四半期報告書-第90期第3四半期(平成30年12月1日-平成31年2月28日)

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2019/04/11 15:10
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文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。当社は、前第3四半期連結累計期間については四半期連結財務諸表を作成していないため、前年同四半期連結累計期間との比較・分析は行っておりません。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、雇用・所得環境が改善するなかで好調な企業収益を背景に、引き続き緩やかな回復基調が続いておりますが、国内外の政治・経済情勢の不透明性については、留意する必要があります。
建設業界におきましては、政府建設投資・民間投資共に底堅さを維持したことにより、経営環境は堅調に推移しました。
このような状況のもと、当社グループの財政状況及び営業成績は以下のとおりとなりました。
(財政状態)
当第3四半期連結会計期間末の財政状態は、資産は、受取手形・完成工事未収入金等10,855百万円、未成工事支出金1,321百万円、有形固定資産5,911百万円の増加及び現金預金20,328百万円、投資有価証券1,489百万円の減少等により、前連結会計年度末比1,172百万円減の119,454百万円となりました。
負債は、未払法人税等2,473百万円、未成工事受入金8,155百万円、長期借入金1,302百万円の減少及び支払手形・工事未払金等5,329百万円の増加等により、前連結会計年度末比8,575百万円減の61,871百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益9,399百万円の計上等により、前連結会計年度末比7,402百万円増の57,583百万円となりました。
なお、自己資本比率は、前連結会計年度末比6.7ポイント増の48.0%となりました。
(経営成績)
当第3四半期連結累計期間の経営成績については、売上高は88,615百万円、売上総利益は19,598百万円、営業利益は12,522百万円となりました。また、経常利益は12,536百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は9,399百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。(セグメントの経営成績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。)
(土木事業)
土木事業の売上高は39,276百万円であり、セグメント利益は7,468百万円となりました。
(建築事業)
建築事業の売上高は40,623百万円であり、セグメント利益は4,033百万円となりました。
(関連事業)
関連事業の売上高は1,469百万円であり、セグメント利益は217百万円となりました。
(関係会社)
関係会社の売上高は9,497百万円であり、セグメント利益は1,697百万円となりました。
(2)経営方針・経営戦略等
(経営方針)
当社は、「わが社はもっと豊かな社会づくりに貢献する」という経営理念を掲げ、技術の更なる研鑽に努めることで、すべてのお客様に信頼され社会から必要とされる企業集団を目指しております。
当面の経営環境は、国内需要が底堅さを維持する見通しから堅調に推移すると思われますが、長期的には人口減少や社会資本の充実などから市場は縮小することが避けられない状況にあり、加えて、建設技術者や技能労働者の不足とともに働き方改革への取り組みが求められております。
このような経営環境を踏まえた成長戦略に対応し持続的成長を実現していくため、当社グループは2017年度を初年度とした「第89期~第91期グループ中期経営計画」を推進しております。
計画初年度である第89期より、土木事業では当社グループの総合力を生かして競合の少ない国内・海外市場にEarth Moving(地盤改良工法やツイスター工法、ICT施工を活用した土工事技術の総称)など当社グループ独自のノウハウを活用して取り組むとともに、関連事業部門との連携による環境エネルギー分野や土地開発事業参加型による工事受注を進めております。建築事業では生産性向上による競争力強化の柱となる超高層建築工事の第一弾が引渡を完了し、他に4件を施工しております。関連事業においては保有土地に50MWの太陽光発電所や共同事業による大型物流施設を第92期から稼働する計画で準備を進めております。また管理部門の基幹システムの刷新を軸とした生産性を高める改革に着手しております。
