有価証券報告書-第16期(2022/10/01-2023/09/30)

【提出】
2023/12/21 15:00
【資料】
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【項目】
143項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当社グループは「解き尽くす。未来を引きよせる。」をミッションとし、創業以来培ってきた、データ分析能力とテクノロジーを活かして、多様な産業領域のデジタルトランスフォーメーションを推進しております。具体的には、デジタル化が進んでこなかった市場において、デジタル化を通じて生活者(消費者)と事業者を最適な形でマッチングすることを目指す不動産DX事業、データの利活用によって企業のマーケティングを高度化することを目指すマーケティングDX事業を運営しております。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス拡大による社会経済活動の制約が解消され、国内経済は徐々に持ち直しが期待されております。一方、世界的な情勢不安や物価上昇などにより国内外の経済的な見通しは不透明な状況が続いております。当社グループを取り巻く事業環境においては、多くの企業におけるDXを活用した業務改善などが活発化した影響もあり、当社サービスに対するニーズが高まりました。ビジネスにおける営業及びコンサルティング活動のオンライン化が定着したことにより事業機会が拡大しております。
この結果、当連結会計年度における当社グループの経営成績は、売上高13,605,291千円(前年同期比21.1%増)、営業利益810,231千円(前年同期比48.1%減)、経常利益846,962千円(前年同期比46.7%減)、親会社株主に帰属する当期純損失1,042,023千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益1,082,511千円)となりました。
なお、当社グループでは、事業基盤の強化や拡大を積極的に目指していく中、各国の会計基準の差異にとらわれることなく企業比較が可能なEBITDA(税金等調整前当期純利益+支払利息+減価償却費+のれん償却費)を経営指標として重視しており、当連結会計年度のEBITDAは△884,020千円(前年同期はEBITDA 1,663,643千円)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。また、セグメントの売上高につきましては、外部顧客への売上高を記載しております。
(不動産DX事業)
不動産DX事業は、デジタル化が進んでこなかった市場において、デジタル化を通じて生活者(消費者)と事業者を最適な形でマッチングすることを目指しており、「イエウール」「ヌリカエ」「ケアスル 介護」が属しております。
営業活動が堅調であることに加え、自社サービスの拡充及び提携先メディア等とのアライアンスの強化を行った結果、加盟業者数、ユーザ数ともに順調に増加しており、高い売上成長率を実現しました。また今後の持続的な成長のため、各領域における新規事業(サービス)の展開へ向けて、ソフトウエア開発等に関する投資を強化しております。
この結果、売上高は9,410,533千円(前年同期比37.3%増)、セグメント利益は1,134,351千円(前年同期比33.3%増)となりました。
(マーケティングDX事業)
マーケティングDX事業は、顧客企業のデータ資産を利活用し、マーケティング活動を高度化することを目指しており、「コンサルティングサービス」「広告運用」の2形態からなるサービスを提供しております。「コンサルティングサービス」においては、顧客企業におけるデジタルマーケティングの強化及びデータ活用意欲の高まりにより、案件獲得が堅調に推移しました。「広告運用」においては、顧客企業のデジタルマーケティング予算の増加はあったものの、社会環境の変化に伴う広告市況感の悪化を受けております。
この結果、売上高は4,117,866千円(前年同期比4.7%減)、セグメント利益は2,060,936千円(前年同期比20.7%減)となりました。
(その他)
その他には、「Data Platform事業」「WorQ事業」が属しており、サービス拡販に向けて取り組む一方、引き続きサービス開発に注力しました。「Data Platform事業」においては、複数の異なるブロックチェーン間のインターオペラビリティ(相互運用性)の実証実験を重ね、クロスチェーンブリッジの課題解決に向け研究開発を進めてまいりました。
この結果、売上高は76,890千円(前年同期比17.7%増)、セグメント損失は315,876千円(前期は206,067千円のセグメント損失)となりました。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は9,658,102千円となり、前連結会計年度末に比べ1,506,238千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が968,705千円、受取手形及び売掛金が510,437千円増加したことによるものであります。固定資産は1,637,637千円となり、前連結会計年度末に比べ866,463千円増加いたしました。これは主に、敷金が423,147千円、繰延税金資産が193,810千円、建物附属設備が237,314千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、11,295,740千円となり、前連結会計年度末に比べ2,372,701千円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は4,919,741千円となり、前連結会計年度末に比べ2,375,497千円増加いたしました。これは主に、未払金が1,458,252千円、信託型ストックオプション関連損失引当金が682,540円増加したことによるものであります。固定負債は1,331,757千円となり、前連結会計年度末に比べ893,347千円増加いたしました。これは、長期借入金が499,951千円、長期未払費用が162,331千円、長期預り金が116,374千円、資産除去債務が106,060千円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、6,251,499千円となり、前連結会計年度末に比べ3,268,844千円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は5,044,241千円となり、前連結会計年度末に比べ896,142千円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が1,042,023千円減少したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は44.6%(前連結会計年度末は66.6%)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は6,643,260千円となり、前連結会計年度末に比べ968,705千円増加いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、477,734千円(前年同期は1,042,867千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失1,000,747千円の計上、信託型ストックオプション関連損失の増加1,847,710千円、法人税等の支払額637,748千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、565,199千円(前年同期は100,075千円の使用)となりました。これは主に、敷金及び保証金の差入による支出423,147千円、有形固定資産の取得による支出257,325千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、1,056,170千円(前年同期は30,841千円の使用)となりました。これは主に、長期借入れによる収入1,800,000千円、長期借入金の返済による支出812,083千円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績及び受注実績
当社グループはインターネット上での各種サービスの提供を主たる事業としており、また、受注生産形態をとらない事業も多いため、生産実績及び受注実績の記載を省略しております。
b.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自2022年10月1日
至2023年9月30日)
前年同期比(%)
不動産DX事業(千円)9,410,53337.3
マーケティングDX事業(千円)4,117,866△4.7
その他(千円)76,89017.7
合計(千円)13,605,29121.1

