半期報告書-第9期(2024/03/01-2025/02/28)
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当社グループは、「Empower Data, Innovate the Business, Shape the Future.情報に価値を、企業に変革を、社会に未来を。」というビジョンを掲げており、社会に存在する様々なデータを活用することで、多くの企業にイノベーションをもたらし、その結果として、より良い社会を実現することを目指しております。
当社グループは、「データエンパワーメント事業」を単一の報告セグメントとしておりますが、提供しているソフトウェア及びサービスの性質により、企業の基幹業務を支える「帳票・文書管理ソリューション」と、様々なデータを活用し、今までにない新たな価値を生み出す「データエンパワーメントソリューション」の2つに売上収益を区分しております。
当中間連結会計期間(2024年3月1日~2024年8月31日)における我が国の経済環境は、好調な業績に支えられた企業の積極的な設備投資と賃上げによる所得環境の改善、また賃金上昇分のサービス価格への転嫁が進み、緩やかな回復が続いています。また、このような状況を受けて、日本銀行は2024年7月に政策金利の引き上げを決定、物価安定目標の2%の安定的な達成が期待されています。一方、海外経済につきましては、米国経済の雇用環境に弱さが見られるようになり、不透明感が増しているものの、景気自体は底堅いものと見られています。
当社グループが属する企業向けIT市場は、リモートワークやペーパーレス化といったコロナ期間中の特需的な需要は落ち着いたものの、デジタル・トランスフォーメーション(DX)やクラウドマイグレーションに関連する投資が進展し、大企業を中心に旺盛なシステム投資は継続しております。また、デジタル庁が主導しているデジタルガバメントは、クラウドバイデフォルトの原則のもと官公庁・自治体のシステムのデジタル化を強力に推し進めるとともに、官民が連携したサービスを多数生み出し市場を大きく拡大させる可能性があります。さらに、AIの急激な進化は企業のデジタル戦略の見直しを促し、企業内でのAI活用について実証実験の段階から実際の業務への適用に注力しています。
このような環境のもと、企業向けIT市場は、2024年は前期比7.3%増と堅調に成長することが見込まれております(注1)。一方、クラウド市場は、webシステムからERPまで広がったクラウドマイグレーションの多様化やクラウドネイティブ化、DX投資の拡大等により、2024年は前期比22.2%増と引き続き高い成長が見込まれております(注2)。
(注)1 IDC Japan, 2024年4月「国内IT市場 産業分野別/従業員規模別/年商規模別予測、2024年~2028年」(JPJ50712324)TABLE2 国内IT市場 産業分野別 支出額予測、2022年~2028年、企業分野小計
2 IDC Japan, 2024年8月「国内パブリッククラウドサービス市場 産業分野別予測、2024年~2028年」(JPJ51507424)TABLE 1 国内パブリッククラウドサービス市場 サービスセグメント(大分類)別 売上額予測、2023年~2028年
このような状況の下、当社グループは企業のDXを推し進めるソリューションの強化を行っており、機能強化や新サービスのリリースを行いました。また、自社だけではなく様々な企業とのエコシステムを構築することによって、ソリューションの価値を高めてまいります。
(注)1 ISMAP(Information system Security Management and Assessment Program)(通称:イスマップ)は、政府が求めるセキュリティ要求を満たしているクラウドサービスを予め評価・登録することにより、政府のクラウドサービス調達におけるセキュリティ水準の確保を図り、クラウドサービスの円滑な導入に資することを目的とした制度
また、当社グループでは、製造・物流・ヘルスケア・小売・外食・金融・公共等業界ごとのDX企画部門を組織しており、それぞれの分野での最適なソリューションの提供による顧客のDXを推進する活動を行っております。そして、これらの組織がDX推進に関する業界ごとの課題解決のノウハウを蓄積しており、それらをクラウドサービス化し、より広範な顧客に提供することを目的に活動しております。
上記のような取り組みにより、今後もクラウドを中心としたビジネスを成長の柱に企業のDXを推し進めてまいります。
