有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/02/18 15:00
【資料】
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【項目】
145項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第48期事業年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
(資産)
当事業年度末における資産合計は、3,208,634千円となり、前事業年度末に比べ57,893千円減少いたしました。これは主に、機械及び装置が40,820千円、繰延税金資産が27,545千円、保険積立金が20,492千円増加した一方、工具、器具及び備品が37,266千円、投資有価証券が31,180千円、売掛金が31,052千円減少した影響によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は、2,531,333千円となり、前事業年度末に比べ177,628千円減少いたしました。これは主に、長期借入金が142,418千円、未払消費税等が67,981千円増加した一方、短期借入金が286,000千円、買掛金が56,852千円減少した影響によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、677,300千円となり、前事業年度末に比べ119,735千円増加いたしました。これは主に、当期純利益の計上による繰越利益剰余金が113,914千円増加した影響によるものであります。
この結果、自己資本比率は21.1%(前事業年度は17.1%)となりました。
第49期第3四半期累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)
(資産)
当第3四半期会計期間末における資産合計は、3,199,871千円となり、前事業年度末に比べ8,763千円減少いたしました。これは主に、原材料及び貯蔵品が120,372千円、現金及び預金が74,377千円増加した一方、受取手形及び売掛金が188,443千円、電子記録債権が52,813千円減少した影響によるものであります。
(負債)
当第3四半期会計期間末における負債合計は、2,446,052千円となり、前事業年度末に比べ85,281千円減少いたしました。これは主に、短期借入金が80,000千円、退職給付引当金が47,483千円増加した一方、賞与引当金が91,218千円、長期借入金が70,061千円減少した影響によるものであります。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産合計は、753,818千円となり、前事業年度末に比べ76,518千円増加いたしました。これは主に、四半期純利益の計上による繰越利益剰余金が62,971千円増加した影響によるものであります。
この結果、自己資本比率は23.6%(前事業年度は21.1%)となりました。
② 経営成績の概況
第48期事業年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
当事業年度の世界経済は、米中貿易摩擦の長期化、欧州においては通商問題の中での製造業の低迷などの影響により海外経済が減速しました。我が国の経済は、こうした世界経済の影響に加え、国内外の自動車販売の低迷、消費税増税前の駆け込み需要の反動、大型台風の影響により景況感が悪化していたところに、1月下旬からの新型コロナウイルス感染症の拡大により全世界を巻き込んだ経済の急速な悪化に突入し、先行きの見えない状況となりました。
これらの結果、当事業年度の業績は、売上高は4,531,640千円(前期比3.1%減)、営業利益は235,700千円(同43.4%増)、経常利益は235,270千円(同38.5%増)、当期純利益は113,914千円(同5.7%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a.電子システム事業
電子システム事業は、半導体主要顧客の在庫調整長期化による新規設備導入抑制の延長が影響し、バーンイン装置、バーンインボード他、半導体信頼性商材の受注が低調となりました。一方、産業用専用計測機器の受注は、車載製品向けテスターの周辺機能開発の受注や顧客の海外工場への拡販により、過去最高の売上となり前期を大きく上回りました。半導体顧客においては、新しい製品の開発過程における受託試験の依頼が増加しました。注力する保守・メンテナンスでは、協力企業との連携強化により、受注量増加と範囲拡大に取り組みました。
これらの結果、売上高は1,776,724千円(前期比7.3%減)、セグメント利益は45,996千円(同200.9%増)となりました。
b.マイクロエレクトロニクス事業
マイクロエレクトロニクス事業は、LSI受託開発関連において低迷する車載・産業機器分野からアナログ、デジタルの一括受注による高速I/F分野、成長顧客へのシフトが功を奏し、計画を上回る売上を計上しました。IP販売関連においては、海外の取引先から大型のJPEG-IPライセンス契約を受注しました。
これらの結果、売上高は1,842,809千円(前期比0.2%増)、セグメント利益は246,457千円(同3.9%減)となりました。
c.製品開発事業
製品開発事業は、産業用組込カメラ製品、カスタムカメラ製品を成長中の産業機器市場を中心に既存取引先の水平展開、商社との連携強化、展示会による新規案件増加を積極的に取り組みましたが、国内ATMをはじめとするインフラ機器市場への出荷が当初の見通しよりも大幅に下回り、売上高は低調となりました。また、新製品開発費60,657千円を計上いたしました。
これらの結果、売上高は912,106千円(前期比1.1%減)、セグメント損失は56,754千円(同47.1%減)となりました。
第49期第3四半期累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)
当第3四半期累計期間のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響により、引き続き厳しい状況にあります。緊急事態宣言の解除を契機として、輸出や生産、個人消費などで持ち直しの動きもみられ、少しずつ回復へと向かって動き出してまいりました。しかしながらまだ終息時期の見通しは立っておらず、世界や日本の経済へのマイナス影響は長期化することが懸念されています。このような状況のもと、当社は主に自動車市場向け、産業機器市場向け、スマートフォン市場向けに事業拡大を進めるとともに、高度化する市場ニーズへの更なる迅速な対応を目指し、高付加価値新製品の開発・生産・販売体制の強化を積極的に推進するとともに、コスト削減にも取り組んでまいりました。
これらの結果、当第3四半期累計期間の業績は、売上高3,200,151千円、営業利益は94,488千円、経常利益は97,506千円、四半期純利益は62,971千円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a.電子システム事業
電子システム事業は、半導体顧客の需要停滞による設備導入抑制が影響し、バーンイン装置、車載用バーンインボード他、半導体信頼性商材の受注が低調となりました。一方、受託開発案件につきましては順調に推移しました。このような情勢のなか、半導体顧客においてニーズが高まる装置レンタル、保守・メンテナンスにおいて、検査用部品を導入して点検の効率改善化や、協力企業との連携強化等による販売力強化にも取り組みました。
これらの結果、売上高は1,155,754千円、セグメント損失は40,891千円となりました。
b.マイクロエレクトロニクス事業
マイクロエレクトロニクス事業は、アナログLSI開発関連の既存顧客からの受注が堅調に推移し、デジタルLSI開発や車載関連においては売上が減少したものの、堅調に推移いたしました。また、IP販売関連においてJPEG-IPライセンス収入がデジタル市場の低迷により低調に推移しましたが、スマートフォン向けに安定した量の販売を継続しております。
これらの結果、売上高は1,321,826千円、セグメント利益は166,197千円となりました。
c.製品開発事業
製品開発事業は、カメラ機能を利用した社会インフラである、端末機器、交通、金銭機器や、情報入出力機器市場を中心に、既存取引先強化、取引先商社との連携強化、サンプル販売の強化、産業用・医療分野における組込カメラに積極的な営業活動を行い、売上高は好調に推移しました。また、カメラを利用した新しい市場ニーズに対応するための研究開発投資を引き続き行っております。
これらの結果、売上高は722,571千円、セグメント損失は30,817千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
第48期事業年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、185,049千円となりました。前事業年度末に比べて19,951千円増加いたしました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は309,157千円(前年同期比240.5%増)となりました。これは主に、税引前当期純利益169,487千円、減価償却費94,920千円、退職給付引当金の増加額58,451千円により資金が増加したためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は55,807千円(同8.1%減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出103,688千円により資金が減少したためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は234,641千円(同204.2%増)となりました。これは主に、短期借入金の純減少額286,000千円により資金が減少したためであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
第48期事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第48期事業年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
電子システム事業(千円)1,766,53391.5
マイクロエレクトロニクス事業(千円)1,834,799100.4
製品開発事業(千円)917,87397.8
合計(千円)4,519,20696.2