「第89期~第91期グループ中期経営計画」要旨
ビジョン:安定して強く優良な企業に向けた実力の形成
経営戦略:あらゆるステージでの業務イノベーションを追求
・・・一人当たりの生産性向上・・・
・土木事業 土にこだわる「Earth Moving」ブランドの構築とトップランナーへ
・建築事業 お客様にメリットを提供する総合技術力の向上
・関連事業 高い資産効率に繋がる不動産開発と保有不動産の有効活用
・経営基盤 経営戦略機能の強化、利益生産性を向上する働き方改革の推進
(中長期的な会社の経営戦略)
① 土工事における確固たる地位の確立
a.「土工事」を中心とした事業運営
当社は吉田茂首相の応援等により昭和26年に土木工事の機械施工を開拓・普及する目的で設立され、当時の建設業界に、機械力とその運用システムという新たなプラットフォームを導入し、まさにイノベーションを起こすものとなりました。機械化施工を社会に浸透させた当社は、次に土木工事請負業を立ち上げ、「土工事の国土」として活躍の場を広げていきました。昭和37年には建築工事業も始め、昭和40年代には土木工事に強みを持つ総合建設会社として認識されるに至りました。現在でも重機土工事を得意としており、大規模造成工事等で多くの実績を有しております。また、子会社である国土開発工業株式会社は下請けとして実際に工事を手掛けるだけでなく、土木及び建設用機械の製造販売も手掛けております。
加えて、近年では保有技術であるスクレーパ(掘削・積込・運搬・敷均の一連の土工作業サイクルを1台でこなせる自己完結的な機械)のインテリジェント化を進めており、作業効率の向上及び省エネルギー化を図っております。
b.オンリー・ワン技術を活用した展開
当社はマシナリーを中心とした独自技術の開発により新しい価値を提供しており、回転式破砕混合工法(通称「ツイスター工法」)等の独自技術を多数有しております。当該技術力を生かした案件の獲得に注力して参ります。
c.社会の基盤を支える高い貢献性
当社は東日本大震災後の復興事業にも積極的に取組み、福島県南相馬市を中心として、技術力・機動力を発揮した災害復旧・復興支援を図っていると考えております。具体的な震災復旧・復興取組み事例は下記のとおりであります。
・2013年5月 廃棄物処理業務(福島県南相馬市)
・2017年12月 南相馬廃棄物業務(福島県南相馬市)
・2017年8月 公共災害復旧工事塚原地区海岸(福島県南相馬市)
・2017年9月 福島第一原発 フェーシング工事(福島県双葉郡大熊町)
・2017年9月 廃棄物減容化処理(福島県南相馬市)
・2018年2月 福島エコクリート株式会社プラント(福島県南相馬市)
・2018年9月 復興工事(岩手県上閉伊郡大槌町)
当社は、2015年に国際連合により採択された「持続可能な開発目標(通称SDGs)」の達成に向けた取組みを進めております。再生可能エネルギー分野への注力により、東日本大震災以降着実に施工実績を積上げており、関与した工事は62ヶ所、876MWに上ります。また、近年増加する災害対策工事に対し、回転式破砕混合工法を活用することで安心安全の公共インフラの維持に貢献しております。加えて、福島エコクリート株式会社においては火力発電所から発生する石炭灰を主原料とした再生砕石・骨材等の販売により環境保全及び廃材資源の循環活用に取り組んでおります。
d.社会のニーズに適合した柔軟性の高いリソース配分
当社は東日本大震災の復興事業対応のために、福島県南相馬市を中心に人員の配置を進める機動的な人員配置を行って参りました。その結果、当該地区における復興事業のトップランナーとして高いポジションを確立し、売上高及び売上総利益の向上を実現しております。
② 「マシナリー」を核技術とするグループ一体の受注体制
a.建設投資の現状認識
建設市場については、将来的には人口減による新設工事の減少が懸念されておりますが、以下のとおり、地方の機関が発注する官公庁工事は相対的に堅調に推移することが見込まれる一方で、工事の担い手不足が深刻化することが予想されております。当社では、国土開発工業株式会社をはじめとした連結子会社の活用により、大手ゼネコン、地方建設会社の「施工の担い手」として土木事業の維持拡大を目指します。
(a) 地方の機関による官公庁工事は堅調に推移
発注機関別請負額の推移では、1998年と比較すると減少している一方で直近10年間はおおよそ横ばいで推移しております。特に地方の機関による発注は相対的に堅調に推移しております。
(b) 地方インフラの整備・維持を期待される地方建設会社
