有価証券報告書-第10期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

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2021/03/26 15:30
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当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(1) 経営成績
当事業年度における我が国経済は、消費増税に伴う個人消費の弱さなどによる景気後退懸念に加え、米国通商政策の動向や地政学的なリスクに対する警戒感が高まり、加えて年初からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界各地への拡大は、企業収益及び雇用環境を含む社会経済に極めて深刻な損害を与えており、今後の景気動向が強く懸念されています。
当社については、主たる事業領域であるPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)関連業界において、いわゆる「団塊の世代」がすべて75歳以上となり超高齢社会を迎える「2025年問題」を見据え、給付と負担のバランスを図りながら制度の持続可能性を確保するための医療制度改革が進む一方、高齢化に伴い慢性疾患罹患率が増加し、生活の中で生活の質(QOL)の維持・向上を図っていく必要性が高まるなど医療に対するニーズの変化が着実に進みました。
加えて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、医療従事者の負担が増大し十分に患者のケアができない一方、医療機関のキャパシティのひっ迫や感染症のリスクにより患者の医療機関への通院等アクセスが困難となるなど医療をめぐる情勢が極めて緊迫する中、当社が進めるPHRサービスの意義がこうした社会的課題の解決策の一つとして社会的に強く認識されることとなりました。
このような事業環境下、当社は「Empower the Patients」を事業ミッションのもと、医療関係者をはじめ、大手の製薬メーカー、医療機器メーカー等とともに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応なども含めたPHRプラットフォームサービスの普及に取り組みました。なお、2020年12月末時点で各アプリの合計ダウンロード数は約83万回に達しております。
疾患ソリューションサービスにおいては、スポンサードPHRについて製薬会社への提案活動を進め、アストラゼネカ株式会社との間で複数の疾患領域について治療サポートを行う戦略的パートナーシップを締結するなどしたほか、既存サービスからのランニング収益、改修改善のための追加受注などを着実に獲得しました。また、アステラス製薬株式会社と共同開発した過活動膀胱(OAB)患者向けサービスが国内のPHRサービスで初めて診療ガイドラインに掲載されるなどPHRサービスの認知度向上にも貢献しております。
オンコロジー領域においては、本プラットフォームサービス「WelbyマイカルテONC」を活用し、新たに中外製薬株式会社から、同社が販売する免疫チェックポイント阻害薬「テセントリク®」による治療を受けている乳がん患者向けの患者サポートプログラムの運営を受託するなど、プラットフォーム参画主体を拡大するための製薬会社等への提案活動の継続的な実施や、肺がん患者の治療管理をサポートするPHRサービスのリリースを行いオンコロジー領域拡大のためのサービス提供を行いました。また、「WelbyマイカルテONC」の有用性を検証すべく、大学病院等と連携した乳がんや肺がんに関する臨床研究を推進するとともに、大手製薬会社スポンサーによる複数施設を対象とした臨床研究の実施も決定し、その準備を進めました。サービス普及の観点からは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴い、本サービスの利用が通院や主治医等とのコミュニケーションに支障をきたすがん患者と医療機関両方の利益となることを踏まえ、がん拠点病院などを中心に導入活動を推進するとともに、アフラック生命保険株式会社と協力し、同社のがん保険契約者への「WelbyマイカルテONC」の紹介を行うスキームを構築するなど、複合的な普及施策を展開しました。
臨床研究分野においては、株式会社インテージヘルスケアとの事業提携による成果として製薬会社等からの臨床研究案件を共同で受託し、運営も両社共同で推進しました。加えて、製薬会社のマーケティング、メディカルアフェアーズ向けに当社の保有する利用者やデータベースを活用した調査サービスの開発に着手しています。
一方、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延に伴う顧客側の意思決定の遅滞、受注リードタイムの長期化などによる受注遅れの影響がありました。また、「WelbyマイカルテONC」の機能追加が一部遅延したことにより一部案件受注に影響があったほか、臨床研究について、医療機関への受診自粛などの影響により臨床研究の取り組み自体が停滞したことにより受注活動への影響がありました。
これらの結果、疾患ソリューションサービスの売上高は、670,848千円と、前年同期と比べて46,780千円(7.5%)の増収となりました。
Welbyマイカルテサービスにおいては、広範な顧客網を有する有力なパートナー企業との協業を推進し、企業・健保組合向けに株式会社ベネフィット・ワンと、医療機関向けには株式会社スズケン、フクダ電子株式会社などと普及活動を行いました。また、PHRを利用した対面/オンライン診療等向け個人情報管理機能をリリースすることで、より一層診療の質的向上に寄与しております。Welbyマイカルテユーザーが登録したかかりつけ医療機関は2020年12月末時点で約20,600施設(無料利用施設を含み、重複を除く)となっています。
PHRサービスと他事業の協業の一環として、生命保険分野において業務提携関係になる大同生命保険株式会社と保険契約者の生活習慣の改善に向けた取り組みや新たな保険商品・サービスの開発などを目的としたWelbyマイカルテ利用者の生活習慣・重症化予防効果についての共同研究などを推進しました。また、オンラインショッピングサービス「Welbyマイカルテモール」を開始し、Welbyマイカルテを利用する2型糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病患者や予防・健康管理などで利用する方々を対象に、Welbyマイカルテとのデータ連携機能に対応する血圧計などの各種測定器を提供するほか、ミツカングループの株式会社ZENB JAPANの健康食品(ZENBシリーズ)の取り扱いを開始するなど、健康管理に関する様々な利用者のニーズにこたえるとともに、利用者基盤を活かした企業からの出店費や販売手数料を収益化する事業ベースを構築しました。
