有価証券報告書-第90期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

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2020/03/17 13:40
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188項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、2018年度を初年度とする中期経営計画に基づき、不動産賃貸事業の更なる増強をはかるとともに、開発事業及びバリューアッド事業を積極的に推進した結果、2019年度におきましては、中期経営計画の最終年度にあたる2020年度の経常利益などの目標を1年前倒しで概ね達成いたしました。
その結果、当連結会計年度の業績は、営業収益は357,272百万円(前期比69,759百万円、24.2%増)、営業利益88,353百万円(前期比12,788百万円、16.9%増)、経常利益84,645百万円(前期比12,114百万円、16.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益58,805百万円(前期比9,290百万円、18.7%増)となりました。
財政状態については、当連結会計年度末の資産合計は、1,776,272百万円(前期末比250,292百万円、16.4%増)、負債合計は、1,314,415百万円(前期末比192,571百万円、17.1%増)、純資産合計は、461,856百万円(前期末比57,721百万円、14.2%増)となりました。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については当該表示方法の変更を反映した後の前連結会計年度末の数値で比較をおこなっております。
各セグメントの業績は、次の通りであります。
なお、当連結会計年度の期首をみなし売却日として、当社の連結子会社である株式会社アヴァンティスタッフの当社保有株式の全部を譲渡したことに伴い、同社は当社の連結の範囲から除外されたため、当連結会計年度より「人材関連事業」を報告セグメントから除外しております。
(各セグメントの営業収益は、セグメント間の内部営業収益、振替高を含みます。)
(不動産事業)
当社グループの中核事業は、東京23区を中心に、約250件(販売用不動産除く)の賃貸物件・賃貸可能面積約138万㎡を活用した不動産賃貸事業であります。賃貸ポートフォリオの増強及び質的向上の観点から、立地を厳選した新規物件取得や建替の推進、開発物件の組み入れを継続するとともに、アセットマネジメントの強化により、更なる不動産価値の向上に取り組んでおります。また、高付加価値を創出して収益化する不動産バリューアッド事業の軌道化へ向けての取り組みも強化しております。
当連結会計年度における建替の状況につきましては、ヒューリック札幌NORTH33ビル(2021年2月竣工予定)、ヒューリック札幌ビル(2023年10月竣工予定)及びヒューリック福岡ビル(2024年12月竣工予定)の建替計画が順調に進行しております。
当連結会計年度の新規物件(固定資産)の取得につきましては、ヒューリック芝公園大門通ビル(東京都港区)、テクノポートカマタセンタービル(東京都大田区)、ヒューリック銀座七丁目昭和通ビル(東京都中央区)、モリンダビルディング(東京都新宿区)、神宮前タワービルディング(東京都渋谷区)、銀座ファーストビル(東京都中央区)、グランドニッコー東京 台場(東京都港区)、第2丸高ビル(東京都中央区)、ヒューリック府中タワー(東京都府中市)、府中データセンター(東京都府中市)、アイオス銀座(東京都中央区)、近畿建物銀座ビル(東京都中央区)及び渋谷 パルコ・ヒューリックビル(東京都渋谷区)などを取得いたしました。
開発事業(固定資産)につきましては、(仮称)宇田川町32開発計画(東京都渋谷区)、(仮称)新宿3-17開発計画(東京都新宿区)、(仮称)銀座6丁目開発計画(東京都中央区)、(仮称)赤坂二丁目開発計画(東京都港区)、(仮称)銀座8丁目開発計画(東京都中央区)及び(仮称)銀座6丁目並木通り開発計画(東京都中央区)などが順調に進行しております。
PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)事業につきましては、(仮称)立誠小跡地開発計画(京都市中京区)、(仮称)両国リバーセンター開発計画(東京都墨田区)及び(仮称)扇町医誠会病院開発計画(大阪市北区)などが順調に進行しております。
販売用不動産につきましては、MG東扇島ロジスティクスセンター(川崎市川崎区)などを取得し、本牧フロント(横浜市中区)、ヒルトン東京お台場(東京都港区)、ヒューリック銀座7丁目ビル(東京都中央区)(一部)、リバーサイド品川港南ビル(東京都品川区)、ヒューリック豊洲プライムスクエア(東京都江東区)、ヒューリック錦町ビル(東京都千代田区)及びMG東扇島ロジスティクスセンター(川崎市川崎区)などを売却しております。
このように、当セグメントにおける事業は順調に進行しており、前連結会計年度及び当連結会計年度に竣工、取得した物件による不動産賃貸収入の増加に加え、販売用不動産の売却も順調に推移したことなどから、営業収益は335,127百万円(前期比78,057百万円、30.3%増)、営業利益は95,711百万円(前期比14,646百万円、18.0%増)となりました。
(保険事業)
保険事業におきましては、連結子会社であるヒューリック保険サービス株式会社が、国内・外資系の保険会社と代理店契約を結んでおり、法人から個人まで多彩な保険商品を販売しております。保険業界の事業環境は引き続き厳しい環境にありますが、既存損保代理店の営業権取得を重点戦略として、法人取引を中心に営業展開をしております。
この結果、当セグメントにおける営業収益は2,989百万円(前期比△1,067百万円、26.3%減)、営業利益は619百万円(前期比△977百万円、61.2%減)となりました。
(その他)
その他におきましては、連結子会社であるヒューリックビルド株式会社が、当社保有ビル等の営繕工事、テナント退去時の原状回復工事、新規入居時の内装工事を中心に受注実績を積み上げておりますほか、連結子会社である日本ビューホテル株式会社、ヒューリックホテルマネジメント株式会社及びヒューリックふふ株式会社等がホテル、高級温泉旅館の運営をおこなっております。
この結果、営業収益は24,725百万円(前期比11,797百万円、91.2%増)、営業利益は596百万円(前期比240百万円、67.3%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動により231,180百万円増加し、投資活動により358,334百万円減少し、財務活動において141,523百万円増加し、当連結会計年度末には48,380百万円となりました。
(単位:百万円)
2018年12月期2019年12月期
営業活動によるキャッシュ・フロー130,973231,180
投資活動によるキャッシュ・フロー△258,127△358,334
財務活動によるキャッシュ・フロー131,010141,523
現金及び現金同等物の期末残高31,84748,380

