有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/02/05 15:00
【資料】
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【項目】
145項目
(1)経営成績等の状況の概要
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
なお、当社グループは、システムソリューションサービスの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
① 財政状態の状況
第38期連結会計年度(自 平成30年4月1日 至 平成31年3月31日)
(資産)
当連結会計年度末における総資産は2,547,671千円となり、前連結会計年度末と比較して209,056千円増加(前期比108.9%)となりました。これは主に、現金及び預金が73,906千円増加、売掛金が57,385千円増加、仕掛品が17,099千円増加、投資有価証券が40,826千円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は1,393,031千円となり、前連結会計年度末と比較して22,123千円増加(前期比101.6%)となりました。これは主に、買掛金が84,908千円減少、未払法人税等が19,309千円増加、退職給付に係る負債が33,062千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,154,639千円となり、前連結会計年度末と比較して186,932千円増加(前期比119.3%)となりました。これは主に、利益剰余金が153,771千円増加したことによるものであります。
第39期第3四半期連結累計期間(自 平成31年4月1日 至 令和元年12月31日)
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は2,670,532千円となり、前連結会計年度末と比較して122,860千円増加(前期比104.8%)となりました。これは主に、現金及び預金が118,984千円増加、仕掛品が12,567千円増加、流動資産のその他が33,936千円増加した一方で売掛金が12,037千円減少、投資その他の資産が21,729千円減少したことによるものであります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は1,340,362千円となり、前連結会計年度末と比較して52,669千円減少(前期比96.2%)となりました。これは主に、退職給付に係る負債が27,581千円増加、流動負債のその他が84,446千円増加した一方で買掛金が11,876千円減少、未払費用が16,380千円減少、未払法人税等が33,179千円減少、賞与引当金が103,259千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は1,330,169千円となり、前連結会計年度末と比較して175,529千円増加(前期比115.2%)となりました。これは主に、資本金が31,325千円増加、資本剰余金が31,325千円増加、利益剰余金が109,544千円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
第38期連結会計年度(自 平成30年4月1日 至 平成31年3月31日)
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦の長期化等により、不安定な国際情勢が続き、依然として不透明な状況にあります。また欧州経済も米中貿易摩擦に加え、英国のEU離脱問題等の政治リスクの高まりから、景気低迷感が強まっております。
一方、日本経済は、海外経済減速の懸念がある中で、政府の経済対策などから緩やかな成長基調で推移してお
ります。また、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けたインフラ整備、外国人雇用拡大、インバウンド拡大等を控え、今後も底堅く推移するものと予想されます。
外部環境がこのように大きく変革する中、当社グループが属する情報サービス産業は、依然としてIT投資意欲が高く堅実な成長をしており、特にデジタルトランスフォーメーション(注)の主軸となる5Gや量子コンピューター技術の革新に伴いAI・IoT技術に大きな進化がありました。従いまして、今後も一層IT市場変革に伴う課題は山積すると予測され、市場が求める技術者確保に向けた採用と、顧客の需要が高い最新技術に対応できる技術者の育成が必要であると認識しております。
こうした経済環境の中、当社グループは積極的な業容拡大路線をとり、顧客ニーズに応えるべく人材投資や教育投資を精力的に行い、動員力増強を図ってまいりました。また、顧客満足度の向上を絶対使命とし、品質向上やプロジェクトマネジメント力の強化に経営資源を集約し、品質マネージメント力の向上を図ってまいりました。品質の向上、不採算案件の撲滅及び生産性の向上等が実現され、結果として増収・増益となり、アクションプランにおいても、将来への成長路線が出来上がってまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は5,544,979千円(前期比111.7%)、経常利益は259,744千円(前期比107.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益は176,451千円(前期比109.9%)となりました。
(注) デジタルトランスフォーメーションとは、ICT(Information and Communications Technology)の浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるという概念のことであります。
第39期第3四半期連結累計期間(自 平成31年4月1日 至 令和元年12月31日)
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、企業収益や雇用情勢の改善が堅調に推移し、緩やかな回復基調を維持しております。一方、世界経済においては、米中貿易摩擦の長期化、通商問題による金融資本市場の変動など、依然として不確実性が潜在的に存在しております。
当社グループが属する情報サービス産業界は、デジタルトランスフォーメーションの潮流の下、クラウド、IoT、フィンテック、ビッグデータ、AI、RPA等へのIT投資意欲が依然として高く、活況を呈しております。しかしながら、IT技術者不足は依然として継続しており、人材の確保及び育成が大きな課題となっております。
このような状況の下、当社グループは、ゼネラルソリューションサービス、インフラソリューションサービス、ERPソリューションサービスの3つのサービスを軸として、新規顧客の獲得による受注拡大、既存顧客との連携深化及び安定的なサービス提供により収益の伸展を図ってまいりました。
