有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2022/10/18 15:00
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【項目】
127項目

(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
第18期事業年度(自 2021年3月1日 至 2022年2月28日)
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な影響が続くなか、ワクチン接種の進捗により、徐々に経済活動の正常化が進められ、持ち直しに向けた動きがみられました。しかしながら、世界的な半導体不足や資源価格の高騰、ロシアのウクライナ侵攻による地政学的リスクの高まりにより、景気動向の変動に注視していく必要があり、先行き不透明な状況となっております。
このような状況下、当社は従来にないメカニズムに基づく独自の医薬品を開発して上市につなげることを目指し、積極的に事業活動を推進いたしました。
a.TMS-007関連の活動
リード開発品であるTMS-007については、2021年5月に急性期脳梗塞を適応症とする前期第Ⅱ相臨床試験において安全性と有効性が確認され、治験総括報告書(CSR)作成を完了しました。なお、同臨床試験の結果を受け、2018年6月にバイオジェン社との間で締結したオプション契約に基づきバイオジェン社がオプション権を行使したことにより、以降の開発は同社にて行われることとなり、当社は一時金を受領しました。今後は、バイオジェン社による開発及び製品化にともない、当社はさらに最大3億3,500万ドルの一時金を受領する可能性があり、また上市された場合には、バイオジェン社の当製品の純売上高に対して一桁%台後半~10%台前半(売上高に応じて変動)のロイヤリティを一定期間受領することができます。なお、バイオジェン社における次相臨床試験等のために、当社では継続的に協力を行っております。
b.TMS-008関連の活動
後続パイプラインのTMS-008については、急性腎障害、及びがん悪液質への適応症を想定し、開発を進めています。CMC(Chemical, Manufacturing, and Control)面において、原薬製造に続いて製剤製造の検討に入り、GLP毒性試験の継続実施とともに、早期の臨床試験入りを目指し開発を推進いたしました。また、更に新たな適応症候補についても検討を進めております。
c.他の研究開発関連の活動
TMS-009については、TMS-008のバックアップとして位置づけております。また、SMTP化合物以外のパイプラインについては、当該研究開発によって培われたノウハウを活用することで新たな化合物の探索を進めると共に、外部アセットの導入についても具体的な検討を開始いたしました。
以上の活動の結果、当事業年度における営業収益は、バイオジェン社がTMS-007の導出に関するオプション権を行使したことに伴い1,946,520千円(前事業年度は発生しておりません。)を計上し、営業費用は、TMS-007及びTMS-008の開発費用をはじめとする研究開発費として304,275千円、その他の販売費及び一般管理費は、オプション権行使に伴う特許実施料等の計上により506,609千円となったことから、合計では810,884千円(前事業年度比12.4%増)となりました。これらの結果、営業利益は1,135,635千円(前事業年度は営業損失721,156千円)、経常利益は1,079,304千円(前事業年度は経常損失720,362千円)、当期純利益は1,076,859千円(前事業年度は当期純損失722,932千円)となりました。
なお、当社は医薬品開発事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の業績については記載を省略しております。
第19期第2四半期累計期間(自 2022年3月1日 至 2022年8月31日)
当第2四半期累計期間におけるわが国経済は、経済活動の正常化が進むなか、緩やかな回復基調で推移したものの、長期化するロシア・ウクライナ情勢を背景とした資源・エネルギー価格の高騰による物価上昇や、日米の金利差拡大による急激な円安ドル高の進行などにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような状況の下、当第2四半期累計期間において、当社は従来にないメカニズムに基づく独自の医薬品を開発して上市につなげることを目指し、積極的に事業活動を推進いたしました。
a.TMS-007関連の活動
2021年5月にバイオジェン社へ導出した急性期脳梗塞を適応症とするTMS-007については、次相臨床試験に向けて同社において開発が進められております。当社においては側面的な協力を継続しております。
b.TMS-008関連の活動
急性腎障害、及びがん悪液質を適応症と想定したTMS-008の開発については、CMC(Chemical, Manufacturing, and Control)面において、原薬製造に続いて製剤製造の検討に入り、GLP毒性試験用の製剤製造を完了し、実機試作用の原薬製造に入りました。引き続きGLP毒性試験を実施するとともに、外部機関を活用した初期開発戦略についての検討を開始いたしました。また、新たな適応症候補についても継続検討を行いました。
c.他の研究開発関連の活動
TMS-009については、TMS-008のバックアップとして位置づけております。また、SMTP化合物以外のパイプラインについては、当該研究開発によって培われたノウハウを活用することで新たな化合物の探索を進めました。また、外部アセットの導入についても具体的な検討を進めました。
