有価証券報告書-第123期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりである。
(注)「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」における各事項の記載については、消費税等抜きの金額を表示している。
① 経営成績の状況
売上高は、建築事業、海外関係会社の増加を主因に、前連結会計年度比1.8%増の2兆107億円(前連結会計年度は1兆9,742億円)となった。
利益については、土木事業における売上総利益率低下や販管費の増加を主因に、営業利益は前連結会計年度比7.5%減の1,319億円(前連結会計年度は1,426億円)、経常利益は同10.0%減の1,466億円(同1,629億円)となった。親会社株主に帰属する当期純利益は特別損益の改善もあり、同6.0%減の1,032億円(同1,098億円)となった。
セグメントごとの経営成績は次のとおりである。(セグメントの経営成績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載している。)
a 土木事業
(当社における建設事業のうち土木工事に関する事業)
売上高は、前連結会計年度と概ね同水準で推移し、前連結会計年度比4.3%減の2,880億円(前連結会計年度は3,010億円)となった。
営業利益は、売上総利益率の低下を主因に、前連結会計年度比51.2%減の171億円(前連結会計年度は352億円)となった。
b 建築事業
(当社における建設事業のうち建築工事に関する事業)
売上高は、大型工事の施工が着実に進捗し、前連結会計年度比3.2%増の9,575億円(前連結会計年度は9,280億円)となった。
営業利益は、売上高の増加に加え売上総利益率も向上し、前連結会計年度比7.2%増の853億円(前連結会計年度は796億円)となった。
c 開発事業等
(当社における不動産開発全般に関する事業及び意匠・構造設計、その他設計、エンジニアリング全般の事業)
売上高は、不動産販売収入の増加を主因に、前連結会計年度比16.0%増の594億円(前連結会計年度は512億円)となった。
営業利益は、不動産販売事業、賃貸事業の売上総利益がともに増加したことを主因に、前連結会計年度比57.1%増の85億円(前連結会計年度は54億円)となった。
d 国内関係会社
(当社の国内関係会社が行っている事業であり、主に日本国内における建設資機材の販売、専門工事の請負、総合リース業、ビル賃貸
事業等)
売上高は、前連結会計年度と同水準で推移し、前連結会計年度比0.9%増の3,931億円(前連結会計年度は3,896億円)となった。
営業利益は、建設事業の売上総利益増加を主因に、前連結会計年度比7.4%増の177億円(前連結会計年度は165億円)となった。
e 海外関係会社
(当社の海外関係会社が行っている事業であり、北米、欧州、アジア、大洋州などの海外地域における建設事業、開発事業等)
売上高は、北米地域における増加を主因に、前連結会計年度比2.9%増の4,690億円(前連結会計年度は4,559億円)となった。
営業利益は、建設事業の売上総利益減少を主因に、前連結会計年度比27.8%減の45億円(前連結会計年度は62億円)となった。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比809億円増加し、2兆1,721億円(前連結会計年度末は2兆911億円)となった。これは、有形固定資産の増加593億円、受取手形・完成工事未収入金等の増加321億円及びたな卸資産(販売用不動産、未成工事支出金、開発事業支出金及びその他のたな卸資産)の増加305億円があった一方で、現金預金の減少596億円があったこと等によるものである。
負債合計は、前連結会計年度末比418億円増加し、1兆3,760億円(前連結会計年度末は1兆3,342億円)となった。これは、有利子負債残高※の増加281億円及び未成工事受入金の増加160億円等によるものである。なお、当連結会計年度末の有利子負債残高は、3,268億円(前連結会計年度末は2,987億円)となった。
純資産合計は、株主資本6,916億円、その他の包括利益累計額1,000億円、非支配株主持分42億円を合わせて、前連結会計年度末比390億円増加の7,960億円(前連結会計年度末は7,569億円)となった。
また、自己資本比率は、前連結会計年度末比0.5ポイント好転し、36.5%(前連結会計年度末は36.0%)となった。
(注) ※短期借入金、コマーシャル・ペーパー、社債(1年内償還予定の社債を含む)及び長期借入金の合計額
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、530億円の収入超過(前連結会計年度は303億円の収入超過)となった。これは、税金等調整前当期純利益1,496億円に減価償却費199億円等の調整を加味した収入があった一方で、法人税等の支払額366億円、売上債権の増加332億円及びたな卸資産(販売用不動産、未成工事支出金、開発事業支出金及びその他のたな卸資産)の増加310億円の支出があったこと等によるものである。
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,018億円の支出超過(前連結会計年度は253億円の支出超過)となった。これは、有形固定資産の取得による支出811億円、貸付けによる支出166億円及び投資有価証券の取得による支出145億円があったこと等によるものである。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額263億円の支出に加えて、自己株式の取得による支出100億円があった一方で、短期借入金、長期借入金、コマーシャル・ペーパー及び社債による資金調達と返済の収支が288億円の収入超過となったこと等により、108億円の支出超過(前連結会計年度は750億円の支出超過)となった。
