有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/03/05 15:00
【資料】
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【項目】
123項目
(1) 経営成績等の状況
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
第20期事業年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
当事業年度におけるわが国経済は、世界経済の緩やかな回復を背景に、企業収益が改善し、設備投資や賃金は緩やかに増加しておりますが、自然災害や消費税増税の影響で、個人消費は先行き不透明な状況が続き、また、輸出の伸びが鈍化する中で、米中間の通商問題や英国のEU離脱の行方など、海外経済に関する不確実性が高まっており、先行きの不透明感の高まりには注意が必要な状況となっております。
このような環境の中、当事業年度において当社は、さい帯血採取協力病院への情報提供及び、新聞広告やWebを通じたマーケティング活動を深耕する事により、「細胞バンク事業」の拡大に注力して参りました。
この結果、売上高は、1,149,857千円と前年同期と比べ288,325千円(33.5%)の増収、営業利益は、215,885千円と前年同期と比べ105,756千円(96.0%)の増益、経常利益は、216,252千円と前年同期と比べ105,049千円(94.5%)の増益、当期純利益は、142,835千円と前年同期と比べ73,287千円(105.4%)の増益となっております。
また、総資産は、2,813,411千円と前事業年度末と比べ464,797千円(19.8%)増加しております。これは主に保管(売上)検体数増加により現金及び預金が357,570千円(17.0%)増加したこと、売掛金が103,699千円(138.4%)増加したことによるものであります。負債は、1,831,058千円と前事業年度末と比べ321,962千円(21.3%)増加しております。これは主に顧客から長期保管料として受け取っている前受金が267,696千円(19.6%)、未払法人税等が43,067千円(241.7%)増加したことによるものであります。その結果、純資産は、982,352千円と前事業年度末と比べ142,835千円(17.0%)増加しております。
なお、当社は、細胞バンク事業の単一セグメントのため、セグメントごとの記載を省略しております。
第21期第3四半期累計期間(自 2019年4月1日 至 2019年12月31日)
当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、世界経済の緩やかな回復を背景に、企業収益が改善し、設備投資や賃金は緩やかに増加しておりますが、2019年10月からの消費税増税の影響等で、個人消費は先行き不透明な状況が続き、また、輸出の伸びが鈍化する中で、米中間の通商問題や英国のEU離脱の行方など、海外経済に関する不確実性が高まっており、先行きの不透明感の高まりには注意が必要な状況となっております。
このような環境の中、当第3四半期累計期間において当社は、さい帯血採取協力病院への情報提供及びWebを通じたマーケティング活動を深耕することにより、「細胞バンク事業」の拡大に注力して参りました。
この結果、売上高は、1,270,736千円、営業利益は、319,001千円、経常利益は、319,178千円、四半期純利益は、214,403千円となっております。
また、総資産は、3,377,766千円と前事業年度末と比べ564,355千円(20.1%)増加しております。これは主に保管(売上)検体数増加により現金及び預金が377,151千円(15.3%)増加したこと、売掛金が103,794千円(58.1%)増加したことによるものであります。負債は、2,181,010千円と前事業年度末と比べ349,951千円(19.1%)増加しております。これは主に顧客から長期保管料として受け取っている前受金が317,876千円(19.4%)、未払法人税等が8,991千円(14.8%)増加したことによるものです。その結果、純資産は、1,196,756千円と前事業年度末と比べ214,403千円(21.8%)増加しております。
なお、当社は、細胞バンク事業の単一セグメントのため、セグメントごとの記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
第20期事業年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末と比べ206,570千円(13.7%)増加し、1,713,897千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果得られた資金は、390,933千円(前事業年度は320,573千円の獲得)となりました。これは主に、増加要因は、税引前当期純利益の計上214,968千円、前受金の増加267,696千円があった一方で、減少要因として、売上債権の増加103,699千円、法人税等の支払35,166千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、184,363千円(前事業年度は116,500千円の使用)となりました。これは主に、増加要因は、定期預金の払戻による収入600,000千円があった一方で、減少要因として定期預金の預入による支出751,000千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動は発生がありませんでした。
③ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社は、生産活動を行っておりませんので該当事項はありません。
b 受注実績
当社は、受注生産を行っておりませんので該当事項はありません。
c 販売実績
第20期事業年度及び第21期第3四半期累計期間の販売実績は次のとおりであります。なお、当社は細胞バンク事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
事業の名称第20期事業年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