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは231,180百万円の収入(前期比100,207百万円)となりました。これは主に、不動産賃貸収入及び販売用不動産の売却を主因とした税金等調整前当期純利益が84,298百万円、減価償却費が14,172百万円、たな卸資産の減少額が152,290百万円あったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは358,334百万円の支出(前期比△100,207百万円)となりました。これは主に、賃貸ポートフォリオの増強及び質的向上の観点から、開発・建替を進めるとともに新規物件の取得をおこなったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは141,523百万円の収入(前期比10,512百万円)となりました。これは主に、開発・建替や新規物件の取得に伴う資金調達をおこなった一方で、配当金の支払いがあったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
前期比(%)
不動産事業 (百万円)335,12730.3
保険事業 (百万円)2,989△26.3
その他 (百万円)24,72591.2
調整額 (百万円)△5,569-
合計 (百万円)357,27224.2

(注)1.各セグメントの営業収益は、セグメント間の内部営業収益、振替高を含みます。
2.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次の通りであります。
相手先前連結会計年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
当連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
金額
(百万円)
割合(%)金額
(百万円)
割合(%)
ジャパン・ホテル・リート投資法人--62,64917.5
ヒューリックリート投資法人51,33417.8--

4.販売実績が総販売実績の100分の10未満の相手先については記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載の通りであります。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断をおこなっておりますが、不確実性が内在しているため、将来生じる実際の結果と異なる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(営業収益)
当連結会計年度の営業収益は、357,272百万円となり、対前期比で69,759百万円増加いたしました。これは、前連結会計年度及び当連結会計年度に竣工、取得した物件による不動産賃貸収入の増加に加え、販売用不動産の売上が増加したことによるものであります。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は、88,353百万円となり、対前期比で12,788百万円増加いたしました。これは、物件の竣工、取得による不動産賃貸収入の増加及び販売用不動産の売上総利益が増加したことによるものであります。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は、84,645百万円となり、対前期比で12,114百万円増加いたしました。これは、上記営業利益の増加があった一方で、支払利息の増加等により営業外費用が増加したことによるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、58,805百万円となり、対前期比で9,290百万円増加いたしました。これは、上記経常利益の増加があった一方で、税金費用が増加したことによるものであります。
b.財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、1,776,272百万円となり、対前期末比250,292百万円増加いたしました。当社グループにおきましては、賃貸ポートフォリオの増強及び質的向上の観点から、新規物件取得及び開発・建替の推進に取り組んでおります。
また、ヒューリックリート投資法人及びヒューリックプライベートリート投資法人の中長期的な収益向上と運用資産の着実な積上げを実現するために、スポンサーとしてのサポートやバックアップに努めていくほか、不動産バリューアッド事業の軌道化にも取り組んでおります。
主な項目の増減は以下の通りであります。
・現金及び預金16,339百万円増加
・販売用不動産26,933百万円減少(固定資産からの振替、物件の取得、竣工及び売却)
・仕掛販売用不動産4,701百万円減少(開発計画の進行及び竣工)
・建物及び構築物17,698百万円増加(物件の取得、竣工及び販売用不動産への振替)
・土地148,085百万円増加(物件の取得及び販売用不動産への振替)
・建設仮勘定10,714百万円増加(建替及び開発計画の進行、物件の竣工)
・借地権62,996百万円増加(物件の取得等)
・投資有価証券8,315百万円増加(投資有価証券の取得、売却及び有価証券の含み益の増加等)

(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、1,314,415百万円となり、対前期末比192,571百万円増加いたしました。これは、主に、設備投資等に伴い、資金調達をおこなったことによるものであります。
当社グループの借入金残高は986,040百万円となっておりますが、このうち特別目的会社(SPC)のノンリコースローンが23,435百万円含まれております。金融機関からの資金調達については、高い収益力を背景として安定的に低コストで調達をおこなっております。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、461,856百万円となり、対前期末比57,721百万円増加いたしました。このうち株主資本合計は、417,300百万円となり、対前期末比で49,265百万円増加しております。これは、主に、株式交換に伴う資本剰余金の増加、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加及び配当金の支払による利益剰余金の減少によるものであります。
また、その他の包括利益累計額合計は、41,793百万円となり、対前期末比で9,090百万円増加いたしました。これは、主に、有価証券の含み益が13,445百万円増加したことによるその他有価証券評価差額金の増加によるものであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については当該表示方法の変更を反映した後の前連結会計年度末の数値で比較をおこなっております。
c.経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載の通りであります。
d.資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、必要な資金を主に銀行借入、社債や短期社債(コマーシャル・ペーパー)等の発行によって調達する方針としており、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 当社グループの今後の資金需要は、主に不動産事業に係る設備投資であり、「第3 設備の状況 3.設備の新設、除却等の計画」に記載しております。
e.経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については以下の通りであります。
2020年度
中計目標
2019年度
実績
経常利益850億円846億円
有利子負債/EBITDA倍率※12倍以内10.1倍
ネットD/Eレシオ※3.0倍以内2.0倍
ROE10%以上13.6%
連結配当性向親会社株主に帰属する
当期純利益の1/3程度
35.4%

※2018年実施のハイブリッドファイナンス1,500億円のうち、50%(750億円)をみなし資本として算出。
f.セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載の通りであります。