有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/03/16 15:00
【資料】
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【項目】
157項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
第12期連結会計年度(自 2018年10月1日 至 2019年9月30日)
当社グループは「解き尽くす。未来を引きよせる。」をミッションとし、分散したデータを活用可能な形に整理・統合することで価値に変換するデータインテリジェンス能力をもとに複数産業の課題解決に注力しております。さらに、事業課題とデータサイエンスの世界を繋げることができるビジネストランスレーター人材の育成に取り組み、高度専門人材の教育プログラムを開発・実践していくことで、さらなる事業価値及び提供サービスの向上を目指しております。
また中長期的なさらなる事業展開を目指し、積極的に新規事業領域への投資及び優秀な人材の採用を継続的に実施しております。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高7,420,781千円(前年同期比3.6%増)、営業利益198,503千円(前年同期比3.3%減)、経常利益189,956千円(前年同期比14.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益21,853千円(前年同期比90.4%減)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は変更後の区分により作成した情報に基づいて記載しております。
MarTech事業
MarTech事業は、顧客企業のデータ資産を利活用し、マーケティング活動を高度化することを目指しており、「コンサルティングサービス」「プロダクト」の2形態からなるサービスを提供しております。
コンサルティングサービスにおいては、2018年10月よりデータインテグレート手法と予測分析技術を活用したマーケティング支援サービス「PAAM」のサービスを開始し、案件受注が堅調に推移し売上増加に貢献いたしました。プロダクトにおいては、ネイティブアド配信プラットフォーム「UZOU」の広告審査体制の見直し及びアルゴリズム開発に注力し、広告主の広告効果最大化及び媒体社の満足度向上に向けた取り組みを行いました。
この結果、売上高は4,871,359千円(前年同期比0.3%増)、セグメント利益は1,385,616千円(前年同期比4.3%減)となりました。
X-Tech事業
X-Tech事業は、デジタル化が進んでこなかった市場において、生活者(消費者)と事業者を、デジタル化を通じて最適な形でマッチングすることを目指しており、主に「イエウール」「ヌリカエ」が属しております。
営業活動が堅調であることに加え、より効率的にユーザーと事業者のマッチングの実現を図ったことで、売上獲得に対する広告宣伝費の割合を低減させることにより、利益の額が増加しております。「イエウール」「ヌリカエ」ともに、新規事業の展開へ向けて、ソフトウエア開発に関する投資を強化いたしました。
この結果、売上高は2,509,529千円(前年同期比9.1%増)、セグメント利益は333,060千円(前年同期比6.4%増)となりました。
Data Platform事業
Data Platform事業は、ブロックチェーン技術を基盤としたデータプラットフォームの開発を行っております。事業黎明期のため、主にエンジニア採用を中心とした先行投資を行う一方、大手企業とブロックチェーン技術を活用した実証実験を行いました。
この結果、売上高は11,000千円(前年同期は未発生)、セグメント損失は257,996千円(前年同期は128,309千円のセグメント損失)となりました。
その他
その他には、「Xyense事業」「海外事業」が属しており、サービス拡販に向けて取り組む一方、引き続きサービス開発に注力した結果、売上高は28,892千円(前年同期比229.0%増)、セグメント損失は195,935千円(前年同期は293,915千円のセグメント損失)となりました。
第13期第1四半期連結累計期間(自 2019年10月1日 至 2019年12月31日)
当第1四半期連結累計期間においては、継続的な売上高の成長実現に向け、各事業の改善活動等に取り組みました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高2,283,960千円、営業利益289,612千円、経常利益290,158千円、親会社株主に帰属する四半期純利益451,660千円となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
MarTech事業
「コンサルティングサービス」においては、国内企業におけるWebマーケティングの強化及びデータ活用意欲の高まりにより、案件獲得が堅調に推移しました。「プロダクト」においては、ネイティブアド配信プラットフォーム「UZOU」の広告審査体制の見直し及びアルゴリズム開発に注力し、広告主の広告効果最大化及び媒体社の満足度向上に向け取り組みました。
この結果、売上高は1,488,016千円、セグメント利益は478,930千円となりました。
X-Tech事業
営業活動が堅調であることに加え、MarTech事業で培ったWebアナリティクス技術を「イエウール」及び「ヌリカエ」に活用した結果、売上獲得に対する広告宣伝費の割合を低減させることにより、利益率の向上を達成しました。また今後の持続的な成長のため、「イエウール」「ヌリカエ」ともに、新規事業の展開へ向けて、ソフトウエア開発に関する投資を強化しております。
この結果、売上高は780,380千円、セグメント利益は188,012千円となりました。
Data Platform事業
Data Platform事業は、ブロックチェーン技術を基盤としたデータプラットフォームの開発を行う一方、事業及び市場自体が引き続き黎明期にあることから、主に大手企業に対して共同での実証研究や事業の提案活動に注力しました。
この結果、売上高は10,000千円、セグメント損失は55,723千円となりました。
その他
その他には、「海外事業」「ヘルスケア事業」が属しており、サービス拡販に向けて取り組む一方、引き続きサービス開発に注力しました。
この結果、売上高は5,563千円、セグメント損失は41,292千円となりました。