これらにより、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末から598億円減少し、2,556億円(前連結会計年度末は3,154億円)となった。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため、また、受注高について当社グループ各社の受注概念が異なるため、「生産の実績」及び「受注の実績」は記載していない。
売上実績
(注) 1 売上実績においては、「外部顧客への売上高」について記載している。
2 前連結会計年度及び当連結会計年度ともに売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はない。
[参考]提出会社単独の受注高及び売上高の状況
a 受注高、売上高及び繰越高
(注) 1 前事業年度以前に受注したもので、契約の更改により請負金額に変更があるものについては、当期受注高
にその増減額を含む。したがって、当期売上高にもかかる増減額が含まれる。
2 期末繰越高は、(期首繰越高+当期受注高-当期売上高)である。
b 受注工事高
c 受注工事高の受注方法別比率
建設工事の受注方法は、特命と競争に大別される。
(注) 百分比は請負金額比である。
d 完成工事高
(注) 1 前事業年度及び当事業年度ともに完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はない。
2 当事業年度の完成工事のうち主なものは、次のとおりである。
e 繰越工事高(2020年3月31日現在)
(注) 繰越工事のうち主なものは、次のとおりである。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 経営成績及び財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高については、当社建築事業において首都圏を中心とする手持ちの大型工事の施工が着実に進捗したことなどから、2002年3月期以来の2兆円を上回る水準となった。親会社株主に帰属する当期純利益については、前連結会計年度と比較し減益となったものの、当社の建築事業や開発事業等並びに国内関係会社の業績改善により、2017年3月期から4期連続で1,000億円以上の水準を確保した。ROEについては13.4%となり、「鹿島グループ中期経営計画(2018~2020)」の目標である10.0%を上回る水準を維持している。なお、新型コロナウイルス感染症による大きな影響はなかった。
業績予想との比較では、売上高は同水準、利益は予想を上回った。海外関係会社の一部の工事において損失が発生したものの、当社建築事業における追加変更の獲得や原価低減、開発事業等における投資案件の利益貢献、国内関係会社における建設事業の堅調な推移等により、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は、業績予想を上回った。
財政状態については、資産合計が前連結会計年度末と比較し増加した。中期経営計画の投資計画に基づく賃貸事業用不動産の購入や国内外における設備の新設計画の推進などが主な要因である。連結自己資本は前連結会計年度末から385億円増加の7,917億円となった。不動産開発投資の拡張に伴い、景況の悪化などによる資産の減損リスク等が増加するため、それらに対する備えとして、当面の目安と考えている8,000億円に近い水準を確保した。連結有利子負債残高は3,268億円となり、前連結会計年度末残高を上回ったものの、D/Eレシオ(負債資本倍率)は0.41倍であり、財務の健全性を維持していると考えている。
経営成績に重要な影響を与える主な要因は、建設需要や建設コストの急激な変動等の事業環境の変化である。当連結会計年度における事業環境は堅調に推移したと考えているが、今後については、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う国内外の建設需要や建設コストの動向を注視していく必要がある。また、中長期的には建設技能労働者の減少に対応しつつ更なる業績向上を目指して、生産性向上や生産能力増強に繋がる技術開発を重点的に推進するとともに、協力会社と一体となった次世代の担い手確保に取り組んでいる。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりである。
a 土木事業
(当社における建設事業のうち土木工事に関する事業)
売上高は、概ね前連結会計年度と同水準で推移した。官公庁工事が減少した一方で、エネルギー分野や鉄道など民間工事の売上高は増加傾向にある。営業利益の減益は、売上総利益率が前連結会計年度における19.0%から14.0%に低下したことが主因である。一部の工事における一過性の要因によるものであり、2021年3月期の売上総利益率は15.0%台への回復を見込んでいる。
SEP船(自己昇降式作業台船)を他社と共同して建造することを決定し、国内では初めてとなる商用洋上風力発電事業の実施に向けた「秋田港・能代港洋上風力発電施設建設工事」を受注、本格着工するなど、今後拡大が期待され、当社グループが有望市場と捉えている洋上風力発電市場への取り組みを強化している。
b 建築事業
(当社における建設事業のうち建築工事に関する事業)
