有価証券報告書-第201期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の影響を受け、経済活動の停滞や個人消費の低迷が続くなど厳しい状況となりました。また、景気の先行きにつきましては、各種政策効果や海外経済の改善により持ち直していくことが期待されるものの、感染再拡大による国内外経済の下振れリスクや金融資本市場の変動等の影響により、不透明な状況が続いております。
このような経営環境の下、当フジボウグループは中期経営計画『加速17-20』において、研磨材事業・化学工業品事業では、研究開発力、生産能力の強化を進めるとともに、コスト削減、効率化、収益力の向上に努めました。また、繊維事業では、市場縮小に加えて、コロナ感染拡大に伴う売上減に対応するため、サプライチェーンの最適化・高度化による競争力の強化や販売戦略の見直し、経費削減等、様々な事業改革を進めました。
この結果、当連結会計年度の売上高は前年同期比1,768百万円(4.6%)減収の36,932百万円、営業利益は1,206百万円(29.6%)増益の5,285百万円、経常利益は1,120百万円(25.9%)増益の5,450百万円となりました。これに特別損益、法人税等を加減した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比2,046百万円(90.2%)増益の4,315百万円となりました。
セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。
ア.研磨材事業
主力の超精密加工用研磨材は、新型コロナウイルス感染症の影響による部材調達遅延や経済活動の抑制などの影響も懸念されましたが、シリコンウエハー用途および半導体デバイス用途(CMP)等は各種センサー用、5G通信用およびパソコン用の半導体需要の増加に加え、自動車販売の急回復により拡大しました。ハードディスク用途は一部のユーザーからの受注が減少し、液晶ガラス用途についてもTV、パソコン用大型パネル向けの需要は新型コロナウイルス感染症による巣ごもり消費により堅調に推移したものの、中小型パネル向けの需要は低迷しました。
この結果、売上高は前年同期比1,472百万円(12.6%)増収の13,168百万円、営業利益は993百万円(39.1%)増益の3,533百万円となりました。
イ.化学工業品事業
機能化学品および医薬中間体などの受託製造は、機能性材料用の一部製品で新型コロナウイルス感染症の影響を受け減産となりましたが、その他農薬用、機能性材料用を中心に受注は堅調に推移しました。また、中国における環境規制の影響による化学工業品生産の日本国内回帰の傾向が続いており、柳井工場・武生工場ともに高い稼働率を維持し、売上高・営業利益が過去最高となりました。
この結果、売上高は前年同期比364百万円(2.7%)増収の13,664百万円、営業利益は117百万円(9.3%)増益の1,383百万円となりました。
ウ.繊維事業
繊維事業は、新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴い、消費行動の自粛やインバウンド需要の減少が続き、収益環境は厳しいものとなりました。そのため、百貨店および量販店向け肌着の在庫削減による物流費用の低減や、国内外生産拠点の適正化によるコストダウンを進めるとともに、不採算分野からの縮小撤退など、体質改善に向けた構造改革を進めました。一方でインターネットなど新規チャネルでは、巣ごもり消費の活発化を背景にネット限定商品の拡充を図りました。
この結果、売上高は前年同期比2,686百万円(27.5%)減収の7,067百万円、営業利益は61百万円(37.9%)増益の224百万円となりました。
エ.その他
化成品部門は、デジタルカメラ用部品および医療機器用部品はコロナ禍で落ち込んだ需要が徐々に回復してきたものの、苦戦しました。金型部門は自動車・二輪車各メーカーのモデルチェンジに向けた量産用金型が堅調に推移しました。貿易部門は、中米カリブ海地域向け自動車・農業用機械などの三国間貿易が大幅に減少し、低調に終わりました。
この結果、売上高は前年同期比919百万円(23.3%)減収の3,032百万円、営業利益は32百万円(29.4%)増益の143百万円となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
資産合計は前連結会計年度末に比べて3,595百万円増加の55,789百万円となりました。
流動資産は455百万円減少の18,433百万円となりましたが、これは現金及び預金やたな卸資産が減少したことなどによります。
固定資産は4,050百万円増加の37,355百万円となりましたが、これは主力の研磨材事業および化学工業品事業において設備投資を進めたことによります。
(負債)
負債合計は前連結会計年度末に比べて154百万円増加の18,506百万円となりました。
流動負債は471百万円増加の11,882百万円となりましたが、これは、設備関係支払手形などのその他の流動負債が増加したことなどによります。
固定負債は316百万円減少の6,623百万円となりました。これは、退職給付に係る負債が減少したことなどによります。
(純資産)
