有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/09/24 15:01
【資料】
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【項目】
109項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
(1) 会社経営の基本方針
a) 経営理念
当社並びに海外に展開しているグループ子会社は“自然と産業の調和を創造する”という経営理念のもと、人と自然にやさしい製品やサービスの提供を通じて、社会に貢献してまいります。
「自然に感謝し、自然と産業とが矛盾しない存在にする」それを実現する製品・技術・サービスの提供が恵和の存在意義であります。
b) 経営ビジョン
当社は「自然と社会に『高品質の提供』を通じて貢献するグローバルグループを目指す」という経営ビジョンを掲げ、意義のある真のグローバル化に向かってスピードを速めております。
c) バリュー(行動規範)
① 社会貢献
経営の透明化を図り、健全な経営を実現し、社会に貢献します。
② イノベーション
新たな価値を創造し、提供し続けることが私達の信条です。
③ 顧客からの信頼
現在と将来の顧客への信頼を得るために行動します。
④ 品質は競争力
顧客に選ばれるために高品質を追求します。
⑤ 社員の幸福と自己啓発
社員とその関係者の健康と幸福を願い、多様性と向上心を尊重します。
⑥ ステークホルダーの満足
安定的な成長を実現し、適正な利益を確保します。
d) コアコンピタンス
当社グループのコアコンピタンスは次のとおりであります。
①Ultra-precision Marketing
・ニッチ市場にターゲットを絞り高付加価値製品を提供
大企業が参入しづらいニッチ市場をターゲットに、顧客ニーズに適合した高付加価値製品(先端機能フィルムとソリューション)を提供しております。樹脂メーカーを親会社に持つフィルムメーカーと比べて原料消費圧力が無いため「User oriented」に徹し、高付加価値なシートの提供が可能であります。また特許やノウハウを活用し協力会社とのアライアンスを構築することで供給体制を維持しております。
・マルチドメスティックマーケティングの推進
当社及び各国子会社のマーケターやエンジニアがブランドメーカーから部材メーカーに至るまで顧客と直接対面し精緻な情報収集を行っております。また、需要地の中国に品質保証センターを設置し、現地での迅速なアフターサービスを実現しております。
②コア技術SLC×UP
3つのコア技術(S:シーティング技術、L:ラミネ―ティング技術、C:コーティング技術)と、高精度な先端技術及び高精度な顧客対応(UP:ウルトラプレシジョン)によって、顧客ニーズを具現化した高付加価値製品の提供が可能であります。
③All Keiwa Innovation活動
各国子会社を含むすべての社員が参加し全員顧客志向でイノベーションを起こす小集団活動を継続しております。この活動は生産性・安全性の向上等に寄与するとともに、人材育成や組織活性化にも繋がるものであります。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、高付加価値製品の販売に集中し、省力化や歩留の改善を更に進めることにより、営業利益を向上させることを目指しております。
(3) 中長期的な成長戦略
① IoTやAIの活用、次世代通信規格の実用化等の技術革新が進むエレクトロニクス市場において、光拡散フィルムを主力製品として、ブランド力と高品質を活かした高機能光学フィルム等の製品を販売いたします。
② 世界的な環境問題への関心の高まりを背景に、普及が進むとみられる環境適合車等の新エネルギー関連の市場に対し、コア技術を総合的に活用し顧客ニーズに的確かつ迅速に対応することにより、新規事業の創出を行ってまいります。
③ 我が国の労働人口の減少及び就労者の高齢化を背景に、インフラ用構造物の施工簡素化や高耐久化に役立つフィルムやシートの提供を行ってまいります。
④ 国内外の有力顧客に対する競争優位性を引続き維持向上させるために、顧客ニーズに沿った設計から配送までの改善を進めてまいります。
⑤ グローバルな事業展開に沿った、必要な人材の確保・育成に努めてまいります。
(4) 経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