受注前のフロントローディングの効果などにより、当連結会計年度に最盛期を迎えた大型工事の施工が着実に進捗したことなどから増収となった。売上総利益率についても前連結会計年度における12.5%を上回る13.2%となったことから、営業利益は増益となった。
当連結会計年度末の繰越工事高は高い水準を維持しているものの、2021年3月期は次の大型案件の施工が本格的な段階を迎えるまでの一時的に施工量が減少する時期に当たると考えている。今後の繁忙期に備え、早期調達や調達先の多様化などを進め、資機材、労務の調達力を一層強化するとともに、ロボット化、遠隔管理、デジタルデータ活用を軸に生産性向上と生産能力増強を図っている。
近年、プロジェクトの早期段階から建設会社のノウハウが必要とされる傾向が続いており、当連結会計年度の建築工事受注高における設計施工比率は60%を超える高い水準となった。引き続き、顧客ニーズを的確に捉える設計施工提案力の強化に取り組んでいる。
c 開発事業等
(当社における不動産開発全般に関する事業及び意匠・構造設計、その他設計、エンジニアリング全般の事業)
当連結会計年度に販売中であったマンションの引渡しが進み、また、物件取得後にバリューアップした案件を売却した。加えて、関西圏の大型賃貸事業用不動産など、賃貸収益の確保及び鹿島グループのPM・BM業務創出に繋がる案件を取得したことから、不動産販売事業、賃貸事業ともに売上高、売上総利益が前連結会計年度と比較し増加した。
中期経営計画の投資計画に基づき推進中の案件は、2021年3月期以降順次完成し、業績に寄与していくと考えている。2022年3月期には大型施設の稼働開始を複数見込んでおり、2023年3月期から年間を通じて業績に寄与する見通しである。
d 国内関係会社
(当社の国内関係会社が行っている事業であり、主に日本国内における建設資機材の販売、専門工事の請負、総合リース業、ビル賃貸
事業等)
首都圏の大型建築工事の施工本格化に伴い内装工事や設備工事が増加するなど建設事業が順調に推移したことを主因に増収増益となった。
国内関係会社は、不足懸念のある職種の直傭化や多能工育成を進めるなど、国内建設事業における当社グループの生産能力の増強に貢献するとともに、建設事業の上流、下流分野への取り組みを強化している。その中でも下流分野に当たる建物管理業務は成長分野であると考えており、建物の施工段階から管理・運用段階へのデータ連携、ICTの高度活用などにより業容拡大を図っている。
e 海外関係会社
(当社の海外関係会社が行っている事業であり、北米、欧州、アジア、大洋州などの海外地域における建設事業、開発事業等)
北米地域における手持ち工事の着実な進捗と複数の開発案件の販売を主因として、売上高は増収となったが、大洋州地域の一部の工事における損益悪化などから建設事業の売上総利益が減少したことに加え、販管費が増加したことから営業利益は減益となった。
海外の不動産開発事業は、地域ごとの特性を踏まえた事業を展開している。北米地域では、販売により早期に資金の回収を目指す短期回転型の事業を中心に展開している。主力の流通倉庫開発事業に関しては、新型コロナウイルス感染症が拡大する状況においても、電子商取引(Eコマース)の進展に伴い市場活性化の動きが見られ、順調に進捗している。アジア地域においては、安定収益を生む優良賃貸案件の創出に向けて、ミャンマーにおけるヤンキン地区複合開発プロジェクト等の新設計画を推進している。欧州地域では、安定収益源である英国・アイルランドにおけるPFI・PPP事業の強化、中欧を中心とする流通倉庫開発事業の推進に加え、当連結会計年度にポーランドにおいて学生寮を開発・運営する最大手企業を買収し、景気に影響されにくい民間学生寮市場に参入するなど、収益源の多様化を図っている。
なお、2021年3月期業績予想におけるセグメントごとの新型コロナウイルス感染症の影響については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 目標とする経営指標」に記載している。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは当連結会計年度において、国内建設事業を中心に創出した営業キャッシュ・フロー、現金及び現金同等物の取り崩し及び有利子負債の増加等を主な原資として、賃貸事業用不動産の購入など中期経営計画に基づく成長投資を積極的に実施した。また、株主還元に関しては、配当性向20~30%を目安とした安定的な配当に加え、株主還元の拡充並びに資本効率の向上を図るため自己株式取得(100億円)を実施した。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ598億円減少し、2,556億円となったが、工事施工中の一時的な立替資金の発生などの備えとして月商程度の水準は確保しており、懸念はないと考えている。また、コミットメントラインを設定する等、安定的な資金運営のために多様な手段を備えており、不測の事態に対する資金調達にも懸念はない。
今後も国内建設事業を中心に営業キャッシュ・フローを確保するとともに、開発事業資産の計画的な売却を進め、それらを主な原資とした新たな不動産開発投資やR&D投資及びM&Aなどの持続的な成長に資する投資を実施していく方針である。株主還元については、安定的な配当に努めるとともに、業績、財務状況及び経営環境を勘案した株主還元を行うことを基本方針としている。