純資産合計は前連結会計年度末に比べて3,440百万円増加し、37,282百万円となりました。これは、剰余金の配当による減少が1,145百万円ありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加が4,315百万円あったことなどによります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、法人税等の支払などがありましたが、税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上などにより6,792百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、主として固定資産の取得による支出により、5,818百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、借入金の返済や配当金の支払などにより、1,312百万円の支出となりました。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて358百万円減少の4,571百万円となりました。
なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。
キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
④ 生産、受注及び販売の実績
ア.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については消去しておりません。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
イ.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については消去しておりません。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ウ.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、住友商事ケミカル㈱の前連結会計年度の販売高は、重要性が乏しいため記載を省略しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
ア.財政状態
(資産)
流動資産は前連結会計年度末に比べて455百万円減少の18,433百万円となりました。これは現金及び預金やたな卸資産が減少したことなどによります。
固定資産は前連結会計年度末に比べて4,050百万円増加の37,355百万円となりました。これは研磨材事業における生産能力増強及びBCP(事業継続計画)対応と、化学工業品事業における生産能力増強等に係る設備投資を進めたことなどによります。
資産合計は前連結会計年度末に比べて3,595百万円増加の55,789百万円となりました。
セグメント別では、研磨材事業は3,455百万円増加の20,650百万円、化学工業品事業は2,470百万円増加の12,541百万円、繊維事業は1,828百万円減少の6,739百万円、その他事業は1,067百万円減少の3,513百万円、各報告セグメントに配分していない全社資産などの調整額は565百万円増加の12,345百万円となりました。
(負債)
流動負債は前連結会計年度末に比べて471百万円増加の11,882百万円となりました。課税所得の増加による未払法人税等が187百万円、研磨材事業における設備関係支払手形の増加によるその他の流動負債が425百万円それぞれ増加したことなどによります。
固定負債は前連結会計年度末に比べて316百万円減少の6,623百万円となりました。これは、長期借入金が134百万円、退職給付に係る負債が317百万円減少したことなどによります。
負債合計は前連結会計年度末に比べて154百万円増加の18,506百万円となりました。
(純資産)
株主資本は剰余金の配当による減少が1,145百万円ありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加が4,315百万円ありました。
その他の包括利益累計額は、保有株式の時価評価により、その他有価証券評価差額金が330百万円増加しました。
純資産合計は前連結会計年度末に比べて3,440百万円増加し、37,282百万円となりました。
イ.経営成績
当連結会計年度の売上高は前年同期比1,768百万円(4.6%)減収の36,932百万円、営業利益は1,206百万円(29.6%)増益の5,285百万円となりました。
研磨材事業では、液晶ガラス用途およびハードディスク用途は減少しましたが、シリコンウエハー用途およびCMP用途は各種センサー用、5G通信用およびパソコン用の半導体需要の増加に加え、自動車向けの半導体需要が回復したことから大幅に拡大しました。
化学工業品事業では、機能化学品および医薬中間体などの受託製造は、一部製品で新型コロナウイルスの影響を受けて減産となりましたが、全体的に受注が堅調に推移しました。化学工業品生産の日本国内回帰の傾向が続いており、柳井工場・武生工場ともに高い稼働率を維持しました。
繊維事業では、新型コロナウイルスの感染再拡大に伴い、収益環境は依然厳しいものとなりましたが、B.V.D.、アングル製品の在庫削減による物流費用の低減や国内外生産拠点の適正化によるコスト削減を徹底しました。
その他事業では、化成品部門は、デジタルカメラ用部品および医療機器用部品は、コロナ禍で落ち込んだ需要が徐々に回復してきたものの苦戦しました。金型部門は、自動車・二輪車各メーカーのモデルチェンジに向けた量産用金型が堅調に推移しました。貿易部門は、低採算取引改善を図るべく、構造改革を積極的に行い、事業を大幅に圧縮しました。
セグメント別の売上高・営業利益については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
営業外収益は前年同期比45百万円(11.5%)減少の353百万円、営業外費用は為替差損が増加したことなどにより、前年同期比39百万円(26.9%)増加の187百万円となりました。この結果、経常利益は前年同期比1,120百万円(25.9%)増益の5,450百万円となりました。