当中間連結会計期間(2024年3月1日~2024年8月31日)における売上収益は14,875百万円(前年同期比10.2%増)、営業費用(その他の営業収益を控除後)は、人員の採用による人件費や研究開発費の増加などで9,911百万円(前年同期比12.9%増)、営業利益は4,964百万円(前年同期比5.2%増)、税引前中間利益は4,994百万円(前年同期比6.0%増)、親会社の所有者に帰属する中間利益は3,597百万円(前年同期比6.0%増)となりました。
また、当社グループは、上記のIFRSにより規定された財務指標以外に、以下のEBITDAを重要な経営指標と位置付けております。なお、これまで重要な経営指標として「調整後EBITDA」及び「調整後当期利益」(以下、「調整後指標」)を開示してまいりましたが、2022年2月期以降、投資判断にあたり調整を要すると思われる費用がほぼ発生していないことから、2024年2月期以降は「調整後指標」の開示は行いません。なお、今後「調整後指標」を比較に用いる場合はその旨明記いたします。
(単位:百万円)
(注)1.2020年2月期より、IFRS第16号の適用により、オフィスの賃借契約に係る使用権を使用権資産として認識しており、当該資産に係る減価償却費も併せて計上しておりますが、EBITDA算出におきましては、「減価償却費及び償却費」からは当該使用権資産に係る減価償却費を除いております。
2.EBITDA=営業利益+減価償却費及び償却費
EBITDAは、営業利益の増加、減価償却費及び償却費が増加により5,667百万円(前年同期比6.2%増)と増加しました。
当社グループは、「データエンパワーメント事業」を単一の報告セグメントとしておりますが、提供しているソフトウェア及びサービスの性質により、企業の基幹業務を支える「帳票・文書管理ソリューション」と、様々なデータを活用し、今までにない新たな価値を生み出す「データエンパワーメントソリューション」の2つに売上収益を区分しております。
・ソリューション区分別売上収益
(単位:百万円)
(帳票・文書管理ソリューション)
当ソリューションは、企業の基幹業務に必須である請求書や納品書等の帳票類を設計・運用を行うソフトウェア及びサービスである「SVF」及び電子データの保管や紙文書の電子化、送受信を行う「invoiceAgent」が主な構成要素となっております。
「SVF」は、大企業や官公庁を中心とした基幹システムへの大型投資が継続したことにより、ライセンス/サービスは前年同期比19.3%増と前年を大きく上回りました。保守については安定的に推移したため、前年同期比1.3%増と堅調に推移しました。クラウドサービスについては、他社クラウドサービスでの帳票需要を取り込み、前年同期比18.5%増と前年を大きく上回りました。この結果、売上収益は8,301百万円(前年同期比10.9%増)となりました。
「invoiceAgent」は、前年の大型案件の反動により、ライセンス/サービスは前年同期比77.0%減と前年を大きく下回りました。保守については、前年の契約獲得が順調に推移したことから、前年同期比26.4%増と前年を大きく上回りました。クラウドサービスについては、電子帳簿保存法の対応後もさらに企業帳票のデジタル化が進展していることから契約社数が順調に増加し、前年同期比70.9%増と前年を大きく上回りました。この結果、売上収益は1,118百万円(前年同期比0.1%減)と前年から若干の減少となりました。
「その他」は、新たに株式会社トライサーブの売上収益を連結したことから、前年同期比216.4%増と前年を大きく上回りました。
この結果、当ソリューションの売上収益は9,864百万円(前年同期比12.8%増)となりました。
(データエンパワーメントソリューション)
当ソリューションは、企業が保有するデータを統合・処理・分析・可視化する事により、業務の効率化や生産性の向上を実現するソフトウェア及びサービスである「Dr.Sum」「MotionBoard」が主な構成要素となっております。
「Dr.Sum」は、幅広い需要を取り込んだことからライセンス/サービスは前年同期比14.8%増と前年を上回りました。保守については、前年同期比3.3%増と堅調に推移しました。クラウドサービスについては、大企業を中心に販売が好調に推移し、前年同期比52.6%増と前年を大きく上回りました。この結果、売上収益は1,766百万円(前年同期比11.1%増)となりました。
「MotionBoard」は、前年の大型案件の反動により、ライセンス/サービスは前年同期比34.2%減と前年を大きく下回りました。保守については、前年の契約獲得が順調に推移したことから、前年同期比9.6%増と前年を上回りました。クラウドサービスについては、着実に契約社数を積み上げた結果、前年同期比17.0%増と前年を大きく上回りました。この結果、売上収益は1,944百万円(前年同期比3.3%減)となりました。