地方インフラの整備・維持が期待される地方建設会社は一般的に官公庁工事比率が高く、自社施工比率が高い傾向にあります。一方で、担い手確保が困難な状況にあるため、国土交通省は担い手確保・育成のため安定的・持続的な公共事業予算を確保する方針を示しています。以上より、地方建設会社による受注機会は安定的に確保されると考えております。
(c) 大手建設会社の受注は民間工事割合が増加し、官公庁工事では国の機関の割合が増加
近年の大手建設会社の受注割合は、民間工事の比率が高くなり、官公庁工事は一定の受注はしているものの割合が低下しております。官公庁工事の受注では特に地方自治体などの地方機関からの受注割合の低下が著しい傾向にあります。
(d) 施工力の維持は建設業界にとって大きな課題
高齢化及び団塊の世代の大量退職等を背景として、建設業界全体で技能労働者の不足が予測されており、後継者問題を課題とする建設業者数は小規模業者を中心として増加傾向にあります。「日本建設業連合会 再生と進化に向けて~建設業の長期ビジョン~」によると2025年度には新規で必要な技能労働者数は77~99万人にのぼると推計されております。
b.グループ企業を活用した柔軟な受注体制
建設業界においては、建設技術者・技能労働者の高齢化が進み、現場の施工管理を担うことのできる人材が相対的に不足する状況にあります。当社グループでは、下請業者として事業を展開してきた国土開発工業株式会社にて現場における施工管理経験の豊富な人材を多数抱えております。
今後は、ゼネコンとしての技術力、コスト競争力及び高い施工管理能力と土工重機等の機械力及び当該機械を使用した施工ノウハウを生かし、元請業者として手掛ける自社施工だけでなく、特化技術を基にしたマシナリーの提供や施工協力等による他社への付加価値提供に注力して参ります。
c.つくば未来センター設立による事業強化
つくば未来センターの設立を通じて、当社グループの成長の礎となる「技術」、「事業」、「市場」及び「人財」という4つの要素の創造を進め、オープンイノベーションを掲げて、従来の「ゼネコン」マーケットから脱却した独自の成長路線を目指します。
③ 建築事業のプラットフォームの拡充
a.先進の工法技術を生かしたソリューション
当社では、以下の保有技術を生かして超高層建築物件、物流施設、食品製造施設を注力分野として事業の拡大に取り組んで参ります。
(a) 剛性と対火性に優れたCFT造(コンクリート充填鋼管構造)技術
超高層建築を支える重要な工法技術。鋼管の内部にコンクリートを充填した構造で、断面が小さくとも強度、靭性に富み、優れた耐震性と耐火性を発揮します。空間をより広く、階高も高く、自由な空間づくりができます。また、型枠の合板など建築廃棄物を削減できるため環境面へのメリットがあります。
(b) PCa工法による省力化、工期短縮への取組み
工場生産したコンクリート部材を、建設現場で組み立てるPCa工法(プレキャストコンクリート工法)。天候に左右されず、安定した品質や現場作業の効率化、工期短縮を図ります。
(c) 工期短縮やコスト低減を図るJDC-RC-S工法
物流施設を支える工法技術。剛性が高く軸力に強い鉄筋コンクリート部材を柱に用い、曲げやせん断力に優れ、かつ軽量である鉄骨部材を梁に用いるハイブリッド構造で、物流施設、ショッピングセンターなど大規模構造物に適した工法であります。また、梁が鉄骨のため型枠材が不要で、工期短縮やコストダウンも容易であります。一般財団法人ベターリビング認定CBLRC003-17号を取得しています。
(d) 食品製造施設を支える各種技術
食品工場の建設においては、赤外線カメラによる温熱環境診断等による工場内環境の最適化、様々な条件に適合できる最適な材料や部材の選定、ディテールの構築提案、工場内のエアバランス等に配慮した空調設備計画や効率的で柔軟に対応できる生産設備計画の提案や防虫・防かびや殺菌、消毒などの衛生管理に係るサニテーション技術が必要となります。当社は過去に多数の食品工場の建設を手掛けており、上記技術やノウハウの蓄積が図れております。
b.ホテル建設を支える実績
当社は、ホテル施工の実績を積上げており、「からくさスプリングホテル関西エアゲート」では、ロードサイド型商業施設を宿泊特化型ホテルへのコンバージョン、「からくさホテル大阪心斎橋Ⅰ」や「からくさホテル京都Ⅰ」のオフィスからホテルへのコンバージョンと合わせて、幅広い実績を有しております。
c.地震対策技術(低床免震システム等)等の強みを活かしたソリューションを提供
床高を200mm以下に抑えた免震システムで、既存OAフロアのリニューアルにも適用できます。設置後のメンテナンスはほとんど不要で、複数の機器類、制御システム等を部屋ごと地震から守ります。本免震システムの安全性、有効性の証明として、第三者機関である一般財団法人日本建築センターにて国内初となる一般評定を取得しております。なお、当システムは地震に対する安全性を高めたいエリアを重点的に免震する方法のため、コンピュータのサーバ室や精密試験室、防災監視制御室等、多くの重要設備に採用されております。