第21期第3四半期累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年12月31日)
販売高(千円)前年同期比(%)販売高(千円)
細胞バンク事業1,149,857133.51,270,736
合計1,149,857133.51,270,736

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載を省略しております。
2.販売実績の3つの構成の「技術料」、「保管料」、「その他」別の売上は次のとおりであります。
構成第20期事業年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
第21期第3四半期累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年12月31日)
販売高(千円)前年同期比(%)販売高(千円)
技術料847,558146.31,019,566
保管料236,548105.9198,202
その他65,750111.352,966
合計1,149,857133.51,270,736

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項については、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。財務諸表の作成にあたっては、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、これらについては、過去の実績や現在の状況等を勘案し、合理的と考えられる見積り及び判断を行っております。ただし、これらには見積り特有の不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、当社が財務諸表を作成するにあたり採用した重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。
② 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の目標とする経営指標は、年間保管(売上)検体数と自己資本比率であります。
経営成績の分析
第20期事業年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
(売上高)
当事業年度の売上高は、前事業年度に比べ288,325千円増加の1,149,857千円(前事業年度比33.5%増)となりました。これは主に、国内外でさい帯血を利用した臨床研究が進展したことによる、知名度の向上及び新聞広告、Web対策等のマーケティングを強化して参りました。この結果、医療従事者への信頼度が向上したことにより施設のPR強化に繋がり、当社の経営指標である年間保管(売上)検体数が前年同期比1,157検体(同33.2%増)増加したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は、前事業年度に比べ106,636千円増加の389,181千円(同37.7%増)となりました。これは主に、さい帯血の分離処理検体数が増加したことによるものであります。この結果、当事業年度の売上総利益は、前事業年度に比べ181,688千円増加の760,676千円(同31.4%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ75,931千円増加の544,790千円(同16.2%増)となりました。これは主に、営業活動の強化に伴い人件費が36,609千円、旅費交通費が8,796千円、求人費が7,097千円増加したことによるものであります。この結果、当事業年度の営業利益は、前事業年度に比べ105,756千円増加の215,885千円(同96.0%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当事業年度の営業外収益は、前事業年度に比べ1,268千円減少の405千円(同75.8%減)となりました。これは主に、助成金収入が879千円、違約金収入が400千円減少したことによるものであります。また、当事業年度の営業外費用は前事業年度に比べ560千円減少の37千円(同93.7%減)となりました。これは主に、違約金が385千円、損害賠償金が100千円減少したことによるものであります。この結果、経常利益は、前事業年度に比べ105,049千円増加の216,252千円(同94.5%増)となりました。
(特別損益、当期純利益)
当事業年度の特別損失は1,284千円(前事業年度は0千円)となりました。これは固定資産除却損の計上によるものであります。また、法人税等を72,132千円計上しました。この結果、当期純利益は142,835千円(同105.4%増)となりました。
第21期第3四半期累計期間(自 2019年4月1日 至 2019年12月31日)
(売上高)
当第3四半期累計期間の売上高は、1,270,736千円となりました。これは主に、前事業年度に引き続き、国内外でさい帯血を利用した臨床研究が進展したことによる知名度の向上及び新聞広告、Web対策等のマーケティング強化を継続したことにより、更に、医療従事者への信頼度が向上し、施設のPR強化に繋がり、当社の経営指標である年間保管(売上)検体数が前年同期比2,108検体(同62.0%増)増加したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当第3四半期累計期間の売上原価は、404,690千円となりました。これは主に、さい帯血の分離処理検体数が増加したことによるものであります。この結果、売上総利益は、866,045千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当第3四半期累計期間の販売費及び一般管理費は、547,044千円となりました。これは主に、営業活動の強化に伴い人件費や旅費交通費、求人費、広告宣伝費が増加したことによるものであります。この結果、営業利益は、319,001千円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当第3四半期累計期間において、営業外収益を176千円計上しました。この結果、経常利益は、319,178千円となりました。