有利子負債については、財政状態の安定性・健全性を維持するため、今後も増加抑制を基調とするが、投資計画の実施に伴う資金需要に対しては、資本効率も勘案し外部資金を弾力的に活用することも想定しており、中期経営計画においては、連結有利子負債残高は4,000億円を上限としてコントロールしていく方針としている。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されているが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されている。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っているが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがある。
完成工事高の計上は、期末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準(工事の進捗度の見積りは原価比例法)を、その他の工事については工事完成基準を適用し、当連結会計年度に係る完成工事高1兆7,911億円のうち1兆6,601億円を工事進行基準の適用により収益認識している。
工事進行基準の適用にあたっては、工事原価総額を基礎として期末までの実際発生原価額に応じた工事進捗度に工事収益総額を乗じて完成工事高を算定している。経営者は、工事収益総額、工事原価総額及び工事進捗度の見積りに際して、事業環境の状況等も踏まえた合理的な予測・判断を行っていると考えているが、一定の不確実性が伴うことから、各期の完成工事高に影響を及ぼす可能性がある。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりである。
(注)「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」における各事項の記載については、消費税等抜きの金額を表示している。
① 経営成績の状況
売上高は、建築事業、海外関係会社の増加を主因に、前連結会計年度比1.8%増の2兆107億円(前連結会計年度は1兆9,742億円)となった。
利益については、土木事業における売上総利益率低下や販管費の増加を主因に、営業利益は前連結会計年度比7.5%減の1,319億円(前連結会計年度は1,426億円)、経常利益は同10.0%減の1,466億円(同1,629億円)となった。親会社株主に帰属する当期純利益は特別損益の改善もあり、同6.0%減の1,032億円(同1,098億円)となった。
セグメントごとの経営成績は次のとおりである。(セグメントの経営成績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載している。)
a 土木事業
(当社における建設事業のうち土木工事に関する事業)
売上高は、前連結会計年度と概ね同水準で推移し、前連結会計年度比4.3%減の2,880億円(前連結会計年度は3,010億円)となった。
営業利益は、売上総利益率の低下を主因に、前連結会計年度比51.2%減の171億円(前連結会計年度は352億円)となった。
b 建築事業
(当社における建設事業のうち建築工事に関する事業)
売上高は、大型工事の施工が着実に進捗し、前連結会計年度比3.2%増の9,575億円(前連結会計年度は9,280億円)となった。
営業利益は、売上高の増加に加え売上総利益率も向上し、前連結会計年度比7.2%増の853億円(前連結会計年度は796億円)となった。
c 開発事業等
(当社における不動産開発全般に関する事業及び意匠・構造設計、その他設計、エンジニアリング全般の事業)
売上高は、不動産販売収入の増加を主因に、前連結会計年度比16.0%増の594億円(前連結会計年度は512億円)となった。
営業利益は、不動産販売事業、賃貸事業の売上総利益がともに増加したことを主因に、前連結会計年度比57.1%増の85億円(前連結会計年度は54億円)となった。
d 国内関係会社
(当社の国内関係会社が行っている事業であり、主に日本国内における建設資機材の販売、専門工事の請負、総合リース業、ビル賃貸
事業等)
売上高は、前連結会計年度と同水準で推移し、前連結会計年度比0.9%増の3,931億円(前連結会計年度は3,896億円)となった。
営業利益は、建設事業の売上総利益増加を主因に、前連結会計年度比7.4%増の177億円(前連結会計年度は165億円)となった。
e 海外関係会社
(当社の海外関係会社が行っている事業であり、北米、欧州、アジア、大洋州などの海外地域における建設事業、開発事業等)
売上高は、北米地域における増加を主因に、前連結会計年度比2.9%増の4,690億円(前連結会計年度は4,559億円)となった。
営業利益は、建設事業の売上総利益減少を主因に、前連結会計年度比27.8%減の45億円(前連結会計年度は62億円)となった。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比809億円増加し、2兆1,721億円(前連結会計年度末は2兆911億円)となった。これは、有形固定資産の増加593億円、受取手形・完成工事未収入金等の増加321億円及びたな卸資産(販売用不動産、未成工事支出金、開発事業支出金及びその他のたな卸資産)の増加305億円があった一方で、現金預金の減少596億円があったこと等によるものである。
負債合計は、前連結会計年度末比418億円増加し、1兆3,760億円(前連結会計年度末は1兆3,342億円)となった。これは、有利子負債残高※の増加281億円及び未成工事受入金の増加160億円等によるものである。なお、当連結会計年度末の有利子負債残高は、3,268億円(前連結会計年度末は2,987億円)となった。
純資産合計は、株主資本6,916億円、その他の包括利益累計額1,000億円、非支配株主持分42億円を合わせて、前連結会計年度末比390億円増加の7,960億円(前連結会計年度末は7,569億円)となった。
