四半期報告書-第85期第2四半期(平成28年7月1日-平成28年9月30日)

【提出】
2016/10/31 15:11
【資料】
PDFをみる
【項目】
31項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第2四半期連結累計期間(平成28年4月1日~平成28年9月30日、以下、当四半期累計期間)のわが国経済は、企業収益の改善に足踏みが見られるなど、足元で弱さもありましたが、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあり、緩やかな回復基調が続きました。
このような経済環境下、当社の事業領域であるICT(※1)市場におきましては、分野ごとに強弱が見られました。
まず企業におきましては、ICT投資の回復が継続しており、投資効果に対する経営者意識の厳しさが継続するなかで、特に働き方改革などの企業の経営強化・競争力強化を目指した投資が堅調に推移いたしました。
通信事業者におきましては、ネットワークインフラへの設備投資が引き続き抑制されるなど、厳しさが続いております。
官庁・自治体、公益関連では、平成28年5月にアナログからの移行期限を迎え、消防救急無線システムのデジタル化投資が終了いたしましたが、安心・安全や放送分野など都市基盤高度化に応じた投資の堅調感には変化がありません。
一方、海外においては、アジア圏を中心として移動体通信をはじめとするインフラ構築の需要が顕在化しております。
こうした市場環境のなか、当社グループでは、当期を中期的な再成長に向けた足場固めの年と位置付け、営業体制の強化や、ソリューションのプロモーション活動を積極的に展開するとともに、社内においては、基幹システムの開発や費用効率化の継続など事業力の強化を進めてまいりました。企業向けには、PBX(※2)の更新需要を捉えてサービス型事業の加速を図るべくクラウド音声サービス「ネッツボイス」を投入、さらにはお客様のIoT(※3)ソリューション開発における検証・評価を行うIoTラボを開設するなど、「EmpoweredOffice(※4)」やIoT/MVNO(※5)などの注力事業分野の拡大に向けた施策を展開してまいりました。また、海外においても、平成28年4月に、今後のインフラ投資拡大が期待されるミャンマーへ、技術者の確保・育成による事業基盤の強化や、さらなる事業拡大に向け、現地企業との合弁により海外子会社ICT Star Group Myanmar Co., Ltd.を設立し、前期に本格進出したミャンマー市場への取り組みを強化いたしました。
これらの結果、当四半期累計期間における連結業績は、売上高 1,188億33百万円(前年同期比 7.0%減少)
営業利益 17億25百万円(前年同期比 51.2%減少)
経常利益 18億52百万円(前年同期比 48.5%減少)
親会社株主に帰属する四半期純利益 10億11百万円(前年同期比 48.0%減少)
<参考>受注高 1,443億85百万円(前年同期比 2.0%増加)
となりました。
売上高は、1,188億33百万円と前年同期比7.0%の減少となりました。これは、海外売上が増加した一方で、通信事業者の設備投資抑制の影響によりキャリアネットワーク分野の売上が大幅に減少したことや、消防救急無線システムのデジタル化対応プロジェクトが終了したことによるものです。受注高は、通信事業者の設備投資抑制や消防救急無線システムのデジタル化対応プロジェクトの終了の影響などがありましたが、一般企業向けが堅調に推移したことに加え、太陽光発電所建設大型プロジェクトの受注により、前年同期比2.0%増加の1,443億85百万円となりました。
収益面では、コスト効率化により企業ネットワーク、キャリアネットワーク分野を中心に原価率が改善しましたが、売上高が大きく減少したことなどにより、営業利益が前年同期比18億6百万円減少の17億25百万円、経常利益が17億44百万円減少の18億52百万円となりました。これに伴い、親会社株主に帰属する四半期純利益につきましても、前年同期比9億33百万円減少の10億11百万円となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりであります。
<セグメント別売上高>(単位:百万円)
企業ネットワーク事業キャリアネットワーク事業社会インフラ事業その他
売上高当第2四半期
連結累計期間
52,06028,47734,9283,366118,833
前第2四半期
連結累計期間
50,95635,61839,3731,886127,834
増減額1,104△7,141△4,4451,480△9,001
増減率(%)2.2△20.0△11.378.5△7.0

<参考:セグメント別受注高>(単位:百万円)
企業ネットワーク事業キャリアネットワーク事業社会インフラ事業その他
受注高当第2四半期
連結累計期間
60,51235,21045,5653,096144,385
前第2四半期
連結累計期間
52,83934,71251,0102,936141,500
増減額7,672497△5,4451592,885
増減率(%)14.51.4△10.75.42.0