(特別損益、四半期純利益)
当第3四半期累計期間において、特別損益は発生しておりません。また、法人税等を104,774千円計上しました。この結果、四半期純利益は214,403千円となりました。
キャッシュ・フローの分析
第20期事業年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、営業活動により得られた資金を財源として運営しており、外部からの資金調達はありません。
また、主な運転資金需要は、さい帯血の分離等に使用する材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用の支払いのほか、設備投資などであります。
財政状態の分析
第20期事業年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
当事業年度末の総資産は前事業年度末に比べ464,797千円増加の2,813,411千円(前事業年度末比19.8%増)、負債は前事業年度末に比べ321,962千円増加の1,831,058千円(同21.3%増)、純資産は前事業年度末に比べ142,835千円増加の982,352千円(同17.0%増)となりました。
主な増減要因は、次のとおりであります。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産は、前事業年度末に比べ466,356千円増加の2,675,831千円(同21.1%増)となりました。これは主に、保管(売上)検体数増加により現金及び預金が357,570千円、売掛金が103,699千円増加したことによるものであります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産は、前事業年度末に比べ1,558千円減少の137,579千円(同1.1%減)となりました。これは主に、新規取得に伴い有形固定資産が26,857千円増加したものの、減価償却により有形固定資産及び無形固定資産が34,962千円減少し、また、将来減算一時差異の増加により繰延税金資産が4,154千円増加したことによるものであります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債は、前事業年度末に比べ321,962千円増加の1,831,058千円(同21.3%増)となりました。これは主に、新規契約者数の増加により前受金が267,696千円、利益増加により未払法人税等が43,067千円、それぞれ増加したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ142,835千円増加の982,352千円(同17.0%増)となりました。新規契約数の増加により前受金が267,696千円、利益増加により未払法人税等が43,067千円、利益剰余金が当期純利益の計上により142,835千円増加した結果、当事業年度末における当社の経営指標である自己資本比率は、前事業年度末に比べて0.8ポイント減少し、34.9%となりました。
第21期第3四半期累計期間(自 2019年4月1日 至 2019年12月31日)
当第3四半期会計期間末の総資産は前事業年度末に比べ564,355千円増加の3,377,766千円(前事業年度末比20.1%増)、負債は前事業年度末に比べ349,951千円増加の2,181,010千円(同19.1%増)、純資産は前事業年度末に比べ214,403千円増加の1,196,756千円(同21.8%増)となりました。
主な増減要因は、次のとおりであります。
(流動資産)
当第3四半期会計期間末における流動資産は、前事業年度末に比べ486,206千円増加の3,162,038千円(同18.2%増)となりました。これは主に現金及び預金が377,151千円、売掛金が103,794千円増加したことによるものであります。
(固定資産)
当第3四半期会計期間末における固定資産は、前事業年度末に比べ78,148千円増加の215,727千円(同56.8%増)となりました。これは主に工具、器具及び備品が33,071千円、敷金及び保証金が38,701千円増加したことによるものであります。
(流動負債)
当第3四半期会計期間末における流動負債は、前事業年度末に比べ347,666千円増加の2,178,724千円(同19.0%増)となりました。これは主に前受金が317,876千円、買掛金が9,408千円、未払消費税等が15,358千円、未払法人税等が8,991千円増加したことによるものであります。
(固定負債)
当第3四半期会計期間末における固定負債は、前事業年度末に比べ2,285千円増加の2,285千円となりました。これは役員退職慰労引当金の増加によるものであります。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ214,403千円増加の1,196,756千円(同21.8%増)となりました。新規契約数の増加により前受金が317,876千円、利益剰余金が当期純利益の計上により214,403千円増加した結果、当第3四半期会計期間末における当社の経営指標である自己資本比率は、前事業年度末に比べて0.5ポイント増加し、35.4%となりました。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」をご参照下さい。
④経営者の問題意識と今後の方針について
当社の主事業である細胞バンク事業においては、近年その需要が急激に高まって来ており、保管検体数が増加しております。しかしながら、本書提出日現在、比較的人口(お産数)が多い地区(関東・東海・近畿・九州)を中心に営業活動を行っており、今後は、認知度が低い地域や人口(お産数)が少ない地区での認知度を高める必要があると考えております。そのため、人員の増強、組織の強化が重要な経営課題のひとつと捉えており、今後も専門知識を持った優秀な人材を継続的に採用、また育成を行い、組織を強化して参ります。
また、保管検体数の増加に伴い、細胞処理センターの拡充を2020年7月完成に向けて計画中です。更には将来の大幅な検体増に備え、新たな細胞処理・細胞保管施設の増強についても進めるため、内部留保を充実させ、自己資本比率を高めて参ります。