有価証券届出書(新規公開時)

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2022/05/20 15:00
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(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
① 経営成績の状況
第15期事業年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当事業年度における我が国経済は、国内外における新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年4月7日に東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象に最初の緊急事態宣言が発令され、その後、解除・再発令及び延長が繰り替えされ、景気は極めて厳しい状況で推移いたしました。先行きにつきましても、断続的な緊急事態宣言の発令により依然として予断を許さない状況となっております。
当社が属する健康診断・人間ドックの市場においては、これまでは、生産年齢人口の減少、特定健診の受診率向上などの要因から市場は横ばいまたは微増傾向で推移してまいりましたが、当事業年度は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う受診控えや、健診業務の一時休止・延期による受診者数の減少から市場は縮小しました。
当社におきましては、ネットワーク健診事業では、最初の緊急事態宣言発令下の第1四半期において、健康診断のキャンセル等受診控えや医療機関の健診受入れ停止・延期等により健康診断受診数が計画よりも減少いたしましたが、予約・受診早期化の諸施策実行により、緊急宣言解除後は予約・受診件数も前年同期を上回る水準まで回復いたしました。
健康管理クラウド事業では、ヘルスサポートシステムの導入見送り、利用開始の延期等が発生いたしましたが、一方で、健康経営の実践や働き方改革を重視され、緊急事態宣言下でのテレワーク導入に伴い、新規利用開始される企業からの受注が拡大いたしました。
医療機関等支援事業は、主要なサービスであるPET関連事業が地域中核病院にあるPET検査用の施設及び設備の賃貸借のため、新型コロナウイルス感染症の影響はなく、事業は堅調に推移いたしました。
このような経済状況の下、当社は、2019年2月に策定した「中期経営計画2022」(2020~2022年度)に基づき、既存事業であるネットワーク健診事業及び健康管理クラウド事業における新規顧客の開拓や既存顧客との取引深耕に取組みながら、コーポレートウェルネス領域におけるクラウド・SaaS事業型へのビジネスモデル転換を並行して進めております。
以上の結果、当事業年度の売上高は8,302百万円(前年同期比9.4%増)、営業利益は533百万円(前年同期比14.6%増)、経常利益は542百万円(前年同期比16.6%増)、当期純利益は371百万円(前年同期比23.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は以下の通りです。
(ネットワーク健診事業)
当事業におきましては、2020年4月の緊急事態宣言の発令による健診受診者の予約遅延や医療機関の健診受入れ停止等の影響も一部ありましたが、予約・受診早期化の諸施策実行により、緊急事態宣言解除後は予約・受診件数も前年同期を上回る水準まで回復いたしました。
また、当事業年度は、人材の採用や広告宣伝の強化、また、移転に伴う家賃等で全社的に販売費及び一般管理費が増加した影響でネットワーク健診事業への費用配賦が増加し、結果、当事業の売上高は7,510百万円(前年同期比9.0%増)、営業利益は162百万円(前年同期比35.9%減)となりました。
(健康管理クラウド事業)
当事業におきましては、導入見送り等が一部発生したものの、健康経営の実践や働き方改革が一層重視される傾向の中、従業員の健康管理体制を強化したい新規顧客企業からの受注が拡大いたしました。当事業年度における新規利用開始の契約企業グループは19社あり、累計ID数は644,500IDとなりました。
結果、当事業の売上高は527百万円(前年同期比14.9%増)、営業利益は275百万円(前年同期比119.6%増)となりました。
(医療機関等支援事業)
当事業におきましては、PET健診関連事業やBPOサービスの健康診断予約手配等、堅調に推移いたしました。
結果、当事業の売上高は264百万円(前年同期比9.4%増)、営業利益は96百万円(前年同期比10.4%増)となりました。
第16期第3四半期累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年12月31日)
当第3四半期累計期間における我が国経済は、国内での新型コロナウイルス感染症に対するワクチンの2回目の接種完了者数が全人口の8割近くに達し、今後、3回目のワクチン接種による感染予防や政府の経済対策が期待される一方で、新たな変異株による市中感染が増加傾向にあり、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社が属する健康診断・人間ドックの市場においては、前事業年度は新型コロナウイルス感染症拡大に伴い受診控えや、医療機関による健診業務の一時休止や延期により市場は縮小しましたが、当事業年度は、新たな変異株等による感染拡大や度重なる緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の発令があったものの、健康・予防に対する意識の高まりが市場回復の追い風となりました。