「その他」は、大企業を中心に導入サービスの需要が非常に強く、前年同期比13.1%増と前年を大きく上回りました。
この結果、当ソリューションの売上収益は5,011百万円(前年同期比5.5%増)となりました。
また、当社グループが提供するソフトウェア及びサービスについては、ソフトウェアライセンスや導入時のサービス提供等継続的な契約を前提としない取引と、ソフトウェアの保守サポート契約、サブスクリプション契約やクラウドサービスの利用契約のような継続的な契約を前提とした取引により構成されています。継続的な契約を前提とした取引は、導入企業が増加するにつれて年々売上収益が積みあがるリカーリングビジネスと呼ばれる収益モデルであり、これらのビジネスから得られる収益(リカーリングレベニュー)は、当社グループの収益の安定化と継続的な拡大に大きく貢献しております。
・契約区分別売上収益
(単位:百万円)
(注)より詳細な情報につきましては、当社IRサイト(https://ir.wingarc.com/)財務情報ページの最新の「FACT BOOK」をご参照下さい。
(2)財政状態の分析
(資産)
当中間連結会計期間末における資産は、69,013百万円(前期末比3,063百万円増)となりました。流動資産は18,027百万円(前期末比2,754百万円増)、非流動資産は50,985百万円(前期末比309百万円増)となりました。流動資産の増加の主な要因は、売掛金の増加に伴う営業債権及びその他の債権の増加1,665百万円及び、現金及び現金同等物の増加588百万円、ライセンスフィーの前払費用などその他の流動資産462百万円の増加によるものです。非流動資産の増加の主な要因は、投資有価証券などその他の金融資産の増加210百万円があったことによるものであります。
(負債)
当中間連結会計期間末における負債は、27,731百万円(前期末比878百万円増)となりました。流動負債は14,903百万円(前期末比1,554百万円増)、非流動負債は12,828百万円(前期末比676百万円減)となりました。流動負債の増加の主な要因は、契約負債の増加1,474百万円があったことによるものです。非流動負債の減少の主な要因は、長期借入金の減少700百万円があったことによるものであります。
(資本)
当中間連結会計期間末における資本は、41,281百万円(前期末比2,185百万円増)となりました。資本の増加の主な要因は、配当金の支払に伴う利益剰余金の減少1,563百万円があったものの、親会社の所有者に帰属する中間利益の計上に伴う利益剰余金3,597百万円の増加やその他の資本の構成要素94百万円の増加があったことによるものであります。
(3)キャッシュ・フローの分析
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、13,575百万円(前期末比588百万円増)となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、3,887百万円(前年同期は4,747百万円の獲得)となりました。これは主に、営業債権及びその他の債権の増減額の計上1,582百万円や法人所得税の支払額1,336百万円の計上があったものの、税引前中間利益4,994百万円の計上、契約負債の増減額の計上1,474百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、836百万円(前年同期は925百万円の使用)となりました。これは主に、子会社の取得による支出410百万円、社内インフラサービス構築などによる無形資産の取得による支出215百万円を計上したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、2,486百万円(前年同期は1,906百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額1,562百万円の計上、長期借入金の返済による支出733百万円を計上したことによるものであります。
(4)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当社グループは、主に企業向けソフトウェア及びサービスの開発に係る研究開発を行っており、市場の拡大や技術の進歩により多様化、高度化し、広汎な範囲にわたる顧客ニーズに応える製品を研究、開発し、提供することを基本方針としております。当中間連結会計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、1,645百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況について重要な変更はありません。
