訂正有価証券報告書-第114期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2018/06/26 14:22
【資料】
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【項目】
125項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、緩やかな回復基調にありました。世界経済についても緩やかな成長が継続しましたが、英国のEU離脱問題をはじめとする欧州の政治情勢や米国新政権の政策の不確実性により、不透明な状況が続きました。
当社グループの事業環境については、自動車関連製品の需要は、国内・海外とも比較的堅調に推移しました。電子部品や新エネルギー関連の製品は、東アジアを中心に需要が伸長しました。相場環境については、貴金属や亜鉛などの金属価格が上昇しました。為替相場は、第2四半期までは円高基調で推移し、その後円安が進行しました。
当社グループは、特色ある5つの事業部門それぞれの領域において事業拡大を進めており、その総合力により個別の事業環境の変化に強い、堅固な収益基盤を構築しています。加えて、為替相場や金属価格の変動にともなう損失発生リスクを低減することにより、収益の安定化を図っています。中期計画の2年目にあたる当期は、その基本方針である「成長の継続」に向けた各施策を着実に実施してきました。
これらの結果、当期の連結売上高は前期比1%増の410,503百万円となり、連結営業利益は同3%減の33,990百万円、連結経常利益は同4%増の36,504百万円、親会社株主に帰属する連結当期純利益は同20%増の26,169百万円となりました。
なお、当社は、株主の皆様への配当を経営における最重要課題の一つと位置付けており、企業体質強化と将来の事業展開に備えた内部留保の充実を勘案のうえ、業績に応じて配当を行う方針としています。
当期の配当金につきましては、当期の業績、今後の事業展開、財務体質の強化などを総合的に勘案し、前期と同額の1株当たり18円としています。
主要セグメントの状況は、次のとおりです。
環境・リサイクル部門
廃棄物処理は、国内の産業廃棄物発生量が横這いのなか、廃棄物の処理単価が一部で低下した影響を受けました。土壌浄化は、既存の浄化法に加え、自然由来汚染土壌に対応した浄化法による受注が増加しました。リサイクルは、電子部品スクラップの国内外での集荷拡大に努めました。東南アジア事業では、インドネシアやタイにおいて、石油・天然ガス開発に関連する廃棄物処理の受注は回復に至らないものの、その他の産業廃棄物処理の受注は堅調に増加しました。
これらの結果、当部門の売上高は前期比1%減の96,947百万円、営業利益は同5%増の6,629百万円となりました。
製錬部門
金属価格については、金や銀、亜鉛は上昇し、銅についても第3四半期以降は上昇に転じました。インジウムは前年に引き続いて下落しました。為替相場については、第3四半期以降、米国大統領選後に円安が進行したものの、前期に比べ約12円の円高水準となりました。このような状況のなか、各製錬所の一部老朽化した設備の更新や新設を行い、また、海外での探鉱活動を継続するなど事業基盤の強化を進めました。コスト面では電力原単位や物品費の削減を進めるとともに、原油価格下落による電力価格引き下げの影響がありました。
これらの結果、当部門の売上高は前期比3%減の207,778百万円、円高の影響を受けたことなどにより、営業利益は同25%減の10,055百万円となりました。
電子材料部門
半導体材料製品は、スマートフォン向けの需要が低調に推移したため、販売量が減少しました。導電材料製品は、新エネルギー向け銀粉の需要が増加し販売を伸ばしました。機能材料製品は、アーカイブ用データテープ向け磁性粉の拡販に取り組みました。また、市場ニーズに応える新規製品開発を進めました。
これらの結果、当部門の売上高は前期比29%増の62,583百万円となりましたが、輸出製品が円高の影響を受けたことなどにより、営業利益は同18%減の6,579百万円となりました。
金属加工部門
端子やコネクタに使われる伸銅品は、自動車向けでは海外を中心に自動車生産台数が増加するなか、販売を堅調に伸ばしました。スマートフォン向けでは、東アジアを中心に高強度品を拡販しました。貴金属めっき加工は、自動車の電装化需要を取り込み、堅調に推移しました。回路基板は、鉄道向けの需要は弱含みであったものの、産業機械向けでは緩やかな回復が見られました。
これらの結果、当部門の売上高は円高の影響により前期比2%減の75,481百万円となりましたが、営業利益は同42%増の6,966百万円となりました。
熱処理部門
熱処理加工は、自動車産業の成長が続く海外地域での事業拡大を推進するなか、インドやタイ、中国において受注拡大を図りました。また、国内では堅調な受注に加えて原油価格下落による燃料コスト低減も収益に寄与しました。工業炉は、海外向けの設備拡販やメンテナンス受注の拡大に努めました。
これらの結果、当部門の売上高は前期比4%増の25,119百万円、営業利益は同76%増の2,378百万円となりました。
その他部門
その他部門では、売上高は前期比8%増の12,208百万円、営業利益は同88%増の944百万円となりました。
(注) 当該項目に記載の売上高には消費税等を含めていません。
(2) キャッシュ・フローの状況
前連結会計年度当連結会計年度比較増減
百万円百万円百万円
営業活動によるキャッシュ・フロー45,75129,389△16,362
投資活動によるキャッシュ・フロー△23,486△25,954△2,468
財務活動によるキャッシュ・フロー△11,159△7,1554,003
換算差額△248△54193
増減10,857△3,775△14,632
現金及び現金同等物の期首残高8,04418,90210,857
現金及び現金同等物の期末残高18,90215,126△3,775

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より3,775百万円減少し、15,126百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は29,389百万円(前年度比16,362百万円減)となりました。これは、税金等調整前当
期純利益36,735百万円(前年度比4,912百万円増)、非資金費用である減価償却費の計上15,796百万円、仕入債務の
増加5,724百万円などがあった一方で、売上債権の増加18,222百万円や棚卸資産の増加12,730百万円に加え、法人税
等の支払い5,999百万円などがあったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は25,954百万円の支出(前年度比2,468百万円支出増)となりました。これは、環境・リサイ
クル部門や製錬部門などを中心とした設備投資25,964百万円があったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は7,155百万円の支出(前年度比4,003百万円支出減)となりました。これは、有利子負債の
返済999百万円や、配当金の支払い5,555百万円によるものです。