また、自己資本比率は、前連結会計年度末比0.5ポイント好転し、36.5%(前連結会計年度末は36.0%)となった。
(注) ※短期借入金、コマーシャル・ペーパー、社債(1年内償還予定の社債を含む)及び長期借入金の合計額
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、530億円の収入超過(前連結会計年度は303億円の収入超過)となった。これは、税金等調整前当期純利益1,496億円に減価償却費199億円等の調整を加味した収入があった一方で、法人税等の支払額366億円、売上債権の増加332億円及びたな卸資産(販売用不動産、未成工事支出金、開発事業支出金及びその他のたな卸資産)の増加310億円の支出があったこと等によるものである。
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,018億円の支出超過(前連結会計年度は253億円の支出超過)となった。これは、有形固定資産の取得による支出811億円、貸付けによる支出166億円及び投資有価証券の取得による支出145億円があったこと等によるものである。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額263億円の支出に加えて、自己株式の取得による支出100億円があった一方で、短期借入金、長期借入金、コマーシャル・ペーパー及び社債による資金調達と返済の収支が288億円の収入超過となったこと等により、108億円の支出超過(前連結会計年度は750億円の支出超過)となった。
これらにより、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末から598億円減少し、2,556億円(前連結会計年度末は3,154億円)となった。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため、また、受注高について当社グループ各社の受注概念が異なるため、「生産の実績」及び「受注の実績」は記載していない。
売上実績
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 増減(△)率 (%) | |||||||
| 土木事業 | (百万円) | 301,063 | ( | 15.2 | %) | 288,098 | ( | 14.3 | %) | △4.3 |
| 建築事業 | (百万円) | 925,847 | ( | 46.9 | %) | 955,279 | ( | 47.5 | %) | 3.2 |
| 開発事業等 | (百万円) | 48,417 | ( | 2.5 | %) | 55,713 | ( | 2.8 | %) | 15.1 |
| 国内関係会社 | (百万円) | 243,348 | ( | 12.3 | %) | 243,206 | ( | 12.1 | %) | △0.1 |
| 海外関係会社 | (百万円) | 455,591 | ( | 23.1 | %) | 468,453 | ( | 23.3 | %) | 2.8 |
| 合計 | (百万円) | 1,974,269 | ( | 100 | %) | 2,010,751 | ( | 100 | %) | 1.8 |
(注) 1 売上実績においては、「外部顧客への売上高」について記載している。
2 前連結会計年度及び当連結会計年度ともに売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はない。
[参考]提出会社単独の受注高及び売上高の状況
a 受注高、売上高及び繰越高
| 期別 | 種類別 | 期首繰越高 (百万円) | 当期受注高 (百万円) | 計 (百万円) | 当期売上高 (百万円) | 期末繰越高 (百万円) | ||
| 前事業 年度 | 建 設 事 業 | 建築工事 | 1,188,837 | 1,074,060 | 2,262,898 | 928,095 | 1,334,803 | |
| 自 2 0 1 8 年 4 月 1 日 | 至 2 0 1 9 年 3 月 31 日 | 土木工事 | 524,817 | 303,840 | 828,657 | 301,063 | 527,593 | |
| 計 | 1,713,655 | 1,377,900 | 3,091,555 | 1,229,158 | 1,862,397 | |||
| 開発事業等 | 38,757 | 66,522 | 105,279 | 51,207 | 54,071 | |||
| 合計 | 1,752,412 | 1,444,422 | 3,196,835 | 1,280,366 | 1,916,468 | |||
| 当事業 年度 | 建 設 事 業 | 建築工事 | 1,334,803 | 794,967 | 2,129,770 | 957,556 | 1,172,213 | |
| 自 2 0 1 9 年 4 月 1 日 | 至 2 0 2 0 年 3 月 31 日 | 土木工事 | 527,593 | 327,620 | 855,214 | 288,098 | 567,115 | |
| 計 | 1,862,397 | 1,122,587 | 2,984,984 | 1,245,655 | 1,739,329 | |||
| 開発事業等 | 54,071 | 59,477 | 113,548 | 59,401 | 54,147 | |||
| 合計 | 1,916,468 | 1,182,065 | 3,098,533 | 1,305,057 | 1,793,476 | |||
