有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/11/12 15:00
【資料】
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【項目】
127項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
第21期事業年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
(資産)
当事業年度末における流動資産は263,560千円となり、前事業年度末と比較して58,688千円の増加となりました。これは主に、利益の計上に伴う現金及び預金の増加28,300千円、売上高増加に伴う売掛金の増加13,637千円及び未収入金(流動資産 その他)の増加15,855千円によるものであります。
固定資産は141,433千円となり、前事業年度末と比較して502千円の増加となりました。これは主に、繰延税金資産の増加4,572千円、減価償却費の増加によるソフトウエアの減少6,931千円、ソフトウエア仮勘定の増加1,763千円、工具、器具及び備品の増加822千円によるものであります。
この結果、総資産は、404,994千円となり、59,191千円の増加となりました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は104,826千円となり、前事業年度末と比較して20,415千円の増加となりました。これは主に、事業の拡大による未払金の増加12,868千円、未払法人税等の増加13,666千円、買掛金の減少2,795千円、返済による1年内返済予定の長期借入金の減少5,218千円によるものであります。
固定負債は32,019千円となり、前事業年度末と比較して966千円の増加となりました。これは、長期借入金の増加966千円によるものであります。
この結果、負債合計は136,846千円となり、前事業年度末に比べ21,381千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産は268,147千円となり、前事業年度末と比較して37,809千円の増加となりました。これは、当期純利益の計上による繰越利益剰余金の増加37,809千円によるものであります。
第22期第3四半期累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)
(資産)
当第3四半期会計期間末における流動資産は303,330千円となり、前事業年度末と比較して39,769千円の増加となりました。これは主に、利益の計上に伴う現金及び預金の増加53,063千円、売上高増加に伴う売掛金の増加2,670千円及び未収入金(流動資産 その他)の減少18,286千円によるものであります。
固定資産は146,689千円となり、前事業年度末と比較して5,255千円の増加となりました。これは主に、有形固定資産の増加842千円、減価償却費の増加によるソフトウエアの減少6,408千円、ソフトウエア仮勘定の増加10,084千円、によるものであります。
この結果、総資産は、450,019千円となり、45,025千円の増加となりました。
(負債)
当第3四半期会計期間末における流動負債は108,089千円となり、前事業年度末と比較して3,262千円の増加となりました。これは主に、仕入の増加による買掛金の増加8,905千円、未払消費税(流動負債 その他)の増加5,511千円、未払金(流動負債 その他)の減少5,787千円、返済による1年内返済予定の長期借入金の減少1,810千円によるものであります。
固定負債は18,685千円となり、前事業年度末と比較して13,334千円の減少となりました。これは、借入金の返済による長期借入金の減少13,334千円によるものであります。
この結果、負債合計は、126,775千円となり、前事業年度末に比べ10,071千円減少いたしました。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産は323,244千円となり、前事業年度末と比較して55,096千円の増加となりました。
これは、四半期純利益の計上による繰越利益剰余金の増加55,096千円によるものであります。
②経営成績の状況
第21期事業年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当事業年度は、当社の経営理念である「私たちは、顧客価値を創造するプラットフォームを提供し続けることで、社会に貢献します。」の「顧客価値の創造」を実現すべく、昨年度に引き続き外食サービス業や小売業などのいわゆるBtoC企業向けCRM(顧客管理)サービスである「スマートCRMサービス」の普及・浸透に力を注ぎました。
外食サービス業においては、スマートCRMサービス導入による「スマホ会員証アプリ」の成功事例が多数蓄積したことにより、他の飲食店チェーンへの同サービスの認知が進みました。
機能的には、ビッグデータの時代に対応するための導入企業による顧客情報の分析機能(ダッシュボード)や、消費者の多様なコミュニケーション手段に対応するマルチコンタクトチャネル機能にLINE株式会社のLINEと連携する機能を追加するなど、新しいオプションサービスをリリース致しました。
これらの施策により、スマートCRMの導入件数が28社増加し、これに伴い同サービスに企業固有の機能を追加するカスタマイズ開発の需要が高まりました。また、2019年12月末時点の会員数は、15,038千名(前年同月比55.9%増)となり拡大に繋がっております。
機能をメール配信に限定したメールマーケティングサービスの活用度は減退傾向にあるものの、スマートCRMの新規導入件数の増加やカスタマイズ開発の増加は、売上高の伸長を支え、売上増に伴う原価の増加や内部管理体制の整備による費用の増加はあったものの、利益の増加となりました。
その結果、当事業年度の業績は、売上高746,824千円(対前年比17.5%増)、経常利益53,574千円(対前年比219.7%増)、当期純利益37,809千円(対前年比304.7%増)となりました。
