有価証券報告書-第125期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 13:40
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【項目】
136項目

対処すべき課題

国内建設市場におきましては、東日本大震災からの復興加速、成長戦略の具体化、国民の安全・安心確保、地域の活性化といった分野への取り組みが推進されており、また2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を見据えて首都圏地域での様々なインフラ整備も予想されます。一方で、近年の資機材価格や労務費単価の上昇基調、また高齢化した技能労働者の離職などで人手不足が見込まれるという建設産業全体の課題ともいうべき問題等も依然として残っております。
海外建設市場におきましては、引き続き新興国を中心に建設需要に勢いが感じられ、大型コンテナターミナルの整備や火力発電所の建設等、社会インフラの整備が進むものと考えられます。
こうした経営環境の中で、当社グループは、平成25年度を初年度とする「中期経営計画」を推進してまいりましたが、初年度は、工事採算性の向上に課題を残す結果に終わり、平成26年度は、この結果を踏まえた各部門の重点施策を確実に遂行した結果、事業目標を達成することが出来ました。
また、平成27年度期首から競争力の強化と採算性の向上を目指し、国内支店の土木、建築部門を分離し、再編する組織変更を行いました。
本計画の最終年度である平成27年度も事業目標を達成すべく、当社の各部門は下記のとおり重点施策を掲げました。この施策を確実に実行することによりステークホルダーの更なる期待と信頼に応えられる持続的成長企業を目指してまいります。
部門重点施策
(国内土木事業)
・情報把握の早期化及び採算性・生産性の分析等を強化し、要員配置を含め、優先度に応じた戦略的な取り組みを行う。
・海洋資源開発や再生可能エネルギー分野等、市場トレンドに即応した技術開発を推進し、これを活用した営業活動を強化する。
・大幅な組織再編後の支店体制において、本社・支店が協働し、受注競争力を維持・向上する連携体制を確立する。
(国内建築事業)
・東西の建築2支店に集約した体制において、改革の目的を早期に実現し、売上・利益の増加を図る。
・収益性を重視した案件の選別を継続し、自立体制を確立する。
・特命案件、企画提案案件、設計施工案件の受注を拡大する。
・国内企業が設備を海外にシフトする流れを捉え、投資案件への取り組みを強化する。
(海外事業)
・エネルギー関連施設等、EPC(Engineering Procurement and Construction)案件への取り組みを強化する。
・情報共有、実績データの分析、ノウハウの活用等により、営業力の強化・積算力の向上を図る。
・工事支援の強化、リスク情報の早期把握、早期対応等の諸施策を推進し、収益の向上を図る。
(経営管理)
・各部門、各業務、各階層に求められる人材を計画的に確保・育成する。
・財務体質の健全性を維持し、さらに強化する。
・リスク情報の早期把握、早期対応により重大化を防ぐ。
・安全、品質、環境の確保を再度徹底し、経営目標を達成する。
以上の重点施策を役職員が一丸となって確実に遂行することにより、経営課題の解決に取り組んでまいります。あわせて、震災復興、環境保全など幅広い分野での社会的責任を果たすと共に、「安全を全てに優先させる」意識のもと、安全・安心な職場環境を形成し、公正かつ信頼性の高い企業として持続的成長を目指してまいります。
なお、当社は会社の支配に関する基本方針を定めており、その内容等は次のとおりであります。
①基本方針の内容
当社は、公開会社として株式を上場し、株主、投資家の皆様による株式の自由な取引が認められている以上、当社株式に対する大規模買付提案またはこれに類似する行為があった場合において、これに応じて当社株式の売却を行うか否かの判断は、最終的には株主の皆様の意思に基づき行われるものであると考えております。
当社株式の売却を行うか否か、すなわち大規模買付提案等に応じるか否かの判断を株主の皆様に適切に行っていただくためには、大規模買付者側から買付の条件や買収した後の経営方針、事業計画等に関する十分な情報提供がなされる必要があると考えます。また、当社は、その大規模買付提案に対する当社取締役会の評価や意見、大規模買付提案に対する当社取締役会による代替案等も株主の皆様に提供しなければならないと考えます。株主の皆様には、それらを総合的に勘案したうえでご判断をいただく必要があると考えます。
当社の財務及び事業の方針を決定する者は、当社の経営理念を理解し、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係を十分に構築することができ、当社の企業価値、株主共同の利益を中長期的に向上させることのできる意思と能力を備えている必要があると考えます。
したがって、大規模買付提案にあたって当社や当社の株主に対し、提案内容に関する情報や意見、評価、代替案作成に必要な時間を与えない大規模買付者、買付の目的及び買付後の経営方針等に鑑み、当社の企業価値・株主共同の利益を損なうことが明白である大規模買付提案を行う買付者、買付に応じることを株主に強要するような仕組みを有する提案等を行う大規模買付者は、当社の財務及び事業の方針を支配する者としては適切ではないと考えています。
このような大規模買付提案または大規模買付行為等があった場合には、当社は、法令及び定款によって許容される限度において、企業価値や株主共同の利益を確保するために必要な措置を講じることを基本方針とします。
②基本方針の実現に資する取り組み
当社は、より多くの投資家の皆様に末永く継続して投資いただくため、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を向上させる取り組みとして、「高い技術をもって、社業の発展を図り、健全な経営により社会的責任を果たす」という経営理念を掲げ、その実現のための中期経営構想を実践しております。また、これらと並行して、コーポレート・ガバナンスの強化、充実に取り組んでおります。
③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止する取り組み
当社は、当社株式に対する大規模買付提案またはこれに類似する行為があった場合には、企業価値及び株主共同の利益の確保のため、適時適切な情報開示に努めるとともに、その時点において適切な対応をしてまいります。
④基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて
当社の中期経営構想は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させる取り組みとして、当社の経営理念を実現させるため実践しているものであり、まさに当社の基本方針に沿うものであります。
従いまして上記の取り組みは、当社の会社役員の地位の維持を目的としたものではありません。