有価証券届出書(新規公開時)

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2021/02/18 15:00
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166項目
1.経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当社グループは、「Empower Data, Innovate the Business, Shape the Future.情報に価値を、企業に変革を、社会に未来を。」というビジョンを掲げており、社会に存在する様々なデータを活用することで、多くの企業にイノベーションをもたらし、その結果として、より良い社会を実現することを目指しております。
当社グループは、「データエンパワーメント事業」を単一の報告セグメントとしておりますが、提供しているソフトウェア及びサービスの性質により、企業の基幹業務を支える「帳票・文書管理ソリューション」と、様々なデータを活用し、今までにない新たな価値を生み出す「データエンパワーメントソリューション」の2つに売上収益を区分しております。
(1)経営成績の状況
第4期連結会計年度(自 2019年3月1日 至 2020年2月29日)
当連結会計年度における我が国の経済環境は、個人消費や所得の改善により、緩やかな回復基調にあったものの、2019年10月に実施された消費税増税の影響により、2019年10月-12月の実質GDPは大幅なマイナスとなりました。さらに2019年末頃より報告され始めた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な蔓延により、感染防止の観点から企業や個人の活動自粛が求められる事態となっており、国内外での経済活動の停滞が懸念されております。
一方、当社グループが属する企業向けIT市場では、働き方改革や企業の競争力強化を目的としたDXへの投資が進展しました。特に経済産業省が提唱する「2025年の崖」(注1)の克服に向けた投資が活発になっており、2019年までは企業の好調な業績を背景として、多くの企業におけるシステム刷新/更新需要やビジネス強化のための新規投資が行われました(注2)。2020年は、コロナ禍の影響により、顧客企業に出向いて行う形態のサービスは影響を受けていると思われますが、クラウドで提供されるWeb会議システムやビジネスチャットのようなリモートワークに関するサービスに対する需要は急増しており(注3)、提供されるサービスの種類によって影響は大きく異なっております。
(注)1.経済産業省「DXレポート ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開(2018年9月)」
2.インターナショナルデーターコーポレイションジャパン株式会社「国内エンタープライズIT市場予測、2020年~2024年 エグゼクティブサマリー(2020年4月)」
3.インターナショナルデーターコーポレイションジャパン株式会社「2020年 国内企業のIT投資におけるCOVID-19の影響 2020年度(あるいは現在の会計年度)におけるIT予算において、支出が増加する見込みのものにはどのようなものがありますか?に対する回答(2020年5月)」
このような環境のもと、当社グループは、クラウド上でも超高速集計を実現するDr.Sum Cloudを2019年8月に、紙文書からのデータ抽出機能をさらに強化したSPA Cloudを2019年9月に、帳票のデータ化・保管・配信・印刷・配送をトータルで提供する文書流通サービス「SVF TransPrint」を2020年1月にリリースし、クラウドビジネスの強化を進めております。また、2019年11月に伊藤忠商事株式会社及びSansan株式会社と資本業務提携を締結しました。各々の業界トップの知見と当社グループが持つデータ活用のノウハウを組み合わせ、DXにおけるソリューション開発を軸とした協業を強化してまいります。
売上収益は18,677百万円(前期比8.0%増)、営業費用(その他の営業収益を控除後)はクラウドビジネスやマーケティング、グローバル体制強化を目的とした専門人員の採用などによる人件費の増加、品質管理業務などの内製化による外注・業務委託料の抑制を行いつつ、技術開発強化をしていることに伴う研究開発費の増加や、企業プロモーション制作等広告宣伝に伴うその他の営業費用の増加により、前期比592百万円増加の12,992百万円(同4.8%増)、営業利益は5,684百万円(同16.3%増)、税引前利益は5,523百万円(同16.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は4,076百万円(同23.8%増)となりました。
当社グループは、「データエンパワーメント事業」を単一の報告セグメントとしておりますが、提供しているソフトウェア及びサービスの性質により、企業の基幹業務を支える「帳票・文書管理ソリューション」と、様々なデータを活用し、今までにない新たな価値を生み出す「データエンパワーメントソリューション」の2つに売上収益を区分しております。
ソリューション別の売上収益につきましては、帳票・文書管理ソリューションは11,739百万円(前期比6.0%増)、データエンパワーメントソリューションは6,937百万円(同11.7%増)となりました。
≪ソリューション別売上収益≫ (単位:百万円)
ソリューション区分2019年2月期2020年2月期増減増減率
帳票・文書管理
ソリューション
SVF10,67711,2005224.9%
