構築することによって、ソリューションの価値を高めてまいります。
2022年5月カメラ連携機能を実装した「MotionBoard Ver.6.3」の提供を開始。製造業や建設業などの現場におけるデータ収集・連携による実態把握の精緻化や数値化が難しかった人の動作分析を実現。
2022年5月「Dr.Sum」が「Microsoft Power BI」と連携。Dr.Sumユーザーは、利用用途に応じてインターフェイスを使い分けできるようになり、Power BIユーザーは、「Dr.Sum」を選択し、ノンプログラミングで手軽にデータマートを構築することが可能。
2022年5月「MotionBoard Cloud」 と 電子帳票ツール「i-Reporter Cloud」が連携 。「i-Reporter」のデータを「MotionBoard Cloud」で可視化することで、データに基づいた傾向把握ができ、建設や製造現場におけるデータの有効活用によって、作業工数の削減や生産性の向上を実現。
2022年5月鈴与商事株式会社とカーボンニュートラルの実現に向けたプラットフォームサービスとしてCO2排出量可視化プラットフォーム 「EcoNiPass(エコニパス)」の提供を開始。簡単な操作とわかりやすい画面、低価格でシンプルな料金体系により、CO2排出量を把握するための業務工数とコストを削減。

また、当社グループでは、製造・物流・ヘルスケア・小売・外食・金融・公共等業界ごとのDX企画部門を組織しており、それぞれの分野での最適なソリューションの提供による顧客のDXを推進する活動を行っております。そして、これらの組織がDX推進に関する業界ごとの課題解決のノウハウを蓄積しており、それらをクラウドサービス化し、より広範な顧客に提供することを目的に活動しております。
上記のような取り組みにより、今後もクラウドを中心としたビジネスを成長の柱に企業のDXを推し進めてまいります。
当第1四半期連結累計期間(2022年3月1日~5月31日)における売上収益は5,723百万円(前年同期比21.4%増)、営業費用(その他の営業収益を控除後)は、DX関連ソリューション開発に伴う外注費の増加や、人員の採用による人件費の増加などで3,788百万円(前年同期比14.7%増)、営業利益は1,935百万円(前年同期比37.2%増)、税引前四半期利益は1,908百万円(前年同期比39.0%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は1,447百万円(前年同期比43.6%増)となりました。
また、当社グループは、通常の営業活動の結果を示していると考えられない非経常的な費用項目の影響を除外することで、投資家が当社グループの業績評価を行い、当社グループの企業価値についての純粋な成長を把握する上で有用な情報を提供することを目的として、上記のIFRSにより規定された財務指標以外に、以下の調整後EBITDA及び調整後親会社の所有者に帰属する四半期利益を重要な経営指標と位置付けております。
[調整後EBITDA及び調整後親会社の所有者に帰属する四半期利益の調整表]
(単位:百万円)
決算期2022年2月期
第1四半期
2023年2月期
第1四半期
増減増減率
営業利益1,4101,93552537.2%
減価償却費及び償却費
(注1)
314324103.2%
EBITDA(注2)1,7242,25953531.0%
(調整額)
上場関連費用10-△10△100.0%
調整後EBITDA(注3)1,7352,25952430.2%


決算期2022年2月期
第1四半期
2023年2月期
第1四半期
増減増減率
親会社の所有者に帰属する四半期利益1,0071,44743943.6%
(調整額)
上場関連費用10-△10△100.0%
調整項目の税効果調整
(注4)
△2-2△100.0%
調整後親会社の所有者に帰属する四半期利益(注5)1,0151,44743142.5%

(注)1.IFRS第16号の適用により、オフィスの賃借契約に係る使用権を使用権資産として認識しており、当該資産に係る減価償却費も併せて計上しておりますが、EBITDA算出におきましては、「減価償却費及び償却費」からは当該使用権資産に係る減価償却費を除いております。
2.EBITDA=営業利益+減価償却費及び償却費
3.調整後EBITDA=EBITDA+一過性の費用
4.調整項目の税効果調整は実効税率を用いて算出しております。
5.調整後親会社の所有者に帰属する四半期利益=親会社の所有者に帰属する四半期利益+一過性の費用-調整項目の税効果調整
EBITDA及び調整後EBITDAは、営業利益の増加により、それぞれ535百万円(前年同期比31.0%増)、524百万円(前年同期比30.2%増)と大きく増加しました。調整後親会社の所有者に帰属する四半期利益も、親会社の所有者に帰属する四半期利益の増加により、431百万円(前年同期比42.5%増)と大きく増加しました。
当社グループは、「データエンパワーメント事業」を単一の報告セグメントとしておりますが、提供しているソフトウェア及びサービスの性質により、企業の基幹業務を支える「帳票・文書管理ソリューション」と、様々なデータを活用し、今までにない新たな価値を生み出す「データエンパワーメントソリューション」の2つに売上収益を区分しております。
・ソリューション区分別売上収益
(単位:百万円)
ソリューション区分2022年2月期
第1四半期
2023年2月期
第1四半期
増減増減率
帳票・文書管理
ソリューション
SVF2,7393,37363423.2%
invoiceAgent
(注)
15028012986.0%
その他3138621.6%
小計2,9213,69277026.4%
データエンパワーメント
ソリューション
Dr.Sum65576911317.3%
MotionBoard737785476.5%
その他3984767819.6%
小計1,7912,03123913.4%
合計4,7135,7231,01021.4%