②財政状態の状況
第12期連結会計年度(自 2018年10月1日 至 2019年9月30日)
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は2,763,983千円となり、前連結会計年度末に比べ264,516千円減少いたしました。これは主に、現金及び預金が289,981千円減少し、受取手形及び売掛金が92,280千円増加したことによるものであります。固定資産は522,604千円となり、前連結会計年度末に比べ147,664千円増加いたしました。これは主に、のれんが55,515千円、ソフトウエアが21,512千円、ソフトウエア仮勘定が25,327千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、3,286,587千円となり、前連結会計年度末に比べ116,852千円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は1,516,368千円となり、前連結会計年度末に比べ252,926千円減少いたしました。これは主に、買掛金が108,278千円、未払金が161,640千円減少、未払法人税等が205,889千円増加したことによるものであります。固定負債は851,476千円となり、前連結会計年度末に比べ102,020千円増加いたしました。これは、長期借入金が102,020千円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、2,367,845千円となり、前連結会計年度末に比べ150,906千円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は918,742千円となり、前連結会計年度末に比べ34,054千円増加いたしました。これは主に、新株予約権の権利行使により資本金が6,000千円、資本剰余金が6,000千円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が21,853千円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は27.9%(前連結会計年度末は26.0%)となりました。
第13期第1四半期連結累計期間(自 2019年10月1日 至 2019年12月31日)
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における流動資産は3,299,231千円となり、前連結会計年度末に比べ535,247千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が305,163千円、受取手形及び売掛金が213,118千円増加したことによるものであります。固定資産は718,949千円となり、前連結会計年度末に比べ196,345千円増加いたしました。これは主に、ソフトウエアが3,713千円、ソフトウエア仮勘定が31,373千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、4,018,181千円となり、前連結会計年度末に比べ731,593千円増加いたしました。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における流動負債は1,516,126千円となり、前連結会計年度末に比べ242千円減少いたしました。これは主に、未払金が13,088千円、未払法人税等が205,642千円、賞与引当金が66,625千円減少、買掛金が73,955千円、1年内返済予定の長期借入金が85,833千円、未払費用が41,437千円増加したことによるものであります。固定負債は1,135,313千円となり、前連結会計年度末に比べ283,837千円増加いたしました。これは、長期借入金が283,837千円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、2,651,439千円となり、前連結会計年度末に比べ283,594千円増加いたしました。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末における純資産は1,366,741千円となり、前連結会計年度末に比べ447,998千円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により利益剰余金が451,660千円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は34.0%(前連結会計年度末は27.9%)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
第12期連結会計年度(自 2018年10月1日 至 2019年9月30日)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ289,981千円減少(前年同期比15.5%減)し、当連結会計年度末には1,576,435千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、192,148千円(前年同期は485,976千円の獲得)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益214,354千円、未払金の減少額161,941千円、仕入債務の減少額108,278千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、152,238千円(前年同期は72,001千円の獲得)となりました。これは、主に無形固定資産の取得による支出53,277千円、敷金及び保証金の差入による支出55,354千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出65,527千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、54,212千円(前年同期は65,916千円の使用)となりました。これは、長期借入金の返済による支出507,788千円、長期借入れによる収入550,000千円、株式の発行による収入12,000千円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績及び受注実績