特別利益は投資有価証券売却益15百万円、研磨材事業における大分工場の新設に係る補助金900百万円を計上し、915百万円となりました。特別損失は固定資産処分損271百万円や減損損失160百万円、新型コロナウイルス感染症に係る支援費用78百万円などを計上し、532百万円となりました。新型コロナウイルス感染症に係る支援費用は、新型コロナウイルス感染症患者の対応に当たられる医療従事者の皆様に対して、支援物資として肌着を寄贈したものであります。
これから法人税等を差し引いた結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比2,046百万円(90.2%)増益の4,315百万円となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、IT業界の景気状況や競合他社の状況、法的規制などがあります。詳細については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループは、企業価値の向上に向けて、2017年度を初年度とし2020年度を最終年度とする、4か年の中期経営計画『加速17-20』に取り組みました。売上高や営業利益などの数値目標は未達に終わりましたが、後半にかけて営業利益が増加傾向となりました。研磨材事業・化学工業品事業では、研究開発力、生産能力の強化を進めるとともに、コスト削減、効率化、収益力の向上に努めました。また、繊維事業では、市場縮小に加えてコロナ感染拡大に伴う売上減に対応するため、サプライチェーンの最適化・高度化による競争力の増強や販売戦略の見直し、経費削減等、様々な事業改革を進めました。中期経営計画『加速17-20』に引き続き、当社グループは、2021年度から2025年度を計画期間とする中期経営計画『増強21-25』を策定し、2021年4月よりこれを実行しています。中期経営計画『増強21-25』では、2025年度の連結業績目標を売上高600億円、営業利益100億円、営業利益率16.7%、ROE10%以上、ROIC10%以上、自己資本比率65%以上としております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
営業活動によるキャッシュ・フローは、6,792百万円の収入となりました(前年同期比244百万円収入増)。法人税等の支払1,375百万円などがありましたが、税金等調整前当期純利益が5,834百万円、減価償却費が2,540百万円計上され、たな卸資産が1,102百万円減少したことなどによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは5,818百万円の支出となりました(前年同期比1,529百万円支出増)。これは研磨材事業における生産能力増強及びBCP(事業継続計画)対応と、化学工業品事業における生産能力増強等に係る設備投資を進めたことなどによります。
財務活動によるキャッシュ・フローは1,312百万円の支出となりました(前年同期比862百万円支出減)。これは、配当金1,140百万円の支払や、借入金124百万円の減少などによります。
資本の財源及び資金の流動性につきましては、主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び銀行等金融機関からの借入により資金を調達しております。また、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結し、流動性を補完しております。当社グループの運転資金需要の主なものは、商品・原材料の仕入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資資金需要の主なものは、設備投資、M&A等であります。なお、重要な設備投資の予定につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載のとおりであります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、特に以下の事項は経営成績等に重要な影響を及ぼすと考えております。その他の重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
ア.固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
イ.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の影響を受け、経済活動の停滞や個人消費の低迷が続くなど厳しい状況となりました。また、景気の先行きにつきましては、各種政策効果や海外経済の改善により持ち直していくことが期待されるものの、感染再拡大による国内外経済の下振れリスクや金融資本市場の変動等の影響により、不透明な状況が続いております。
このような経営環境の下、当フジボウグループは中期経営計画『加速17-20』において、研磨材事業・化学工業品事業では、研究開発力、生産能力の強化を進めるとともに、コスト削減、効率化、収益力の向上に努めました。また、繊維事業では、市場縮小に加えて、コロナ感染拡大に伴う売上減に対応するため、サプライチェーンの最適化・高度化による競争力の強化や販売戦略の見直し、経費削減等、様々な事業改革を進めました。
この結果、当連結会計年度の売上高は前年同期比1,768百万円(4.6%)減収の36,932百万円、営業利益は1,206百万円(29.6%)増益の5,285百万円、経常利益は1,120百万円(25.9%)増益の5,450百万円となりました。これに特別損益、法人税等を加減した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比2,046百万円(90.2%)増益の4,315百万円となりました。
セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。
ア.研磨材事業
主力の超精密加工用研磨材は、新型コロナウイルス感染症の影響による部材調達遅延や経済活動の抑制などの影響も懸念されましたが、シリコンウエハー用途および半導体デバイス用途(CMP)等は各種センサー用、5G通信用およびパソコン用の半導体需要の増加に加え、自動車販売の急回復により拡大しました。ハードディスク用途は一部のユーザーからの受注が減少し、液晶ガラス用途についてもTV、パソコン用大型パネル向けの需要は新型コロナウイルス感染症による巣ごもり消費により堅調に推移したものの、中小型パネル向けの需要は低迷しました。
この結果、売上高は前年同期比1,472百万円(12.6%)増収の13,168百万円、営業利益は993百万円(39.1%)増益の3,533百万円となりました。
イ.化学工業品事業
機能化学品および医薬中間体などの受託製造は、機能性材料用の一部製品で新型コロナウイルス感染症の影響を受け減産となりましたが、その他農薬用、機能性材料用を中心に受注は堅調に推移しました。また、中国における環境規制の影響による化学工業品生産の日本国内回帰の傾向が続いており、柳井工場・武生工場ともに高い稼働率を維持し、売上高・営業利益が過去最高となりました。
この結果、売上高は前年同期比364百万円(2.7%)増収の13,664百万円、営業利益は117百万円(9.3%)増益の1,383百万円となりました。
ウ.繊維事業
繊維事業は、新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴い、消費行動の自粛やインバウンド需要の減少が続き、収益環境は厳しいものとなりました。そのため、百貨店および量販店向け肌着の在庫削減による物流費用の低減や、国内外生産拠点の適正化によるコストダウンを進めるとともに、不採算分野からの縮小撤退など、体質改善に向けた構造改革を進めました。一方でインターネットなど新規チャネルでは、巣ごもり消費の活発化を背景にネット限定商品の拡充を図りました。
この結果、売上高は前年同期比2,686百万円(27.5%)減収の7,067百万円、営業利益は61百万円(37.9%)増益の224百万円となりました。
エ.その他
化成品部門は、デジタルカメラ用部品および医療機器用部品はコロナ禍で落ち込んだ需要が徐々に回復してきたものの、苦戦しました。金型部門は自動車・二輪車各メーカーのモデルチェンジに向けた量産用金型が堅調に推移しました。貿易部門は、中米カリブ海地域向け自動車・農業用機械などの三国間貿易が大幅に減少し、低調に終わりました。
この結果、売上高は前年同期比919百万円(23.3%)減収の3,032百万円、営業利益は32百万円(29.4%)増益の143百万円となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
資産合計は前連結会計年度末に比べて3,595百万円増加の55,789百万円となりました。
流動資産は455百万円減少の18,433百万円となりましたが、これは現金及び預金やたな卸資産が減少したことなどによります。
固定資産は4,050百万円増加の37,355百万円となりましたが、これは主力の研磨材事業および化学工業品事業において設備投資を進めたことによります。
(負債)
負債合計は前連結会計年度末に比べて154百万円増加の18,506百万円となりました。
流動負債は471百万円増加の11,882百万円となりましたが、これは、設備関係支払手形などのその他の流動負債が増加したことなどによります。
固定負債は316百万円減少の6,623百万円となりました。これは、退職給付に係る負債が減少したことなどによります。
(純資産)
純資産合計は前連結会計年度末に比べて3,440百万円増加し、37,282百万円となりました。これは、剰余金の配当による減少が1,145百万円ありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加が4,315百万円あったことなどによります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、法人税等の支払などがありましたが、税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上などにより6,792百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、主として固定資産の取得による支出により、5,818百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、借入金の返済や配当金の支払などにより、1,312百万円の支出となりました。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて358百万円減少の4,571百万円となりました。
なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。
キャッシュ・フロー関連指標の推移
| 2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | |
| 自己資本比率 | 66.4% | 62.7% | 64.8% | 66.8% |
| 時価ベースの自己資本比率 | 91.2% | 57.7% | 63.3% | 82.1% |
| キャッシュ・フロー対有利子 負債比率 | 0.4 | 0.5 | 0.2 | 0.2 |