SPA25138913754.7%
その他14715021.8%
小計11,07611,7396626.0%
データエンパワーメントソリューションDr.Sum2,6172,8041867.1%
MotionBoard2,1742,55437917.5%
その他1,4181,57916011.3%
小計6,2106,93772711.7%
合計17,28718,6771,3898.0%

(帳票・文書管理ソリューション)
当ソリューションは、企業の基幹業務に必須である請求書や納品書等の帳票類の設計・運用を行うソフトウェア及びサービスである「SVF」及び電子データの保管や紙文書の電子化を行う「SPA」が主な構成要素となっております。「SVF」は、基幹システムのリプレイス需要の増加に伴い、ソフトウェアライセンスの受注が好調に推移したことに加え、金額は小さいもののクラウドサービスが大きく成長したため、売上収益は11,200百万円(前期比4.9%増)となりました。「SPA」につきましては、導入事例の増加やクロスセルによる顧客獲得が順調に推移し、売上収益は389百万円(同54.7%増)となりました。
この結果、当ソリューションの売上収益は11,739百万円(同6.0%増)となりました。
(データエンパワーメントソリューション)
当ソリューションは、企業が保有するデータを統合・処理・分析・可視化する事により、業務の効率化や生産性の向上を実現するソフトウェア及びサービスである「Dr.Sum」「MotionBoard」が主な構成要素となっております。「Dr.Sum」は、企業のDXへの強い投資意欲からソフトウェアライセンスの受注が好調に推移し、売上収益は2,804百万円(前期比7.1%増)と前年と同程度の結果となりました。「MotionBoard」は、ソフトウェアライセンスは前年と同程度となったものの、契約ユーザー数の増加によりクラウドサービスが大きく成長したため、売上収益は2,554百万円(同17.5%増)となりました。
この結果、当ソリューションの売上収益は6,937百万円(同11.7%増)となりました。
第5期第3四半期連結累計期間(自 2020年3月1日 至 2020年11月30日)
当第3四半期連結累計期間における我が国の経済環境は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大(コロナ禍)の防止のために2020年4月に発出された緊急事態宣言により大幅に悪化しておりましたが、同年5月の緊急事態宣言解除後は、徐々に経済活動が再開されました。その後、政府のGoToキャンペーン等の政策的な後押しもあり、コロナ禍による経済活動の停滞から急速な回復を見せ、7~9月期の実質GDP成長率は年率換算で20%を超える水準となっております。しかしながら、同年11月から再度感染拡大が進んでおり、当面は不透明な状況が続くと思われます。
当社グループが属する企業向けIT市場においても、設備投資計画見直しの影響を受け、今年度は成長が鈍化する見通しとなっております。一方、当該市場のうちクラウド市場につきましては、導入や運用の容易さ、高いユーザビリティ、安価な初期導入コスト等により、採用が進んでおりましたが、外出自粛対応としてリモートワークが拡大するに従い、Web会議システムやチャットサービス等の業務環境の整備に関するクラウドサービスが急速に拡大しております。今後は営業やマーケティング等既存業務でのクラウドサービスの導入も進むと考えられ、クラウド市場の拡大は加速すると想定されております。
このような環境に対応するため、当社グループは、2020年3月に全社員のリモートワーク環境の整備を完了し、合わせて、受注・出荷業務や経理業務を始め、営業やマーケティング活動もオンラインへ急速にシフトさせており、一部の業務を除き完全なリモートワーク体制へ移行しております。同年10月末には、本社オフィスの来客・イベントエリア以外の執務エリアを閉鎖し、大幅なオフィスの縮小を行いました。
2020年4月には、新たなサービスとして、異なるシステムやクラウドサービスを連携・接続し、業務を自動化できるクラウドサービス「DEJIREN(デジレン)」をリリースしました。コロナ禍の影響で企業のクラウドサービスの利用増加やリモートワークの標準化で働き方が多様化する中、「DEJIREN」で既存システムと新たなクラウドサービスを連携させ、業務の自動化による生産性向上を実現します。
2020年11月には、株式会社PKSHA Technology(PKSHA社)及び東芝デジタルソリューションズ株式会社(TDSL社)とそれぞれ資本・業務提携契約を締結いたしました。PKSHA社とは、「DEJIREN」やBIダッシュボード「MotionBoard」等、当社の様々なソリューションとPKSHA社のアルゴリズム技術の連携により、共同プロダクト/ソリューションの開発及び営業連携を目的としております。TDSL社とは、両社の人材や技術の交流を通じて、IoTやスマートファクトリー等製造業向けソリューションのさらなる強化を図るとともに、これまで培ってきた両社の業種ノウハウやデータ分析の知見・技術を用いて、プラットフォーム上のデータから新たな価値を生み出すデータサービスの開発を目的としております。両提携を通じて、新たなソリューション開発を進め、企業価値の向上を目指しております。
