有価証券報告書-第50期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

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2014/06/30 12:30
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103項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、当社の基本的な方針はできるだけ費用または損失については見込が可能な限り当該期間に計上するということであります。具体的には、保守的な観点での貸倒引当金、瑕疵担保損失引当金の計上などであります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度におけるわが国の経済は、景気が緩やかな回復基調を継続して企業収益、雇用情勢は改善していますが、原発停止で火力発電燃料などは輸入価格が高止まりし、円安もあって貿易収支は赤字が継続、米国を中心とした海外経済の回復基調や政府のまとめる成長戦略への期待感が強まっています。
建設業におきましては、アベノミクス効果による急激な株高や消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要などが消費者の購入意欲を向上させたため、市況は底堅く推移し、当社グループにおきましても給排水管設備工事は売上高前年比プラスを計上しましたが、競合他社と比較して質、量に劣る当社グループには、経営環境の厳しい状況が継続しています。
こうした情勢下において、売上高は、195,213千円と前連結会計年度と比べ4,301千円の減少(△2.2%)、営業損失は、252,732千円と前連結会計年度と比べ77,302千円の縮小(△23.4%)、経常損失は、299,649千円と前連結会計年度と比べ29,403千円の縮小(△8.9%)、当期純損失は、293,094千円と前連結会計年度と比べ326,501千円の減益(前連結会計年度は33,407千円の当期純利益)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
Ⅰ 建設事業
当セグメントにおきましては、売上高は194,158千円となり、前連結会計年度と比較して4,171千円の減少(△2.1%)、セグメント損失(営業損失)は22,659千円となり、前連結会計年度と比較して13,389千円の縮小(△37.1%)となりました。尚、当該業績に至った主な要因は以下のとおりであります。
イ.リフォーム・メンテナンス工事
リフォーム・メンテナンス工事におきましては、売上高は36,140千円となり、前連結会計年度と比較して12,882千円の減少(△26.3%)、セグメント損失(営業損失)は12,345千円となり、前連結会計年度と比較して3,327千円の減益(36.9%)となりました。
当該業績に至った主な要因は、完成戸数は前連結会計年度と比較して6.3%とプラスになりましたが、1件当たりの顧客売上高が減少したこと及び同業他社との業務提携契約による手数料収入が前連結会計年度と比較して△20.0%と逓減したなどによるものであります。
ロ.給排水管設備工事
給排水管設備工事におきましては、売上高は157,453千円となり、前連結会計年度と比較して20,097千円の増加(14.6%)、セグメント利益(営業利益)は8,193千円となり、前連結会計年度と比較して7,343千円の増益(864.7%)となりました。
当該業績に至った主な要因は、完成戸数は前連結会計年度と比較して△10.8%とマイナスになりましたが、1件当たりの顧客売上高が増加したこと及び営業費用を前連結会計年度と比較して△17.4%と縮小したなどによるものであります。
ハ.太陽光事業
太陽光事業におきましては、売上高は563千円となり、前連結会計年度と比較して11,385千円の減少(△95.3%)、セグメント損失(営業損失)は18,506千円となり、前連結会計年度と比較して9,373千円の縮小(△33.6%)となりました。
当該業績に至った主な要因は、当連結会計年度においては、「自宅、自社での発電利用を目的とした10kW未満の発電規模を有する一般家庭・事業者向け」及び「モジュールを設置し、電力会社等に電力を販売することを目的とした50kW以上の発電規模を有する小規模発電施設事業者向け」の営業に関しては、一部地域において業務提携先による販売交渉は行われたものの、売上高としては当社グループと取引実績のある他社への部材の販売高に留まったためでありますが、当社グループでは、「クレアグループが1区画40kW以上50kW未満の発電規模を有する太陽光発電施設の所有者となり、個人・事業者・投資家等に当該施設を販売するビジネス」について複数の案件に着手しており、当連結会計年度末において、仕掛販売用太陽光設備として127,350千円、建設仮勘定として145,200千円を計上しております。
Ⅱ 不動産事業
当セグメントにおきましては、当連結会計年度において売上高を計上することができませんでした(前連結会計年度においても当セグメントの売上高はありません)。セグメント損失(営業損失)は155千円と前連結会計年度と比較して14,598千円の縮小(△98.9%)となりました。