(注)2022年6月1日より、「SPA」の名称が「invoiceAgent」へ変更になったことに伴い、各種表記を変更しております。
(帳票・文書管理ソリューション)
当ソリューションは、企業の基幹業務に必須である請求書や納品書等の帳票類を設計・運用を行うソフトウェア及びサービスである「SVF」及び電子データの保管や紙文書の電子化を行う「invoiceAgent」が主な構成要素となっております。
「SVF」は、活発な企業の投資活動や一部案件前倒しの影響により、ライセンス/サービスが前年同期比54.1%増と大幅に前年を上回りました。クラウドサービスについては、クラウド市場の拡大に伴い前年同期比30.4%増と好調な結果となりました。この結果、売上収益は3,373百万円(前年同期比23.2%増)となりました。
「invoiceAgent」は、リモートワークに伴うペーパーレス需要等から、ライセンス/サービス及び保守は引き続き好調に推移しました。一方、クラウドサービスは電子帳簿保存法対応で需要が高まったことから契約社数が増加し、前年同期比198.4%増と大幅に増加しました。この結果、売上収益は280百万円(前年同期比86.0%増)と前年から大きく成長しました。
この結果、当ソリューションの売上収益は3,692百万円(前年同期比26.4%増)となりました。
(データエンパワーメントソリューション)
当ソリューションは、企業が保有するデータを統合・処理・分析・可視化する事により、業務の効率化や生産性の向上を実現するソフトウェア及びサービスである「Dr.Sum」「MotionBoard」が主な構成要素となっております。
「Dr.Sum」は、中堅中小企業の投資が回復したことからライセンス/サービスが前年同期比34.2%増と大幅に増加、クラウドサービスも規模は小さいながらも前年同期比270.2%増と成長に寄与しました。この結果、売上収益は769百万円(前年同期比17.3%増)となりました。
「MotionBoard」は、ライセンス/サービス及び保守は好調に推移した一方、クラウドサービスについては、契約社数は増加したものの、大型案件剥落の影響から前年割れとなりました。この結果、売上収益は785百万円(前年同期比6.5%増)となりました。
この結果、当ソリューションの売上収益は2,031百万円(前年同期比13.4%増)となりました。
また、当社グループが提供するソフトウェア及びサービスについては、ソフトウェアライセンスや導入時のサービス提供等継続的な契約を前提としない取引と、ソフトウェアの保守サポート契約、サブスクリプション契約やクラウドサービスの利用契約のような継続的な契約を前提とした取引により構成されています。継続的な契約を前提とした取引は、導入企業が増加するにつれて年々売上収益が積みあがるリカーリングビジネスと呼ばれる収益モデルであり、これらのビジネスから得られる収益(リカーリングレベニュー)は、当社グループの収益の安定化と継続的な拡大に大きく貢献しております。
・契約区分別売上収益
(単位:百万円)
契約区分2022年2月期
第1四半期
2023年2月期
第1四半期
増減増減率
ライセンス/サービス1,7252,51879346.0%
リカーリング保守2,2192,3221024.6%
クラウド6367228613.5%
サブスクリプション1311602821.9%
小計2,9873,2042177.3%
合計4,7135,7231,01021.4%

(2)財政状態の分析
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における資産は、60,258百万円(前期末比1,339百万円増)となりました。流動資産は12,326百万円(前期末比1,385百万円増)、非流動資産は47,932百万円(前期末比45百万円減)となりました。流動資産の増加の主な要因は、現金及び現金同等物924百万円の増加によるものです。非流動資産の減少の主な要因は、投資有価証券などその他の金融資産の増加179百万円があったものの、使用権資産償却など有形固定資産の減少111百万円や顧客関係・技術関連資産の償却などに伴うその他の無形資産174百万円の減少によるものであります。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における負債は、28,722百万円(前期末比422百万円増)となりました。流動負債は11,803百万円(前期末比400百万円増)、非流動負債は16,919百万円(前期末比22百万円増)となりました。流動負債の増加の主な要因は、未払法人所得税の減少438百万円があったものの、契約負債の増加956百万円があったことによるものです。非流動負債の増加の主な要因は、リース負債の減少に伴うその他の金融負債17百万円の減少があったものの、繰延税金負債の増加35百万円があったことによるものであります。
(資本)
当第1四半期連結会計期間末における資本は、31,536百万円(前期末比916百万円増)となりました。資本の増加の主な要因は、配当金の支払に伴う利益剰余金の減少751百万円があったものの、親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上に伴う利益剰余金1,447百万円の増加があったことによるものであります。
(3)キャッシュ・フローの分析
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、9,940百万円(前期末比924百万円増)となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、1,861百万円(前年同期は1,604百万円の獲得)となりました。これは主に、法人所得税の支払額917百万円の計上があったものの、税引前四半期利益1,908百万円の計上、減価償却費及び償却費の計上392百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、179百万円(前年同期は58百万円の使用)となりました。これは主に、投資の取得による支出34百万円、社内インフラサービスID基盤構築や次期基幹システム設計などに伴う無形資産の取得による支出108百万円を計上したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、800百万円(前年同期は603百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額739百万円を計上したことによるものであります。
(4)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当社グループは、主に企業向けソフトウェア及びサービスの開発に係る研究開発を行っており、市場の拡大や技術の進歩により多様化、高度化し、広汎な範囲にわたる顧客ニーズに応える製品を研究、開発し、提供することを基本方針としております。当第1四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、644百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況について重要な変更はありません。