(1)経営成績の分析
当社グループは、「Empower Data, Innovate the Business, Shape the Future.情報に価値を、企業に変革を、社会に未来を。」というビジョンを掲げており、社会に存在する様々なデータを活用することで、多くの企業にイノベーションをもたらし、その結果として、より良い社会を実現することを目指しております。
当社グループは、「データエンパワーメント事業」を単一の報告セグメントとしておりますが、提供しているソフトウェア及びサービスの性質により、企業の基幹業務を支える「帳票・文書管理ソリューション」と、様々なデータを活用し、今までにない新たな価値を生み出す「データエンパワーメントソリューション」の2つに売上収益を区分しております。
当中間連結会計期間(2024年3月1日~2024年8月31日)における我が国の経済環境は、好調な業績に支えられた企業の積極的な設備投資と賃上げによる所得環境の改善、また賃金上昇分のサービス価格への転嫁が進み、緩やかな回復が続いています。また、このような状況を受けて、日本銀行は2024年7月に政策金利の引き上げを決定、物価安定目標の2%の安定的な達成が期待されています。一方、海外経済につきましては、米国経済の雇用環境に弱さが見られるようになり、不透明感が増しているものの、景気自体は底堅いものと見られています。
当社グループが属する企業向けIT市場は、リモートワークやペーパーレス化といったコロナ期間中の特需的な需要は落ち着いたものの、デジタル・トランスフォーメーション(DX)やクラウドマイグレーションに関連する投資が進展し、大企業を中心に旺盛なシステム投資は継続しております。また、デジタル庁が主導しているデジタルガバメントは、クラウドバイデフォルトの原則のもと官公庁・自治体のシステムのデジタル化を強力に推し進めるとともに、官民が連携したサービスを多数生み出し市場を大きく拡大させる可能性があります。さらに、AIの急激な進化は企業のデジタル戦略の見直しを促し、企業内でのAI活用について実証実験の段階から実際の業務への適用に注力しています。
このような環境のもと、企業向けIT市場は、2024年は前期比7.3%増と堅調に成長することが見込まれております(注1)。一方、クラウド市場は、webシステムからERPまで広がったクラウドマイグレーションの多様化やクラウドネイティブ化、DX投資の拡大等により、2024年は前期比22.2%増と引き続き高い成長が見込まれております(注2)。
(注)1 IDC Japan, 2024年4月「国内IT市場 産業分野別/従業員規模別/年商規模別予測、2024年~2028年」(JPJ50712324)TABLE2 国内IT市場 産業分野別 支出額予測、2022年~2028年、企業分野小計
2 IDC Japan, 2024年8月「国内パブリッククラウドサービス市場 産業分野別予測、2024年~2028年」(JPJ51507424)TABLE 1 国内パブリッククラウドサービス市場 サービスセグメント(大分類)別 売上額予測、2023年~2028年
このような状況の下、当社グループは企業のDXを推し進めるソリューションの強化を行っており、機能強化や新サービスのリリースを行いました。また、自社だけではなく様々な企業とのエコシステムを構築することによって、ソリューションの価値を高めてまいります。
2024年3月 | 電子帳票プラットフォーム「invoiceAgent」と製造業向け生産・販売・原価管理パッケージ「mcframe 7」がPeppol対応で連携。取引先が異なるWeb請求システムを利用している場合でもPeppolに準拠して請求データのスムーズなやり取りを実現。 |
2024年4月 | 「Dr.Sum」、「MotionBoard」とクリックテック・ジャパン株式会社のデータレプリケーションツール「Qlik Replicate」が連携し、ERPのデータ活用コストを削減する「Data Activate Solution」を提供開始。ERPのデータ活用にかかる各種連携設計の負担削減を実現。 |
2024年4月 | 株式会社スマートバリューと共同で自治体向け公共施設予約システム「ラクリザ」を提供開始。利用者及び施設管理者双方の課題を解決に寄与。 |
2024年4月 | さくらインターネット株式会社との業務提携契約を締結。当社グループが今後リリースを予定している公共向けクラウドサービスを、さくらインターネットが運営する「さくらのクラウド」上で提供。自治体等が抱える技術者不足やコスト等の様々な課題を解決し、システムの構築、運用や維持管理を一括したサービス提供を実現することを目指す。 |
