有価証券報告書-第86期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/28 10:16
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145項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルスの感染拡大による度重なる緊急事態宣言の発出もあり、年度を通じて経済活動の制約が続き、その影響で一部好調な業種があるものの全般的には厳しい状況が続いてきました。予定されていたオリンピック・パラリンピックや様々なイベントの延期や中止、外出の自粛による個人消費の落ち込みや、インバウンドの消失等、経済活動の低迷が大きく影を落としています。また、世界経済においても新型コロナウイルスの感染拡大の影響は大きく、未だに収束は見えず低調に推移しました。一方早期にコロナ禍から脱却した中国では経済活動の回復が見られ、世界経済のけん引役として期待されるものの、米中貿易摩擦は米国の政権交代後も解決の糸口は見られず、世界経済への悪影響が懸念されます。
当社グループの主たる事業である建設業界におきましては、公共建設投資は、国土強靭化政策推進の下、自然災害への防災・減災対策や復旧・復興対策、老朽化したインフラ対策等により堅調に推移しました。民間建設投資につきましては、コロナ禍の中、輸出関連企業を中心に製造業の業績の下振れが顕在化し、雇用・所得環境の悪化やインバウンドの消失に伴う宿泊関連をはじめとする設備投資マインドの低下が見られた一方、生活様式の変化に伴い、物流施設等の需要は堅調に推移しました。
このような状況の中、当社グループは、「中期3ヵ年計画(2018年度~2020年度)」の最終年度に当たり、これまで様々な社会変化に対応すべく、新技術開発による人材不足対策をはじめとした生産性の向上や、大学・異業種等とのオープンイノベーションによる取り組みを拡大し、既存技術の洗練と新領域への挑戦をし、多様に変化する経営環境の中で経営課題をしっかりと捉え、「淺沼組らしさ(独自性)の追求」を推し進めてきました。
当社グループにおきましては、新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響により一部工事案件の発注先送りなどが見られる中、受注競争は厳しさを増してきており、当連結会計年度の受注高は1,206億3千6百万円となり、前連結会計年度比18.6%の減少となりました。
売上高につきましては、1,389億3千4百万円となり、前連結会計年度比1.8%の減少となりました。
損益に関しましては、期初計画と比べ完成工事高の増加により完成工事総利益が上回り、売上総利益につきましては、139億4千5百万円(前年同期比4.6%減)となりました。また、営業利益及び経常利益につきましては、それぞれ、営業利益52億9千1百万円(前年同期比19.8%減)、経常利益53億6千4百万円(前年同期比17.6%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、41億3千8百万円(前年同期比3.8%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(建 築)
受注高は935億8千5百万円(前年同期比23.8%減)、売上高は1,101億4千5百万円(前年同期比5.5%減)となり、セグメント利益は109億6千7百万円(前年同期比8.5%減)となりました。
(土 木)
受注高は270億5千1百万円(前年同期比6.5%増)、売上高は277億1百万円(前年同期比18.1%増)となり、セグメント利益は26億1千3百万円(前年同期比13.2%増)となりました。
また、「その他」の事業につきましては、売上高10億8千7百万円(前年同期比24.3%減)、セグメント利益1億4千3百万円(前年同期比9.4%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の減少は129億2百万円(前連結会計年度82億2千8百万円の資金の増加)となりました。これは主に支払期日の変更による仕入債務の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の増加は8億1千5百万円(前連結会計年度3億8千5百万円の資金の減少)となりました。これは主に投資有価証券の売却によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は19億4千8百万円(前連結会計年度15億6千8百万円の資金の減少)となりました。これは主に配当金の支払によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物は、140億1千6百万円減少し、当連結会計年度末には157億6千万円(前連結会計年度比47.1%の減少)となりました。
③ 生産、受注及び売上の状況
a.受注実績
セグメントの名称前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
(百万円)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
(百万円)
建 築122,87493,585
土 木25,40627,051
合計148,280120,636

(注) 当社グループでは建設事業以外では受注生産を行っておりません。
b.売上実績
セグメントの名称前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
(百万円)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
(百万円)
建 築116,575110,145
土 木23,45927,701
その他1,4371,087
合計141,472138,934

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。
3 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
建設事業における受注工事高及び完成工事高の状況
a.受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
期別区分前期繰越
工事高
(百万円)
当期受注
工事高
(百万円)

(百万円)
当期完成
工事高
(百万円)
次期繰越
工事高
(百万円)
前事業年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
建築工事122,030120,673242,703114,899127,804
土木工事32,35225,05357,40623,43433,972
154,383145,726300,110138,333161,776
当事業年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
建築工事127,80492,235220,039109,180110,858
土木工事33,97226,93960,91227,52933,382
161,776119,174280,951136,709144,241

(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にそ
の増減額を含んでおります。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。
b.受注工事高の受注方法別比率
工事受注方法は、特命と競争に大別されます。
期別区分特命
(%)
競争
(%)

