有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/09/11 15:00
【資料】
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【項目】
79項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第51期事業年度(自 2017年8月1日 至 2018年7月31日)
a.資産
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ209百万円増加し、3,466百万円となりました。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産につきましては、前事業年度末に比べ462百万円増加し、1,382百万円となりました。これは主に現金及び預金が489百万円増加したことによるものであります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産につきましては、前事業年度末に比べ253百万円減少し、2,083百万円となりました。これは主に建物が129百万円、長期前払費用が100百万円減少したことによるものであります。
b.負債
当事業年度末における負債は、前事業年度末に比べ192百万円増加し、2,653百万円となりました。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債につきましては、前事業年度末に比べ125百万円増加し、977百万円となりました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が76百万円、未払法人税等が27百万円増加したことによるものであります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債につきましては、前事業年度末に比べ66百万円増加し、1,676百万円となりました。これは主に社債が100百万円、リース債務が13百万円減少した一方、長期借入金が182百万円増加したことによるものであります。
c.純資産
当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べ16百万円増加し、812百万円となりました。これは主に利益剰余金が18百万円増加したことによるものであります。
第52期第3四半期累計期間(自 2018年8月1日 至 2019年4月30日)
a.資産
当第3四半期会計期間末における資産合計は、前事業年度末に比べ19百万円増加し、3,486百万円となりました。
(流動資産)
当第3四半期会計期間末における流動資産につきましては、前事業年度末に比べ247百万円減少し、1,135百万円となりました。これは主に預け金が57百万円、未収入金が20百万円増加した一方、現金及び預金が309百万円減少したことによるものであります。
(固定資産)
当第3四半期会計期間末における固定資産につきましては、前事業年度末に比べ267百万円増加し、2,350百万円となりました。これは主に建物が130百万円、繰延税金資産が26百万円増加したことによるものであります。
b.負債
当第3四半期会計期間末における負債は、前事業年度末に比べ140百万円減少し、2,512百万円となりました。
(流動負債)
当第3四半期会計期間末における流動負債につきましては、前事業年度末に比べ38百万円減少し、938百万円となりました。これは主に買掛金が23百万円、賞与引当金が44百万円増加した一方、1年内償還予定の社債が100百万円減少したことによるものであります。
(固定負債)
当第3四半期会計期間末における固定負債につきましては、前事業年度末に比べ102百万円減少し、1,573百万円となりました。これは主にリース債務が31百万円増加した一方、長期借入金が149百万円減少したことによるものであります。
c.純資産
当第3四半期会計期間末における純資産は、前事業年度末に比べ160百万円増加し、973百万円となりました。これは主に利益剰余金が161百万円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
第51期事業年度(自 2017年8月1日 至 2018年7月31日)
当事業年度におけるわが国経済は、東アジア地域などの地政学リスクが懸念されたものの、総じて世界経済が好調に推移したため、製造業を中心に企業業績は堅調に伸び、緩やかな景気回復基調となりました。その一方で米国の保護主義的な貿易政策に伴う外需の下振れリスクや、利上げ観測等への警戒感も広がるなど、海外の政治・経済情勢は一層不確実性を増し、景気の先行きは依然として不透明な状況で推移しております。また、可処分所得の伸び悩みや原油価格の高騰による物価上昇も懸念され、個人消費に力強さはなく、本格的な回復には至っておりません。
外食業界におきましては、豪雨・台風・雪害などの悪天候や物流コストの上昇などによる原材料価格の高騰、人手不足による人件費や採用コストの上昇などに加え、商品・サービスに対する消費者のニーズの多様化や選別志向がますます顕著になっております。さらに業種・業態の垣根を越えた顧客獲得競争も激化しており、経営環境は引き続き厳しい状況が続いております。
このような状況の中、当社では、引き続きサービス力と商品力の向上に努めるとともに、10月には「小龍包フェア」、2月には「フカヒレフェア」を実施し、集客を図りました。お盆や年末年始などの繁忙期において客足は比較的好調に推移いたしましたが、一方で度重なる台風の上陸や降雪などの天候要因による客足の伸び悩みがみられ、既存店(開店後、13ヶ月経過した店舗)売上高は前年同期比1.2%減となりました。
店舗展開につきましては、当事業年度中の新規出店として2018年6月に「浜木綿各務原店」(岐阜県各務原市)を出店し、引き続き営業基盤の強化を図りました。
一方で、FC店である「浜木綿半田店」(愛知県半田市)を2017年10月に閉店いたしました。また、「浜木綿 鈴鹿店」(三重県鈴鹿市)を2018年7月よりFC店から直営店に変更しております。
