有価証券報告書-第89期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/23 15:53
【資料】
PDFをみる
【項目】
138項目

対処すべき課題

当社グループは、平成25年2月に発表いたしました平成25年度から平成27年度までの3年間を対象とする「2012年中期経営計画」(以下、「12中計」という。)を実行し、企業価値の一層の向上をめざしてまいります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1) 基本方針
当社グループは、以下の経営理念、経営ビジョン、CSR方針を経営の基本方針としております。
「SMMグループ経営理念」
・ 住友の事業精神に基づき、地球および社会との共存を図り、健全な企業活動を通じて社会への貢献とステークホルダーへの責任を果たし、より信頼される企業をめざします
・ 人間尊重を基本とし、その尊厳と価値を認め、明るく活力ある企業をめざします
「SMMグループ経営ビジョン」
・ 独自技術を駆使してものづくり企業としての社会的な使命と責任を果たします
・ コンプライアンス、環境保全および安全確保を基本としたグローバルな企業活動により、非鉄金属、電子・機能性材料などの高品質な材料を提供し、企業価値の最大化をめざします
「CSR方針」
1.資源の有効利用およびリサイクルを推進するとともに、技術革新やエネルギー効率の継続的な改善などにより、地球温暖化対策に取り組みます
2.国内外において地域に根ざした活動を積極的に推進し、地域社会との共存を図ります
3.健全な事業活動を継続するために、人権を尊重するとともに、多様な人材が活躍する企業をめざします
4.安全を最優先し、快適な職場環境の確保と労働災害ゼロを達成します
5.多様なステークホルダーとのコミュニケーションを強化し、健全な関係を構築します
(2) 事業戦略
世界経済の先行きに懸念材料が散見され、中長期的に見通しが立てにくいものの、為替レートの変動、資源をめぐる優良資源の希少化や資源ナショナリズムの拡大、国内では東日本大震災を受けた環境・エネルギー事業への注目など、当社をとりまく事業環境は大きく変化しています。こうした環境変化も踏まえながら、当社は、資源・製錬・材料の3つのコアビジネスの継続的成長により、「世界の非鉄リーダー」「日本のエクセレントカンパニー」となるべく、ニッケル生産量15万t/年体制と銅30万t・金30tの権益分年間生産量、新規の材料製品での経常利益50億円/年、連結売上高1兆円/年・連結当期純利益1千億円/年をめざして、成長戦略を推進してまいります。
当社は、銅製錬を事業の発祥とする会社であり、優良な資源権益の確保にとどまらず、それらを製錬・加工して高品質の地金や材料を供給することで社会に貢献するとともに、企業価値を向上させていくことができると考えています。そのことが真の意味での「世界の非鉄リーダー」であると認識し、これに向けて更なる成長をめざします。
また、「日本のエクセレントカンパニー」となるべく、連結売上高1兆円/年、連結当期純利益1千億円/年の規模と収益力を持ち、確固とした経営理念・経営ビジョンや、これらに基づくコーポレート・ガバナンスの徹底とCSR活動の充実を図る等の強固な経営基盤の下で、成長戦略を継続的に打ち出し実現していく企業をめざします。
成長戦略の柱となる各大型プロジェクトの遂行については、「種蒔き」「植付け」「育成」「刈取り」のステージにそれぞれ区分し、「12中計」はもとよりそれ以降のいずれの中期経営計画の期間においても、3つのコアビジネスの大型プロジェクト案件が「種蒔き」「植付け」「育成」「刈取り」の各ステージにあり、これらのPDCA管理を徹底することを基本モデルとして、継続的な成長戦略の遂行を図っていくこととしています。
① 資源
資源事業は、長期ビジョンとして、平成33年度に権益分年間生産量銅30万t・金30tとすることをめざして探鉱と開発案件への参入を進めます。シエラゴルダプロジェクトは操業開始に向けて開発を進めております。また、菱刈鉱山及びポゴ金鉱山は、新規鉱床の開発を進めマインライフの延長を図ります。
さらに、既に稼働している海外銅鉱山の拡張計画を順次実現させ、マイニングビジネスでの収益力をさらに強化していきます。
② 製錬
ニッケル精錬は、タガニートプロジェクトと電気ニッケル生産能力の6万5千t/年への増産起業が平成25年に完成し、10万t/年体制がスタートを切りました。さらに長期ビジョンとして、新規鉱源確保とニッケル生産能力増強により、これを15万t/年に引き上げる構想を描いています。これを踏まえ、さらに競争力を強化するべく、資源・精錬開発センターにおいてニッケル精製法、HPALの技術革新に取り組みます。
銅製錬は、低水準の買鉱条件やエネルギーコストの高止まり等により厳しい事業環境にありますが、二次原料の増処理や固定費の削減等により競争力の強化を図ります。
③ 材料
リードフレーム事業統合をはじめ、「選択と集中」を中核とする「09中計」で進めてきた事業構造の転換をさらに推し進め、体質の強化を図ります。
また、成長が見込まれる環境・エネルギー関連分野において、二次電池向け、燃料電池向け、太陽電池向けなどの様々な材料開発に注力していくとともに、電池研究所、材料開発センターと連携し、新商品上市に向けて精力的に取り組みます。
さらに、製錬事業とのシナジーという強みを活かした高機能材料の商品化を促進してまいります。
④ 研究開発
「12中計」に基づいて、従来同様、重点的な資源配分を継続し、材料系新商品開発の加速、資源・製錬技術の革新、プロセス開発の推進に取り組んでまいります。
(3) 買収防衛策について
① 基本方針の内容の概要
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の源泉を理解し、当社が企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ安定的に確保し、向上していくことを可能とする者である必要があると考えております。
当社は、株式の大量買付であっても、当社の企業価値・株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。また、株式会社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えております。
しかし、株式の大量買付のなかには、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。
