有価証券届出書(新規公開時)

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2022/05/23 15:00
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128項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)人材の確保について
当社が今後事業をさらに拡大し、成長を続けていくためには優秀な人材の確保が重要課題となっております。内閣府の令和3年版高齢社会白書によると、2020年に65歳以上人口の日本の総人口に占める割合は28.8%となりました。年々増加傾向にあり、2065年には国民の4人に1人が75歳以上になると予測されています。介護事業においては、介護士、看護師、理学療法士など専門職の確保が必須ですが、医療・介護業界での慢性的な人材不足と今後益々の介護業界へのニーズの高まりで、求人競争激化の環境は予断を許さない状況であります。このような状況の下、当社では、人材採用に関する専門部署を設置し、求人サイトやメディアを利用しておりますが、これを漫然と利用し続けることを避け、常に効果を検証しながら積極的かつ戦略的な採用活動を実施するほか、福利厚生制度の整備や柔軟な働き方を認めるなど、従業員の労働環境に配慮し、働きやすい環境づくりに取り組んでおります。
しかしながら、こうした人材の確保が計画どおりに進まなかった場合、又は育成が計画どおりに進まず、あるいは重要な人材が社外に流出した場合には、既存施設ではサービス提供の規模縮小、新規施設ではオープン時期の順延等により、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じ、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)コンプライアンスに関するリスク
当社は、法令遵守及び企業倫理に基づき誠実に行動することを経営上の最重要課題としております。事業に直接関係する法令のみならず、近年、SNSによるトラブルが問題になるなど、企業が求められる企業倫理は多岐に渡ります。そのため、社会的責任のある企業として遵守すべき法令全般につき、当社の全役職員が法令等・倫理に基づいた行動をとるよう、コンプライアンス研修の継続的な取り組みを実施しており、日常的にコンプライアンス意識と行動の徹底を図っております。また、内部通報制度を整備運用して内部の不正を抑止するよう努めております。しかしながら、コンプライアンス上の問題に直面した場合には、法令による処罰・訴訟の提起・社会的信頼の失墜等により、当社の業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
(3)新規施設の開設について
当社は事業の拡大のため、新規施設の開設を推進しております。新規開設機会を逃さないよう常に情報収集に努め、必要に応じて、迅速な経営判断が下せるよう、代表取締役社長を含めた経営陣は緊密な連携をとることとしております。また、新規施設の開設にあたっては、各種調査を実施し、十分な検討時間を設けて様々な角度から事業計画及び採算性等を十分に検討した上で実施しております。
しかしながら、希望する立地に物件を確保できない場合やプロジェクトに遅延が発生した場合、また、事業計画と実績に大幅な乖離が生じた場合は、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)高齢者介護における安全管理及び健康管理について
当社が介護サービスを提供しているのは、主に要介護認定を受けた介護度の高い高齢者であり、介護事故、転倒事故、食中毒、食物誤嚥事故、感染症の集団発生、また高齢者の特性に起因する事故等が発生する可能性があり、利用者の命に係わる重大な事故に発展する可能性もあります。これらにより、当社側の過失責任や管理責任が問われた場合には、損害賠償の支払い等により、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに関する顕在化の可能性は一定程度あると認識しておりますが、各種スキルアップ研修の提供や介護マニュアル、業務手順書等の整備等により社員教育を徹底しているほか、日常のサービス提供におけるヒヤリハット事例を共有することで、未然の事故防止に努めており、当該リスクの顕在化の抑制に最大限努めております。
(5)介護保険制度について
当社は介護保険法に基づく介護保険制度のもと、介護事業を営んでおり、同法及び関連諸法令の規制を受けております。介護保険制度については、3年毎に制度の見直し及び介護報酬の改定が行われており、市町村介護保険事業計画の策定も3年毎に行われております。また、6年毎の健康保険制度との同時改定のタイミングにおいて社会保障制度及び医療介護福祉政策の方向性が示されております。そのため、当社事業を推進するにあたり、定期的な制度の見直し等により当社にとって不利な改正がなされた場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、介護保険制度は、介護を社会全体で支えることを目的として、2000年から定期的に経済情勢、人口動態、サービスの需給状況等を総合的に勘案し、制度の見直しや介護報酬の改定が実施されていますが、これまでの改定状況から勘案しても、当該改定に伴い当社の事業がただちに大きな影響を受ける可能性は低いと考えております。しかしながら、介護保険制度の目的や方針等に大きな変更があった場合や同制度が廃止された場合は、当社事業に及ぼす影響は大きく、現時点で影響度合いを推測することは出来ませんが、事前に政府での検討状況等について情報収集を行い、必要な対応策を実行することとしております。
