有価証券報告書-第74期(令和1年9月1日-令和2年8月31日)

【提出】
2020/11/24 9:33
【資料】
PDFをみる
【項目】
151項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概況は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、堅調な企業収益や雇用・所得環境の改善を背景にこれまで緩やかな回復傾向が続いておりましたが、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大により経済活動が大きく停滞し景況感が急速に悪化する等、先行き不透明な状況で推移いたしました。
一方、当アパレル・ファッション業界におきましては、消費増税による根強い節約志向に加え、新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴う商業施設の臨時休業や人々の外出自粛等による影響も大きく、極めて厳しい状況が続きました。
このような経営環境の中、当社グループは、現コロナ禍を切り抜け継続的に利益を残せる企業へ向けた構造改革に着手する中で「ものを創り 人を創り お客様と共に心豊かな毎日を創る」という不変のミッションのもと、3年後のあるべき姿を目指し、中期ビジョン「Yamato2023」を始動しております。大きな転換期を迎えた人々のライフスタイルや価値観が様変わりする中で、いつの時代でもお客様に求められ続ける真のブランド創りを目指してまいります。
基幹事業である「クロコダイル」は、販売開始から半世紀以上が経ち、現在のGMSにおける自主管理売場の展開開始から20年の経過を機に「クロコダイルTrad2020」を掲げました。改めて原点である「顧客起点」に立ち返り、ミッションに基づいた「もの創り」「人創り」を実践するべく、既顧客の満足度向上と活性化に繋がる価値創造に注力するとともに、これからの潜在顧客が興味を持ち共感できる価値を創造し、商品・店・コミュニケーション等すべてにおいて一貫性を保ち提供することで更なるブランドの認知・認識を深め、事業の持続的な成長を目指してまいります。
新規事業では、“アクティブ・トランスファー・ウェア”をテーマとした「CITERA(シテラ)」と米国発アウトドアファッションブランド「Penfield(ペンフィールド)」を展開しております。ブランドの顔となる商品開発に注力するとともに、新しいファンクションやサービスへの投資を積極的に行い、WEBマーケティングやPop-upストアの展開を筆頭に、当社が直接運営する事業に加え、国内外のライセンス展開も目指してまいります。また、日本国内における商標権を取得したハワイ発カジュアルサーフブランド「Lightning Bolt(ライトニングボルト)」は、従来のライセンスパートナーによる専門店向け卸に加え、新たなパートナーと共に立ち上げたトップライン「Lightning Bolt Black Label(ライトニングボルトブラックレーベル)」によるブランド認知度と価値向上に注力し、ライセンス事業の拡大を目指してまいります。
一方、当社グループの物流業務を請負う子会社ヤマト ファッションサービス株式会社では、在庫管理や入出荷業務の精度向上に努めるとともに、新たに導入した自動ソーターが本格稼働し始める等、積極的な投資を行うことで更なる業務の生産性向上を図っております。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(ア)財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、90億9千5百万円となり、前連結会計年度末と比べ22億5千万円減少いたしました。現金及び預金と有価証券を合わせた手元流動性資金は75億2千5百万円から21億9千1百万円減少し、53億3千4百万円となりました。
当連結会計年度末における固定資産は、118億2千2百万円となり、前連結会計年度末と比べ2億2千7百万円減少いたしました。主な要因は、無形固定資産が8千5百万円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は209億1千7百万円となり、前連結会計年度末と比べ24億7千7百万円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は40億1千万円となり、前連結会計年度末と比べ10億1千5百万円減少いたしました。主な要因は、支払手形及び買掛金が2億7千5百万円、電子記録債務が3億4千万円、その他の流動負債が1億9千5百万円、それぞれ減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における固定負債は11億7百万円となり、前連結会計年度末と比べ8千8百万円増加いたしました。主な要因は、繰延税金負債が2億9百万円新たに発生し、長期借入金が1億1千7百万円減少したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は51億1千8百万円となり、前連結会計年度末と比べ9億2千7百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は157億9千9百万円となり、前連結会計年度末と比べ15億5千万円減少いたしました。主な要因は、利益剰余金が16億4千4百万円減少し、その他有価証券評価差額金が1億1千8百万円増加したこと等によるものであります。
この結果、自己資本比率は75.5%(前連結会計年度末は74.2%)となりました。
(イ)経営成績
当連結会計年度における連結業績は、新型コロナウイルス感染症による影響を大きく受け、売上高が142億5千2百万円(前年同期比15.3%減)と減収になりました。利益面では、売上総利益率は42.1%(前年同期比3.3ポイント減)となり、販売費及び一般管理費は69億2千9百万円(前年同期比1.8%減)、営業損失は9億2千3百万円(前年同期は営業利益5億8千2百万円)、経常損失は7億6千万円(前年同期は経常利益6億6千9百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は、12億9千5百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益5億2千9百万円)となりました。
セグメントごとの売上高では、繊維製品製造販売業139億4千6百万円(前年同期比15.5%減)、不動産賃貸事業3億6百万円(前年同期比2.1%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により14億8千5百万円、投資活動により1億6千8百万円、財務活動により5億3千6百万円、それぞれ減少したことにより、前連結会計年度末と比べ21億9千1百万円減少し、当連結会計年度末には53億3千4百万円となりました。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は14億8千5百万円(前年同期は得られた資金7億3千4百万円)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純損失10億2千8百万円、減価償却費2億2千2百万円、減損損失1億7千5百万円、仕入債務の減少額6億1千6百万円、売上債権の減少額3億5千4百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1億6千8百万円(前年同期は得られた資金2億3千8百万円)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出3億2千5百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入2億7千3百万円、投資有価証券の取得による支出1億5百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は5億3千6百万円(前年同期は使用した資金3億7千4百万円)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出2億2千9百万円、配当金の支払額3億4千9百万円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度は当社グループ内での生産は行っておりませんので、記載を省略しております。
(2)仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(アイテム別)
セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)
繊維製品製造販売業カットソーニット2,370,89689.5
布帛シャツ1,421,77390.1
横編セーター1,060,787103.0
アウター2,487,39598.8
ボトム671,67581.3
小物・その他360,89866.1
8,373,42791.6
不動産賃貸事業--
合計8,373,42791.6