ゼネラルソリューションサービスにおいては、従業員数の増加とBPO案件及びRPA案件等のビジネスが順調に拡大したことにより、増収となりました。インフラソリューションサービスにおいては、従業員数の増加と上流工程案件の増加及びキッティング案件の受注により、増収となりました。ERPソリューションサービスにおいては、従業員数の増加とSAP認定資格奨励によりコンサルティング案件の受注増加が図れたことによる売上単価アップ及び新設した福岡オフィスの業容拡大により、増収となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は4,508,072千円、営業利益は216,948千円、経常利益は227,513千円、親会社株主に帰属する四半期純利益は134,492千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
第38期連結会計年度(自 平成30年4月1日 至 平成31年3月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ73,906千円増加し、1,330,697千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は114,545千円(前連結会計年度は309,648千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上額259,539千円、退職給付に係る負債の増加額44,370千円、賞与引当金の増加額13,664千円、減価償却費9,271千円の資金増加と、法人税等の支払額87,363千円、仕入債務の減少額84,908千円、売上債権の増加額57,385千円等の資金減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は17,958千円(前連結会計年度は81,232千円の獲得)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出6,770千円、敷金及び保証金の差入による支出4,757千円、無形固定資産の取得による支出3,122千円等の資金減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は22,680千円(前連結会計年度は15,009千円の支出)となりました。これは配当金の支払額22,680千円の資金減少によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループはシステムソリューションサービスの単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の実績については、システムソリューションサービス別に記載しております。
a.生産実績
当社グループが提供するサービスには、生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載を省略しております。
b.受注実績
第38期連結会計年度の受注実績をシステムソリューションサービス別に示すと、以下のとおりであります。
システムソリューションサービス受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
ゼネラル
ソリューションサービス
3,837,586109.21,145,29497.0
インフラ
ソリューションサービス
829,815105.9252,11694.9
ERP
ソリューションサービス
879,914128.1189,767136.8
合計5,547,316111.31,587,179100.1

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.金額は販売価格によっており、システムソリューションサービス間の取引については、相殺消去しており
ます。
c.販売実績
第38期連結会計年度及び第39期第3四半期連結累計期間の販売実績をシステムソリューションサービス別に示すと、以下のとおりであります。
システムソリューションサービス第38期連結会計年度
(自 平成30年4月1日
至 平成31年3月31日)
前年同期比(%)第39期第3四半期
連結累計期間
(自 平成31年4月1日
至 令和元年12月31日)
ゼネラルソリューション
サービス (千円)
3,872,768107.13,026,489
インフラソリューション
サービス (千円)
843,381118.7753,319
ERPソリューション
サービス (千円)
828,830130.0728,263
合計(千円)5,544,979111.74,508,072

(注)1.システムソリューションサービス間の取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度及び第39期第3四半期連結累計期間における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先がないため、省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
なお、当社グループは、システムソリューションサービスの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成に当たっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。
これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うために、実際の結果は、これらとは異なることがあります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.第38期連結会計年度(自 平成30年4月1日 至 平成31年3月31日)
当連結会計年度の経営成績は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載しておりますが、その主な要因は以下のとおりであります。
(売上高、売上原価及び売上総利益)
当連結会計年度における売上高は5,544,979千円(前期比111.7%)となりました。従業員、BP増員に伴う売上高増加に伴い、売上総利益は1,161,320千円(前期比114.5%)となりました。なお、当社グループはシステムソリューションサービスの単一セグメントでありますが、システムソリューションサービス別の経営成績(売上高)の状況に関する認識及び分析は、以下のとおりであります。
イ.ゼネラルソリューションサービス
首都圏、関西地区、四国、仙台ともに従業員及びBPを増員しました。また、平成30年7月に大阪本社に隣接するビルにBPOセンターを開設し、大手企業のヘルプデスク・キッティング等にも注力しBPOビジネスが拡大しております。さらに、RPAやBI等の新分野へ積極的な参画及びエンドユーザーの受注も順調に拡大しております。これらの結果、ゼネラルソリューションサービスの売上高は3,872,768千円(前期比107.1%)となりました。