以上の活動の結果、当第2四半期累計期間における営業費用は、TMS-008の開発費をはじめとする研究開発費として151,548千円、その他の販売費及び一般管理費として116,964千円となったことから、合計では268,513千円となりました。
これらの結果、営業損失は268,513千円、経常損失は株式公開費用を営業外費用として199,943千円計上したことにより469,091千円、四半期純損失は468,070千円となりました。
なお、当社は医薬品開発事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の業績については記載を省略しております。
② 財政状態の概況
第18期事業年度(自 2021年3月1日 至 2022年2月28日)
(資産)
当事業年度末における流動資産は2,722,891千円と、前事業年度末に比べ1,510,275千円増加いたしました。これは主に、バイオジェン社のオプション権行使に伴う収入により現金及び預金が1,491,310千円増加したこと、及び未収消費税等が8,483千円増加したことによるものであります。固定資産は16,890千円となり、前事業年度末に比べ16,232千円増加しました。これは主に投資その他の資産が8,081千円増加したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末における流動負債は285,284千円と、前事業年度末に比べ198,903千円増加いたしました。これは主に、支払ロイヤリティ等及び株式公開費用の計上により未払金が159,770千円、未払費用が49,253千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は2,453,001千円と、前事業年度末に比べ1,326,109千円増加いたしました。これは新株予約権の行使(249,250千円)により新株を発行したこと及び当期純利益を1,076,859千円計上したことによるものであります。
第19期第2四半期累計期間(自 2022年3月1日 至 2022年8月31日)
(資産)
当第2四半期会計期間末の資産合計は、前事業年度末に比べ662,047千円減少し、2,077,734千円となりました。これは主に、営業費用及び株式公開費用の支出により現金及び預金が604,517千円減少したこと、及び未収消費税等が68,587千円減少したことによるものであります。
(負債)
当第2四半期会計期間末の負債合計は、前事業年度末に比べ193,976千円減少し、92,803千円となりました。
これは主に、支払ロイヤリティ等及び株式公開費用の支払いにより未払金が162,508千円、未払費用が31,839千
円それぞれ減少したことによるものであります。
(純資産)
当第2四半期会計期間末の純資産は、前事業年度末に比べ468,070千円減少し、1,984,931千円となりました。
これは、四半期純損失468,070千円を計上したことに伴う利益剰余金の減少によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
第18期事業年度(自 2021年3月1日 至 2022年2月28日)
当事業年度におきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、バイオジェン社がTMS-007の導出に関するオプション権を行使したことで、税引前当期純利益を1,079,304千円計上したこと等により1,261,786千円の収入(前期は737,808千円の支出)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、重要な設備投資は行っておりませんが、有形固定資産、無形固定資産の取得による支出及び敷金及び保証金の支出により16,958千円の支出(前期は499千円の支出)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、新株予約権の行使に伴う新株の発行による収入により246,482千円の収入(前期は1,101,162千円の収入)となりました。
これらの結果、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末に比べ1,491,310千円増加し、2,598,002千円となりました。
第19期第2四半期累計期間(自 2022年3月1日 至 2022年8月31日)
当第2四半期累計期間におきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、TMS-008の開発をはじめとする研究開発投資を積極的におこない、税引前四半期純損失を469,091千円計上したこと等により364,367千円の支出となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、重要な設備投資は行っておりませんが、有形固定資産の取得による支出により6,835千円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、株式公開費用の支出により233,314千円の支出となりました。
これらの結果、当第2四半期累計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末に比べ604,517千円減少し、1,993,484千円となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績を示すと、次のとおりであります。なお、当社は医薬品開発事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