当社におきましても、例年健康診断の受診は夏から秋にかけて増加し、春にかけて減少する傾向にありましたが、当事業年度は前倒しでの予約が多く、また受診勧奨等のキャンペーンを実行するなど受診促進を行ったところ、まん延防止等重点措置の発令等で受診を先延ばしにされていた方等からの予約も増加し、健康診断結果の出荷数は205,339件となりました。また、健康管理クラウド事業においても、新型コロナウイルス感染症で利用開始時期を延期していた顧客の利用開始等があり、また、大型顧客の利用開始に伴う大型の個別開発を受注したことにより売上が増加いたしました。今後も、新たな変異株や、長期休暇等の人の移動が増加することに伴い、新型コロナウイルス感染症の再拡大及び受診控えや医療機関の健診受入れ停止等懸念はありますが、当社の業績へ影響は、甚大にはならないと想定しております。
このような状況下において、当社は、2021年3月に策定した「中期経営計画2023」(2021~23年度)(※1)に基づき、既存事業であるネットワーク健診事業及び健康管理クラウド事業における新規顧客の開拓や既存顧客との取引深耕に取組みながら、コーポレートウェルネス領域におけるクラウド・SaaS事業型へのビジネスモデル転換を並行して進めております。
その結果、当第3四半期累計期間の売上高は7,119百万円、営業利益は492百万円、経常利益は487百万円、四半期純利益は329百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は以下の通りです。
(ネットワーク健診事業)
当事業におきましては、健康診断の受診が下期に偏重している関係から業績も下期に偏る傾向がありますが、今期は、例年と比較し健康診断の前倒し受診が多く、また、受診勧奨等キャンペーン実施等により健診受診を促しました。結果、当事業の売上高は6,459百万円、営業利益は191百万円となりました。
(健康管理クラウド事業)
当事業におきましては、緊急事態宣言の発令により、前期導入を見送った顧客を含め新規23社が利用を開始し、また要望に応じて該当顧客向けの機能を改修する個別カスタマイズにおいて大型の受注があり、事業が順調に推移した結果、当事業の売上高は450百万円、営業利益は225百万円となりました。
(医療機関等支援事業)
当事業におきましては、新型コロナウイルス感染症による影響はなく、PET健診関連事業やBPOサービスの健康診断予約手配等、堅調に推移いたしました。結果、当事業の売上高は209百万円、営業利益は74百万円となりました。
※1:2019年2月に策定した「中期経営計画2022」(2020~2022年度)については、2年目で計画達成となったため、2021年3月に「中期経営計画2023」(2021~2023年度)を作成しております。
② 財政状態の状況
第15期事業年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当事業年度末における資産合計は2,969百万円となり、前事業年度末に比べ172百万円増加いたしました。これは、現金及び預金の増加が主な要因であり、配当金の支払い及び未払法人税等の納付により減少した一方で、ネットワーク健診事業の売上の増加により361百万円増加いたしました。ネットワーク健診事業の売上増加に伴い、仕入による買掛金が154百万円増加した一方、2020年4月1日に発生した本社移転、取得した有形固定資産の支払により未払金が99百万円減少した結果、当事業年度末における負債合計につきましては、1,360百万円となり、前事業年度末に比べ48百万円減少いたしました。当事業年度末における純資産は1,608百万円となり、前事業年度末に比べ221百万円増加いたしました。主な要因は、剰余金の配当による150百万円減少と当期純利益の計上による371百万円増加であります。
第16期第3四半期累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年12月31日)
当第3四半期会計期間末における資産合計は、4,308百万円となり、前事業年度末から1,339百万円増加となりました。ネットワーク健診事業における健康診断の受診が下期に偏重している関係から、現金及び預金が150百万円、売掛金が655百万円増加、また、商品が529百万円増加したことが主な要因です。売上増加に伴い、仕入も増加したことにより、買掛金1,102百万円増加した結果、当第3四半期会計期間末における負債合計は、2,482百万円となり、前事業年度末から1,121百万円増加となりました。当第3四半期会計期間末における純資産合計は1,826百万円となり、前事業年度末から218百万円増加となりました。主な要因は、四半期純利益329百万円による増加及び期末配当111百万円による減少であります。
③ キャッシュ・フローの状況