当第3四半期連結累計期間における売上収益は13,468百万円(前年同期比3.4%減)、営業費用(その他の営業収益を控除後)は、営業活動のオンライン化や全社員へのリモートワークの拡大により、海外渡航費や交通費、交際費などの費用の減少があったものの、本社オフィス縮小のため一部を解約することに伴い発生する違約金や使用権資産の早期償却費の計上、人員の採用による人件費の増加などで、前年同期比1,923百万円増加の11,264百万円(前年同期比20.6%増)、営業利益は2,204百万円(前年同期比52.1%減)、税引前四半期利益は2,157百万円(前年同期比51.8%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は1,585百万円(前年同期比50.4%減)となりました。
ソリューション別の売上収益につきましては、帳票・文書管理ソリューションは8,602百万円(前年同期比3.6%減)、データエンパワーメントソリューションは4,865百万円(前年同期比3.1%減)となりました。
(単位:百万円)
ソリューション区分2020年2月期
第3四半期
2021年2月期
第3四半期
増減増減率
帳票・文書管理
ソリューション
SVF8,5418,136△405△4.7%
SPA29240811639.7%
その他8858△29△33.7%
小計8,9218,602△319△3.6%
データエンパワーメントソリューションDr.Sum2,0811,942△138△6.7%
MotionBoard1,8912,0471558.2%
その他1,050875△174△16.6%
小計5,0234,865△157△3.1%
合計13,94513,468△476△3.4%

(帳票・文書管理ソリューション)
当ソリューションは、企業の基幹業務に必須である請求書や納品書等の帳票類の設計・運用を行うソフトウェア及びサービスである「SVF」及び電子データの保管や紙文書の電子化を行う「SPA」が主な構成要素となっております。「SVF」は、ソフトウェア保守及びクラウドサービスは前年を上回ったものの、コロナ禍の影響により、上半期のソフトウェアライセンスの受注が落ち込み、売上収益は8,136百万円(前年同期比4.7%減)となりました。一方、「SPA」は、リモートワークに伴うペーパーレス需要等から、ソフトウェアライセンス及び保守、クラウドサービス全て好調に推移し、408百万円(前年同期比39.7%増)と前年から大きく成長しました。
この結果、当ソリューションの売上収益は8,602百万円(前年同期比3.6%減)となりました。
(データエンパワーメントソリューション)
当ソリューションは、企業が保有するデータを統合・処理・分析・可視化する事により、業務の効率化や生産性の向上を実現するソフトウェア及びサービスである「Dr.Sum」「MotionBoard」が主な構成要素となっております。「Dr.Sum」は、ソフトウェア保守は堅調に推移したものの、コロナ禍の影響により、ソフトウェアライセンスの受注が前年同期比8割程度となり、売上収益は1,942百万円(前年同期比6.7%減)となりました。「MotionBoard」は、ソフトウェアライセンスは前年同期比9割程度となったものの、ソフトウェア保守及びクラウドサービスがともに好調に推移した結果、売上収益は2,047百万円(前年同期比8.2%増)となりました。「その他」につきましては、主にソフトウェアライセンス導入時に利用されるプロフェッショナルサービスがコロナ禍の影響により、前年同期比6割程度と大きく落ち込んだ結果、売上収益は875百万円(前年同期比16.6%減)となりました。
この結果、当ソリューションの売上収益は4,865百万円(前年同期比3.1%減)となりました。
(2)財政状態の状況
第4期連結会計年度(自 2019年3月1日 至 2020年2月29日)
(資産)
当連結会計年度末における資産は、57,923百万円(前期末比3,219百万円増)となりました。流動資産は7,093百万円(前期末比2,056百万円増)、非流動資産は50,829百万円(前期末比1,163百万円増)となりました。流動資産の増加の主な要因は現金及び現金同等物1,524百万円の増加によるものです。非流動資産の増加の主な要因は、顧客関係・技術関連資産の減価償却などに伴うその他の無形資産983百万円の減少があったものの、当連結会計年度よりIFRS第16号「リース」を適用したことに伴って、使用権資産を計上したことなどによる有形固定資産1,883百万円の増加があったことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、34,394百万円(前期末比1,056百万円減)となりました。流動負債は11,964百万円(前期末比2,299百万円増)、非流動負債は22,429百万円(前期末比3,355百万円減)となりました。流動負債の増加の主な要因は、IFRS第16号「リース」適用に伴うリース負債の計上などによるその他の金融負債の増加781百万円及び一年内返済長期借入金の増加498百万円によるものです。非流動負債の減少の主な要因は、IFRS第16号「リース」適用に伴うリース負債の計上によるその他の金融負債の増加1,143百万円があったものの、長期借入金4,310百万円の減少があったことによるものであります。
(資本)
当連結会計年度末における資本は、23,529百万円(前期末比4,275百万円増)となりました。資本の増加の主な要因は当期利益の計上により利益剰余金4,113百万円の増加によるものであります。
第5期第3四半期連結累計期間(自 2020年3月1日 至 2020年11月30日)