| インタレスト・カバレッジ・ レシオ | 296.2 | 360.8 | 403.8 | 466.1 |
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
④ 生産、受注及び販売の実績
ア.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 研磨材事業 | 11,618 | 15.5 |
| 化学工業品事業 | 13,664 | 2.7 |
| 繊維事業 | 3,294 | △33.3 |
| その他 | 1,361 | △24.7 |
| 合計 | 29,938 | △0.6 |
(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については消去しておりません。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
イ.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 研磨材事業 | 13,887 | 8.8 | 2,044 | 0.2 |
| 化学工業品事業 | 13,762 | 4.6 | 3,392 | 7.3 |
| その他 | 504 | △12.7 | 381 | △23.9 |
(注) 1 セグメント間の取引については消去しておりません。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ウ.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 研磨材事業 | 13,168 | 12.6 |
| 化学工業品事業 | 13,664 | 2.7 |
| 繊維事業 | 7,067 | △27.5 |
| その他 | 3,032 | △23.3 |
| 合計 | 36,932 | △4.6 |
(注) 1 セグメント間の取引については消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、住友商事ケミカル㈱の前連結会計年度の販売高は、重要性が乏しいため記載を省略しております。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 販売高(百万円) | 割合(%) | 販売高(百万円) | 割合(%) | |
| 住友商事ケミカル㈱ | ― | ― | 4,814 | 13.0 |
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
ア.財政状態
(資産)
流動資産は前連結会計年度末に比べて455百万円減少の18,433百万円となりました。これは現金及び預金やたな卸資産が減少したことなどによります。
固定資産は前連結会計年度末に比べて4,050百万円増加の37,355百万円となりました。これは研磨材事業における生産能力増強及びBCP(事業継続計画)対応と、化学工業品事業における生産能力増強等に係る設備投資を進めたことなどによります。
資産合計は前連結会計年度末に比べて3,595百万円増加の55,789百万円となりました。
セグメント別では、研磨材事業は3,455百万円増加の20,650百万円、化学工業品事業は2,470百万円増加の12,541百万円、繊維事業は1,828百万円減少の6,739百万円、その他事業は1,067百万円減少の3,513百万円、各報告セグメントに配分していない全社資産などの調整額は565百万円増加の12,345百万円となりました。
(負債)
流動負債は前連結会計年度末に比べて471百万円増加の11,882百万円となりました。課税所得の増加による未払法人税等が187百万円、研磨材事業における設備関係支払手形の増加によるその他の流動負債が425百万円それぞれ増加したことなどによります。
固定負債は前連結会計年度末に比べて316百万円減少の6,623百万円となりました。これは、長期借入金が134百万円、退職給付に係る負債が317百万円減少したことなどによります。
負債合計は前連結会計年度末に比べて154百万円増加の18,506百万円となりました。
(純資産)
株主資本は剰余金の配当による減少が1,145百万円ありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加が4,315百万円ありました。
その他の包括利益累計額は、保有株式の時価評価により、その他有価証券評価差額金が330百万円増加しました。
純資産合計は前連結会計年度末に比べて3,440百万円増加し、37,282百万円となりました。
イ.経営成績
当連結会計年度の売上高は前年同期比1,768百万円(4.6%)減収の36,932百万円、営業利益は1,206百万円(29.6%)増益の5,285百万円となりました。
研磨材事業では、液晶ガラス用途およびハードディスク用途は減少しましたが、シリコンウエハー用途およびCMP用途は各種センサー用、5G通信用およびパソコン用の半導体需要の増加に加え、自動車向けの半導体需要が回復したことから大幅に拡大しました。
化学工業品事業では、機能化学品および医薬中間体などの受託製造は、一部製品で新型コロナウイルスの影響を受けて減産となりましたが、全体的に受注が堅調に推移しました。化学工業品生産の日本国内回帰の傾向が続いており、柳井工場・武生工場ともに高い稼働率を維持しました。
繊維事業では、新型コロナウイルスの感染再拡大に伴い、収益環境は依然厳しいものとなりましたが、B.V.D.、アングル製品の在庫削減による物流費用の低減や国内外生産拠点の適正化によるコスト削減を徹底しました。