d.建築事業における今後の戦略
上記技術を中心とした差別化が可能な領域への集中及び強みを持つ特定領域での実績を高めることに加え、都市圏を中心とした効率的な事業展開を進めて参ります。また、連結子会社のコクドビルエース株式会社も活用し、建築物のライフサイクルを通じた幅広い機能へ拡張することでより幅広い価値提供を目指していきたいと考えております。
④ 関連事業による収益機会の拡大
関連事業は、土木事業及び建築事業に次ぐ収益の第三の柱として拡大を目指している事業であり、主に不動産関連事業と再生可能エネルギー事業に分けられます。不動産関連事業については、本社ビルをはじめとした賃貸物件を保有しており、2018年5月期の賃貸収入は632百万円に上ります。足許では、厚木愛川町土地に野村不動産との共同事業にて、Landport厚木愛川町を建設しており、賃貸収益への寄与が見込まれております。再生可能エネルギー事業については、現時点で32.5MWの太陽光発電所等を保有しております。足許では、宮城県松島町にて発電出力50MWの大型の太陽光発電所である松島どんぐり太陽光発電所を建設しており、今後の更なる収益拡大が見込まれております。
不動産関連事業・再生可能エネルギー事業ともに土木事業及び建築事業と密接に結びついており、両事業で培った高い技術力を活用することで、高品質・高収益の開発を実現しております。具体的に、不動産関連事業についてはLandport厚木愛川町の建設において、土木事業にて土工事の実績を活かした土地の造成を行い、建築事業の物流施設施工実績を活用して効率性の高い建築を実現しております。また再生可能エネルギー事業については、太陽光発電所に関して東日本大震災前から継続的に工事に取り組んでおり国内でも有数の施工実績を有しております。現在進行中の松島どんぐり太陽光発電所の建設においては、当社がEPC契約による工事及び造成工事を施工しており、グループをあげたサポートによりプロジェクトを推進して参ります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は498百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 主要な設備
前連結会計年度末において、計画中であった重要な設備の状況は次のとおりであります。
会社名事業所名等
(所在地)
セグメントの名称設備の
内容
投資予定総額資金調達方法備考
総額
(百万円)
既支払額
(百万円)
提出会社Landport厚木愛川町
(神奈川県愛甲郡
愛川町)
関連事業賃貸用
物流施設
3,900483自己資金
等価交換
2018年5月着手
2020年3月
完成予定
提出会社つくば未来センター
(茨城県つくば市)
土木事業
建築事業
関連事業
研究開発用施設1,500974自己資金2018年3月着手
2019年3月
完成
提出会社単身者寮、賃貸不動産、店舗
(茨城県つくば市)
土木事業
建築事業
関連事業
社員用施設
賃貸不動産
1,060187自己資金2018年4月着手
2020年2月
完成予定

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当第3四半期連結累計期間において、新たに取得した主な設備の状況及び新たに確定した重要な設備の新設の計画は次のとおりであります。
会社名事業所名等
(所在地)
セグメントの名称設備の
内容
投資予定総額資金調達方法備考
総額
(百万円)
既支払額
(百万円)
提出会社アンビックス・プリア茶屋ヶ坂
(名古屋市千種区)
関連事業賃貸不動産443443自己資金2018年7月取得
提出会社ライフ福泉店
(堺市西区)
関連事業賃貸不動産1,0871,087自己資金2018年11月取得
提出会社新東陽ビル
(東京都江東区)
関連事業賃貸不動産2,0072,007自己資金2019年2月取得
提出会社つくば未来センター
(茨城県つくば市)
土木事業マシナリー事業等
機械・設備
2,116313自己資金2021年5月まで
段階的取得
松島太陽光発電合同会社を営業者とする匿名組合本店:
東京都千代田区
関係会社太陽光売電設備12,5001,796自己資金
借入金
2018年7月着手
2020年6月
完成予定

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.上記の「ライフ福泉店」及び「新東陽ビル」は信託受益権の取得であります。