(注) 1 前事業年度以前に受注したもので、契約の更改により請負金額に変更があるものについては、当期受注高
にその増減額を含む。したがって、当期売上高にもかかる増減額が含まれる。
2 期末繰越高は、(期首繰越高+当期受注高-当期売上高)である。
b 受注工事高
| 期別 | 区分 | 国内 | 海外 | 計 | |
| 官公庁 (百万円) | 民間 (百万円) | (百万円) | (百万円) | ||
| 前事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 建築工事 | 53,682 | 1,020,377 | - | 1,074,060 |
| 土木工事 | 152,208 | 151,821 | △189 | 303,840 | |
| 計 | 205,891 | 1,172,198 | △189 | 1,377,900 | |
| 当事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 建築工事 | 50,623 | 744,343 | - | 794,967 |
| 土木工事 | 162,122 | 165,517 | △18 | 327,620 | |
| 計 | 212,745 | 909,860 | △18 | 1,122,587 | |
c 受注工事高の受注方法別比率
建設工事の受注方法は、特命と競争に大別される。
| 期別 | 区分 | 特命(%) | 競争(%) | 計(%) | |||
| 前事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 建築工事 | 44.1 | 55.9 | 100 | |||
| 土木工事 | 31.1 | 68.9 | 100 | ||||
| 当事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 建築工事 | 49.1 | 50.9 | 100 | |||
| 土木工事 | 23.6 | 76.4 | 100 | ||||
(注) 百分比は請負金額比である。
d 完成工事高
| 期別 | 区分 | 国内 | 海外 | 計 | |
| 官公庁 (百万円) | 民間 (百万円) | (百万円) | (百万円) | ||
| 前事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 建築工事 | 90,324 | 837,770 | - | 928,095 |
| 土木工事 | 188,917 | 111,424 | 721 | 301,063 | |
| 計 | 279,241 | 949,194 | 721 | 1,229,158 | |
| 当事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 建築工事 | 68,265 | 889,291 | - | 957,556 |
| 土木工事 | 148,458 | 138,816 | 824 | 288,098 | |
| 計 | 216,723 | 1,028,107 | 824 | 1,245,655 | |
(注) 1 前事業年度及び当事業年度ともに完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はない。
2 当事業年度の完成工事のうち主なものは、次のとおりである。
| 発注者 | 工事名称 |
| ○ ㈱資生堂 | 資生堂グローバルイノベーションセンター(S/PARK) |
| ○ 武蔵小山パルム駅前地区市街地再開発組合 | パークシティ武蔵小山 |
| ○ ㈱オービック | オービック御堂筋ビル |
| ○ 西日本高速道路㈱ | 新名神高速道路高槻インターチェンジ中工事 |
| ○ 東京国際空港ターミナル㈱ | 東京国際空港国際線旅客ターミナルビル等再増改築工事 (Ⅰ工区) |
| ○ 国土交通省東北地方整備局 | 宮古盛岡横断道路新区界トンネル |
| ○ ㈱ベルコ | ホテルロイヤルクラシック大阪難波 |
| ○ さいたま市 | さいたま市立病院新病院建設工事 |
e 繰越工事高(2020年3月31日現在)
| 区分 | 国内 | 海外 | 計 | |
| 官公庁 (百万円) | 民間 (百万円) | (百万円) | (百万円) | |
| 建築工事 | 88,845 | 1,083,367 | - | 1,172,213 |
| 土木工事 | 334,944 | 229,297 | 2,873 | 567,115 |
| 計 | 423,790 | 1,312,665 | 2,873 | 1,739,329 |
(注) 繰越工事のうち主なものは、次のとおりである。
| 発注者 | 工事名称 |
| ○ 三井物産㈱、三井不動産㈱ | Otemachi One |
| ○ 森ビル㈱ | 虎ノ門一・二丁目地区第一種市街地再開発事業に伴う 施設建築物新築建築工事 |
| ○ ㈱アルベログランデ | 東京ポートシティ竹芝オフィスタワー |
| ○ 渋谷駅桜丘口地区市街地再開発組合 | 渋谷駅桜丘口地区第一種市街地再開発事業に伴う建設工事 |
| ○ 東日本高速道路㈱ | 東京外かく環状道路本線トンネル(南行)東名北工事 |
| ○ 勝どき東地区市街地再開発組合 | 勝どき東地区第一種市街地再開発事業施設建築物 A1地区新築工事 |
| ○ 三井不動産レジデンシャル㈱、丸紅㈱ | ザ・タワー横浜北仲新築工事 |