第15期事業年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度に比較して361百万円増加し、1,099百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は684百万円(前事業年度は523百万円の増加)となりました。これは主にネットワーク健診事業における受診者数の増加による売上債権の増加37百万円(前期316百万円増加)、仕入債務の増加154百万円(前期195百万円の増加)、健診結果の納品によるたな卸資産の減少63百万円(前期88百万円増加)、法人税等の支払204百万円(前期14百万円の支払)があった一方で、税引前当期純利益530百万円(前期447百万円)、減価償却費209百万円(前期200百万円)を計上したことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は170百万円(前事業年度は713百万円の増加)となりました。これは主に本社移転に伴う工事費、PCの入れ替え等の有形固定資産の取得107百万円(前期35百万円)及びネットワーク健診事業及び健康管理クラウド事業におけるシステム開発に伴う無形固定資産の取得87百万円(前期150百万円)によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は152百万円(前事業年度は500百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払150百万円(前期500百万円)によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社は、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b 受注実績
当社は、受注生産は行っておりませんので、該当事項はありません。
c 販売実績
第15期事業年度及び第16期第3四半期累計期間における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:千円)
セグメントの名称第15期事業年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前期比(%)第16期第3四半期累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年12月31日)
ネットワーク健診事業7,510,496109.0%6,459,295
健康管理クラウド事業527,620114.9%450,429
医療機関等支援事業264,009109.4%209,934
合計8,302,126109.4%7,119,659

(注)1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
外部顧客への売上高のうち、損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
3. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の金額など開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針及び新型コロナウイルス感染症の影響に伴う会計上の見積りの仮定については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)及び(追加情報)」に記載のとおりであります。
② 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
第15期事業年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
(資産)
当事業年度末における資産合計は、2,969百万円となり、前事業年度末から172百万円増加となりました。流動資産の残高は2,149百万円となり、前事業年度末から334百万円増加となりました。固定資産の残高は819百万円となり、前事業年度末から161百万円減少となりました。
流動資産の増加の主な要因は、配当金の支払い及び未払法人税等の納付により現金及び預金が減少した一方で、ネットワーク健診事業における受診者数の増加による売上により現金及び預金が361百万円増加したことによるものです。
固定資産の減少の主な要因は、減価償却費が進んだことにより有形固定資産が41百万円減少したこと、また、サービス終了に伴う除却及び減価償却が進んだことにより無形固定資産が110百万円減少したことによるものです。
(負債)
当事業年度末における負債合計は、1,360百万円となり、前事業年度末から48百万円減少となりました。流動負債の残高は1,318百万円となり、前事業年度末から39百万円減少となりました。固定負債の残高は41百万円となり、前事業年度末から9百万円減少となりました。
流動負債の減少の主な要因は、ネットワーク健診事業の受診件数の増加による仕入により買掛金が154百万円増加した一方で、2020年4月1日に発生した本社移転、取得した有形固定資産の支払いにより未払金が99百万円減少したことによるものです。
