有価証券報告書-第22期(2025/03/01-2025/12/31)

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2026/03/30 10:11
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106項目

(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。当事業年度は決算期変更の経過期間に伴い、2025年3月1日から2025年12月31日までの10カ月決算となっております。このため、対前期増減率につきましては記載しておりません。
① 経営成績の状況
当事業年度(2025年3月1日~2025年12月31日)においては、パイプラインの着実な開発の進展と、社内・社外両方のソースによるパイプラインの拡大に取り組んでまいりました。当社のパイプラインの中で最も進展した臨床開発段階にあるTMS-007(JX10)については、CORXELにより、2025年5月にグローバル第Ⅱ相/第Ⅲ相臨床試験「ORION」(Optimizing Reperfusion to Improve Outcomes and Neurologic function)における最初の患者さんへの投与(FPI:First Patient In)が行われ、その後順調に被験者登録が進んでおります。日本国内においては、当社が同臨床試験の日本パートの依頼者として治験計画届出書を提出し、臨床研究データベースjRCT(Japan Registry of Clinical Trials)への登録を行いました。また同じく臨床開発段階にあるTMS-008については、第Ⅰ相臨床試験を完了し、次相臨床試験(前期第Ⅱ相臨床試験)のデザイン検討を進めました。
A.パイプラインの概況
ⅰ)TMS-007(JX10)関連の活動
急性期脳梗塞を適応症とするTMS-007(JX10)は、当社が前期第Ⅱ相臨床試験までの開発を行い、他のSMTP化合物ファミリーとともに導出した低分子化合物であり、現在はCORXELを主体として、グローバルで行う第Ⅱ相/第Ⅲ相臨床試験「ORION」が進められています。当社はTMS-007の日本における独占的な開発販売権と、日本を除く全世界における開発・販売に対するマイルストーン一時金及びロイヤリティを受領する権利を、CORXELから得ています。
TMS-007(JX10)は、プラスミノーゲンの立体構造変化を介した血栓溶解による血流再建と、可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)阻害を機序とする抗炎症作用に基づく虚血再灌流障害の抑制というメカニズムを持っており、単剤で「血流再建」と「虚血再灌流障害抑制」の双方の治療戦略に対応する薬剤候補です。そのため、t-PA等の薬剤及び薬剤候補物質に対する優位性を示す可能性があると考えています。
当社が日本国内で実施した前期第Ⅱ相臨床試験において、TMS-007(JX10)は良好な結果を収めております。現在、急性期脳梗塞治療薬として認可されている唯一の血栓溶解剤t-PAには、頭蓋内出血を助長する副作用のリスクがあることが知られております。かかるリスクを踏まえ、t-PAの使用は原則として発症後4.5時間以内に制限されています。これに対して、TMS-007の前期第Ⅱ相臨床試験においては、発症後12時間まで(TMS-007群の平均9.5時間)被験者を組み入れました。その結果、プラセボ群では米国国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)4以上の悪化を伴う症候性頭蓋内出血の発生頻度が2.6%(1/38)であったのに対して、TMS-007群では0%(0/52)であり、TMS-007の安全性が示唆されました。また有効性においても、生活自立度を評価するモディファイド・ランキン・スケール(mRS)のスコアのゼロ(全く症候がない)又は1(症候はあっても明らかな障害はない)への転帰率において、TMS-007はプラセボ群に対して統計的な有意差を伴う有効性を示しました。
当事業年度においては、CORXEL主導にて進めているグローバル第Ⅱ相/第Ⅲ相臨床試験「ORION」に参加してまいりました。ORION試験は、2025年5月に中国で最初の患者さんへの投与が実施されるとともに、米国の臨床試験データベースClinicalTrials.govへ試験の詳細が登録・公開されました。各国においても、当局への申請、及び投与に向け医療機関の準備が進められ、被験者登録は順調に進んでおります。日本パートにおいては、2025年4月に当社がPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)へ治験計画届出書を提出、同年8月に臨床研究データベースjRCT(Japan Registry of Clinical Trials)への登録を行い、投与に向けた準備を進めました。
また、TMS-007(JX10)の第Ⅰ相臨床試験の論文が、国際的な臨床薬理学ジャーナル「British Journal of Clinical Pharmacology」の2023年度の閲覧上位論文として、2025年4月にWiley社の「Top Viewed Article」に選定された他、2024年11月に米国心臓協会(AHA: American Heart Association)/米国脳卒中協会(ASA: American Stroke Association)の発行する学術雑誌「Stroke」に掲載された前期第Ⅱ相臨床試験結果の論文が、2025年5月に同学術雑誌の情報発信サイト「Blogging Stroke」に取り上げられました。