| ○ 東日本高速道路㈱ | 横浜環状南線 公田笠間トンネル工事 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 経営成績及び財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高については、当社建築事業において首都圏を中心とする手持ちの大型工事の施工が着実に進捗したことなどから、2002年3月期以来の2兆円を上回る水準となった。親会社株主に帰属する当期純利益については、前連結会計年度と比較し減益となったものの、当社の建築事業や開発事業等並びに国内関係会社の業績改善により、2017年3月期から4期連続で1,000億円以上の水準を確保した。ROEについては13.4%となり、「鹿島グループ中期経営計画(2018~2020)」の目標である10.0%を上回る水準を維持している。なお、新型コロナウイルス感染症による大きな影響はなかった。
業績予想との比較では、売上高は同水準、利益は予想を上回った。海外関係会社の一部の工事において損失が発生したものの、当社建築事業における追加変更の獲得や原価低減、開発事業等における投資案件の利益貢献、国内関係会社における建設事業の堅調な推移等により、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は、業績予想を上回った。
| 当連結会計年度 単位:百万円 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益 |
| 連結業績予想(A) 2019年11月12日公表 | 2,000,000 | 121,000 | 130,000 | 95,000 |
| 経営成績 (B) | 2,010,751 | 131,987 | 146,645 | 103,242 |
| 増減額(B-A) | 10,751 | 10,987 | 16,645 | 8,242 |
| 増減率(%) | 0.5% | 9.1% | 12.8% | 8.7% |
財政状態については、資産合計が前連結会計年度末と比較し増加した。中期経営計画の投資計画に基づく賃貸事業用不動産の購入や国内外における設備の新設計画の推進などが主な要因である。連結自己資本は前連結会計年度末から385億円増加の7,917億円となった。不動産開発投資の拡張に伴い、景況の悪化などによる資産の減損リスク等が増加するため、それらに対する備えとして、当面の目安と考えている8,000億円に近い水準を確保した。連結有利子負債残高は3,268億円となり、前連結会計年度末残高を上回ったものの、D/Eレシオ(負債資本倍率)は0.41倍であり、財務の健全性を維持していると考えている。
経営成績に重要な影響を与える主な要因は、建設需要や建設コストの急激な変動等の事業環境の変化である。当連結会計年度における事業環境は堅調に推移したと考えているが、今後については、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う国内外の建設需要や建設コストの動向を注視していく必要がある。また、中長期的には建設技能労働者の減少に対応しつつ更なる業績向上を目指して、生産性向上や生産能力増強に繋がる技術開発を重点的に推進するとともに、協力会社と一体となった次世代の担い手確保に取り組んでいる。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりである。
a 土木事業
(当社における建設事業のうち土木工事に関する事業)
売上高は、概ね前連結会計年度と同水準で推移した。官公庁工事が減少した一方で、エネルギー分野や鉄道など民間工事の売上高は増加傾向にある。営業利益の減益は、売上総利益率が前連結会計年度における19.0%から14.0%に低下したことが主因である。一部の工事における一過性の要因によるものであり、2021年3月期の売上総利益率は15.0%台への回復を見込んでいる。
SEP船(自己昇降式作業台船)を他社と共同して建造することを決定し、国内では初めてとなる商用洋上風力発電事業の実施に向けた「秋田港・能代港洋上風力発電施設建設工事」を受注、本格着工するなど、今後拡大が期待され、当社グループが有望市場と捉えている洋上風力発電市場への取り組みを強化している。
b 建築事業
(当社における建設事業のうち建築工事に関する事業)
受注前のフロントローディングの効果などにより、当連結会計年度に最盛期を迎えた大型工事の施工が着実に進捗したことなどから増収となった。売上総利益率についても前連結会計年度における12.5%を上回る13.2%となったことから、営業利益は増益となった。
当連結会計年度末の繰越工事高は高い水準を維持しているものの、2021年3月期は次の大型案件の施工が本格的な段階を迎えるまでの一時的に施工量が減少する時期に当たると考えている。今後の繁忙期に備え、早期調達や調達先の多様化などを進め、資機材、労務の調達力を一層強化するとともに、ロボット化、遠隔管理、デジタルデータ活用を軸に生産性向上と生産能力増強を図っている。
近年、プロジェクトの早期段階から建設会社のノウハウが必要とされる傾向が続いており、当連結会計年度の建築工事受注高における設計施工比率は60%を超える高い水準となった。引き続き、顧客ニーズを的確に捉える設計施工提案力の強化に取り組んでいる。
c 開発事業等
(当社における不動産開発全般に関する事業及び意匠・構造設計、その他設計、エンジニアリング全般の事業)
当連結会計年度に販売中であったマンションの引渡しが進み、また、物件取得後にバリューアップした案件を売却した。加えて、関西圏の大型賃貸事業用不動産など、賃貸収益の確保及び鹿島グループのPM・BM業務創出に繋がる案件を取得したことから、不動産販売事業、賃貸事業ともに売上高、売上総利益が前連結会計年度と比較し増加した。