(6)法的規制について
当社は介護保険法に基づく介護サービスの提供にあたり、事業所ごとに指定業者として指定を受けており、同指定を取得するにあたり、厚生労働省令「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(1999年3月31日厚生省令第37号)及び各自治体条例介護保険法で定める基準を満たしております。
該当する根拠法で許認可取消事由がそれぞれ定められておりますが、主な内容は以下のとおりであります。
・不正請求 …実体のないサービス提供に対する請求、実体のない加算請求
・人員基準違反…人員不足での運営、無資格者によるサービス提供、実在しないスタッフによる記録作成、勤務時間の虚偽
・運営基準違反…記録の未整備、計画未作成、重要事項や計画の説明未実施
・虚偽報告 …自治体への届出や報告、実地指導対応における事実とは違う書類提出や答弁
なお、当社では当該基準を常に満たすために人材の育成、教育、採用を強化しているほか、当社が運営する各施設の管理者が緊密に連携を取れるよう連絡体制を整備しており、基準の遵守を徹底しております。加えて、内部監査室の監査による確認の実施のほか、情報収集に努め、基準の変更等にも迅速に対応しているため、本書提出日現在、事業運営の継続に支障を来すような状況は生じておりません。しかしながら、これらの基準を遵守できなかった場合や不正請求が認められた場合には、指定の取消し等の処分を受けるおそれがあります。一事業所でも指定取消を受けた場合、法人が指定の欠格事由に該当し、指定取消から5年間は新たに指定を受けることができず、また指定の更新も受けることができなくなります。その場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
各サービスと根拠法等、主な指定・登録取消事由
① 訪問系サービス
サービス名根拠法等主な許認可取消事由
訪問看護
介護予防訪問看護
・介護保険法(厚生労働省)
指定の有効期間は6年間で、以後6年毎の更新が必要。
都道府県、政令指定都市及び中核市が事業の指定権者となる。
・健康保険法(厚生労働省)
介護保険法に基づく指定を受けた際には、健康保険法の指定があったとみなされるため、有効期間は介護保険法に基づく指定の有効期間に準じる。
地方厚生局が事業の指定権者となる。
・訪問看護
介護保険法第77条
(指定の取消し等)
・介護予防訪問看護
介護保険法第115条の9
(指定の取消し等)
訪問介護
居宅介護支援
・介護保険法(厚生労働省)
指定の有効期間は6年間で、以後6年毎の更新が必要。
都道府県、政令指定都市及び中核市が事業の指定権者となる。なお、居宅介護支援については、2018年4月以降の指定権者は市区町村となっている。
・訪問介護
介護保険法第77条
(指定の取消し等)
・居宅介護支援
介護保険法第84条
(指定の取消し等)
介護予防・日常生活支援総合事業・介護保険法(厚生労働省)
指定の有効期間は6年間で、以後6年毎の更新が必要。
市町村が事業の指定権者になる。
介護保険法第115条の45の9
(指定権者の指定の取消し等)
居宅介護
重度訪問介護
・障害者総合支援法(厚生労働省)
指定の有効期間は6年間で、以後6年毎の更新が必要。
都道府県、政令指定都市及び中核市が事業の指定権者となる。
障害者総合支援法第50条
(指定の取消し等)

② 通所系サービス
サービス名根拠法等主な許認可取消事由
通所介護・介護保険法(厚生労働省)
指定の有効期間は6年間で、以後6年毎の更新が必要。
都道府県、政令指定都市及び中核市が事業の指定権者となる。
・通所介護
介護保険法第77条
(指定の取消し等)
地域密着型通所介護
認知症対応型通所介護
・介護保険法(厚生労働省)
指定の有効期間は6年間で、以後6年毎の更新が必要。
市町村が事業の指定権者となる。
・地域密着型通所介護
・認知症対応型通所介護
介護保険法第78条の10
(指定の取消し等)

③ 入所系サービス
サービス名根拠法等主な許認可取消事由
認知症対応型共同生活介護
(グループホーム)
・介護保険法(厚生労働省)
指定の有効期間は6年間で、以後6年毎の更新が必要。
市町村が事業の指定権者となる。
・認知症対応型共同生活介護
介護保険法第78条の10
(指定の取消し等)
住宅型有料老人ホーム・老人福祉法(厚生労働省)
届出制であり、届出後の有効期間の設定はない。都道府県、政令指定都市及び中核市が届出先となる。
老人福祉法第29条第14項
(届出等)※事業の制限又は停止に関する定めあり。
サービス付き高齢者向け住宅高齢者住まい法(国土交通省)
登録制であり登録の有効期間は5年で、以降5年毎に更新が必要。
都道府県、政令指定都市及び中核市が登録先となる。
高齢者住まい法第26条
(登録の取り消し)

(7)感染症について
当社事業所では、換気・手洗い・手指消毒の励行等をはじめ、フェイスシールド、N95マスク、ガウンテクニックの正しい着用方法の研修を行う等、日常的に感染対策に取り組んでおります。しかしながら、昨今、世界中で感染拡大が続く新型コロナウイルスは感染力が強く、利用者や職員間でクラスターが発生する可能性があります。クラスターが発生した事業所では一定期間、クラスターが収束するまでの期間、売上が減少する可能性があります。当社では、現在までにクラスターの発生による利用者の新規入居一時停止や職員の出勤停止によるサービス提供の縮小を要因とする売上の減少がありましたが、陽性者の迅速な検出や隔離徹底により早期収束に努めたことでその影響は軽微であります。