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における資産は、61,787百万円(前期末比3,864百万円増)となりました。流動資産は12,630百万円(前期末比5,536百万円増)、非流動資産は49,157百万円(前期末比1,672百万円減)となりました。流動資産の増加の主な要因は、コロナ禍に起因する事業環境の不確実性に対応するための手元流動性の確保を目的とした、金融機関からの借入による現金及び現金同等物5,251百万円の増加によるものです。非流動資産の減少の主な要因は、本社オフィス縮小のため一部を解約することに伴う使用権資産など有形固定資産1,297百万円の減少、顧客関係・技術関連資産の償却に伴うその他の無形資産756百万円の減少があったことによるものであります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債は、37,014百万円(前期末比2,620百万円増)となりました。流動負債は16,330百万円(前期末比4,365百万円増)、非流動負債は20,684百万円(前期末比1,745百万円減)となりました。流動負債の増加の主な要因は、コロナ禍に起因する事業環境の不確実性に対応するための手元流動性の確保を目的とした、金融機関からの借入による短期借入金4,500百万円の増加によるものです。非流動負債の減少の主な要因は、借入金返済に伴う長期借入金977百万円の減少、本社オフィス縮小のため一部を解約することに伴うリース負債などその他の金融負債824百万円の減少によるものであります。
(資本)
当第3四半期連結会計期間末における資本は、24,772百万円(前期末比1,243百万円増)となりました。資本の増加の主な要因は、自己株式取得に伴う650百万円の減少があったものの、親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上に伴う利益剰余金1,585百万円の増加によるものであります。
(3)キャッシュ・フロー
第4期連結会計年度(自 2019年3月1日 至 2020年2月29日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、4,962百万円(前期末比1,524百万円増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、6,555百万円(前期は3,337百万円の獲得)となりました。これは主に営業利益の増加に伴う税引前利益の増加784百万円、IFRS第16号「リース」の適用などに伴う減価償却費及び償却費の増加673百万円、営業債務及びその他の債務の増加762百万円や、法人所得税の支払額の減少による増加709百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、418百万円(前期は1,648百万円の使用)となりました。これは主に、SALES ROBOTICS株式会社の投資有価証券の売却による収入73百万円があったものの、BMX(自転車競技の一種でBicycle Motocrossの略)練習用施設建設などの有形固定資産の取得による支出341百万円、投資有価証券の取得による支出50百万円、セキュリティ強化や顧客の利便性向上を目的としたサポートサイトのリニューアル開発などに伴う無形資産の取得による支出79百万円を計上したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、4,593百万円(前期は2,958百万円の使用)となりました。これは主に、借入金の返済による支出3,750百万円、当連結会計年度よりIFRS第16号「リース」を適用したことに伴うリース負債の返済による支出751百万円を計上したことによるものであります。
第5期第3四半期連結累計期間(自 2020年3月1日 至 2020年11月30日)
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、10,214百万円(前期末比5,251百万円増)となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、3,300百万円(前年同期は4,619百万円の獲得)となりました。これは主に、法人所得税の支払額1,743百万円の計上があったものの、税引前四半期利益2,157百万円の計上、減価償却費及び償却費の計上2,728百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、353百万円(前年同期は176百万円の使用)となりました。これは主に、サーバーのリプレイスに伴うネットワーク機器の購入など、有形固定資産の取得による支出407百万円を計上したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、2,293百万円(前年同期は3,401百万円の使用)となりました。これは主に、借入の返済による支出1,000百万円、自己株式の取得による支出650百万円があったものの、コロナ禍に起因する事業環境の不確実性に対応するための手元流動性の確保を目的とした、金融機関からの借入による収入4,500百万円を計上したことによるものであります。
2.生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当社グループは、ソフトウェアの販売及びサービスの提供が主体であり、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
(2)受注実績
当社グループは、ソフトウェアの販売及びサービスの提供が主体であり、受注生産を行っていないため、該当事項はありません。
(3)販売実績
第4期連結会計年度及び第5期第3四半期連結累計期間の販売実績は、次のとおりであります。
ソリューションの名称第4期連結会計年度
(自 2019年3月1日
至 2020年2月29日)