中期経営計画の投資計画に基づき推進中の案件は、2021年3月期以降順次完成し、業績に寄与していくと考えている。2022年3月期には大型施設の稼働開始を複数見込んでおり、2023年3月期から年間を通じて業績に寄与する見通しである。
d 国内関係会社
(当社の国内関係会社が行っている事業であり、主に日本国内における建設資機材の販売、専門工事の請負、総合リース業、ビル賃貸
事業等)
首都圏の大型建築工事の施工本格化に伴い内装工事や設備工事が増加するなど建設事業が順調に推移したことを主因に増収増益となった。
国内関係会社は、不足懸念のある職種の直傭化や多能工育成を進めるなど、国内建設事業における当社グループの生産能力の増強に貢献するとともに、建設事業の上流、下流分野への取り組みを強化している。その中でも下流分野に当たる建物管理業務は成長分野であると考えており、建物の施工段階から管理・運用段階へのデータ連携、ICTの高度活用などにより業容拡大を図っている。
e 海外関係会社
(当社の海外関係会社が行っている事業であり、北米、欧州、アジア、大洋州などの海外地域における建設事業、開発事業等)
北米地域における手持ち工事の着実な進捗と複数の開発案件の販売を主因として、売上高は増収となったが、大洋州地域の一部の工事における損益悪化などから建設事業の売上総利益が減少したことに加え、販管費が増加したことから営業利益は減益となった。
海外の不動産開発事業は、地域ごとの特性を踏まえた事業を展開している。北米地域では、販売により早期に資金の回収を目指す短期回転型の事業を中心に展開している。主力の流通倉庫開発事業に関しては、新型コロナウイルス感染症が拡大する状況においても、電子商取引(Eコマース)の進展に伴い市場活性化の動きが見られ、順調に進捗している。アジア地域においては、安定収益を生む優良賃貸案件の創出に向けて、ミャンマーにおけるヤンキン地区複合開発プロジェクト等の新設計画を推進している。欧州地域では、安定収益源である英国・アイルランドにおけるPFI・PPP事業の強化、中欧を中心とする流通倉庫開発事業の推進に加え、当連結会計年度にポーランドにおいて学生寮を開発・運営する最大手企業を買収し、景気に影響されにくい民間学生寮市場に参入するなど、収益源の多様化を図っている。
なお、2021年3月期業績予想におけるセグメントごとの新型コロナウイルス感染症の影響については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 目標とする経営指標」に記載している。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは当連結会計年度において、国内建設事業を中心に創出した営業キャッシュ・フロー、現金及び現金同等物の取り崩し及び有利子負債の増加等を主な原資として、賃貸事業用不動産の購入など中期経営計画に基づく成長投資を積極的に実施した。また、株主還元に関しては、配当性向20~30%を目安とした安定的な配当に加え、株主還元の拡充並びに資本効率の向上を図るため自己株式取得(100億円)を実施した。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ598億円減少し、2,556億円となったが、工事施工中の一時的な立替資金の発生などの備えとして月商程度の水準は確保しており、懸念はないと考えている。また、コミットメントラインを設定する等、安定的な資金運営のために多様な手段を備えており、不測の事態に対する資金調達にも懸念はない。
今後も国内建設事業を中心に営業キャッシュ・フローを確保するとともに、開発事業資産の計画的な売却を進め、それらを主な原資とした新たな不動産開発投資やR&D投資及びM&Aなどの持続的な成長に資する投資を実施していく方針である。株主還元については、安定的な配当に努めるとともに、業績、財務状況及び経営環境を勘案した株主還元を行うことを基本方針としている。
有利子負債については、財政状態の安定性・健全性を維持するため、今後も増加抑制を基調とするが、投資計画の実施に伴う資金需要に対しては、資本効率も勘案し外部資金を弾力的に活用することも想定しており、中期経営計画においては、連結有利子負債残高は4,000億円を上限としてコントロールしていく方針としている。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されているが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されている。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っているが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがある。
完成工事高の計上は、期末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準(工事の進捗度の見積りは原価比例法)を、その他の工事については工事完成基準を適用し、当連結会計年度に係る完成工事高1兆7,911億円のうち1兆6,601億円を工事進行基準の適用により収益認識している。
工事進行基準の適用にあたっては、工事原価総額を基礎として期末までの実際発生原価額に応じた工事進捗度に工事収益総額を乗じて完成工事高を算定している。経営者は、工事収益総額、工事原価総額及び工事進捗度の見積りに際して、事業環境の状況等も踏まえた合理的な予測・判断を行っていると考えているが、一定の不確実性が伴うことから、各期の完成工事高に影響を及ぼす可能性がある。