ⅱ)TMS-008関連の活動
急性腎障害及びがん悪液質を適応症と想定し開発を進めているTMS-008については、血栓溶解作用をほとんど持たず、sEH阻害による抗炎症作用を有するSMTP化合物です。炎症性疾患を標的として広範な適応症が期待できると考えられます。
当社は、CORXELよりTMS-008における特定の適応に関して、全世界における独占的な開発製造販売権の許諾を得ています。
当事業年度においては、健常人における第Ⅰ相臨床試験のデータ・リードアウトを2025年4月に行い、同年6月に治験総括報告書(CSR: Clinical Study Report)が完成し、第Ⅰ相臨床試験が無事終了しました。続いて、次相臨床試験(前期第Ⅱ相臨床試験)のデザイン検討を進めました。
ⅲ)JX09関連の活動
JX09は、治療抵抗性又はコントロール不良の高血圧患者さんの治療を適応とした、経口の低分子アルドステロン合成酵素阻害剤です。アルドステロン合成酵素阻害剤においては、アルドステロン合成酵素であるCYP11B2のみを選択的に阻害し、類似した構造を持つCYP11B1(コルチゾール合成酵素)を阻害しないことが重要と考えられていますが、JX09はCYP11B2に対する高い選択性を示しており、ベスト・イン・クラスの可能性があると考えられます。
JX09について、当社は、CORXELより日本における独占的な開発販売権を許諾されています。現在、CORXELによりオーストラリアにおいて第Ⅰ相臨床試験が実施されており、当社は、今後日本での臨床試験を実施することにより、グローバル治験の一翼を担う計画を検討しています。
ⅳ)TMS-010関連の活動
脊髄損傷を適応症とし、2022年7月に北海道大学とオプション契約を締結して評価を行ってきたシーズについて、2024年7月3日に同大学との間でライセンス契約を締結し、当社のパイプラインにTMS-010として追加いたしました。当社は当該ライセンス契約により全世界における独占的な開発製造販売権を取得しております。
脊髄損傷は、運動麻痺・感覚麻痺・排尿排便障害などに至ることがある重篤な疾患ですが、未だ効果的な薬剤がない状況にあります。北海道大学で見出された当該治療薬候補化合物は、血液脳脊髄関門(BBSCB:Blood-brain spinal cord barrier)の破綻を防ぐことで、脊髄の二次損傷を抑制する神経保護作用が期待できます。
当事業年度においては、当社は、臨床試験開始に必要な非臨床試験及びGMP製造レベルの製剤の検討と並行して、原薬供給元の選定を進めました。また、引き続き臨床試験計画の策定を進めております。
ⅴ)パイプラインの拡充に関連する活動
当社は、当事業年度において、社内プログラム及び社外プログラムの2つの軸において、パイプラインの拡充を図るための研究開発活動を積極的に推進いたしました。
社内プログラムにおいては、当社がこれまでSMTP化合物の研究開発によって培ったsEH阻害に関する知識と経験を活かし、AIを活用した化合物生成による阻害剤のデザインや天然物ライブラリーのスクリーニングを含む複数のアプローチを活用し、新たなsEH阻害剤の候補となる化合物の探索を行いました。その中から有望な候補化合物を取得し、当該化合物の薬理・薬効評価及び毒性試験を進めました。また、TMS-008の開発対象となる適応の追加についても検討を進めました。社外プログラムにおいては、アカデミア等の研究機関や創薬企業等の早期研究開発段階にあるプログラムの探索及び評価を継続いたしました。前述ⅳ)に記載のTMS-010の他に、同じく北海道大学と独占評価を進めていた生理活性脂質レゾルビンの新規安定類縁体を、2025年11月に導入いたしました。
B.体制強化
開発担当の取締役として、臨床開発担当シニア・ディレクターの横田尚久が就任いたしました。外資系製薬企業で研究開発の責任者としてグローバル臨床開発の豊富な経験を持つ横田の指揮により、臨床開発の迅速な進捗を図ってまいります。また、前事業年度に設立した事業開発部においては、当社アセットのビジネス化に向けた取り組みを推進いたしました。
以上の活動の結果、当事業年度における営業費用は、TMS-007及びTMS-008をはじめとする研究開発費として456,945千円、その他の販売費及び一般管理費として240,028千円となったことから、合計で696,973千円となりました。
これらの結果、当事業年度における営業損失は696,973千円、経常損失は、営業外費用として新株予約権発行費10,557千円を計上したため711,557千円、当期純損失は、特別損失として固定資産の減損損失3,709千円を計上したため716,058千円となりました。
なお、当社は医薬品開発事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の経営成績については記載を省略しております。
② 財政状態の概況
(資産)
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ166,991千円減少し、2,865,277千円となりました。
これは主に、新株予約権の権利行使があった一方で、研究開発費等の営業費用の支出があったことにより、現金及び預金が141,917千円減少したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ122,634千円減少し、94,146千円となりました。