(%)
前事業年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
建築工事40.859.2100.0
土木工事20.080.0100.0
当事業年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
建築工事49.950.1100.0
土木工事32.867.2100.0

(注) 百分比は請負金額比であります。
c.完成工事高
期別区分官公庁
(百万円)
民間
(百万円)

(百万円)
前事業年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
建築工事29,59385,305114,899
土木工事16,5216,91223,434
46,11592,218138,333
当事業年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
建築工事26,00983,171109,180
土木工事18,8318,69727,529
44,84091,869136,709

(注) 1 完成工事高のうち請負金額10億円以上の主なものは、次のとおりであります。
前事業年度
シモハナ物流株式会社(仮称)シモハナ物流(株)岩槻センター新築工事
大和リース株式会社(仮称)BRANCH博多パピヨンガーデン新築工事
東ソー物流株式会社東ソー物流株式会社 物流センター新築工事
福岡県嘉麻市嘉麻市新庁舎建設工事
パナソニックホームズ株式会社(仮称)パークナード代官山新築工事
ヒューリック株式会社高畑町裁判所跡地保存管理・活用事業
西日本高速道路株式会社舞鶴若狭自動車道 石原工事
福島地方環境事務所平成30年度浪江町特定復興再生拠点区域被災建物等解体
撤去等及び除染等工事(その2)

当事業年度
大和ハウス港北特定目的会社(仮称)DPL横浜港北Ⅰ 新築工事
大阪府和泉市和泉市新庁舎整備事業
ミサワホーム株式会社
トヨタホーム株式会社
(仮称)千代田区飯田橋四丁目計画新築工事
須河車体株式会社須河車体株式会社 新工場新築工事(建築工事)
日野セールスサポート株式会社九州日野自動車株式会社 新本社・支店移転建設工事
独立行政法人都市再生機構(仮称)南青山アパート災害公営住宅建設工事
関東地方整備局東京外環中央JCT北側ランプ函渠工事
東大阪市上下水道局令和元年度公共下水道第9工区管きょ築造工事

2 前事業年度及び当事業年度ともに完成工事高総額に対する割合が、100分の10以上の相手先はありません。
d.次期繰越工事高(2021年3月31日現在)
区分官公庁
(百万円)
民間
(百万円)

(百万円)
建築工事26,99283,866110,858
土木工事23,33310,04833,382
50,32693,915144,241

(注) 次期繰越工事のうち請負金額10億円以上の主なものは、次のとおりであります。
セキスイハイム東海株式会社(仮称)タワー・ザ・ファースト名古屋伏見新築工事2023年3月完成予定
奈良県大和郡山市大和郡山市新庁舎建設工事2023年6月完成予定
東京都警視庁志村警察署庁舎(30)改築工事2022年9月完成予定
住友不動産株式会社(仮称)中野六丁目計画新築工事2022年8月完成予定
北鈴蘭台駅前再開発株式会社北鈴蘭台駅前地区第一種市街地再開発事業施設建築物新築工事2022年5月完成予定
大阪市都市整備局水都国際中学校・高等学校西学舎建設その他工事2022年11月完成予定
東京都水道局東村山市萩山町三丁目地内から小平市天神町三丁目
地内間導水管(2000mm)用トンネル築造工事
2022年8月完成予定
名古屋高速道路公社令和元年度高速1号楠線床版等修繕工事(楠工区)2022年6月完成予定

