有価証券届出書(新規公開時)

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2021/03/04 15:00
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153項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
第54期事業年度(自2019年4月1日 至2020年3月31日)
当事業年度におけるわが国経済は、雇用情勢や個人所得環境に改善が見られ、緩やかな回復基調にありましたが、当期終盤に発生した新型コロナウイルス感染拡大の影響により、先行き不透明感が高まっています。
こうした経済状況の中、広告業界におきましては、インターネット広告の分野が大きく伸びる中、クライアン
トのニーズの多様化によって、インターネット広告のみで解決できないマーケティング課題を、従来からある媒
体と組み合わせる等して解決する統合ソリューションがより深化しております。
当社におきましては、スポンサーニーズに合わせて様々なロケーションにおいて積極的な媒体設置に取り組み、従来の鉄道駅、市役所・区役所等の自治体設置に加えて、全国の病院や空港、運転免許センター、神社、市民センター等へのデジタルサイネージ媒体を設置し、多面的なコンテンツ提供を可能にしてまいりました。また、資材調達コストの見直しを通じて収益性の改善を図り、さらなる広告媒体への拡大に取り組んでまいりました。3月までの売上に関わる営業活動は2月までにほぼ終了していたことから新型コロナウイルス感染拡大は当期の営業成績には大きな影響はありませんでした。
以上の結果、当事業年度の売上高は13,065百万円(前期比7.8%増)、営業利益は1,058百万円(同13.7%
増)、経常利益は1,204百万円(同6.6%増)、当期純利益は807百万円(同1.8%減)となりました。
なお、セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。
(ナビタ事業)
媒体価値を向上させるため、引き続き「デジタルサイネージ化」を推進するとともに、さらなる新規・拡大
の獲得に取り組んでまいりました。ステーションナビタ事業におきましては、東京メトロによる駅工事等が相
次ぎ筐体の一時撤去を余儀なくされていることもあり、低調な推移となりました。シティナビタ事業及び公共
ナビタ事業における昨年の新規・拡大の契約増加が当事業年度の売上にも大きく寄与し、売上高は8,461百万円
(前期比5.1%増)、セグメント利益は1,231百万円(同8.1%増)となりました。
(アド・プロモーション事業)
広告各種における最適な企画・プレゼンテーション等によるトータルプランニングのサービスの向上を図る
とともに、新たな付加価値の創造によるサービスの拡大に取り組んできたことから、売上高は2,271百万円(
前期比5.8%増)、セグメント利益は87百万円(同79.5%増)となりました。
(サイン事業)
快適で機能的な生活空間の創造をコンセプトとし、美しいデザインと機能性を併せもつ便利なサインの提供
に引き続き努め、また、東京メトロの駅工事等による大型工事を獲得したことにより、売上高は2,332百万円
(前期比21.8%増)、セグメント利益は165百万円(同35.5%増)となりました。
第55期第3四半期累計期間(自2020年4月1日 至2020年12月31日)
当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、国内においても4月に緊急事態宣言が出され、社会・経済活動が急速に停滞し、個人消費や輸出が縮小したことから、極めて厳しい状況となりました。緊急事態宣言の解除後には経済活動が再開されましたが、新型コロナウイルス感染症の収束時期は未だ見通せず、景気の先行きについては予断を許さない状況となっております。
広告業界(注1)においても、新型コロナウイルスの感染拡大により、第1四半期は前年を2割以上割り込み、その後、テレビ等のマス広告は回復基調にあるものの、屋外広告、交通広告は回復の兆しが見られませんでした。また東京2020オリンピックが延期されたことも広告需要の減退につながりました。
当社におきましても4月からの緊急事態宣言中は、新規顧客獲得営業活動がほとんど行えず、既存顧客の継続勧奨に注力せざるを得ない状況となりました。このような環境下、4月に新型コロナウイルスの飛沫感染防止のためのアクリル板「安心ガード」を発売し、5月に「ワークガード」「フェイスガード」、7月に「テーブルガード」、9月に「伸縮する安心ガード」を発売し、病院、一般企業、公共機関を中心に12月末までに269百万円の売上をあげることができました。
また、ナビタ事業については、3年契約ですが、毎年、地図・広告を最新版に更新しており掲出期間を1年毎としております。更新後1年間にわたり売上が計上されるため、当第3四半期累計期間における売上高は、感染拡大の影響のなかった2020年3月期に獲得した契約が寄与する結果、新型コロナウイルス感染拡大の影響は大きくはありませんでした。一方、アド・プロモーション事業については、新型コロナウイルス感染拡大の影響により広告需要は大きく減退しました。サイン事業については、4月からの緊急事態宣言による工事の中断が見られましたが、その後、工事が再開され完工したため、新型コロナウイルス感染拡大の売上への影響は軽微でした。
以上の結果、当第3四半期累計期間の売上高は、9,725百万円となりました。営業利益は943百万円となり、経常利益は983百万円、四半期純利益は655百万円となりました。
(注1)「特定サービス産業動態統計調査」(経済産業省2021年2月8日公表)によります。
セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。
(ナビタ事業)
ステーションナビタ事業においては、前年度の東京メトロの駅工事による筐体の一時撤去の影響がありましたが緩やかに回復し、シティナビタ事業及び公共ナビタ事業においては、前年度の新規・拡大の契約増加が寄与し、売上高は6,308百万円、セグメント利益は1,004百万円となりました。