固定負債の減少の要因は、リース債務の計上により7百万円増加した一方で、サービス終了に伴い長期前受収益が19百万円減少したことによるものです。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、1,608百万円となり、前事業年度末から221百万円増加となりました。主な要因は剰余金の配当による150百万円減少と当期純利益の計上による371百万円増加であります。
第16期第3四半期累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年12月31日)
(資産)
当第3四半期会計期間末における資産合計は、4,308百万円となり、前事業年度末から1,339百万円増加となりました。流動資産の残高は3,515百万円となり、前事業年度末から1,366百万円増加となりました。固定資産の残高は792百万円となり前事業年度から26百万円減少となりました。
流動資産の増加の主な要因は、はネットワーク健診事業における健康診断の受診が下期に偏重しているため、現金及び預金が150百万円、売掛金が655百万円増加、また、同受診の下期偏重により商品が529百万円増加したことによるものです。
固定資産の減少の主な要因は、PCの買換えにより有形資産が14百万円、ネットワーク健診事業及び健康管理クラウド事業に係る開発等でソフトウェアが116百万円増加した一方で減価償却費を157百万円計上したことにより減価償却累計額が増加したことによるものです。
(負債)
当第3四半期会計期間末における負債合計は、2,482百万円となり、前事業年度末から1,121百万円増加となりました。流動負債の残高は2,441百万円となり、前事業年度末から1,122百万円増加となりました。固定負債の残高は41百万円となり前事業年度から0百万円減少となりました。
流動負債の増加の主な要因は、ネットワーク健診事業における健康診断の受診が下期に偏重しているため、買掛金が1,102百万円、ネットワーク健診の健診受診料及び健康管理クラウド利用料の前受けとして契約負債(前事業年度末は前受収益)が84百万円増加したことによるものです。
固定負債の減少の主な要因は、リース債務(長期)のリース債務(短期)への振替により1百万円減少、繰延税金負債が1百万円増加したことによるものです。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産合計は、1,826百万円となり、前事業年度末から218百万円増加となりました。主な要因は四半期純利益329百万円による増加及び期末配当111百万円による減少であります。
b.経営成績の分析
第15期事業年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
(売上高)
当事業年度の売上高は8,302百万円となり、前事業年度と比較して711百万円増加(前期比9.4%増)となりました。
ネットワーク健診事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響で上期に下がった受診率を取り戻すべく、予約・受診早期化の諸施策を実行したことにより、緊急事態宣言解除後は予約・受診件数も前年を上回る水準まで回復したことが影響して、出荷数が前事業年度より23,423件増加し247,284件、売上高7,510百万円(前期比9.0%増)となりました。健康管理クラウド事業においては、新型コロナウイルス感染症の拡大により、一部導入見送りが発生いたしましたが、利用開始の契約企業グループが19社あったことで、ユーザーID数は前事業年度の110,100ID増加し644,500IDとなり、売上高527百万円(前期比14.9%増)となりました。
医療機関等支援事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響もなく堅調に推移し、また、BPOサービスにおいては、既存顧客の対象者数増加したことにより、サービス対象者数が40,000IDとなり、売上高264百万円となりました。
いずれの事業においてもID数が増加したことに伴い売上高が増加し、前事業年度を上回る水準となりました。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は6,726百万円となり、前事業年度と比較して449百万円増加(前期比7.2%増)となり、売上総利益は1,575百万円となり、前事業年度と比較して、261百万円増加(前期比19.9%増)となりました。
ネットワーク健診事業においては、健康診断の受診者が増加したことに伴い、医療機関へ支払う健康診断の費用が増加ししたため、売上原価は6,463百万円(前期比7.9%増)、売上総利益は1,046百万円(前期比16.1%増)となりました。
健康管理クラウド事業においては、前事業年度と比較して顧客からの大型個別開発の受注が発生しなかったことにより前事業年度よりも仕入が減少し、売上原価103百万円(前期比28.6%減)になったことで、売上総利益は423百万円(前期比35.1%増)となりました。