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績)
当連結会計年度における建設事業につきましては、年度初めから新型コロナウイルスの感染拡大に伴う最初の緊急事態宣言が発令され、経済活動が制約、混乱した中でスタートし、特に受注活動において大きく制約を受けました。また、当社におきましては、国内の作業所における施工活動は特段停滞することはありませんでしたが、海外の塗装工事を行う連結子会社においては一定期間工事がストップする状況となりました。新型コロナウイルスへの対応が長引く中、ある程度感染予防対策も確立、浸透してきており、年度初めと比較すれば落ち着きを取り戻している感はありますが、変異株のまん延も聞かれ引き続き警戒は必要と考えます。工事の施工環境としましては、建設資材の調達も含め大きな混乱はなく推移いたしました。
そのような中、当社グループの受注高は、中期3ヵ年計画(2018年度~2020年度)の最終年度に当たり、当初計画値でありました1,360億円及び修正後の年度計画値の1,260億8千万円を下回り、1,206億3千6百万円となりました。これは過去に受注した工事の取り消しや工事の発注の先送り等があったことによるものです。
売上高につきましては、1,389億3千4百万円となり、前連結会計年度の受注が多かったことから当年度初めの手持工事高が確保されていたことと、比較的順調に工事が進捗したことで、当初の中期3ヵ年計画値を達成することができました。
損益に関しましては、営業利益は52億9千1百万円となり、中期3ヵ年計画よりも完成工事総利益率が下回ったことで未達となりましたが、年度計画は売上高が増加したこと等で達成することができました。同様に経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益につきましても、それぞれ、53億6千4百万円、41億3千8百万円となり、中期3ヵ年計画未達となりましたが年度計画は達成することができました。また、自己資本利益率(ROE)は10.3%となり、前連結会計年度と比べて1.0ポイントの減少となり、中期3ヵ年計画の3年目計画値11.4%は未達となりましたが、10%以上との目標は達成できました。
(セグメントごとの経営成績)
建築部門の経営成績は、受注高が前連結会計年度比23.8%減の935億8千5百万円となり、これは前連結会計年度において大型の物流施設の受注がありましたが、当連結会計年度は無かったこと等で、民間の受注が当社において、209億4千5百万円減少したことが主たる要因です。売上高は前連結会計年度比5.5%減の1,101億4千5百万円となりましたが、手持工事が順調に進捗し、年度計画は達成しました。セグメント利益は前連結会計年度比8.5%減の109億6千7百万円となり、これは売上高が減少したことに加え、前連結会計年度に利益率の高い大型工事があったことによります。
土木部門の経営成績は、受注高が前連結会計年度比6.5%増の270億5千1百万円となり、これは官庁工事が減少したものの、民間の大型受注があったためで、年度計画を達成することができました。売上高につきましては、前連結会計年度比18.1%増の277億1百万円となりましたが、これは期初の手持工事高が多かったことと、順調に進捗したことによるもので、年度計画を上回ることができました。セグメント利益は前連結会計年度比13.2%増の26億1千3百万円となり、これは売上高の増加によるものです。
(財政状態)
当連結会計年度末における財政状態は、資産合計が921億7千6百万円となり、前連結会計年度比108億6千8百万円の減少となりましたが、これは主に支払期日を変更したことにより現金及び預金が140億1千6百万円減少した一方、未収入金は40億1百万円増加したこと等によるものです。
負債合計は、前連結会計年度比132億6千5百万円減少し、504億6千5百万円となりましたが、これは主に支払期日を変更したことにより、支払手形・工事未払金等が115億6千5百万円減少したことや未成工事受入金が13億5千5百万円減少したこと等によります。
純資産合計は、前連結会計年度比23億9千7百万円増加し、417億1千万円となりました。これは主に当期純利益41億5千5百万円の計上や配当金の支払17億4千万円によるものです。
この結果、連結自己資本比率は45.0%となり、中期3ヵ年計画の最終年度の目標値であります40%台を達成することができました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、140億1千6百万円減少し、当連結会計年度末では157億6千万円となりました。これは主に支払期日を変更したことにより、仕入債務が115億4千6百万円減少したこと、また未収入金が40億4千万円増加したこと等により営業活動によるキャッシュ・フローが129億2百万円の減少となった一方、政策保有株式の縮減を進めていることで投資有価証券の売却により19億6千4百万円の収入があったこと等で投資活動によるキャッシュ・フローは8億1千5百万円増加し、配当金の支払16億4百万円や借入金の返済により財務活動によるキャッシュ・フローが19億4千8百万円減少したことによるものです。
当社グループにおける主な資金需要は、建設事業における工事施工に要する工事費、販売費及び一般管理費ならびに技術開発・ICT関連の設備投資や新領域関連の投資資金です。
運転資金については、金融機関からの借入金及び社債の発行により調達しており、設備投資資金等については、内部留保等の自己資金でまかなっております。
当社は中期3ヵ年計画において、資金投入計画と共に株主還元計画を打ち出しており、競争力の維持・強化、成長投資と株主還元のバランスを取る方針としております。株主配当につきましては、中期3ヵ年計画において最終年度である当連結会計年度の連結配当性向を50%以上としており、1株当たり257円、連結配当性向50.0%としました。また、次期の配当につきましては、新中期3ヵ年計画(2021年度~2023年度)において連結配当性向50%以上を計画しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成しておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われており、資産・負債や収益・費用の金額にその結果が反映されております。
これらの見積りにつきましては、過去の実績等を踏まえながら継続して評価し、必要に応じ見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なることがあります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積り及び仮定については、連結財務諸表「注記事項(追加情報)(新型コロナウイルスの感染拡大の影響に関する会計上の見積り)」に記載のとおり前連結会計年度末の有価証券報告書の追加情報に記載した内容から重要な変更はありませんが、国内外経済の減速に伴う設備投資マインドの低下は足元では改善の兆候が見られ、新型コロナウイルスの感染拡大が収束に向かうにつれ、2021年度の後半あたりから回復してくるものと仮定して翌連結会計年度の受注計画を立てております。当連結会計年度末における繰延税金資産の回収可能性の判断にあたりましても、上記新規工事受注高における一定程度の影響が残るものとの仮定を用いて見積もっております。

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