ロ.インフラソリューションサービス
インフラソリューションサービスは、設計、構築に力を入れ、特定の業種に偏ることなく、サーバ構築、ネットワーク構築、データベース構築等のサービスを提供し、AWSを中心としたクラウド技術にも力を入れておりビジネスが拡大しております。また、マルチサイト化による事業継続性の確保、自動化による運用の効率化、社外・社内からのアクセスに対するセキュリティ対策等の重要性とニーズが高まっており、受注が順調に拡大しました。これらの結果、インフラソリューションサービスの売上高は843,381千円(前期比118.7%)となりました。
ハ.ERPソリューションサービス
ERPソリューションサービスは、大企業向けSAP S/4 HANA、中小企業向けSAP Business Oneに加え、新たに中堅企業向けSAP Business ByDesignに注力し、ERPソリューションビジネスを展開したことで受注が順調に拡大しました。また、連結子会社であるノックス株式会社とのシナジー効果を活かしながら奉行シリーズの営業に注力し、エンドユーザー向けの大型案件が大きく拡大しました。これらの結果、ERPソリューションサービスの売上高は828,830千円(前期比130.0%)となりました。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
管理体制強化に伴う間接人員の増加、積極的な中途採用に係る募集費の増加、教育投資の増加等により販売費及び一般管理費は904,323千円(前期比116.2%)となり、営業利益は256,997千円(前期比109.0%)になりました。
(営業外損益及び経常利益)
営業外収益は、受取利息及び配当金、助成金収入等の計上により、3,730千円(前期比38.2%)となりました。また、営業外費用は、支払利息等の計上により、983千円(前期比22.4%)となりました。
この結果、経常利益は259,744千円(前期比107.7%)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度において法人税、住民税及び事業税は106,672千円、法人税等調整額は△23,584千円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は176,451千円(前期比109.9%)となりました。
b.第39期第3四半期連結累計期間(自 平成31年4月1日 至 令和元年12月31日)
当第3四半期連結累計期間の経営成績は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載しておりますが、その主な要因は以下のとおりであります。
(売上高、売上原価及び売上総利益)
当第3四半期連結累計期間における売上高は4,508,072千円となりました。主に従業員の増員に伴う売上高増加に伴い、売上総利益は987,024千円となりました。なお、当社グループはシステムソリューションサービスの単一セグメントでありますが、システムソリューションサービス別の経営成績(売上高)の状況に関する認識及び分析は、以下のとおりであります。
イ.ゼネラルソリューションサービス
ゼネラルソリューションサービスは、首都圏、関西地区、四国、仙台ともに従業員の増員を図ることができました。また、BPOビジネスが拡大し、さらにRPAやBI等の新分野の受注も順調に拡大しております。これらの結果、ゼネラルソリューションサービスの売上高は3,026,489千円となりました。
ロ.インフラソリューションサービス
インフラソリューションサービスは、設計、構築に力を入れ、特定の業種に偏ることなく、サーバ構築、ネットワーク構築、データベース構築等のサービスを提供し、AWSを中心としたクラウド技術にも力を入れておりビジネスが拡大しております。また、従業員数の増員、上流工程案件の増加、キッティング案件の増加等により、受注が順調に拡大しました。これらの結果、インフラソリューションサービスの売上高は753,319千円となりました。
ハ.ERPソリューションサービス
ERPソリューションサービスは、大企業向けSAP S/4 HANA、中小企業向けSAP Business Oneに加え、新たに中堅企業向けSAP Business ByDesignに注力し、ERPソリューションビジネスを展開したことで受注が順調に拡大しました。また、SAP認定資格者の増加による売上単価の高いコンサルティング案件の増加及び新設した福岡オフィスの業容拡大を図ることができました。これらの結果、ERPソリューションサービスの売上高は728,263千円となりました。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
管理体制強化に伴う間接人員の増加、外形標準課税発生による租税公課の増加、株式上場関連費用の増加等により販売費及び一般管理費は770,075千円となり、営業利益は216,948千円となりました。
(営業外損益及び経常利益)
営業外収益は、受取利息及び配当金、受取保険金、助成金収入等の計上により、11,707千円となりました。また、営業外費用は、支払利息、株式交付費等の計上により、1,142千円となりました。この結果、経常利益は227,513千円となりました。
(親会社株主に帰属する四半期純利益)
当第3四半期連結累計期間において法人税、住民税及び事業税は57,964千円、法人税等調整額は35,055千円となりました。この結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は134,492千円となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの主な資金需要は、労務費、外注費、経費並びに販売費及び一般管理費等支払いを目的とした運転資金となります。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当しておりますが、資金調達が必要な場合には、案件の都度、金融機関からの借入による資金調達の検討を行っております。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析
当社グループの売上高の約85%は準委任取引と派遣取引になっております。これらの売上高は技術者の稼働時間で精算されることから期末人員数、BP平均人員数の多寡が売上高に大きく影響するため、期末人員数、BP平均人員数を重要な指標として位置付けております。また、人員数を達成しても手待ち状態で非稼働であれば、売上高が計上されず、コストのみ計上されることから、併せて非稼働人員数の労務費額を重要な指標として位置付けております。第38期連結会計年度における上記指標は、期末人員数565名(前期比64名増加)、BP平均人員数217.7名(前期比23.8名増加)、非稼働人員の労務費62,607千円(前期比883千円増加)であり、この結果、売上高は5,544,979千円(前期比580,185千円増加)となりました。