セグメントの名称当事業年度
(自 2021年3月1日
至 2022年2月28日)
前年同期比(%)
医薬品開発事業(千円)1,946,520-
合計(千円)1,946,520-

(注)1.最近2事業年度及び当第2四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前事業年度
(自 2020年3月1日
至 2021年2月28日)
当事業年度
(自 2021年3月1日
至 2022年2月28日)
第19期第2四半期累計期間
(自 2022年3月1日
至 2022年8月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
バイオジェン社--1,946,520100.0--

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態に関する認識及び分析
第18期事業年度(自 2021年3月1日 至 2022年2月28日)
当事業年度末における資産合計は2,739,781千円(前事業年度末比125.8%増)となりました。前事業年度末からの主な変動要因は、バイオジェン社のオプション権行使に伴う収入による現金及び預金の増加であります。
また、負債合計は286,780千円(同232.0%増)、純資産合計は2,453,001千円(同117.7%増)となりました。前事業年度末からの主な変動要因は、支払ロイヤリティ等及び株式公開費用の計上による未払金及び未払費用の増加、新株予約権の行使による新株発行及び当期純利益の計上による純資産の増加であります。
第19期第2四半期累計期間(自 2022年3月1日 至 2022年8月31日)
財政状態に関する認識及び分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の概要」に記載
のとおりです。
b.経営成績に関する認識及び分析
第18期事業年度(自 2021年3月1日 至 2022年2月28日)
・営業収益、営業費用、営業損益
営業収益は、バイオジェン社がTMS-007の導出に関するオプション権を行使したことに伴い1,946,520千円(前事業年度は発生しておりません。)を計上しております。
当事業年度の営業費用は、TMS-007及びTMS-008の開発費用をはじめとする研究開発費の他、オプション権行使に伴う特許実施料等が発生した結果、810,884千円(前事業年度比12.4%増)となりました。その結果、営業利益は1,135,635千円(前事業年度は営業損失721,156千円)となりました。
・営業外収益、営業外費用、経常損益
営業外損益は、主に、為替差益の発生により、営業外収益は38,819千円(前事業年度比4,785.7%増)、株式公開費用の計上により、営業外費用は95,150千円(前事業年度は発生しておりません。)となりました。その結果、経常利益は1,079,304千円(前事業年度は経常損失720,362千円)となりました。
・特別損益、法人税等、当期純損益
当期純利益は1,076,859千円(前事業年度は当期純損失722,932千円)となりました。
第19期第2四半期累計期間(自 2022年3月1日 至 2022年8月31日)
・営業収益、営業費用、営業損益
当第2四半期累計期間における営業費用は、TMS-008の開発費をはじめとする研究開発費として151,548千円、その他の販売費及び一般管理費として116,964千円となったことから、合計では268,513千円となりました。その結果、営業損失は268,513千円となりました。
・営業外収益、営業外費用、経常損益
営業外収益は、主に、株式公開費用の計上により営業外費用は200,667千円となりました。その結果、経常損失は469,091千円となりました。
・特別損益、法人税等、当期純損益
四半期純損失は468,070千円となりました。
c.財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因
当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当社は、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は増資により資金調達しております。
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社は、創薬等のコンセプトやシーズの研究費及びパイプラインの製品化に向けた営業開発費及び会社運営のための管理費用について資金需要を有しております。当社は、第三者割当増資により調達を行った手許資金により事業用費用に充当してまいりましたが、2021年5月にバイオジェン社のオプション行使による営業収益を確保したことで流動性に支障はないものと考えております。今後はTMS-007と同じSMTP化合物ファミリーであるTMS-008の開発やSMTP化合物ファミリー以外の新規パイプラインを獲得することを目指しており、新規上場に伴う第三者割当増資などによる財務基盤の増強が必要であると認識しております。
なお、現状の現金水準については、上記バイオジェン社のオプション行使による営業収益を確保したことから、当面の事業には問題のない水準であります。
③ 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績や現状等を勘案し合理的に見積り、計上しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
④ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しております。