第5期第3四半期連結累計期間
(自 2020年3月1日
至 2020年11月30日)
金額(百万円)前期比(%)金額(百万円)
帳票・文書管理ソリューション11,739106.08,602
データエンパワーメントソリューション6,937111.74,865
合計18,677108.013,468

(注)1.当社グループの事業セグメントは、「データエンパワーメント事業」を単一の報告セグメントとしているため、ソリューション別の販売実績を記載しております。
2.最近2連結会計年度及び第5期第3四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
相手先第3期連結会計年度
(自 2018年3月1日
至 2019年2月28日)
第4期連結会計年度
(自 2019年3月1日
至 2020年2月29日)
第5期第3四半期連結累計期間
(自 2020年3月1日
至 2020年11月30日)
金額
(百万円)
割合(%)金額
(百万円)
割合(%)金額
(百万円)
割合(%)
日本電気株式会社1,83510.61,7089.11,41810.5

(注)第4期連結会計年度は、当該割合が10%未満となりましたが、継続して記載をしております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表はIFRSに基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。
(2)財政状態の分析
第4期連結会計年度及び第5期第3四半期連結累計期間における財政状態の分析につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (2)財政状態の状況」を参照ください。
(3)経営成績の分析
第4期連結会計年度及び第5期第3四半期連結累計期間における経営成績の分析につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (1)経営成績の状況」を参照下さい。
(4)キャッシュ・フローの分析
第4期連結会計年度及び第5期第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (3)キャッシュ・フロー」に記載しております。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループにおける主な資金使途は人件費、研究開発費、外注・業務委託料等の営業費用、主に社内インフラ用のソフトウェア・サーバ等の設備投資、M&Aや出資に係る投資、借入金の返済、配当の支払となっております。これらの資金需要につきましては、営業キャッシュ・フローを源泉とする自己資金で賄っております。
上述のとおり、運転資金及び設備投資資金につきましては、全て自己資金で賄っておりますが、柔軟かつ安定的な流動性の確保を目的として、2019年9月25日付けで総額25億円のコミットメントラインを設定しております。なお、コロナ禍における不透明な経済環境に対応するため、手元流動性の積み増しを目的として、2020年5月29日付で当該コミットメントラインを全額実行しております。
(6)目標とする指標の分析
・調整後EBITDA及び調整後当期利益
(単位:百万円)
2019年2月期2020年2月期増減増減率
調整後EBITDA6,5207,1286079.3%
調整後当期利益3,5534,19964618.2%
(参考)売上収益17,28718,6771,3898.0%

調整後EBITDAにつきましては、主に製品開発関連の外注費を削減したことから費用全体の増加が抑制され、売上収益の増加を上回る前期比9.3%の増加となりました。調整後当期利益につきましては、税制優遇等により実効税率が低下した結果、前期比18.2%と大幅な増加となりました。なお、2021年2月期の調整後EBITDA及び調整後当期利益は、それぞれ6,440百万円(前期比9.6%減)、3,636百万円(前期比13.4%減)とコロナ禍の影響により前年から減少する計画となっておりますが、2022年2月期の調整後EBITDA及び調整後当期利益は、それぞれ7,180百万円(前期比11.5%増)、4,118百万円(前期比13.3%増)と前年から増加する計画となっております。
・契約継続率
2019年2月期2020年2月期増減
契約継続率94.4%93.0%△1.4ポイント

契約継続率は、主に顧客の業務システム自体の利用終了の影響により解約が若干増加したため、前期比1.4ポイント減の93.0%となりました。今後も顧客満足の向上に取り組み契約継続率の向上に努めてまいります。
(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
(商標権に対する調整)
日本基準においては、商標権は、商標登録の有効期間にわたって償却を行いますが、IFRSでは耐用年数の確定できない商標権について、償却を行っておりません。この結果、IFRSでは日本基準に比べて、「減価償却費及び償却費」が第4期連結会計年度において611百万円、第5期第3四半期連結累計期間において458百万円減少しております。
(のれんに対する調整)
日本基準においては一定期間にわたりのれんの償却を行いますが、IFRSでは規則的な償却を行わず、毎期減損テストを実施することが要求されます。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、「減価償却費及び償却費」が第4期連結会計年度において1,784百万円、第5期第3四半期連結累計期間において1,337百万円減少しております。