有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/02/19 15:00
【資料】
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【項目】
138項目
(1) 【コーポレート・ガバナンスの概要】
① コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、透明性の高い経営の実現と企業価値の継続的な向上により、株主をはじめとするあらゆるステークホルダーから信頼され、継続して成長できる企業であり続けるために、コーポレート・ガバナンスの充実を経営上の重要課題の一つとして位置づけております。
当社は、会社法上の機関として、株主総会、取締役会、監査役会、会計監査人を設置しております。併せて内部監査室による内部監査を実施することで、経営の透明性を高めるとともに、経営に対する監督の強化を図っております。さらに、必要に応じて、弁護士等の外部専門家に助言及び指導をいただくことで、コーポレート・ガバナンス体制を補強しております。
② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由
イ 企業統治の体制の概要
当社の企業統治の体制と各機関等の内容は、以下のとおりであります。

a. 取締役会
当社の取締役会は、取締役6名(うち社外取締役2名)で構成され、原則、毎月1回開催するほか、必要に応じて臨時に開催しております。取締役会は、経営上の意思決定機関として、法令で定められた事項、経営に係る重要事項を決議するとともに、取締役の職務執行の監督を行っております。
社外取締役は、取締役会において、内部監査状況、会計監査状況及びその結果について適時報告を受け、必要に応じて説明を求めることなどにより、経営監督機能としての役割を担っており、社外監査役とともに独立した立場から取締役会の牽制及び監視を行っております。
なお、取締役会の議案については、事前に全取締役及び監査役に連絡し、議事の充実に努めております。
b. 監査役会
監査役会は、監査役4名(全員が社外監査役)で構成され、原則、毎月1回開催するほか、必要に応じて臨時に開催しております。監査役会では、ガバナンスの在り方とその運営状況を監視し、取締役の職務の執行を含む日常的活動の監査を行っております。
監査役は、取締役会のほか、経営会議(コンパス)等の重要な会議・委員会に出席し、重要な決裁書類等の閲覧、内部監査部門の報告や関係者の聴取などにより、常に取締役の職務執行を監視できる体制となっております。
なお、監査役のうち2名は常勤監査役であり、大阪と東京のオフィスに分かれて常駐しております。
c. 経営会議(コンパス)
経営会議(コンパス)は、取締役、常勤監査役、執行役員並びに事業部長のほか、必要に応じて代表取締役社長が指名する者で構成され、原則、毎月1回開催しております。経営会議(コンパス)では、経営上の課題等についての協議、営業戦略の遂行状況の報告を行っております。
d. リスクマネジメント・コンプライアンス委員会
リスクマネジメント・コンプライアンス委員会は、代表取締役社長を委員長とし、取締役会が選任した者及び常勤監査役で構成され、原則、四半期毎に開催するほか、必要に応じて臨時に開催しております。リスクマネジメント・コンプライアンス委員会では、リスクマネジメント及びコンプライアンスに関する方針や施策について協議し、当社のコンプライアンス体制の構築を図っております。
e. 内部監査室
当社は、代表取締役社長直属の内部監査室を設置し、1名の内部監査責任者で構成されております。内部監査は、内部監査計画書に基づき、不正、誤謬の未然防止、正確な情報の提供、財産の保全、業務活動の改善向上を図り、経営効率の増進に資することを目的とし実施しております。
f. 会計監査人
当社は、有限責任 あずさ監査法人と監査契約を締結し、適時適切な監査が実施されております。
なお、当社と同監査法人及び当社の監査に従事する同監査法人の業務執行社員との間には公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はありません。
ロ 当該体制を採用する理由
当社は、経営の透明性・健全性の確保、経営環境の変化に迅速に対応するため、現在の体制を採用しております。
③ 企業統治に関するその他の事項
イ 内部統制システムの整備の状況
当社は、会社法上の大会社ではありませんが、業務の適正性を確保するための体制として、会社法及び会社法施行規則に基づき、2014年9月開催の取締役会において「内部統制システムの整備に係る基本方針」について決議し、その後一部改訂いたしました。基本方針は、以下のとおりであります。
a. 取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
・コンプライアンス体制構築の基礎として、取締役、執行役員及び使用人が遵守すべき規範である「クレド」及び「リスクマネジメント・コンプライアンス規程」を定めて周知徹底し、高い倫理観に基づいて行動する企業風土を醸成し、堅持することを目指しております。
・コンプライアンス体制を実現、維持するために、リスクマネジメント・コンプライアンス委員会を設置し、会社の全リスクの統括管理及びコンプライアンスに関する個別課題についての協議・決定を行うこととしております。
・リスクマネジメント・コンプライアンス委員会の活動は、四半期毎に、又は必要に応じて開催し、当委員会の活動は、必要に応じて取締役会に報告しております。