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上を占める相手先がいないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.売上高
当連結会計年度における売上高は、13,605,291千円(前年同期比21.1%増)となりました。これは不動産DX事業で加盟社数及び利用者数の増加に伴い売上高が伸長したことによるものであります。
b.売上原価
当連結会計年度における売上原価は、2,143,348千円(前年同期比23.4%増)となりました。これは主に社員数増加に伴う人件費及びサービス開発に関連するエンジニアの業務委託費の増加によるものであります。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、10,651,711千円(前年同期比34.1%増)となりました。これは主に人件費及び広告宣伝費の増加によるものであり、この結果、営業利益は810,231千円(前年同期比48.1%減)となりました。
d.営業外収益、営業外費用、経常利益
当連結会計年度における営業外収益は66,715千円となりました。これは主に受取手数料によるものであります。一方で、営業外費用は29,984千円となりました。これは主に投資有価証券評価損、支払利息によるものであります。この結果、経常利益は846,962千円(前年同期比46.7%減)となりました。
e.特別損益、親会社株主に帰属する当期純損失
当連結会計年度における特別損失は1,847,710千円となりました。これは信託型ストックオプション関連損失によるものであります。当連結会計年度において、税金等調整前当期純損失は△1,000,747千円(前連結会計年度は税金等調整前当期純利益1,589,451千円)となりました。法人税等合計41,276千円の計上により、親会社株主に帰属する当期純損失は△1,042,023千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益1,082,511千円)となりました。
③キャッシュ・フローの分析
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
④資本の財源及び資金の流動性について
当社グループは、中長期的に持続的な成長を図るため、従業員等の採用にかかる費用、人件費及び広告宣伝費等の販売費及び一般管理費等の営業費用への資金需要があります。
当社グループの運転資金及び設備資金等の財源については、自己資金及び金融機関からの借入により賄っております。当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、6,643,260千円であり、充分な流動性を確保しております。
⑤経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
具体的な指標として、売上高成長率、営業利益率を高い水準で確保していくことを目標としております。
当連結会計年度を含む、直近2連結会計年度の指標の推移は以下のとおりであります。
(単位:%)
2022年9月期2023年9月期
売上高成長率-21.1
営業利益率13.96.0

(注)2022年9月期の期首より収益認識会計基準等を適用しております。このため、2022年9月期の売上高成長率については記載しておりません。
⑥経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの将来の財政状態及び経営成績に重要な影響を与えるリスク要因については、「3 事業等のリスク」に記載しております。
⑦経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。