当該業績に至った主な要因は、不動産事業におきましては、短期売買が可能であり、かつ優良と判断される物件に絞った転売利益を目的とした事業展開を図っていますが、当連結会計年度においては該当する物件を調達・販売出来なかったため及び太陽光事業を推進させるために必要な土地の調査などに営業力を投下したためであります。Ⅲ 投資事業
当セグメントにおきましては、売上高は1,745千円となり、前連結会計年度と比較して220千円の減少(△11.2%)、セグメント利益(営業利益)は285千円となり、前連結会計年度と比較して7,345千円の解消(△104.0%)となりました。尚、当該業績に至った主な要因は以下のとおりであります。
当セグメントにおきましては、投資事業におきましては、法人向け有担保貸付のみを行っており、前連結会計年度と比較して当連結会計年度においては貸出額が減少しているためであります。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、各セグメント別に経営成績に重要な影響を与える要因について以下のとおり分析しております。
① 建設事業
リフォーム・メンテナンス事業におきましては、当事業環境が他社との受注競合が激しくまた事業内容が国内景気動向の影響を受けやすいこともあり、一件当たりの工事価額が高く、且つ利益率が高いエクステリア工事・外装工事等の受注高が減少して単純な営繕工事のみの受注高に留まった場合には、当社グループの経営成績が大きく左右されることがあります。また、給排水管工事事業におきましては、大規模受注高となる集合住宅の窓口となるマンション管理組合との折衝の失敗、競合他社との差別化の失敗、給排水管設備の革新による設備の寿命の長期化等により当社グループの経営成績が大きく左右されることがあります。太陽光事業におきましては、他社との販売価格競合が厳しくなることが利益率の低下に、「再生可能エネルギー全量買取制度」の買取価格低下は市場の減退に、事業戦略パートナーとの提携解消は供給不可能状態に、太陽電池モジュール原材料の高騰は市場への供給量減退にそれぞれ影響を与えるため、当社グループの経営成績が大きく左右されることがあります。
② 不動産事業
不動産事業における不動産の売買におきましては、短期に売買可能であり、かつ優良と判断される物件に絞った仕入販売のみを取り扱っているため、当該条件を満たす物件を獲得出来なかった場合には、当社グループの経営成績が大きく左右されることがあります。
③ 投資事業
貸金事業におきましては、「貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律」の適用を受け、弁済資力・担保資産等の充分な調査を行うため、貸出額が低迷し利息収入が低下する可能性があり、当社グループの経営成績が大きく左右されることがあります。また、株式投資事業におきましては市場価額等の変動リスクが潜在しており、株価の急激な下落が発生した場合には投資損失を発生させることとなり、当社グループの経営成績が大きく左右されることがあります。
(4)戦略的現状と見通し
イ 目標とする経営指標
クレアグループは、当社グループの脆弱な財務体質状況からの脱却を図ることを引続き目標としております。
然しながら、営業キャッシュ・フローのマイナスが継続しているため、連結ベースでの営業利益の増加、営業キャッシュ・フローのプラスを経営の指標としております。
ロ 中長期的な会社の経営戦略
①太陽光事業の経緯について
当社グループは、太陽光事業及び関連する不動産事業に注力しており、当該事業の事業規模及び収益の拡大に向け、当連結会計年度においてライツ・オファリング(ノンコミットメント型)及び第三者割当による株式の発行により955,262千円の資金調達を行いました。
これらの資金については、当社グループが取組んでいる太陽光発電事業のうち、「クレアグループが1区画40kW以上50kW未満の発電規模を有する太陽光発電施設の所有者となり、個人・事業者・投資家等に当該施設を販売するビジネス」のうち、
・売電価格引下げ認定前による建設用地を、投資機会を逃すことなく機動的に確保する資金
・確保済の建設用地における太陽光発電施設の建設費
に充当されておりますが、今後、売電価格引下げ認定により売電価格の下落が見込まれるであろうという想定の下、税抜売電価格36円/kWhで認定を取得できる建設用地を2014年5月までに73箇所(487区画想定)確保し、また、事業を推進させるため、太陽光発電施設の建設に必要な経済産業省の設備認定及び電力会社の系統連系許諾を継続して行っております。
その結果、平成25年10月~平成26年5月までに確保した建設用地への調達した資金の配分は、以下の通りの状況となっております。
所在地箇所区画数
(注)3
配分額
(百万円)
既支払額
(百万円)
配分残高
(百万円)
熊本県葦北郡葦北町11120013186
宮崎県えびの市他171121606594
熊本県上益城郡山都町他13901005148
熊本県玉名郡南関町他666894048
鹿児島県肝属郡南大隈町他35203380113266
小 計(注)172482929284643
滋賀県甲賀市(注)21510100
合 計73487939295643

(注)1.平成26年3月31日時点の帳簿価額との乖離は、仕掛販売用太陽光設備127百万円、建設仮勘定145百万円、流動資産のその他に含まれる土地の売買、賃貸予約金11百万円であります。