・反社会的勢力とは一切関係を持たないとともに、不当な要求に対しても妥協せず、警察や弁護士等と連携して、毅然とした態度で対処する体制としております。
・法令違反又はコンプライアンスの懸念事項を予防及び発見するための通報体制として、「公益通報者保護規程」を運用し、通報窓口として社外監査役を設置しております。
・内部監査室を設けて、コンプライアンス実施状況を監査するものとし、その監査結果を代表取締役に報告する体制としております。
b. 取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
・株主総会、取締役会、その他重要な意思決定に係る情報は、「職務分掌規程」に定める主管部署が法令及び「文書管理規程」等の社内規程に基づき、当該情報の性質(機密性・重要性)に応じて的確に所定の年数を保管する体制としております。
・当該主管部署は、取締役及び監査役の閲覧請求に対して速やかに対応できる体制を構築しております。
c. 損失の危険の管理に関する規程その他の体制
・リスク管理体制の実現、徹底を図るために、四半期毎に又は必要に応じてリスクマネジメント・コンプライアンス委員会を開催するとともに、内部監査室を設置し、互いに連携して当社のリスクに対して継続的に監視するほか、予めリスクを想定、分類、評価して、リスク発生を予防するとともに、有事の際の迅速かつ適切な情報伝達と緊急管理体制の整備を統括しております。
・リスクマネジメント・コンプライアンス委員会及び内部監査室は、具体的な個別事案を含めて、リスク管理体制の整備状況を検討し、定期的に又は必要に応じて取締役会に報告しております。
d. 取締役の職務の執行が効率的に行われていることを確保するための体制
・取締役会を月1回開催するほか、必要に応じて適宜臨時に開催するものとしております。業務執行については、予め定められた「職務権限規程」、「職務分掌規程」等により、それぞれの業務執行において必要となる権限を付与して経営責任を明確化しております。
・取締役、執行役員及び使用人が共有する目標を持ち、この目標達成に向けて各部門が実施すべき具体的目標及び効率的な方法を各部門長が定め、その実施結果を迅速にデータ化して、各部門長と管理本部が分析した結果を取締役会に報告しております。その報告を受けて取締役会では、目標達成を阻害する要因を排除・低減化する方策を決定し、各部門へ報告する体制を構築して、経営の効率化を図っております。
e. 監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項並びに当該使用人の取締役からの独立性に関する事項及び監査役の当該使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項
・補助使用人を置く必要がある場合には、適正に人員を配置し、当該人員の取締役からの独立性と監査役の指示の実効性を確保するため、監査役の指揮命令下で業務を行い、取締役及び使用人からの指示命令は受けないこととしております。また、当該人員の人事異動及び人事評価等については監査役の意見を尊重して行っております。
f. 取締役及び使用人が監査役に報告するための体制その他監査役への報告に関する体制
取締役は、次に定める事項を監査役に報告しております。
・取締役会、経営会議(コンパス)で協議された事項
・当社に著しい損害を及ぼすおそれのある事項
・日々の経営状況として重要な事項
・内部監査及びリスク管理に関する重要な事項
・重大な法令・定款違反
・内部通報の状況及び内容
・コンプライアンス上重要な事項
・取締役が決裁した稟議事項
・取締役が決裁した契約事項
・訴訟に関する事項
使用人は、次に関する重大な事実を発見した場合は、監査役に直接報告しております。
・当社に著しい損害を及ぼすおそれのある事項
・日々の経営状況として重要な事項
・内部監査及びリスク管理に関する重要な事項
・重大な法令・定款違反
g. 監査役に報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制
・報告をした者に対して、これを理由とする不利益な取扱いを行うことを禁止することを「公益通報者保護規程」に規定し、当社取締役及び使用人に周知徹底しております。
h. 監査役の職務の遂行について生ずる費用の前払い又は償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項
・当社は、監査役がその職務の執行について、当社に対し費用の前払い等の請求をした時は、当該請求に係る費用又は債務が当該監査役の職務の執行に必要でないと認められた場合を除き、速やかに当該費用又は債務を処理するようにしております。
i. その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
当社は、監査役に対して次のような体制を構築しております。
・監査役に対して、取締役及び使用人へのヒアリングを行う機会を与えております。
・監査役に対して、代表取締役との定期的な意見交換を行う機会を設けております。
・監査役に対して、会計監査人及び内部監査室との間で定期的な意見交換を行う機会を設けております。
・監査役から内部監査室に対して、要望する事項の内部監査の実施とその報告を受ける機会を設けております。
ロ 反社会的勢力の排除に向けた具体的な取組み状況
当社の代表取締役社長である中村勇人は、かねてより反社会的勢力と絶対に付き合わないという信念を有しており、現在までに反社会的勢力との関係は一切ありません。また、このような信念に基づき、取締役会、経営会議(コンパス)等においても、機会ある毎に、自ら注意を促しております。