(アド・プロモーション事業)
新型コロナウイルスの影響による広告需要の減退から、新規契約が減少するとともに既存契約についても解約が増加したことから、売上高は1,369百万円、セグメント利益は13百万円となりました。
(サイン事業)
新型コロナウイルスの影響により一部の工事は中断、延期になりましたが、9月までには、東京メトロの駅工事等の大型工事が相次いで完成したことに加え、「安心ガード」等の販売が寄与し、売上高は2,046百万円、セグメント利益は244百万円となりました。
② 財政状態の状況
第54期事業年度(自2019年4月1日 至2020年3月31日)
当事業年度末の総資産は12,065百万円(前年度末比814百万円増)となりました。
資産、負債及び純資産の状況については以下のとおりであります。
a.資産
流動資産は、現金及び預金、売掛金の増加により、6,102百万円(同658百万円増)となりました。
固定資産は、ナビタ事業における設備投資増により、有形固定資産が増加したことなどから、5,962百万円
(同155百万円増)となりました。
b.負債
流動負債は、仕入債務や前受収益が増加したことなどにより、6,708百万円(同247百万円増)となりました。
固定負債は、長期借入金の返済等により、183百万円(同38百万円減)となりました。
c.純資産
剰余金の配当194百万円実施した一方、当期純利益807百万円の計上による繰越利益剰余金の増加等から純資
産は5,173百万円(同606百万円増)となりました。
第55期第3四半期累計期間(自2020年4月1日 至2020年12月31日)
当第3四半期会計期間末の総資産は12,442百万円(前年度末比377百万円増)となりました。
資産、負債及び純資産の状況につきましては、以下のとおりであります。
a.資産
流動資産につきましては、売上債権は減少したものの、現金及び預金の増加等により6,527百万円(同424百万
円増)となりました。
固定資産につきましては、ナビタ事業における設備投資が減少するとともに、減価償却による有形・無形固定
資産の減少により、5,915百万円(同46百万円減)となりました。
b.負債
流動負債につきましては、仕入債務の減少等により、6,569百万円(同138百万円減)となりました。
固定負債につきましては、長期借入金の返済等により、176百万円(同7百万円減)となりました。
c.純資産
剰余金の配当を136百万円実施した一方、四半期純利益655百万円の計上等から純資産は5,697百万円(同523
百万円増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
第54期事業年度(自2019年4月1日 至2020年3月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物は、3,644百万円(前年度末比275百万円増)となりました。
現金及び現金同等物の主な変動要因については、次のとおりであります。
a.営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益1,182百万円に対し、法人税等の支払額が326百万
円、売上債権の増加額が346百万円、支出を伴わない減価償却費の計上が670百万円あったことなどから、
1,318百万円の収入(前期比247百万円減)となりました。
b.投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、駅他周辺案内図その他広告媒体設備等の有形固定資産の取得による支出が679百万円、デジタルサイネージのソフトウェア等の無形固定資産の取得による支出が107百万円発生したことなどから、805百万円の支出(同52百万円増)となりました。
c.財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出が39百万円、配当金の支払額が194百
万円発生したことなどから、236百万円の支出(同1百万円増)となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
第54期事業年度及び第55期第3四半期累計期間における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとお
りであります。
セグメントの名称第54期事業年度
(自2019年4月1日
至2020年3月31日)
前年同期比(%)第55期第3四半期累計期間
(自2020年4月1日
至2020年12月31日)
ナビタ事業 (千円)8,461,520105.16,308,818
アド・プロモーション事業(千円)2,271,722105.81,369,772
サイン事業 (千円)2,332,158121.82,046,659
合計(千円)13,065,401107.89,725,250

(注)1.セグメント間の取引については該当事項はありません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合
が10%以上を占める相手先がいないため記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。こ
の財務諸表の作成に当たりまして、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積
りを行っております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しており
ますが、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響等につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
第54期事業年度(自2019年4月1日 至2020年3月31日)
(売上高)
当事業年度の売上高は13,065百万円(前期比7.8%増)となりました。これは、新型コロナウイルス感染拡大