加えて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響下、企業が従業員の体温、風邪の症状その他の健康状態を把握できる機能、及び医療機関が医療従事者の健康状態を把握できる機能を活用したリスクマネジメントツールとしてWelbyマイカルテを企業や医療機関向けに提供する取り組みを推進しました。また、デジタルデータとしてPHRに登録された患者の医療情報(バイタルサイン、検査値、服薬状況など)について、患者が希望する医療機関を対象に情報提供(開示)できる機能を活用し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で受診を控えている患者やその予備群に対しても、受診前の適切なコミュニケーションを促したり患者情報を補足したりする機能をアピールすることにより、Welbyマイカルテの医療機関、患者双方への普及を図りました。
一方で、Welbyマイカルテを活用した製薬会社や医療機器メーカー向けのDTC広告やデータ販売などについては、普及の進捗により情報資産の形成は進んだものの、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による顧客事情や営業の遅延により受注の獲得が進みませんでした。
これらの結果、Welbyマイカルテサービスの売上高は193,795千円と、前年同期と比べて19,346千円(11.1%)の増収となりました。
これらの結果、当事業年度の売上高は864,644千円(前年同期比8.3%増)となりました。
売上総利益については、主に疾患ソリューションサービスにおいて原価率が高い初期開発の割合が想定以上だったことや顧客案件の高度化及び多様化で要求されるセキュリティ基準対応に伴い、開発リードタイムが長期化したことなどにより前年同期と比べて売上総利益率は減少し、506,295千円(前年同期比18.2%減)となりました。
販売費及び一般管理費については、業容拡大に伴う人件費及び採用関連費の増加などの結果743,837千円(前年同期比23.5%増)となり、営業損失は237,542千円(前事業年度は営業利益16,567千円)、経常損失は237,404千円(前事業年度は経常損失1,354千円)となりました。
また、直近の業績動向を踏まえて、当社保有の固定資産(本社設備、ソフトウェア等)の減損損失を計上したほか、繰延税金資産を取崩したことにより、当期純損失は353,093千円(前事業年度は当期純損失11,303千円)となりました。
なお、当社は、PHRプラットフォームサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。
生産、受注及び販売の状況の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当社は、生産活動を行なっておりませんので、該当事項はありません。
② 受注実績
当社は、受注から売上高計上までの期間が短期であるため、当該記載を省略しております。
③ 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
当事業年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
販売高(千円)前年同期比(%)
PHRプラットフォームサービス事業864,644108.3

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前事業年度
(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当事業年度
(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
株式会社インテージヘルスケア103,02011.9
アストラゼネカ株式会社70,0598.896,26511.1
中外製薬株式会社128,50916.169,2058.0
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社119,80015.01,2000.1

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
① 資産
当事業年度末の資産については、総資産が1,520,139千円となり、前事業年度末と比較し309,042千円の減少となりました。
流動資産の残高は、前事業年度末に比べ217,762千円減少し、1,461,593千円となりました。主な増減内訳は、現金及び預金が110,459千円、売掛金が94,987千円減少したことによるものであります。
固定資産の残高は、前事業年度末に比べ91,279千円減少し、58,546千円となりました。主な増減内訳は、有形固定資産が26,215千円、無形固定資産が39,239千円、投資その他の資産が25,825千円減少したことによるものです。
② 負債
負債については、162,600千円となり、前事業年度末と比較して1,745千円の増加となりました。
流動負債の残高は、前事業年度末に比べ8,885千円増加し、147,110千円となりました。主な増減内訳は、買掛金が22,125千円増加したことによるものであります。
固定負債の残高は、前事業年度末に比べ7,140千円減少し、15,490千円となりました。主な減少内訳は、長期借入金の返済による減少であります。
③ 純資産
純資産の残高は、前事業年度末に比べ310,788千円減少し、1,357,539千円となりました。主な減少内訳は、繰越利益剰余金が353,093千円減少したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フロー