そして当社は、社内体制の構築として、以下のことを実施しております。
a. コンプライアンス遵守を実践するための行動規範として、「クレド」(約束)を定めており、その第一項に「人として何が正しいか常に意識し行動の基本とする。」ことを謳い、社員に社会的に批判される反社会的勢力との関係を一切断つ心構えを常に意識させております。
b. 社内規程として「反社会的勢力排除規程」を定めて、反社会的勢力の調査から有事の際の対応まで、基本的な手順を定めて実施しております。
c. 反社会的勢力の排除を推進するための体制として、主管部署は管理本部とし、有事の際における対応統括責任者をデザイナーズオフィス事業本部担当役員、反社調査の実施、運用の統括責任者を管理本部長としております。
d. 公益財団法人大阪府暴力追放推進センターに賛助会員として加入し、情報収集に努めております。また、本社管理本部を窓口として、所轄警察署や上記推進センターとの連絡強化を図っております。
e. 東京・大阪・名古屋の各拠点に不当要求防止責任者を選任し、暴力団の不当な要求による被害を防止し、対応方法を習得する体制を整えております。
f. 当社の下請けを担っている協力会社との間では、原則、取引基本契約書を締結し、その条項中に協力会社が反社会的勢力であることが判明した場合には、基本契約を解除できる旨を加えております。
g. 顧客との間で新たに取引を行うに際しては、管理本部を窓口として、顧客情報を外部情報機関等へ情報照会して、反社会的勢力を排除する体制を構築し、実施しております。
ハ リスク管理体制の整備の状況
当社では、市場、情報セキュリティ、環境、労務、施工品質等様々な事業運営上のリスクについて、「リスクマネジメント・コンプライアンス規程」を制定し、代表取締役社長を委員長とするリスクマネジメント・コンプライアンス委員会を設置して、社内横断的なリスク管理を行っております。さらに、地震、火災等の災害に対処するため、「緊急事態対応マニュアル」や「職場における災害対策マニュアル」等の各種規程を制定し、不測の事態に備えております。
当社では、同委員会を当社運営に関する全社的・統括的なリスク管理の報告及び対応策検討の場と位置づけており、取締役会で選任した者及び常勤監査役を委員とするとともに、議案により社内の有識者を加えております。委員である各部門長は担当部門のリスク管理責任者として日常の業務活動におけるリスク管理を行うとともに、不測の事態が発生した場合には、リスクマネジメント・コンプライアンス委員会へ報告することとなっております。
特に建設業法、建築基準法並びに建築士法の遵守は当社のコンプライアンス体制確立にとって欠かせないため、同委員会においてはこれらの諸法に関する多様な議題を提議し、体制強化に努めております。例えば、建設業法遵守に向け、国土交通省発行の「建設業法遵守ガイドライン-元請負人と下請負人の関係に係る留意点-」にある事項の検証や、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に関し、電子マニフェスト制度の導入など、さらなる整備に努めております。
また、当社が取得、収集した個人情報の漏洩等は、当社の信用力低下に直結することから、取締役管理本部長矢原裕一郎を個人情報管理責任者として、「個人情報管理規程」並びに「情報システム管理規程」を整備し、個人情報管理に関するシステムのセキュリティ対策を講ずるとともに、全役員・従業員を対象とした研修を実施して、個人情報の適正管理に努めております。
ニ 責任限定契約の内容の概要
当社は、会社法第427条第1項の規定に基づき、取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)及び監査役との間に、任務を怠ったことによる損害賠償責任を限定する契約を締結することができる旨を定款に定め、当該契約に基づく責任の限度額は法令が規定する額としております。
なお、本書提出日現在において、当該契約は締結しておりません。
ホ 取締役及び監査役の定数
当社の取締役は7名以内、監査役は5名以内とする旨を定款に定めております。
ヘ 取締役及び監査役の選任決議
当社は、取締役及び監査役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨を定款に定めております。また、取締役の選任決議は、累積投票によらないものとする旨を定款に定めております。
ト 株主総会の特別決議要件
当社は、株主総会の円滑な運営を行うため、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上で行う旨を定款に定めております。
チ 剰余金の配当の決定機関
当社は、会社法第454条第5項の規定に基づき、取締役会決議により、毎年9月末日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。これは、中間配当制度を採用することにより、株主への機動的な利益還元を行うことを目的とするものであります。
リ 取締役及び監査役の責任免除
当社は、会社法第426条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって、同法第423条第1項の行為に関する取締役(取締役であった者を含む。)及び監査役(監査役であった者を含む。)の当社に対する損害賠償責任を、法令が定める範囲で免除することができる旨を定款に定めております。これは、取締役及び監査役が職務を遂行するにあたり、その能力を十分に発揮して、期待される役割を果たしうる環境を整備することを目的とするものであります。