(顧客別)
セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)
繊維製品製造販売業メンズ4,874,66491.7
レディス3,494,88491.4
その他3,87767.0
8,373,42791.6
不動産賃貸事業--
合計8,373,42791.6

(注)1.金額は、仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)受注実績
受注生産を行っていないため、記載を省略しております。
(4)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
①セグメント販売実績
(アイテム別)
セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)
繊維製品製造販売業カットソーニット4,017,10783.8
布帛シャツ2,428,52681.7
横編セーター1,829,14396.1
アウター3,785,85783.8
ボトム1,141,79083.0
小物・その他743,75379.2
13,946,17784.5
不動産賃貸事業306,20897.9
合計14,252,38684.7

(顧客別)
セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)
繊維製品製造販売業メンズ7,769,95683.6
レディス6,052,13885.6
その他124,08385.8
13,946,17784.5
不動産賃貸事業306,20897.9
合計14,252,38684.7

(注)1.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2018年9月1日
至 2019年8月31日)
当連結会計年度
(自 2019年9月1日
至 2020年8月31日)
金額(千円)比率(%)金額(千円)比率(%)
イオングループ4,518,72226.93,914,74127.5
株式会社イトーヨーカ堂4,133,30524.63,242,17222.7
ユニー株式会社2,373,83514.11,896,63613.3

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
②ブランド別販売実績
区分金額(千円)構成比(%)前年同期比(%)
クロコダイル12,747,90289.484.3
その他1,504,48310.688.6
合計14,252,386100.084.7