医療機関等支援事業においては、当事業年度に終了したサービスの売上原価が前事業年度と比較して20百万円減少した一方で、BPOサービスにおいて既存顧客のサービス利用対象者数が8,000ID増えたこと、また2021年度から新規で利用開始する顧客の初期費用が発生し、売上原価が36百万円増加したことにより、売上原価は158百万円(前期比11.4%増)、売上総利益は105百万円(前期比6.4%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は1,041百万円となり、前事業年度と比較して193百万円増加(前期比22.8%増)となりました。採用強化による人件費の増加が主な要因であり、人件費は前事業年度と比較して115百万円増加(前期比22.9%増)となりました。また、2020年4月1日に本社を移転したことに伴い、賃借料が39百万円増加(前期比72.1%増)となり、結果、営業利益は、533百万円となり、前事業年度と比較して、68百万円増加(前期比14.6%増)となりました。
ネットワーク健診事業においては、当事業の人員数が増加したことにより、上記の販売費及び一般管理費が増加した影響で費用配賦が増加し、営業利益は162百万円(前期比35.9%減)となりました。
健康管理クラウド事業においては、売上原価の減少及びネットワーク健診事業の人員数増加の影響により当事業への費用の配賦率が減少したことが影響し、営業利益は275百万円(前期比119.6%増)となりました。
医療機関等支援事業においては、当事業年度に終了したサービスの経費が3百万円減少したことが影響し、営業利益は96百万円(前期比10.4%増)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当事業年度の営業外収益は、9百万円となり、前事業年度と比較して、9百万円増加となりました。これは主に新型コロナウイルス感染症に伴う持続化給付金及び家賃支援給付金の収入によるものです。
結果、経常利益は、542百万円となり、前事業年度と比較して、77百万円増加(前期比16.6%増)となりました。
(特別損益、当期純利益)
当事業年度の特別利益は、29百万円となり、前事業年度と比較して、29百万円増加となりました。これは当事業年度に終了したサービスの清算益によるものです。特別損失につきましては、40百万円となり、前事業年度と比較して、22百万円増加(前期比128.8%増)となりました。
こちらは、固定資産除却損によるものです。法人税等合計は、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額を合わせ159百万円となり、前事業年度と比較して、12百万円増加(前期比8.4%増)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が増加したこと等によります。
結果、当期純利益は、371百万円となり、前事業年度と比較して71百万円増加(前年同期比23.7%増)となりました。
第16期第3四半期累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年12月31日)
(売上高)
当第3四半期累計期間の売上高は7,119百万円となりました。
ネットワーク健診事業においては、例年と比較し健康診断の前倒し受診が多く、また、受診勧奨等キャンペーンを実施する等、健診受診を促した結果、出荷数が205,339件となり、売上高は6,459百万円となりました。
健康管理クラウド事業においては、前期導入を見送った顧客を含め新規23社が利用を開始したことでユーザーID数が779,670IDとなり、また顧客毎の個別機能開発において大型の開発受注があり、事業が順調に推移した結果、売上高は450百万円となりました。
医療機関等支援事業においては、新型コロナウイルス感染症による影響もなく、堅調に推移した結果、売上高は209百万円となりました。
(売上原価、売上総利益)
当第3四半期累計期間の売上原価は5,768百万円、売上総利益は、1,350百万円となりました。
ネットワーク健診事業において、受診者数が増加したことで医療機関へ支払う健康診断の費用も増加しており、売上原価は5,538百万円、売上総利益は921百万円となりました。
健康管理クラウド事業において、大型顧客の導入開始に伴い大型個別開発を行っており、売上原価は102百万円、売上総利益は348百万円となりました。
医療機関等支援事業においては、新規顧客の利用開始に伴い、対象ユーザー数が7,000ID増加したことに伴い、売上原価が128百万円、売上総利益は81百万円であります。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当第3四半期累計期間の販売費及び一般管理費は858百万円となりました。これは主に、採用強化による人件費及び採用手数料の増加、ネットワーク健診事業の受診者増加に伴い健康診断結果の精査作業を行う臨時従業員の増加により人材派遣費の増加、並びに販路拡大のためのデジタルマーケティングの導入に伴う広告宣伝費の増加によるものです。
結果、営業利益は、492百万円となりました。各セグメントの営業利益は、ネットワーク健診事業は191百万円、健康管理クラウド事業は225百万円、医療機関等支援事業は、74百万円であります。
(営業外損益、経常利益)
当第3四半期累計期間の営業外費用は、4百万円となりました。これは主に上場関連費用によるものです。
結果、経常利益は、487百万円となりました。
(特別損益、四半期純利益)