新型インフルエンザやコロナウイルス等の感染症が想定を大きく上回る規模で発生及び流行し、当該地域の事業所の稼働が長期にわたり困難になった場合には、事業活動に支障が生じ、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)虐待等の防止への取組とリスクについて
当社は、老人福祉法及び介護保険法に規定する「養介護施設」又は「養介護事業」に該当し、これらの養介護施設又は養介護事業で働く当社の職員は、高齢者虐待防止法に定める「養介護施設従事者等」に該当します。高齢者虐待防止法では、養介護施設従事者等による身体的虐待、介護・世話の放棄・放任等の高齢者虐待の防止に関する取り組みを求められており、当社は役職員を対象とした研修やマニュアルの整備等により、いかなる虐待も防止するように努めております。しかしながら、虐待や不適切な身体拘束が発生した場合には、法令による処罰・訴訟の提起・社会的信頼の失墜等により、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(9)大規模な自然災害について
当社が保有する施設が所在する地域において大規模な地震、風水害等の自然災害、事故、火災等によって人的・物的被害を受けた場合、当該地域の事業所の稼働が長期にわたり困難になった場合には、事業活動に支障が生じ、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当該リスクの発生時期等は予測することができませんが、常に当該リスクが顕在化する可能性はあると認識しております。そのため、当社では各種保険制度への加入はもちろんのこと、避難訓練、災害時の連絡手段の確立、飲食物の備蓄等を行うなど、自然災害等の発生による被害を最小限に抑えるための対策を実施しております。
(10)内部管理体制のリスク
当社では、企業価値の持続的な増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要であると認識しております。その認識のもと、内部管理体制の一層の充実を図るべく、内部通報制度の運用や内部監査の実施、情報セキュリティ体制の構築等により、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでおりますが、急速な事業拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)特定人物への依存について
当社の代表取締役社長である苗代亮達は当社の創業者であり、設立以来、最高経営責任者として経営方針や経営戦略等、当社の事業活動全般において重要な役割を果たしております。特定の人物に依存しない体制の構築を目指しておりますが、現在においても同氏の影響力は大きなものとなっております。そのため、同氏が退任、その他の理由により当社の経営から退くような事態が発生した場合は、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)競合他社の出現について
当社が、全国展開を図っている主力の「PDハウス」は、一般的な介護施設では提供できないパーキンソン病を患った方への専門的なリハビリサービスの提供を他社との差別化要因の一つとしております。
当該事業の遂行に必要な特許等は存在しないため、当社のビジネスモデルを模倣し、同様のサービス提供する競合他社が現れる可能性があります。現在、当社では、大学、研究機関との共同研究(ICT制御に基づく在宅医療開発講座、ホログラムを使った3次元遠隔診療システムの実証実験、VR(仮想現実)を活用したリハビリテーションの効果検証)を実施し、新たなサービスの開発に努めておりますが、競合他社の新規参入等による競合環境が激化した場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)情報管理について
当社は、事業を行う上で入手した顧客に関する様々な個人情報を保有しております。
情報管理については、従業員との情報管理に関する誓約書の締結、社内規程の整備及び社員教育の徹底等、管理体制の強化に努めることで内部からの情報流出を抑止しており、インターネットセキュリティの強化及び事業所の防犯対策等の実施により外部者の不正な情報取得を防ぐなど、可能な限りの対策を取ることとしており、情報漏えいリスクの顕在化については、限りなく低いと考えております。しかしながら、これらの情報が外部に漏えいした場合、当社に対する信用失墜や損害賠償請求等によって当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14)信用・評判について
介護事業においては利用者、そのご家族及び関係者の方々からの信頼の下、サービスを提供しております。施設での不適切な運営や不正請求、職員の不祥事等により、当社及び当社が提供するサービスについて信用を失った場合、または評価が低下した場合は、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対して当社は、経営理念、ミッション及び行動指針を定め、役職員に周知徹底しているほか、利用者の方が気持ちよく施設を利用できるよう様々な研修プログラムを役職員に対し提供し、高品質なサービス提供を通じて、利用者様等からの信頼の獲得に日々励んでおります。
(15)減損会計について