当社グループはインターネット上での各種サービスの提供を主たる事業としており、また、受注生産形態をとらない事業も多いため、生産実績及び受注実績の記載を省略しております。
b.販売実績
第12期連結会計年度及び第13期第1四半期連結累計期間の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第12期連結会計年度
(自2018年10月1日
至2019年9月30日)
前年同期比(%)第13期第1四半期
連結累計期間
(自2019年10月1日
至2019年12月31日)
MarTech事業(千円)4,871,359100.31,488,016
X-Tech事業(千円)2,509,529109.1780,380
Data Platform事業(千円)11,000-10,000
その他(千円)28,892329.05,563
合計(千円)7,420,781103.62,283,960

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.第11期連結会計年度において販売実績がないため、Data Platform事業は前年同期比を算出しておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
当社の連結財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
第12期連結会計年度(自 2018年10月1日 至 2019年9月30日)
a.売上高
当連結会計年度における売上高は、7,420,781千円(前年同期比3.6%増)となりました。これは主にX-Tech事業の売上増加によるものであります。
b.売上原価
当連結会計年度における売上原価は、3,615,159千円(前年同期比6.0%増)となりました。これは主にMarTech事業による広告配信量の増加に伴う配信原価増加によるものであります。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、3,607,119千円(前年同期比1.6%増)となりました。これは主に人件費及び中途採用費の増加によるものであり、この結果、営業利益は198,503千円(前年同期比3.3%減)となりました。
d.営業外収益、営業外費用、経常利益
当連結会計年度における営業外収益は4,706千円となりました。これは主に還付消費税等によるものであります。一方で、営業外費用は13,253千円となりました。これは主に支払利息、投資事業組合運用損及び匿名組合投資損失によるものであります。この結果、経常利益は189,956千円(前年同期比14.9%増)となりました。
e.特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度において、事業譲渡益31,396千円、減損損失6,998千円の計上があったため、税金等調整前当期純利益は214,354千円(前年同期比34.1%減)となりました。法人税等合計192,501千円の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は21,853千円(前年同期比90.4%減)となりました。
第13期第1四半期連結累計期間(自 2019年10月1日 至 2019年12月31日)
a.売上高
当第1四半期連結累計期間における売上高は、2,283,960千円となりました。これは主にX-Tech事業の売上増加によるものであります。
b.売上原価
当第1四半期連結累計期間における売上原価は、1,032,324千円となりました。これは主にMarTech事業による広告配信量の増加に伴う配信原価増加によるものであります。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
当第1四半期連結累計期間における販売費及び一般管理費は、962,023千円となりました。これは主に広告宣伝費の増加によるものであり、この結果、営業利益は289,612千円となりました。
d.営業外収益、営業外費用、経常利益
当第1四半期連結累計期間における営業外収益は2,910千円となりました。これは主に為替差益によるものであります。一方で、営業外費用は2,365千円となりました。これは主に支払利息によるものであります。この結果、経常利益は290,158千円となりました。
e.親会社株主に帰属する四半期純利益
当第1四半期連結累計期間における法人税等合計額は△161,502千円となりました。これは2019年10月30日付のザイエンス株式会社との吸収合併による税務上の繰越欠損金の継承により、繰延税金資産を計上したことによるものであります。この結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は451,660千円となりました。
③キャッシュ・フローの分析
第12期連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
④資本の財源及び資金の流動性について
当社グループは、中長期的に持続的な成長を図るため、従業員等の採用にかかる費用、人件費及び広告宣伝費等の販売費及び一般管理費等の営業費用への資金需要があります。
当社グループの運転資金及び設備資金等の財源については、自己資金及び金融機関からの借入により賄っております。当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、1,576,435千円であり、充分な流動性を確保しております。
⑤経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
具体的な指標として、売上高成長率、営業利益率を高い水準で確保していくことを目標としております。
当連結会計年度を含む、直近2連結会計年度の指標の推移は以下のとおりであります。
(単位:%)
2018年9月期2019年9月期
売上高成長率124.24103.57
営業利益率2.862.67

⑥経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの将来の財政状態及び経営成績に重要な影響を与えるリスク要因については、「2 事業等のリスク」に記載しております。
⑦経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。