当第3四半期累計期間における法人税等合計は、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額を合わせ158百万円となりました。これは、税金等調整前四半期純利益が増加したことに等によります。
結果、当第3四半期累計期間の四半期純利益は、329百万円となりました。
c.キャッシュ・フローの分析
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度に比較して361百万円増加し、1,099百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は684百万円(前事業年度は523百万円の増加)となりました。これは主にネットワーク健診事業における受診者数の増加による売上債権の増加37百万円(前事業年度は316百万円の増加)、仕入債務の増加154百万円(前事業年度は195百万円の増加)、健診結果の納品によるたな卸資産が減少63百万円(前事業年度は88百万円の増加)、法人税等の支払204百万円(前事業年度は14百万円の支払)があった一方で、税引前当期純利益530百万円(前事業年度は447百万円)、減価償却費209百万円(前事業年度は200百万円)を計上したことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は170百万円(前事業年度は713百万円の増加)となりました。これは主に本社移転に伴う工事費、PCの入替え等の有形固定資産の取得107百万円(前事業年度は35百万円)及びネットワーク健診事業及び健康管理クラウド事業におけるシステム開発に伴う無形固定資産の取得87百万円(前事業年度は150百万円)によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は152百万円(前事業年度は500百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払150百万円(前事業年度は500百万円の支払)によるものです。
d.資本の財源及び資金の流動性の分析
当社の所要資金は、システム開発等の設備投資、ならびにネットワーク健診のオペレーション費用を含めた運転資金となっております。これら資金については、全額、営業活動によるキャッシュ・フロー(自己資金)にて対応しております。現状、当社では必要な事業資金は充分に確保していると認識しており、さらに取引銀行と当座借越契約を締結し、急な資金需要や不測の事態にも備えております。
e.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の経営成績に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「2.事業等のリスク」に記載の通りであります。
f.経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社、経営上の目標達成状況を判断するために、各セグメント毎に客観的な指標を設けております。事業全体としては、ネットワーク健診事業における健康診断結果の出荷数、健康管理クラウド事業におけるユーザーID数、BPOサービスにおけるサービス対象者数をIDとして合算したものを客観的な指標として判断しております。第15期事業年度のID数は前事業年度から141,523ID増加した931,784IDとなりました。第16期第3四半期累計期間においては、1,033,009IDと、第15期より101,225ID増加しました。
当初、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の発令によるID数の減少を不安視しておりました。特に、ネットワーク健診事業においては、初の緊急事態宣言が発令された期間である4・5月においては、健康診断の予約キャンセルや医療機関による健診業務の一時停止等が要因で受診者数が減少しておりましたが、緊急事態宣言解除後は、受診勧奨キャンペーン等の実施により順調に予約が入り、前事業年度を上回る結果となりました。
健康管理クラウド事業においても、一部導入開始延期や見送りがあったものの、緊急事態宣言によりテレワークを行う企業が増加したことが影響し、新規ユーザーID数が108,000ID増加したことでID数底上げに寄与しました。
これらのID数の対象となる顧客及びその先の皆様に満足いただけるよう、引き続き、顧客に寄り添い、要望に応じたサービスを開発・提供してまいります。
項目単位第14期
事業年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
第15期
事業年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
第16期
第3四半期累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年12月31日)
ID数ID790,261931,7841,033,009

各セグメントの指標については、下記のとおりであります。
(ネットワーク健診事業)