第22期第3四半期累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)
当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響で経済活動が停滞し、急速な悪化が続きました。5月末の緊急事態宣言解除後には経済活動が再開し、徐々に動き始めたことで一旦急落傾向が下げ止まったものの、ブラジルなど新興国での感染者の増加に歯止めがかからないことに加え、経済活動を再開した米国及び国内でも再び感染者が増える傾向にあり、依然として不透明感が強い状況が続いております。
当社においても新型コロナウイルス感染症の影響はあったものの、新規顧客獲得に関する取り組みが功を奏し、スーパーやドラッグストア等の量販店からの受注もあり、2020年9月末時点での会員数は17,155千名(前期末比14.1%増)となり拡大に繋がっております。営業活動においては新型コロナウイルス感染拡大防止に係る政府見解を踏まえ、お客様と従業員の安全確保のため、在宅勤務及び時差出勤を励行しつつ、十分な感染防止策を講じた上でお客様のご要望にお応えできるよう効率的な対応をいたしました。
その結果、当第3四半期累計期間における売上高は、CRMサービス運用収益等により629,445千円、営業利益80,785千円、経常利益80,624千円、四半期純利益55,096千円となりました。
③キャッシュ・フローの状況の分析
第21期事業年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ、28,300千円増加し、147,236千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動の結果獲得した資金は、91,231千円(前事業年度は73,355千円)となりました。これは主に、利益拡大により税引前当期純利益53,574千円(前事業年は16,755千円)を計上したこと、ソフトウエアの減価償却費62,660千円(前事業年度は54,153千円)の計上などにより資金が増加した一方、売上高の増加による売上債権の増加額が13,637千円(前事業年度は9,746千円の減少)、法人税等の支払額7,694千円(前事業年度は14,789千円)などにより資金が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動の結果使用した資金は、58,680千円(前事業年度は59,276千円)となりました。これは、業務拡大による従業員数の増加や耐用年数の経過による取替更新に伴いノートPCを購入したことなどの有形固定資産の取得による支出2,888千円(前事業年度は598千円)、ソフトウエアの自社構築による無形固定資産の取得による支出55,791千円(前事業年度は58,459千円)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動の結果減少した資金は、4,252千円(前事業年度は26,616千円)となりました。これは、運転資金の調達に伴う長期借入れによる収入20,000千円があったものの長期借入金の返済による支出24,252千円(前事業年度は26,616千円)により資金が減少したことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
第21期事業年度及び第22期第3四半期累計期間における販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。なお当社は、betrend事業の単一セグメントであるため、継続的サービスであるCRMサービスとCRMサービスを利用するために必要なシステム開発を提供するサービスであるカスタマイズサービスを区分して記載しております。
サービスの名称第21期事業年度
(自2019年1月1日 至2019年12月31日)
第22期第3四半期累計期間
(自2020年1月1日
至2020年9月30日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
CRMサービス566,346113.2488,913
カスタマイズサービス148,976139.7110,976
その他サービス31,501110.429,555
合計746,824117.5629,445

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.第21期事業年度及び第22期第3四半期累計期間における主要な販売先については、いずれも販売実績が総販売実績の100分の10未満のため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。
また、財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析 前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績の分析
第21期事業年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
(ⅰ)売上高
当事業年度の売上高は、前事業年度に比べ111,254千円増加し、746,824千円(前年同期比17.5%増)となりました。当事業年度におきましては、当社の経営理念である「私たちは、顧客価値を創造するプラットフォームを提供し続けることで、社会に貢献します。」の「顧客価値の創造」を実現すべく、前事業年度に引き続き外食サービス業や小売業などのいわゆるBtoC企業向けCRM(顧客管理)サービスである「スマートCRMサービス」の普及・浸透に力を注ぎました。
外食サービス業においては、スマートCRMサービス導入による「スマホ会員証アプリ」の成功事例が多数蓄積したことにより、他の飲食店チェーンへの同サービスの認知が進みました。