(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成は、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りは過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる方法により行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため実際の結果と異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当連結会計年度の財政状態の分析
当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 (ア)財政状態」をご参照ください。
③当連結会計年度の経営成績の分析
(ア)売上高
当連結会計年度における売上高は、142億5千2百万円と、前年同期の168億1千8百万円と比べ25億6千5百万円の減少となりました。
基幹事業である「クロコダイル」につきましては、まず上期における消費増税や気象災害、さらには暖冬等による影響を想定以上に受けた結果となり、MD設計・在庫・粗利率等の個別の課題克服に向けた戦略を描き下期に臨みました。しかしながら、3月以降新型コロナウイルスの感染拡大に伴う商業施設の臨時休業や人々の外出自粛等により来店客数が減少したことで、第3四半期(3~5月)における既存店売上は前年同期比約50%となり、本来最盛期となる春夏プロパー販売の落ち込みにより利益面への影響も強く受けました。第4四半期(6~8月)における既存店売上は前年同期比約90%と回復基調となるものの、クロコダイルグループの年間売上高は前年同期と比較して16%の減収となりました。一方、現コロナ禍におけるチャネル戦略で最も重要な位置づけと言っても過言ではないEコマースは、デジタルとアナログを効果的に融合したマーケティングや利便性向上を目指した新サービスの導入、さらに「クロコダイル」アプリもスタートする等積極的な投資を行った結果、「クロコダイル」の会員数は前年同期比37%増の約27万人に達し、その売上も前年同期比31%増、新規事業も加えた全社EC売上は前年同期比34%増と引き続き高い伸び率を継続しております。
(イ)売上総利益率、販売費及び一般管理費、営業損益
当連結会計年度における売上総利益率は、上期の増税・気象災害・暖冬等の影響によるプロパー販売不振、および下期の新型コロナウイルス感染症の影響による不採算ブランドの整理等に伴う在庫適正化を行ったことで42.1%(前年同期比3.3ポイント減)となりました。
販売費及び一般管理費は、新たな会員獲得に向けた新サービスの導入や、テレコマースを主目的とした新聞広告等、優位性を生む事業への先行投資を行いながらも、コロナ禍において徹底した経費の見直しや無駄の排除を行ったことで、前年同期の70億5千8百万円と比べ1億2千8百万円の減少となっております。
この結果、当連結会計年度における営業損失は、9億2千3百万円となり、前年同期の営業利益5億8千2百万円と比べ15億6百万円の減益となりました。
(ウ)税金等調整前当期純損益
当連結会計年度における税金等調整前当期純損失は、10億2千8百万円となり、前年同期の税金等調整前当期純利益6億8千8百万円と比べ17億1千7百万円の減益となりました。前年同期に発生しなかった特別利益の投資有価証券売却益、特別損失の減損損失が当連結会計年度に発生したことが主な要因であります。
(エ)親会社株主に帰属する当期純損益
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純損失は、12億9千5百万円となり、前年同期の親会社株主に帰属する当期純利益5億2千9百万円と比べ18億2千5百万円の減益となりました。
④当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
2016年8月期2017年8月期2018年8月期2019年8月期2020年8月期
自己資本比率(%)70.873.875.374.275.5
時価ベースの自己資本比率(%)33.539.647.435.935.0
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)5.13.41.61.3-
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)13.620.038.8103.0-

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
(注5)2020年8月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
⑤経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」をご参照ください。
⑥資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金及び設備投資資金は、主として営業活動によるキャッシュ・フローである自己資金により充当し、必要に応じて金融機関からの借入を実施することを基本方針としております。
この方針に従い、当連結会計年度における運転資金及び設備投資資金については、自己資金により充当しました。
今後の資金需要のうち、主なものは、運転資金の他、店舗の出店及び改修などの設備投資資金等であります。これらの資金についても、基本方針に基づき、主に自己資金により充当する予定でありますが、必要に応じて金融機関からの借入を実施する等、負債と資本のバランスに配慮しつつ、必要な資金を調達してまいります。
⑦経営方針、経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、株主資本の効率的運用及び収益性の追求の観点から、ROE(自己資本当期純利益率)を重要な経営指標ととらえ、その向上を目指して経営に取り組んでおります。
当連結会計年度におけるROEは、△7.8%と前年同期比10.8ポイント減少しました。