の影響はほとんどなく、ナビタ事業、アド・プロモーション事業、サイン事業ともに堅調に推移し、特にサイン 事業において、東京メトロの駅工事等の大型工事により売上を大きく伸ばしたことによるものです。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は、7,276百万円(前期比9.8%増)となりました。これは、制作費、広告納金、外注
費、筺体償却費等が増加しましたが、特にサイン工事の増加により外注費が大きく増加したことによるもので
す。この結果、売上総利益は5,788百万円(前期比5.5%増)となりました
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、4,730百万円(前期比3.8%増)となりました。これは、主に人件費、旅費交通費の増加によるものです。この結果、営業利益は1,058百万円(前期比13.7%増)となりました
(経常利益)
当事業年度において、保険解約返戻金等で営業外収益が161百万円、営業外費用が15百万円発生しておりま
す。この結果、経常利益は1,204百万円(同6.6%増)となりました
(当期純利益)
当事業年度において、固定資産除却損18百万円を特別損失に計上したこと、所得拡大税制の適用がなかったこ
となどにより、当期純利益は807百万円(同1.8%減)となりました。
第55期第3四半期累計期間(自2020年4月1日 至2020年12月31日)
(売上高)
当第3四半期累計期間の売上高は9,725百万円となりました。これは、ナビタ事業の売上高は、新型コロナウ
イルス感染拡大の影響がなかった前年度に獲得した契約が大きく寄与したこと、サイン事業が東京メトロの駅工
事等の大型工事が相次いで完成したことに加え、「安心ガード」等の販売が寄与したことによるものです。
(売上原価、売上総利益)
当第3四半期累計期間の売上原価は5,392百万円となりました。これは、主にサイン事業における外注費が大
きく増加したことによるものです。この結果、売上総利益は4,332百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当第3四半期累計期間の販売費及び一般管理費は3,389百万円となりました。これは、主に人件費、旅費交
通費の減少によるものです。この結果、営業利益は943百万円となりました。
(経常利益)
当第3四半期累計期間において、営業外収益が52百万円、営業外費用が12百万円発生しております。この結
果、経常利益は983百万円となりました。
(四半期純利益)
当第3四半期累計期間において、固定資産除却損7百万円を特別損失に計上したことなどにより、四半期純利
益は655百万円となりました。
③財政状態の分析
当事業年度末の総資産は12,065百万円(前年度末比814百万円増)となりました。
資産、負債及び純資産の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載
のとおりであります。
④キャッシュ・フロー状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、3,644百万円(前年度末比275百万円増)となりました。
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」
に記載のとおりであります。
⑤当社の資本の財源及び資金の流動性について
a.資金需要
当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、広告納金、外注費、製造経費、販売費及び一般管理費
等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。また、株主還元に
については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。
b.財政政策
当社は、事業活動の維持拡大に必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針として
おります。運転資金及び投資を目的とした資金の調達につきましては、自己資金を基本としており、自己資金
で補うことができない場合は金融機関からの借入を基本としております。
⑥経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析
当社では売上高、営業利益を重要な経営指標として位置付けております。最近2事業年度及び第55期第3四
半期累計期間の推移は以下のとおりであります。
経営指標第53期事業年度
(自2018年4月1日
至2019年3月31日)
第54期事業年度
(自2019年4月1日
至2020年3月31日)
第55期第3四半期累計期間
(自2020年4月1日
至2020年12月31日)
売上高 (千円)12,116,17913,065,4019,725,250
営業利益(千円)931,0651,058,474943,899

今後も新規媒体の開発に取り組むことによって、売上高及び営業利益の増加を目指してまいります。
売上高、営業利益の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとお
りであります。売上高は、第53期事業年度においてデジタルサイネージを活用した広告媒体の増加により前期比
増収の12,116,179千円、第54期事業年度においてナビタ事業における新規・拡大契約の増加やサイン事業におけ
る大型工事の受注等が寄与し前期比増収の13,065,401千円となりました。また、第53期事業年度及び第54期事業
年度において営業利益は生産部門の効率化等により931,065千円及び1,058,474千円となりました。
⑦経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとお
り、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保、市場のニーズにあ
ったサービスの展開等により、当社の経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応
してまいります。