第72期連結会計年度における我が国経済は、企業収益が堅調な中、雇用・所得環境は改善傾向にあり景気は緩やかな回復基調で推移しておりますが、欧米やアジアの政治動向、米国での金利上昇などによる世界経済の減速リスクなど、先行き不透明な状況が続きました。そのような経済情勢の中、当社におきましては、「自然と産業の調和を創造する」という経営理念のもと、光学シート事業のアジアを中心とした海外展開、新事業の開発そして、機能製品事業の販売強化を推進してまいりました。
当社グループは、売上高の多くを輸出により得ている関係上、グローバル経済の状況が当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を与えます。特に為替相場の変動、大きなマーケットとなった中国の国内経済の動向、成長する海外競合メーカーへの対応等多くの課題が存在します。
このような環境において、当社グループは、高品質・高性能製品の販売を強化することで、利益志向の経営を行ってまいります。強みを生かせる領域に資源を集中しつつ、生産コストの低減に努め、急激な為替変動リスクに対応して確実な利益確保に注力してまいります。
同時に、コーポレート・ガバナンス及びコンプライアンスを経営の重要課題と位置付け、強化を図っております。人材の確保及び育成においては、研究開発職・グローバル人材の採用に重点を置くとともに、有益な研修を積極的に活用し、人材育成に取り組んでまいります。また、生産性を高める人事戦略とIT化の加速により、省力化を進めてまいります。
① 新規事業の創出
光学シート事業では、機能製品事業で培った技術やノウハウを応用し、他分野での新製品開発及び新顧客の獲得により、既存事業の市場環境等に左右されにくい事業の創出を進めてまいります。
機能製品事業は、既存顧客との関係性をさらに強化し、その中で新たな販路や製品開発をすることにより、新規事業を見出してまいります。
② コーポレート・ガバナンス及びコンプライアンスの強化
当社グループは、企業価値の最大化を図るためには、経営の健全性、透明性及び客観性を高めることが必要と考えており、重要な経営課題として、コーポレート・ガバナンス及びコンプライアンスの強化に取り組んでおります。当社では、リスク管理委員会、コンプライアンス委員会等の設置を行っており、海外グループ会社を含めて全社を挙げて強化を進めております。
③ 人材の確保及び育成
当社グループの事業の継続的な発展を実現するため、グローバル市場で活躍ができる人材、優秀な技術者の確保が重要な課題であると考えております。この課題に対処する為に、当社グループでは、通年採用を進めるとともに、語学教育や管理職向けのビジネススクールの活用等、計画的に多様かつ有益な研修を実施するための体制の整備を進め、人材の定着と人材の育成に取り組んでまいります。
④ 生産性を高める人事戦略
当社グループの事業の継続的な発展と今後懸念される労働力不足への対応を図るため、月次MVP表彰制度の導入や研修制度の充実等、従業員が高いモチベーションをもって働ける環境や人事制度の整備・運用を進めております。また、All Keiwa Innovation活動や改善提案制度の推進を通じても、モチベーションと生産性の更なる向上を図っております。
⑤ 経営基盤の強化
当社グループの社内インフラの整備によるグループ連携の強化、事業の継続的な発展を推進すると同時に安全を経営の重要課題と位置づけ、安全推進チームの事故ゼロ活動による安全の追求、厳格な品質管理体制による製品の安全性、地球環境の保護に取り組んでまいります。
なお、事業セグメント別には以下のとおり対応してまいります。
(光学シート事業)
光学シート事業では、中・小型拡散シートへの選択的集中マーケティングを継続します。特に高付加価値セグメントにおいて、未だ低シェア領域のシェアアップを図ってまいります。生産部門では、高性能・高品質な製品を高効率に製造し、収益性確保を実現してまいります。また新たな光学シートの市場投入を推進し、積極的な新製品開発に取り組んでまいります。
(機能製品事業)
機能製品事業では、原材料費の低減、省力化設備の導入、生産集約による生産性向上といった施策を行い、少数精鋭の方針を徹底し、事業利益の確保を実現いたします。国内市場は今後も縮小傾向が続くと予測される中、当社の安定基盤事業として、利益を上げる事業へ転換する為に、より高付加価値化を目指してまいります。また、滋賀AFセンターに導入した先端クリーンラミネーターを活用し、国内外の顧客の高付加価値需要に対応いたします。