これは主に、未払計上した前事業年度経費の支出により未払金が74,584千円、未払費用が31,336千円それぞれ減少したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べ44,356千円減少し、2,771,131千円となりました。
これは主に、新株予約権の権利行使があったことにより資本金及び資本準備金がそれぞれ329,735千円増加した一方で、当期純損失716,058千円を計上したことによるものであります。
なお、2025年7月に資本金702,327千円、資本準備金702,327千円をそれぞれ減少し、同額をその他資本剰余金に振り替えるとともに、当該その他資本剰余金1,404,655千円を繰越利益剰余金に振り替えて欠損填補に充当しております。
この結果、当事業年度末において資本金1,137,611千円、資本剰余金2,313,754千円、利益剰余金△716,058千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度におきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、主に、TMS-007及びTMS-008の開発をはじめとする研究開発投資をおこなったことで、税引前当期純損失を715,267千円計上したこと等により779,890千円の支出(前事業年度は493,756千円の支出)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、重要な設備投資は行っておりませんが、有形固定資産の取得による支出により2,544千円の支出(前事業年度は30,843千円の支出)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、新株予約権の行使により640,516千円の収入(前期は919千円の収入)となりました。
これらの結果、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末に比べ141,917千円減少し、2,781,032千円となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
該当事項はありません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態に関する認識及び分析
当事業年度末における資産合計は2,865,277千円(前事業年度末比5.5%減)となりました。前事業年度末からの主な変動要因は、新株予約権の権利行使があった一方で、研究開発費等の営業費用の支出があったことにより、現金及び預金が141,917千円減少したことによるものであります。また、負債合計は94,146千円(同56.6%減)、純資産合計は2,771,131千円(同1.6%減)となりました。前事業年度末からの主な変動要因は、未払計上した前事業年度経費の支出により未払金が74,584千円、未払費用が31,336千円それぞれ減少したこと、及び新株予約権の権利行使があったことにより資本金及び資本準備金がそれぞれ329,735千円増加した一方で、当期純損失716,058千円を計上したことに伴い利益剰余金が減少したことによるものであります。
b.経営成績に関する認識及び分析
・営業収益、営業費用、営業損益
当事業年度の営業費用は、TMS-008の開発費用をはじめとする研究開発費として456,945千円、その他販売費及び一般管理費として240,028千円となったことから、合計で696,973千円となりました。その結果、営業損失は696,973千円となりました。
・営業外収益、営業外費用、経常損益
営業外損益は、主に、新株予約権発行費計上により、営業外費用は14,610千円となりました。その結果、経常損失は711,557千円となりました。
・特別損益、法人税等、当期純損益
特別損益は、固定資産の減損損失の計上により特別損失は3,709千円となりました。その結果当期純損失は716,058千円となりました。
c.財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因
当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社は、創薬等のコンセプトやシーズの研究費及びパイプラインの製品化に向けた開発費及び会社運営のための管理費用について資金需要を有しております。当社は、それらの運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は増資により資金調達しております。当事業年度末における現金及び現金同等物は2,781,032千円と当面の事業運営に問題のない資金水準となっており、流動性に支障はないものと考えております。
③ 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績や現状等を勘案し合理的に見積り、計上しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
④ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載しております。

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