これにより、当事業年度末の店舗数は、「浜木綿」28店舗(直営店)、「四季亭」3店舗(直営店)、「桃李蹊」8店舗(直営店)の合計39店舗(直営店)となっております。
この結果、前事業年度及び当事業年度に新規出店した店舗が寄与するとともに、客単価の上昇効果もあり、売上高は前事業年度に比べ178百万円増加し、7期連続で増収となりました。
利益面につきましては、天候不順等により原材料価格が高騰するなか原価管理の徹底に努め、売上原価率が前事業年度より0.3ポイント改善いたしましたが、費用については人件費及び水道光熱費などの増加により、売上高販管費率は0.3ポイント上昇いたしました。これらにより、営業利益率及び経常利益率は前事業年度とほぼ同水準を維持し、前事業年度に比べそれぞれ増益となりました。また、特別利益として保険解約返戻金52百万円、特別損失として減損損失201百万円及びFC解約損9百万円など211百万円を、それぞれ計上いたしました。
以上の結果、当事業年度の売上高は4,857百万円(前年同期比3.8%増)、営業利益は238百万円(同3.2%増)、経常利益は244百万円(同3.5%増)、当期純利益は42百万円(同72.0%減)となりました。
なお、当社は飲食事業を主要な事業としており、その他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント別の記載を省略しております。
第52期第3四半期累計期間(自 2018年8月1日 至 2019年4月30日)
当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、好調な世界経済を受け企業収益が伸び、景気は緩やかな回復基調にあるものの、個人消費につきましては実質賃金の伸びが鈍い中で、ガソリンや野菜をはじめ生活に身近な商品・サービスの価格が上昇したため、消費意欲は依然として低調に推移いたしました。また、米国の利上げや貿易摩擦による影響も懸念され、先行き不透明な状況が続いております。
外食業界におきましては、人手不足による人件費や物流費の上昇に加え、天候不順等による原材料価格の高止まり、更には相次いで発生した自然災害の影響もあり、経営環境は引き続き厳しい状況にありました。
このような状況の中、当社におきましては、『フレンドリーな礼儀正しさ』を形にしたサービス力の向上に努め、既存店(開店後、13ヶ月経過した店舗)の活性化を図るとともに、従業員教育の充実、生産性の向上にも取り組みました。また、営業面では10月に「飲茶フェア」、2月には「えびづくしフェア」を実施し、集客に努めました。これらの結果、客足については、8月のお盆期間や1月のお正月など繁忙期は堅調に推移いたしましたが、9月、10月は、台風の上陸など自然災害による影響もあり、既存店(開店後、13ヶ月経過した店舗)売上高は前年同期比1.1%減となりました。
店舗展開につきましては、当第3四半期累計期間における新規出店として2018年10月に「浜木綿半田土井山店」(愛知県半田市)、2019年4月には大阪府初出店となる「浜木綿枚方田口店」(大阪府枚方市)をそれぞれ出店いたしました。
これにより、当第3四半期会計期間末の店舗数は、「浜木綿」30店舗(直営店)、「四季亭」3店舗(直営店)、「桃李蹊」8店舗(直営店)の合計41店舗(直営店)となっております。
以上の結果、当第3四半期累計期間における売上高は3,959百万円、営業利益は296百万円、経常利益は301百万円となり、四半期純利益は185百万円となりました。なお、当社は飲食事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
第51期事業年度(自 2017年8月1日 至 2018年7月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ469百万円増加し、1,049百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は394百万円(前年同期は308百万円の獲得)となりました。これは主に税引前当期純利益が147百万円減少した一方、減損損失が201百万円計上されたこと及び法人税等の支払額が49百万円減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は29百万円(前年同期は240百万円の使用)となりました。これは主に保険積立金の解約による収入が149百万円発生し、有形固定資産の取得による支出が46百万円減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は104百万円(前年同期は11百万円の使用)となりました。これは主に長期借入れによる収入が70百万円増加し、長期借入金の返済による支出が47百万円減少したことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
第51期事業年度及び第52期第3四半期累計期間における生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。なお、第51期事業年度は飲食事業以外の事業セグメントの重要性が乏しいため、第52期第3四半期累計期間は飲食事業の単一セグメントであるため、生産実績につきましては、飲食事業について記載しております。
品目別第51期事業年度
(自 2017年8月1日
至 2018年7月31日)
第52期第3四半期累計期間
(自 2018年8月1日
至 2019年4月30日)
生産高(千円)前年同期比(%)生産高(千円)
点心140,14788.6121,832
加工材料93,080128.667,361
主菜、スープ53,318102.454,203
嗜好飲料23,13780.722,170
調味料43,765168.230,268
その他5,30020.2
合計358,74898.7295,836

(注) 1.金額は製造原価によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.仕入実績
第51期事業年度及び第52期第3四半期累計期間における仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。なお、第51期事業年度は飲食事業以外の事業セグメントの重要性が乏しいため、第52期第3四半期累計期間は飲食事業の単一セグメントであるため、仕入実績につきましては、飲食事業について記載しております。