当事業年度末における現金及び現金同等物は、1,098,361千円となり、前事業年度末と比較して110,459千円の減少となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、110,970千円の支出(前事業年度は168,321千円の支出)となりました。主な要因は、減価償却費21,778千円、減損損失86,944千円、売上債権の減少94,987千円、仕入債務の増加22,125千円により資金が増加した一方で、税引前当期純損失の計上331,820千円により資金が減少したことによるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、19,485千円の支出(前事業年度は83,944千円の支出)となりました。主な要因は、無形固定資産の取得による支出38,953千円、差入保証金の回収による収入24,622千円によるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、19,996千円の収入(前事業年度は429,160千円の収入)となりました。これは、新株予約権の行使による収入27,200千円によるものであります。
(4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度において当社が判断したものであります。
① 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 売上高
当事業年度の売上高は、前事業年度に比べて66,127千円増加し864,644千円(前年同期比108.3%)となりました。売上高の分析については、「第3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績」をご参照ください。
b. 売上原価、売上総利益
売上原価は、前事業年度に比べて178,737千円増加し358,349千円(前年同期比199.5%)となりました。売上原価の主たる減少要因は、外注費が165.081千円増加したためであります。
以上の結果、売上総利益は前事業年度に比べて112,609千円減少し506,295千円(前年同期比81.8%)となりました。
c. 販売費及び一般管理費、営業利益
販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べて141,500千円増加し743,837千円(前年同期比123.5%)となりました。主たる要因としては、給与手当が58,752千円、業務委託費が25,311千円、役員報酬が12,000千円増加したためであります。
以上の結果、営業利益は前事業年度に比べて254,110千円減少し237,542千円(前事業年度は16,567千円)となりました。
d. 営業外損益、経常利益
営業外収益は、前事業年度に比べ1,566千円減少し254千円(前事業年度は1,821千円)となりました。営業外費用は、前事業年度に比べ19,626千円減少し116千円(前事業年度は19,742千円)となり、主たる要因は、上場関連費用が13,432千円、本社移転費用が6,097千円減少したためであります。
以上の結果、経常損失は237,404千円(前事業年度は経常損失1,354千円)となりました。
e. 当期純利益
当事業年度の法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額を含む。)は21,273千円となりました。
以上の結果、当期純損失は353,093千円(前事業年度は当期純利益11,303千円)となりました。
② 財政状態の状況
「第3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 財政状態」に記載のとおりです。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金については、自己資金、金融機関からの借入金、新株発行による調達資金により充当することとしております。
なお、当社の資金の流動性については、「第3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) キャッシュ・フロー」に記載のとおりです。現時点において重要な資本的支出の予定はございません。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社の財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値、並びに報告期間における収益・費用の報告数値は、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき、見積り及び判断が必要となる場合があります。経営者は、これらの見積りについての過去実績や状況に応じて合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う会計上の見積りに与える影響は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業内容、事業運営・組織体制等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場動向や業界動向を注視しつつ、優秀な人材の確保と適切な教育を実施するとともに、事業運営体制の強化と整備を進めることで、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に適切な対応を図ってまいります。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社の経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、当社が今後更なる成長と発展のためには、厳しい環境の中で、様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。
そのために、PHRプラットフォームサービスにおける対象疾患領域の拡大とサービスメニューの強化、及び患者PROデータ活用分野の拡大等を行ってまいります。
⑦ 経営戦略の現状と見通し
当社は設立以来「Empower the Patients」を事業ミッションに掲げ、当社のPHRプラットフォームサービスの利活用を通じて、患者及び医療者の治療継続への支援、及びアウトカムの改善に努めてまいりたいと考えております。
「患者の治療アウトカムの改善」をコアコンセプトとして、様々の医療機関と連携して患者及び医療者により良いサービスを提供するとともに、企業と連携してデータの活用を図ってまいります。

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