1. 企業ネットワーク事業(520億60百万円:前年同期比2.2%増):
働き方改革へのICT投資は引き続き堅調に推移し、オフィス改革ソリューション「EmpoweredOffice」が堅調に推移したことにより、売上高は前年同期比2.2%増加の520億60百万円となりました。
2. キャリアネットワーク事業(284億77百万円:前年同期比20.0%減):
移動体基地局を中心に通信事業者の設備投資が一層抑制されている影響により、売上高は前年同期比20.0%減少の284億77百万円となりました。
3. 社会インフラ事業(349億28百万円:前年同期比11.3%減):
海外および放送・CATV分野の売上が増加した一方で、消防救急無線システムのデジタル化対応が、平成28年5月にアナログからの移行期限を迎え減少し、売上高は前年同期比11.3%減少の349億28百万円となりました。
※1 ICT:
Information and Communication Technology(情報通信技術)の略。
※2 PBX:
Private Branch eXchangeの略。
外線からの発着信の制御や内線同士の通話機能などを持つ構内交換機のこと。
※3 IoT:
Internet of Thingsの略。
コンピュータ、ルーターなどの情報・通信機器だけでなく、世の中に存在する様々な個体(モノ)に通信機能を持たせ、インターネットなどのネットワークに接続、通信することで、自動認識や自動制御、遠隔計測などを実現する概念のこと。
※4 EmpoweredOffice(エンパワードオフィス):
当社の提供するオフィス改革ソリューション。当社の強みであるICTとファシリティ施工力を融合し、より知的で創造的なワークスタイルへの業務プロセス改革を実現するとともに、セキュリティ強化や環境対応力といった社会的責任に応える「働き方」と「働く場」の改革を提案するもの。
※5 MVNO:
Mobile Virtual Network Operatorの略。
仮想移動体通信事業者のこと。
<セグメントの概要>
セグメント主な事業内容
企業ネットワーク事業主に企業等のオフィス向けのICTソリューションに関するサービスインテグレーションの提供。ICTを核にセキュリティや環境等の対応まで含めた総合オフィスソリューションや、これらに関する運用・監視サービスならびにデータセンターやコンタクトセンターを活用したアウトソーシング・サービスの提供。
キャリアネットワーク事業主に通信事業者向けのICT基盤(移動体基地局からコアネットワークまで)におけるSIサービス・設置工事から運用・監視等の関連サービスに至るサービスインテグレーションの提供およびキャリアグレードの大規模かつ広域なICT基盤やデータセンターに関するSIサービスならびにこれらに関する運用・監視サービスの提供。
加えて、ネットワーク機器などの製造開発、販売およびシステムインテグレーションの提供。
社会インフラ事業主に官庁・自治体や公益法人(放送事業者、電力事業者など)向けのICTインフラに関するSIサービス・設置工事から運用・監視等の関連サービスに至るサービスインテグレーションの提供および海外子会社における各種サービスの提供。
その他情報通信機器等の仕入販売。

(2) 財政状態の分析
(資産)
当第2四半期連結会計期間の総資産は、前年度末に比べ115億32百万円減少し、1,850億36百万円となりました。流動資産は、前年度末に比べ106億71百万円減少し、1,569億66百万円となりました。この主な要因は、受取手形及び売掛金が299億19百万円減少し、現金及び預金が163億47百万円、たな卸資産が18億1百万円増加したことなどによるものであります。固定資産は、前年度末に比べ8億60百万円減少し、280億70百万円となりました。
(負債)
当第2四半期連結会計期間の負債は、前年度末に比べ109億16百万円減少し、912億54百万円となりました。この主な要因は、支払手形及び買掛金が81億87百万円、未払法人税等が28億35百万円減少したことなどによるものであります。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間の純資産は、前年度末に比べ6億15百万円減少し、937億82百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が7億25百万円減少したことなどによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
当第2四半期連結累計期間の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年度末に比べ163億47百万円増加し、602億37百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の減少、たな卸資産の増加、仕入債務の減少、法人税等の支払による減少などにより、190億74百万円の資金の増加となりました。前年同期と比べると35億57百万円の増加となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産および無形固定資産の取得による支出などにより12億4百万円の資金の減少となりました。前年同期と比べると7億68百万円の増加となっております。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは、178億69百万円の資金の増加となりました。前年同期と比べると43億26百万円の増加となっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払による減少などにより、14億58百万円の資金の減少となりました。前年同期と比べると14億1百万円の減少となっております。なお、利益配当金につきましては、前年度末の1株当たり配当金を35円にしたことにより、前年同期と比べると1億45百万円増加し、17億35百万円の支払を行っております。
(4) 事業上および財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、事業上および財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は1億14百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 従業員数
当第2四半期連結累計期間において、連結会社または提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(7) 生産、受注および販売の実績
当第2四半期連結累計期間において、生産、受注および販売実績の著しい変動はありません。
(8) 主要な設備
当第2四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動および主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変動はありません。