2024年5月 | システムインテグレーションを核に様々なITサービスを展開する株式会社トライサーブの全株式を取得。当社グループのデジタル帳票基盤ソリューション及びデータ活用ソリューションとトライサーブの豊富なシステムインテグレーションの経験を融合し、自治体向けのクラウドサービスの開発、導入、運用を目的に共同で公共領域でのDXを推進。 |
2024年6月 | BIダッシュボード「MotionBoard」とコンテンツクラウド「Box」が連携。基幹システムのデータと図面や写真を含むBox内の非構造化データをMotionBoard上で統合・可視化。製造・建設現場における分析に寄与。 |
2024年7月 | クラウドデータベース「Dr.Sum Cloud」が「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)(注1)」において、 政府が求めるセキュリティ要求を満たしているクラウドサービスとして登録。 |
2024年8月 | 電子帳簿保存法対応済み企業向け「プロレクチャー電帳法点検」サービスを提供開始。電帳法を遵守した適切な運用や今後のシステム連携・拡張による運用コストの最適化、そして法対応により増加した業務負荷軽減を支援。 |
2024年8月 | 株式会社エイトレッドが発表した 「ATLED Award 2023」で、2023年度において 連携商談数ならびに実績数が最も多かったアライアンスパートナーとして「Alliance of the year」 を受賞。 |
(注)1 ISMAP(Information system Security Management and Assessment Program)(通称:イスマップ)は、政府が求めるセキュリティ要求を満たしているクラウドサービスを予め評価・登録することにより、政府のクラウドサービス調達におけるセキュリティ水準の確保を図り、クラウドサービスの円滑な導入に資することを目的とした制度
また、当社グループでは、製造・物流・ヘルスケア・小売・外食・金融・公共等業界ごとのDX企画部門を組織しており、それぞれの分野での最適なソリューションの提供による顧客のDXを推進する活動を行っております。そして、これらの組織がDX推進に関する業界ごとの課題解決のノウハウを蓄積しており、それらをクラウドサービス化し、より広範な顧客に提供することを目的に活動しております。
上記のような取り組みにより、今後もクラウドを中心としたビジネスを成長の柱に企業のDXを推し進めてまいります。
当中間連結会計期間(2024年3月1日~2024年8月31日)における売上収益は14,875百万円(前年同期比10.2%増)、営業費用(その他の営業収益を控除後)は、人員の採用による人件費や研究開発費の増加などで9,911百万円(前年同期比12.9%増)、営業利益は4,964百万円(前年同期比5.2%増)、税引前中間利益は4,994百万円(前年同期比6.0%増)、親会社の所有者に帰属する中間利益は3,597百万円(前年同期比6.0%増)となりました。
また、当社グループは、上記のIFRSにより規定された財務指標以外に、以下のEBITDAを重要な経営指標と位置付けております。なお、これまで重要な経営指標として「調整後EBITDA」及び「調整後当期利益」(以下、「調整後指標」)を開示してまいりましたが、2022年2月期以降、投資判断にあたり調整を要すると思われる費用がほぼ発生していないことから、2024年2月期以降は「調整後指標」の開示は行いません。なお、今後「調整後指標」を比較に用いる場合はその旨明記いたします。
(単位:百万円)
決算期 | 2024年2月期 中間期 | 2025年2月期 中間期 | 増減 | 増減率 |
営業利益 | 4,720 | 4,964 | 243 | 5.2% |
減価償却費及び償却費 (注1) | 614 | 703 | 88 | 14.4% |
EBITDA(注2) | 5,335 | 5,667 | 332 | 6.2% |
(注)1.2020年2月期より、IFRS第16号の適用により、オフィスの賃借契約に係る使用権を使用権資産として認識しており、当該資産に係る減価償却費も併せて計上しておりますが、EBITDA算出におきましては、「減価償却費及び償却費」からは当該使用権資産に係る減価償却費を除いております。
2.EBITDA=営業利益+減価償却費及び償却費
EBITDAは、営業利益の増加、減価償却費及び償却費が増加により5,667百万円(前年同期比6.2%増)と増加しました。
当社グループは、「データエンパワーメント事業」を単一の報告セグメントとしておりますが、提供しているソフトウェア及びサービスの性質により、企業の基幹業務を支える「帳票・文書管理ソリューション」と、様々なデータを活用し、今までにない新たな価値を生み出す「データエンパワーメントソリューション」の2つに売上収益を区分しております。