機能的には、ビッグデータの時代に対応するための導入企業による顧客情報の分析機能(ダッシュボード)や、消費者の多様なコミュニケーション手段に対応するマルチコンタクトチャネル機能にLINE株式会社のLINEと連携する機能を追加するなど、新しいオプションサービスをリリース致しました。
これらの施策により、スマートCRMの新規導入件数が当事業年度は28社増加し、2019年12月末時点の会員数は、15,038千名(前年同月比55.9&増)となり売上増加となりました。また、企業固有の機能を追加するカスタマイズ開発の需要が高まり、売上増加に寄与いたしました。
(ⅱ)売上原価、売上総利益
当事業年度における売上原価は、前事業年度に比べ57,216千円増加し、319,859千円(前年同期比21.8%増)となり売上高の増加に伴い増加いたしました。また当事業年度における売上総利益は、前事業年度に比べ54,037千円増加し、426,964千円(前年同期比14.5%増)となりました。売上原価の主な増加要因としては、減価償却費の増加、外部仕入費用の増加、外注費の増加によるものです。当社ソフトウエアサービスのほとんどは自社仕様によるため、過年度及び当事業年度に積極的に行ったソフトウエア開発によるソフトウエア資産から発生する減価償却が増加しました。また、外部仕入費用の増加はCRMサービスの売上増加、カスタマイズサービスの増加に伴うライセンス費用等、一部外部仕入を要するものが増加いたしました。外注費は、当事業年度はソフトウエア開発を積極的に進めたこと及びカスタマイズ開発の増加に伴う開発工数を外注に委託したことによるものです。
(ⅲ)販売費及び一般管理費、営業利益
当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ19,779千円増加し、375,355千円(前年同期比5.6%増)となりました。また、当事業年度における営業利益は、前事業年度に比べ34,258千円増加し、51,609千円(前年同期比197.4%増)となりました。販売費及び一般管理費の主な増加要因は人件費の増加、業務委託費の増加、及び支払報酬の増加によるものです。人件費につきましては、営業組織の拡充のため当事業年度に営業要員2名の採用を行いました。業務委託費の増加は、内部統制システムの整備に関しコンサルティング会社に指導を受けたものであり当該費用の増加によるものがほとんどです。支払報酬の増加は主なものは監査法人に対する監査報酬の増加よるものです。
(iv)営業外損益、経常利益
当事業年度における営業外収益は、前事業年度に比べ2,312千円増加し、2,314千円となりました。営業外費用増加額は主に助成金の増加によるものです。また、営業外費用は、前事業年度に比べ248千円減少し349千円となりました。営業外費用のほとんどが借入金に伴う支払利息・支払保証料であり、借入金の返済に伴い、減少いたしました。
以上の結果、当事業年度における経常利益は、前事業年度に比べ36,818千円増加し、53,574千円(前年比219.7%増)となりました。
(v)特別損益、当期純利益
当事業年度における特別損益はわずかであり、当事業年度の税引前当期純利益は36,818千円増加し、53,574千円(前年比219.7%増)となりました。また、法人税、住民税及び事業税20,337千円、法人税等調整額を△4,572千円を計上した結果、当期純利益は前事業年度に比べ28,466千円増加し、37,809千円(前年同期比304.7%増)となりました。
第22期第3四半期累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)
(ⅰ)売上高
当第3四半期累計期間における売上高は629,445千円となりました。これは主に、前年度までの導入事例を元にしたマーケティング活動によりスーパーマーケットやドラッグストア等の量販店からの新規の導入企業による売上に加え、会員数増加等による従量的な売上や、オプション利用による売上、及び新規導入時のカスタマイズ開発による売上が堅調に推移したことによるものです。2020年9月末時点での会員数は17,155千名(前期末比14.1%増)となり売上高の増加に繋がっております。
(ⅱ)売上原価、売上総利益
当第3四半期累計期間における売上原価は270,209千円となりました。これは主に、人件費、減価償却費、ハウジング・ホスティング費、外注費及び外部からの仕入費用によるものです。この結果、売上総利益は359,236千円となりました。
(ⅲ)販売費及び一般管理費、営業利益
当第3四半期累計期間における販売費及び一般管理費は、278,450千円となりました。これは主に、人件費、家賃、及び支払報酬によるものであります。この結果、営業利益は80,785千円となりました。
(iv)営業外損益、経常利益
当第3四半期累計期間において営業外収益、営業外費用はわずかです。この結果、経常利益は80,624千円となりました。
(v)特別損益、四半期利益
当第3四半期累計期間の特別損益については、該当事項がございません。法人税等を25,527千円計上した結果、四半期純利益は55,096千円となりました。
c.キャッシュ・フローの分析 前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりであります。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④資本の財源及び資金の流動性
当社の資金需要は、事業規模の拡大に係る人件費、その採用費、ほかサーバー増強などの設備投資資金となります。財政状態等を勘案しながら、自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等による資金調達を考えております。
流動資産と流動負債のバランスを注視し、財政状態の健全性を評価しており、当事業年度末時点で健全な財務体制であると判断しております。なお、資金の短期流動性確保のため、金融機関と合計150,000千円の当座貸越契約を締結しております。
⑤経営者の問題意識と今後の方針に関して
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。