品目別第51期事業年度
(自 2017年8月1日
至 2018年7月31日)
第52期第3四半期累計期間
(自 2018年8月1日
至 2019年4月30日)
仕入高(千円)前年同期比(%)仕入高(千円)
農産物類417,772101.5323,365
海産物類198,95089.4168,054
畜産物類206,643100.4174,588
嗜好飲料類136,82294.9110,280
調味料類149,544104.1122,718
その他49,080174.250,882
合計1,158,815100.2949,889

(注) 1.金額は仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
d.販売実績
第51期事業年度及び第52期第3四半期累計期間における販売実績をセグメント・業態別及び都道府県別に示すと、次のとおりであります。なお、2018年7月1日付での全店直営化に伴い、第52期第3四半期累計期間は飲食事業の単一セグメントとなっております。
セグメント・業態別第51期事業年度
(自 2017年8月1日
至 2018年7月31日)
第52期第3四半期累計期間
(自 2018年8月1日
至 2019年4月30日)
販売高(千円)構成比(%)前年同期比(%)販売高(千円)
浜木綿業態3,996,23182.2105.83,358,574
四季亭業態397,1218.297.1304,262
桃李蹊業態411,5788.5100.9296,772
飲食事業4,804,93198.9104.53,959,609
その他の事業52,6421.162.9
合計4,857,574100.0103.83,959,609


都道府県別第51期事業年度
(自 2017年8月1日
至 2018年7月31日)
第52期第3四半期累計期間
(自 2018年8月1日
至 2019年4月30日)
販売高(千円)構成比(%)前年同期(%)販売高(千円)
愛知県3,476,58272.4104.12,745,694
岐阜県472,5289.8108.9474,530
三重県292,4696.1105.6303,231
静岡県117,9102.5100.693,207
滋賀県198,5034.1103.0150,599
東京都164,9813.4105.9122,611
神奈川県81,9561.7104.064,067
大阪府5,479
合 計4,804,931100.0104.53,959,421

(注) 1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.主要な販売先については、総販売実績の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
4.都道府県別販売実績については、飲食事業の販売実績のみを記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この財務諸表の作成に当たって、必要な見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
外食業界は、人口減少や少子高齢化によって市場規模の拡大が見込まれ難い一方で、成熟した市場になっており、顧客の嗜好やニーズはますます多様化し、商品・サービスに対する選別が厳しさを増すとともに、企業間・店舗間競争の激化等により、厳しい経営環境となっております。この対応策として、新商品の開発やメニュー改定等により既存店舗の売上高の確保を図るとともに、新規出店による事業拡大を積極的に行ってまいります。
店舗の出店に関しましては、立地条件、賃借条件、収益性等を総合的に検討して決定しておりますが、物件が必ずしも確保されるとは限らず、新規出店が計画どおり遂行できない事態が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。その対応策として、出店を検討する地域を広くしていく方針です。
また、当社の安定的な成長には、人材の確保が必要不可欠であり、予定どおり人材の確保を行うことが困難な場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。その対応策として、積極的な採用活動とともに、採用後の人材教育に注力し早期戦力化を図っております。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ469百万円増加し、1,049百万円となりました。
当社の主な資金需要としては、大きく分けて設備投資資金及び運転資金となっております。基本的には「営業活動によるキャッシュ・フロー」を中心としながらも、新規出店等の設備資金については、長期借入金により資金調達を行っております。
また、銀行借入金につきましては、当座貸越枠250百万円を設定し、手許流動性預金とあわせ、緊急な支出にも対応可能な体制を整えております。
⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析
当社は店舗における客数、売上原価率及び人時売上高を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として捉えております。
客数は、第51期事業年度においては、既存店の客数が前事業年度から2.6%減少いたしましたが、新規出店による客数の増加により、全店合計では前事業年度から3.1%増加となりました。第52期第3四半期累計期間においては、既存店の客数は前年同四半期より0.7%減少し、全店合計では8.5%増加いたしました。
売上原価率は、原材料価格の高騰のなか、原価管理を徹底したことにより第51期事業年度は前事業年度と比べ0.3ポイント改善し25.2%となり、第52期第3四半期累計期間は前年同四半期より0.3ポイント改善し24.8%となりました。
生産性の指標である人時売上高は、臨店による指導及び各店舗における継続的な見直しにより、第51期事業年度は前事業年度から1.3%上昇いたしました。第52期第3四半期累計期間は前年同四半期より1.2%上昇いたしました。