・ソリューション区分別売上収益
(単位:百万円)
ソリューション区分 | 2024年2月期 中間期 | 2025年2月期 中間期 | 増減 | 増減率 | |
帳票・文書管理 ソリューション | SVF | 7,488 | 8,301 | 813 | 10.9% |
invoiceAgent | 1,119 | 1,118 | △1 | △0.1% | |
その他 | 140 | 444 | 304 | 216.4% | |
小計 | 8,748 | 9,864 | 1,116 | 12.8% | |
データエンパワーメント ソリューション | Dr.Sum | 1,590 | 1,766 | 176 | 11.1% |
MotionBoard | 2,010 | 1,944 | △66 | △3.3% | |
その他 | 1,149 | 1,300 | 150 | 13.1% | |
小計 | 4,750 | 5,011 | 260 | 5.5% | |
合計 | 13,498 | 14,875 | 1,376 | 10.2% |
(帳票・文書管理ソリューション)
当ソリューションは、企業の基幹業務に必須である請求書や納品書等の帳票類を設計・運用を行うソフトウェア及びサービスである「SVF」及び電子データの保管や紙文書の電子化、送受信を行う「invoiceAgent」が主な構成要素となっております。
「SVF」は、大企業や官公庁を中心とした基幹システムへの大型投資が継続したことにより、ライセンス/サービスは前年同期比19.3%増と前年を大きく上回りました。保守については安定的に推移したため、前年同期比1.3%増と堅調に推移しました。クラウドサービスについては、他社クラウドサービスでの帳票需要を取り込み、前年同期比18.5%増と前年を大きく上回りました。この結果、売上収益は8,301百万円(前年同期比10.9%増)となりました。
「invoiceAgent」は、前年の大型案件の反動により、ライセンス/サービスは前年同期比77.0%減と前年を大きく下回りました。保守については、前年の契約獲得が順調に推移したことから、前年同期比26.4%増と前年を大きく上回りました。クラウドサービスについては、電子帳簿保存法の対応後もさらに企業帳票のデジタル化が進展していることから契約社数が順調に増加し、前年同期比70.9%増と前年を大きく上回りました。この結果、売上収益は1,118百万円(前年同期比0.1%減)と前年から若干の減少となりました。
「その他」は、新たに株式会社トライサーブの売上収益を連結したことから、前年同期比216.4%増と前年を大きく上回りました。
この結果、当ソリューションの売上収益は9,864百万円(前年同期比12.8%増)となりました。
(データエンパワーメントソリューション)
当ソリューションは、企業が保有するデータを統合・処理・分析・可視化する事により、業務の効率化や生産性の向上を実現するソフトウェア及びサービスである「Dr.Sum」「MotionBoard」が主な構成要素となっております。
「Dr.Sum」は、幅広い需要を取り込んだことからライセンス/サービスは前年同期比14.8%増と前年を上回りました。保守については、前年同期比3.3%増と堅調に推移しました。クラウドサービスについては、大企業を中心に販売が好調に推移し、前年同期比52.6%増と前年を大きく上回りました。この結果、売上収益は1,766百万円(前年同期比11.1%増)となりました。
「MotionBoard」は、前年の大型案件の反動により、ライセンス/サービスは前年同期比34.2%減と前年を大きく下回りました。保守については、前年の契約獲得が順調に推移したことから、前年同期比9.6%増と前年を上回りました。クラウドサービスについては、着実に契約社数を積み上げた結果、前年同期比17.0%増と前年を大きく上回りました。この結果、売上収益は1,944百万円(前年同期比3.3%減)となりました。
「その他」は、大企業を中心に導入サービスの需要が非常に強く、前年同期比13.1%増と前年を大きく上回りました。
この結果、当ソリューションの売上収益は5,011百万円(前年同期比5.5%増)となりました。
また、当社グループが提供するソフトウェア及びサービスについては、ソフトウェアライセンスや導入時のサービス提供等継続的な契約を前提としない取引と、ソフトウェアの保守サポート契約、サブスクリプション契約やクラウドサービスの利用契約のような継続的な契約を前提とした取引により構成されています。継続的な契約を前提とした取引は、導入企業が増加するにつれて年々売上収益が積みあがるリカーリングビジネスと呼ばれる収益モデルであり、これらのビジネスから得られる収益(リカーリングレベニュー)は、当社グループの収益の安定化と継続的な拡大に大きく貢献しております。