2.滋賀県甲賀市のプロジェクトについての事業予算の支出時期は平成26年5月及び6月であります。
3.区画数は、当社が判断する現在の区画数であり増減する可能性があります。
4.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
②今後の事業予算の支出時期について
熊本県葦北プロジェクトにおいては、平成26年9月頃の買主への施設引き渡しを目途に建設を行う予定としておりましたが、全11区画想定のうち、7区画想定分については、電力会社との系統連系(発電施設を電力会社に接続すること)の許諾の回答待ちの状況にあり、11区画同時に建設することが部材の搬入・施設建設のコスト面から圧倒的に有利であると判断したことから着工を遅らせることとし、これに伴い、事業予算の支出時期も変動します。また、前述のプロジェクト以外の72箇所476区画については、滋賀県甲賀市プロジェクトは売却方法の検討を行っており平成26年10月を目処に当該プロジェクトの売却を、それ以外のプロジェクトにつきましても投資効率及び短期資金化が可能な案件の精査を行っており、事業予算の支出時期はプロジェクトの推進決定時期の如何によって変動します。
(5)資本の財源及び資金の流動性について
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は603,005千円となり、前連結会計年度末と比較して187,320千円の増加(45.1%)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローでは、営業活動の結果使用した資金は610,252千円(前連結会計年度は273,710千円の使用)となりました。
この主な要因は、税金等調整前当期純損失が291,031千円、仕掛販売用太陽光設備の増加が127,350千円、前払金の増加が134,950千円などによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、投資活動の結果使用した資金は155,943千円(前連結会計年度は12,312千円の獲得)となりました。
この主な要因は、建設仮勘定の取得による支出が145,200千円などによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、財務活動の結果獲得した資金は953,516千円(前連結会計年度は2,408千円の使用)となりました。
この主な要因は、第三者割当による株式の発行の収入が379,346千円、ライツ・オファリング(ノンコミットメント型)による株式の発行の収入が575,916千円などによるものであります。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
イ 当社グループの経営陣は、以下のとおり当社グループに問題があると認識しております。
当社グループは、前連結会計年度まで継続的に営業損失を計上しており、当連結会計年度におきましても252,732千円の営業損失を計上いたしました。また、営業キャッシュ・フローにつきましても610,252千円のマイナスの状況となっております。これら継続する営業損失、営業キャッシュ・フローのマイナスの状況を改善すべく、当社グループは、営業力の強化、社会的信頼の回復に取り組んでおりますが、当連結会計年度においてはこれらマイナスの状況を改善するまでには至ることができませんでした。
従いまして、当該状況が改善されない限り、当社グループが事業活動を継続するために必要な資金の調達が困難となり、債務超過に陥る可能性が潜在しているため、当社グループには継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
ロ 事業等のリスクに記載した重要事象等についての分析・検討内容及び当該事象を解消し、又は改善するための対応策
当社グループは、当該状況を解消、改善すべく、以下のとおり対応してまいります。
当社グループは、当社グループ全体で建設事業としての環境ビジネスを推進し、太陽光事業及び関連する不動産事業では、「自宅、自社での発電利用を目的とした10kW未満の発電規模を有する一般家庭・事業者向け」、「モジュールを設置し、電力会社等に電力を販売することを目的とした50kW以上の発電規模を有する小規模発電施設事業者向け」、「クレアグループが1区画40kW以上50kW未満の発電規模を有する太陽光発電施設の所有者となり、個人・事業者・投資家等に当該施設を販売するビジネス」を推進するために他社との業務関係を築き、提携を積極的に行い、かつ事業規模の拡大に取組み、太陽光発電事業の安定供給化を図ります。
当社グループは、太陽光発電事業を推進していくことがクレアグループの他セグメントへのシナジー効果、企業価値の増大に最終的には寄与するものと判断していますが、リフォーム・メンテナンス事業においては、当社グループの顧客総数を生かした巡回営業、他社との業務提携を生かしたアフターサービス展開を図り、給排水管工事事業においても、定期的に排水管診断、衛生診断等を行う診断収入の安定化を図り、大規模工事や一時的な小規模工事についても過去の工事実績を生かした営業展開を図っていくことで、財務体質の脆弱性の解消を目指します。