ネットワーク健診事業においては、第15期事業年度の出荷数は、前年度比110.4%の247,284件となりました。新型コロナウイルス感染症により、受診控えや医療機関等の健診業務の一時停止や延期が発生しましたが、緊急事態宣言解除後は、順調に予約が入り、前事業年度を上回る結果となりました。第16期第3四半期累計期間の出荷数については、205,339件となりました。例年、健康診断は夏から秋にかけて予約が増加しますが、当該累計期間においては、健康診断の前倒し受診が発生し、且つ、受診勧奨施策の実施等により、第4四半期においても、引き続き堅調に予約が入っております。
第15期事業年度の単価については、人間ドック等の単価の高いコースでの受診控えがあったため、平均売上単価は前年度比99.0%の29,775円となりました。第16期第3四半期累計期間の単価については、人間ドックや項目の多い健診コースを受診される方が増加したことに伴い、当該累計期間における平均売上単価は30,857円となりました。
第15期事業年度の新型コロナウイルス感染症による事業影響を抑制しつつ、顧客や提携医療機関との連携協力により概ね計画通りの結果となり、第16期事業年度も、前期に停滞した新規営業活動や既存顧客との連携による健診受診勧奨等により、結果として堅調な推移がみられていると評価をしております。
項目単位第14期
事業年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
第15期
事業年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
第16期
第3四半期累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年12月31日)
出荷数223,861247,284205,339
平均売上単価30,05329,77530,857

(健康管理クラウド事業)
健康管理クラウド事業においては、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、導入開始延期もしくは見送りとなった顧客が発生したものの、第15期事業年度から新規で利用開始となった契約企業グループは19社あり、一方解約は6社となったため、13社の純増となりました。第16期第3四半期累計期間については、2社解約があったものの、テレワークの普及による、健康管理のシステム導入の流れも受けて、21社の純増となりました。
ユーザーID数については、第15期事業年度は、前年度比120.6%の644,500IDとなりました。新規19社の利用開始によりユーザーが108,000ID増加したことが影響しております。新型コロナウイルス感染症の影響等例年より解約数が多かったことによる37,300IDの減少が影響しております。第16期第3四半期累計期間については、導入企業も増加し、779,670IDとなりました。
第15期事業年度においては解約が6社あったため、前事業年度と比較して、チャーンレートが高くなりましたが、第16期第3四半期累計期間においては、解約が2社のため、0.21%となりました。
第15期事業年度は、上記の通り、新規営業及びカスタマーサクセス対応において、一定程度、新型コロナウイルス感染症による影響を受ける事になりましたが、企業の健康管理体制の見直しやデジタル化に伴う新市場開拓や機能追加等に取組み、第16期事業年度以降への事業強化に取組む一年であったと振り返っております。一方、第16期事業年度は、マーケティング手法の見直し等による新規営業の強化によるユーザーIDの増加や、カスタマーサクセス体制の強化や新機能のリリース等により、低いチャーンレートを実現し、計画通りに進捗していると評価しております。
項目単位第14期
事業年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
第15期
事業年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
第16期
第3四半期累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年12月31日)
契約企業グループ数88101122
ユーザーID数ID534,400644,500779,670
チャーンレート%0.120.550.21

(医療機関等支援事業)
第15期事業年度においては、既存顧客の対象者数が8,000ID純増となりました。第16期第3四半期累計期間においては、既存顧客の対象者数が1,000ID増加、また新規で1社の利用が開始されたため、8,000IDの純増となりました。
第15期事業年度及び第16期第3四半期累計期間とともに既存顧客の従業員規模拡大等による受注拡大を実現し、計画通りに業績が推移していると評価しております。
項目単位第14期
事業年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
第15期
事業年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
第16期
第3四半期累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年12月31日)
BPOサービス対象者数ID32,00040,00048,000

g.経営者の問題意識と今後の方針
経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
  • 有価証券届出書(新規公開時)