・契約区分別売上収益
(単位:百万円)
契約区分 | 2024年2月期 中間期 | 2025年2月期 中間期 | 増減 | 増減率 | |
ライセンス/サービス | 5,832 | 6,339 | 506 | 8.7% | |
リカーリング | 保守 | 5,203 | 5,372 | 168 | 3.2% |
クラウド | 1,972 | 2,529 | 557 | 28.3% | |
サブスクリプション | 490 | 634 | 143 | 29.3% | |
小計 | 7,666 | 8,535 | 869 | 11.3% | |
合計 | 13,498 | 14,875 | 1,376 | 10.2% |
(注)より詳細な情報につきましては、当社IRサイト(https://ir.wingarc.com/)財務情報ページの最新の「FACT BOOK」をご参照下さい。
(2)財政状態の分析
(資産)
当中間連結会計期間末における資産は、69,013百万円(前期末比3,063百万円増)となりました。流動資産は18,027百万円(前期末比2,754百万円増)、非流動資産は50,985百万円(前期末比309百万円増)となりました。流動資産の増加の主な要因は、売掛金の増加に伴う営業債権及びその他の債権の増加1,665百万円及び、現金及び現金同等物の増加588百万円、ライセンスフィーの前払費用などその他の流動資産462百万円の増加によるものです。非流動資産の増加の主な要因は、投資有価証券などその他の金融資産の増加210百万円があったことによるものであります。
(負債)
当中間連結会計期間末における負債は、27,731百万円(前期末比878百万円増)となりました。流動負債は14,903百万円(前期末比1,554百万円増)、非流動負債は12,828百万円(前期末比676百万円減)となりました。流動負債の増加の主な要因は、契約負債の増加1,474百万円があったことによるものです。非流動負債の減少の主な要因は、長期借入金の減少700百万円があったことによるものであります。
(資本)
当中間連結会計期間末における資本は、41,281百万円(前期末比2,185百万円増)となりました。資本の増加の主な要因は、配当金の支払に伴う利益剰余金の減少1,563百万円があったものの、親会社の所有者に帰属する中間利益の計上に伴う利益剰余金3,597百万円の増加やその他の資本の構成要素94百万円の増加があったことによるものであります。
(3)キャッシュ・フローの分析
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、13,575百万円(前期末比588百万円増)となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、3,887百万円(前年同期は4,747百万円の獲得)となりました。これは主に、営業債権及びその他の債権の増減額の計上1,582百万円や法人所得税の支払額1,336百万円の計上があったものの、税引前中間利益4,994百万円の計上、契約負債の増減額の計上1,474百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、836百万円(前年同期は925百万円の使用)となりました。これは主に、子会社の取得による支出410百万円、社内インフラサービス構築などによる無形資産の取得による支出215百万円を計上したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、2,486百万円(前年同期は1,906百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額1,562百万円の計上、長期借入金の返済による支出733百万円を計上したことによるものであります。
(4)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当社グループは、主に企業向けソフトウェア及びサービスの開発に係る研究開発を行っており、市場の拡大や技術の進歩により多様化、高度化し、広汎な範囲にわたる顧客ニーズに応える製品を研究、開発し、提供することを基本方針としております。当中間連結会計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、1,645百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況について重要な変更はありません。