当社は、キャッシュ・フローを生み出す最小単位として、主に施設を基本単位としてグルーピングしております。介護施設の新規開設後の実績が計画どおりであるかを経営会議においてモニタリングし、減損に関するリスクの低減に努めております。しかしながら、外部環境の著しい変化等により、施設収益が悪化し、施設における営業活動から生ずる損益が継続してマイナスとなった場合には、固定資産について減損損失を計上することとなり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)調達資金の使途について
当社の公募による調達資金の使途については、新設施設の設備資金等に充当する予定であります。しかしながら、当社を取り巻く外部環境や経営環境の変化に対応するため、調達資金を予定以外の使途に充当する可能性があります。また、資金使途の効果が、当社の想定と異なった場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17)訴訟等の可能性について
当社は、サービスの提供にあたって法令遵守の徹底及び顧客や取引先とのトラブル回避に努めており、現時点において業績及び財政状態に影響を及ぼす訴訟が提起されている事実はありませんが、今後予期せぬ事象の発生により、訴訟その他の請求が発生した場合、これらの訴訟等の内容及び結果によっては、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクについては、現時点で顕在化のリスク及び影響を予測することはできませんが、研修等を通じて役職員のコンプライアンス意識を高めるほか、顧客及び取引先等と日頃から良好な関係の構築に努めることが、当該リスク顕在化の抑制につながると考えております。
(18)地域との関係について
介護・医療サービスの提供という事業性から、事業の収益性に課題が生じた場合においても、撤退時の利用者の行き先確保、賃貸借契約上の制約、医療機関や行政機関との関係性の維持等から即時撤退を行うことが困難な場合があり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(19)長期賃貸借契約について
当社が運営する施設の中には、長期賃貸借契約に基づいているものがあり、一定期間は事業撤退の制約が課せられます。これに反した場合は中途解約による違約金等の支払いが生じる可能性があります。
また、契約期間満了後において契約更新が難しい場合がありますが、その場合は計画的に新たな移転先を決める事としており、当該リスクが顕在化する可能性は限りなく低いと考えております。
(20)資金の流動性について
当社は、施設の開設等に充当するための資金を、金融機関等から調達しております。国内外の金融市場の混乱や金融規制の変更、当社への金融機関の融資方針の変更など調達環境に大きな変化が生じた場合には、資金調達の制約や調達コストの増加などにより、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクについては、資金調達を行う際に、資金需要の見通しに基づき、手元流動性の確保に努めるほか、固定金利での調達やデリバティブ取引等も選択肢として検討し、資金調達時点において、最適な調達方法を検討しており、リスクの低減に努めております。
(21)有利子負債に関するリスク
当社では、運転資金及び新規出店の設備投資資金を金融機関からの借入金で調達しており、2022年3月期第3四半期末の有利子負債残高は6,576百万円、有利子負債自己資本比率は990.4%となっております。今後、新規施設の開設に伴い有利子負債依存度が相対的に高い水準で推移していくことが予想されますが、収益性の向上を図ることによって拡大する内部留保資金を設備投資に充当することで、有利子負債の上昇を可能な限り抑えていく方針であります。しかしながら、現行の金利水準が変動した場合や計画どおりの資金調達ができなかった場合、また、新規出店のための開設資金を借入金で調達した場合には、当社の業績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
(22)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、当社の役員、従業員に対するインセンティブを目的として、ストック・オプションによる新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が行使された場合、既存株主が有する株式の価値及び議決権割合が一定程度希薄化する可能性があります。また、今後も優秀な人材確保のために同様のインセンティブプランを継続して実施する可能性があります。さらに、新株予約権の行使により取得した株式が市場で売却された場合は、需給バランスに変動を生じ、適正な株価形成に影響を及ぼす可能性があります。なお、本書提出日現在これらの新株予約権による潜在株式数は220,000株であり、発行済株式総数(自己株式を除く)7,740,000株の2.8%に相当しております。
(23)大株主との関係について
当社の代表取締役社長である苗代亮達は、当社の大株主であり、直接保有並びに同氏が支配株主である株式会社杏での間接保有を含めると、本書提出日現在で発行済株式総数の100%を保有しております。本売出によって保有株式の一部を売却する予定でありますが、引き続き大株主となる見込みです。今後も安定株主として中長期的に一定の議決権比率を維持する一方で、議決権の行使にあたっては、株主共同の利益を追求すると共に、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。しかしながら、何らかの事情により、大株主である同氏の株式が減少した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。