その他事業では、化成品部門は、デジタルカメラ用部品および医療機器用部品は、コロナ禍で落ち込んだ需要が徐々に回復してきたものの苦戦しました。金型部門は、自動車・二輪車各メーカーのモデルチェンジに向けた量産用金型が堅調に推移しました。貿易部門は、低採算取引改善を図るべく、構造改革を積極的に行い、事業を大幅に圧縮しました。
セグメント別の売上高・営業利益については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
営業外収益は前年同期比45百万円(11.5%)減少の353百万円、営業外費用は為替差損が増加したことなどにより、前年同期比39百万円(26.9%)増加の187百万円となりました。この結果、経常利益は前年同期比1,120百万円(25.9%)増益の5,450百万円となりました。
特別利益は投資有価証券売却益15百万円、研磨材事業における大分工場の新設に係る補助金900百万円を計上し、915百万円となりました。特別損失は固定資産処分損271百万円や減損損失160百万円、新型コロナウイルス感染症に係る支援費用78百万円などを計上し、532百万円となりました。新型コロナウイルス感染症に係る支援費用は、新型コロナウイルス感染症患者の対応に当たられる医療従事者の皆様に対して、支援物資として肌着を寄贈したものであります。
これから法人税等を差し引いた結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比2,046百万円(90.2%)増益の4,315百万円となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、IT業界の景気状況や競合他社の状況、法的規制などがあります。詳細については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループは、企業価値の向上に向けて、2017年度を初年度とし2020年度を最終年度とする、4か年の中期経営計画『加速17-20』に取り組みました。売上高や営業利益などの数値目標は未達に終わりましたが、後半にかけて営業利益が増加傾向となりました。研磨材事業・化学工業品事業では、研究開発力、生産能力の強化を進めるとともに、コスト削減、効率化、収益力の向上に努めました。また、繊維事業では、市場縮小に加えてコロナ感染拡大に伴う売上減に対応するため、サプライチェーンの最適化・高度化による競争力の増強や販売戦略の見直し、経費削減等、様々な事業改革を進めました。中期経営計画『加速17-20』に引き続き、当社グループは、2021年度から2025年度を計画期間とする中期経営計画『増強21-25』を策定し、2021年4月よりこれを実行しています。中期経営計画『増強21-25』では、2025年度の連結業績目標を売上高600億円、営業利益100億円、営業利益率16.7%、ROE10%以上、ROIC10%以上、自己資本比率65%以上としております。
| 2021年3月期実績 | 2021年3月期目標 | |
| 売上高(百万円) | 36,932 | 70,000 |
| 営業利益(百万円) | 5,285 | 10,000 |
| 当期純利益(百万円) | 4,315 | 7,000 |
| ROE(%) | 12.1 | 15.0 |
| 自己資本比率(%) | 66.8 | 65.0 |
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
営業活動によるキャッシュ・フローは、6,792百万円の収入となりました(前年同期比244百万円収入増)。法人税等の支払1,375百万円などがありましたが、税金等調整前当期純利益が5,834百万円、減価償却費が2,540百万円計上され、たな卸資産が1,102百万円減少したことなどによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは5,818百万円の支出となりました(前年同期比1,529百万円支出増)。これは研磨材事業における生産能力増強及びBCP(事業継続計画)対応と、化学工業品事業における生産能力増強等に係る設備投資を進めたことなどによります。
財務活動によるキャッシュ・フローは1,312百万円の支出となりました(前年同期比862百万円支出減)。これは、配当金1,140百万円の支払や、借入金124百万円の減少などによります。
資本の財源及び資金の流動性につきましては、主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び銀行等金融機関からの借入により資金を調達しております。また、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結し、流動性を補完しております。当社グループの運転資金需要の主なものは、商品・原材料の仕入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資資金需要の主なものは、設備投資、M&A等であります。なお、重要な設備投資の予定につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載のとおりであります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、特に以下の事項は経営成績等に重要な影響を及ぼすと考えております。その他の重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
ア.固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
イ.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。