当社は、当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大量買付を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量買付に対しては、必要かつ相当な対抗措置を採ることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えます。
② 基本方針実現のための取組みの具体的な内容の概要
a.基本方針の実現に資する特別な取組みの概要
当社は、平成25年2月7日に、「12中計」を公表し、「世界の非鉄リーダー」と「日本のエクセレントカンパニー」をめざすことを基本戦略として掲げ、さらなる企業価値・株主共同の利益の向上を実現するために邁進いたします。
具体的には、非鉄金属の資源・製錬事業においては、平成33年に、ニッケル生産量15万t/年体制及び権益分年間生産量として銅30万t・金30tをめざして事業の拡大を図り、材料事業においては、さらなる経常利益積上げをめざすとともに、引き続き成長が見込まれる環境・エネルギー分野への経営資源の集中などの展開を図ってまいります。さらに連結売上高1兆円、連結当期純利益1千億円の規模と収益力を持ち、確固とした経営理念、経営ビジョンや、これらに基づくコーポレート・ガバナンスの徹底とCSR活動の充実を図る等の強固な経営基盤の下で、成長戦略を継続的に打ち出し実現していく企業をめざします。
当社は、コーポレート・ガバナンス強化のため、執行役員制度を導入するとともに、取締役(社外取締役を除きます。)と執行役員について業績連動報酬制度を導入しております。また、取締役の任期を1年としており、社外取締役を1名選任いたしております。
b.基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要
当社は、平成25年2月7日開催の取締役会において「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)」の更新を決議し、第88期定時株主総会において、株主の皆様の過半数の賛成により、ご承認をいただきました(以下、更新後の対応策を「本プラン」といいます。)。
本プランは、当社の企業価値・株主共同の利益に資さない当社株式の大量買付を行う者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止し、当社の企業価値・株主共同の利益に反する大量買付を抑止するとともに、大量買付が行われる際に、当社取締役会が株主の皆様に代替案を提案したり、あるいは株主の皆様がかかる当該大量買付に応じるべきか否かを判断するために必要な情報や時間を確保すること、株主の皆様のために交渉を行うこと等を可能とすることを目的としております。
本プランは、当社株券等の20%以上を買収しようとする者が現れた際に、買収者に事前の情報提供を求める等、上記の目的を実現するために必要な手続を定めております。
買収者は、本プランに係る手続に従い、当社取締役会において本プランを発動しない旨が決定された場合に、当該決定時以降に限り当社株式の大量買付を行うことができるものとされています。
買収者が本プランに定められた手続に従わない場合や当社株式の大量買付が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれがある場合等で、本プランに定められた発動要件を満たす場合には、当社は、買収者による権利行使は原則として認められないとの行使条件及び当社が買収者以外の者から当社株式と引換えに新株予約権を取得できる旨の取得条項が付された新株予約権を、その時点の当社を除く全ての株主の皆様に対して新株予約権無償割当ての方法により割り当てます。本プランに従って新株予約権の無償割当てがなされ、その行使又は当社による取得に伴って買収者以外の株主の皆様に当社株式が交付された場合には、1個の新株予約権につき、原則として0.5から1株の範囲内で当社株式が発行されることから、買収者の有する当社の議決権割合は、最大約50%まで希釈化される可能性があります。
当社は、本プランに従った新株予約権の無償割当ての実施、不実施又は取得等の判断については、取締役の恣意的判断を排するため、当社経営陣から独立した当社社外取締役等のみから構成される独立委員会を設置し、その客観的な判断を経るものとしております。また、当社取締役会は、これに加えて、本プランに定められた場合には、株主総会を招集し、株主の皆様の意思を確認することがあります。
こうした手続の過程については、適宜株主の皆様に対して情報開示を行い、その透明性を確保することとしております。
本プランの有効期間は、原則として、平成28年6月開催予定の第91期定時株主総会終結の時までとなっております。
③ 具体的取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
当社の「12中計」並びに既に実施しているコーポレート・ガバナンス強化のための執行役員制度及び業績連動報酬制度、取締役の任期短縮、社外取締役の選任等の各施策は、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ安定的に向上させるための具体的方策として策定されたもので、まさに当社の基本方針に沿うものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
また、本プランは、企業価値・株主共同の利益を確保、向上させる目的をもって導入されたものであり、当社の基本方針に沿うものです。特に、本プランは、第88期定時株主総会において株主の皆様により承認されていること、その内容として合理的な客観的要件が設定されていること、独立性を有する社外取締役等のみによって構成される独立委員会が設置されており、本プランの発動に際しては必ず独立委員会の判断を経ることが必要とされていること、独立委員会は当社の費用で第三者専門家の助言を受けることができるとされていること、有効期間は、原則として3年間とされており、また、その満了前であっても当社取締役会によりいつでも廃止できるとされていることなどにより、その公正性・客観性が担保されており、企業価値・株主共同の利益に資するものであって、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。