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去項目はありません。
2.金額は販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
第48期事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
電子システム事業1,868,98897.9423,383127.9
マイクロエレクトロニクス事業1,852,492101.2415,067102.4
製品開発事業997,707110.7301,235139.7
合計4,719,189101.71,139,687119.7

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去項目はありません。
2.金額は販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
第48期事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第48期事業年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
電子システム事業(千円)1,776,72492.7
マイクロエレクトロニクス事業(千円)1,842,809100.2
製品開発事業(千円)912,10698.9
合計(千円)4,531,64096.9

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去項目はありません。
2.最近2事業年度及び第49期第3四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。
相手先第47期事業年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
第48期事業年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
第49期第3四半期累計期間
(自 2020年4月1日
至 2020年12月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
株式会社デンソー771,66616.5898,26919.8545,36417.0
ソニーLSIデザイン
株式会社
507,97510.9591,68613.1510,77616.0

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度の業績は、売上高は4,531,640千円(前期比3.1%減)、営業利益は235,700千円(同43.4%増)、経常利益は235,270千円(同38.5%増)、当期純利益は113,914千円(同5.7%減)となりました。
当事業年度における総資産は3,208,634千円となり、前事業年度末に比べ57,893千円減少いたしました。当事業年度における負債合計は2,531,333千円となり、前事業年度末に比べ177,628千円減少いたしました。当事業年度における純資産合計は677,300千円となり、前事業年度末に比べ119,735千円増加いたしました。
なお、財政状況の詳細においては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載しております。
当社の経営成績に重要な影響を与える主要因として、主要顧客の受注状況、販売状況が挙げられます。その対応の詳細については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境と経営戦略」に記載しております。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、前述の「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の概況」に記載の通りです。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
b.資金需要
当社の運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための材料仕入、外注費の支払及び製造費用並びに販売費及び一般管理費等によるものであります。また設備資金需要のうち主なものは、生産並びに生産技術効率の向上のための設備投資であります。
c.財務政策
当社の主たる市場である半導体に関連する事業分野は特有の急激な需要変動が生じやすいため、このような経営環境に対応すべく自己資本比率の向上により強固な財務体質の強化・維持に努めております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりまして、その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下の通りであります。
a.たな卸資産
当社は、たな卸資産については、在庫の回転率に応じて収益性の低下に基づく簿価切下げ額の測定を行っております。将来、滞留在庫が増加し、在庫の回転率が悪化した場合、追加の評価減が必要になる場合があります。
b.受注損失引当金
当社は、受注契約に係る将来の損失に備えるため、当事業年度末における受注契約のうち、損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積ることが可能なものについて、損失見込額を計上しております。当社では、受注損失引当金が適切かどうかを常に確認しており、発生が見込まれる損失額について、必要十分な金額を引当計上していると考えていますが、実際の発生は、見積りと異なることがあり、受注損失引当金の計上金額が修正される可能性があります。
c.繰延税金資産
当社は、繰延税金資産については、将来の課税所得の見積りにより回収可能性の評価を行っております。繰延税金資産の回収可能性に影響を与える要因の発生が予測される場合には、繰延税金資産の計上金額に影響を及ぼします。
d.固定資産の減損会計
当社は、資産を用途により事業用資産、賃貸用資産に分類しております。また、管理会計上の区分を基準に、事業用資産は事業本部別、賃貸用資産は個別資産ごとにグルーピングしております。
減損の対象となった固定資産は、資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った差額を減損損失としております。将来、この回収可能価額が減少した場合、減損損失が発生する可能性があります。