有価証券報告書-第11期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/27 15:12
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【項目】
125項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループは、グループのさらなる成長と基盤強化を図るべく、今年度より第四次中期経営計画「NEXT10 ~次なる成長 次なる挑戦~」の3ヵ年計画をスタートさせました。本計画における主要テーマとして、「成長戦略施策」では、①高機能シート分野への挑戦、②新市場開拓・海外販売の強化、③環境関連分野の収益化、「基盤事業の強化・変革施策」では、①事業モデルの見直し、②新商品の開発・販売、③製造工程の見直し・改善を掲げ、次なる成長に向けた諸施策を推進しております。
特殊素材事業におきましては、引続き次世代の柱となる事業を立ち上げる為、商品開発の方向性である「NaSFA(ナスファ)」のもと、新たなシートの開発に注力しております。
セキュリティー分野では、新たな技術の開発に成功しました。また、ファンシーペーパー分野では、海外向けの新商品を開発し、今後、海外に展開してまいります。機能紙の分野でも、顧客ニーズからの開発に注力しながら、一方で提案型商品の開発も進めております。
産業素材事業におきましては、主力事業である段ボール原紙及びクラフト紙分野の強化を図るため平成28年10月に実施した日本製紙株式会社との事業提携から1年半が経過しました。本提携によるシナジー効果をさらに追求することでコスト競争力強化を図ってまいります。
生活商品事業におきまして、連結子会社の株式会社トライフでは、新タオルマシンの生産体制を整えるとともに品揃えや新商品開発に注力しております。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,680百万円減少し、129,119百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ776百万円減少し、56,351百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,903百万円減少し、72,767百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高79,086百万円(前年同期比1.8%増)、営業利益3,932百万円(前年同期比16.5%減)、経常利益3,202百万円(前年同期比36.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,193百万円(前年同期比43.1%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
1) 産業素材事業
主力製品である段ボール原紙及びクラフト紙につきましては、日本東海インダストリアルペーパーサプライ株式会社向けの生産が順調に推移したことなどにより、販売数量が前年同期を上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は37,770百万円(前年同期比3.8%増)、営業利益は1,075百万円(前年同期比10.2%減)となりました。
2) 特殊素材事業
特殊印刷用紙は、出版業界からの大口受注が減少し、また年度末需要の低迷から販売数量・金額ともに前年同期を下回りました。一方、特殊機能紙は、情報用紙において需要低迷の影響を受けたものの、一部の工業用紙の堅調な需要に支えられ販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は21,365百万円(前年同期比0.7%減)、営業利益は2,316百万円(前年同期比9.6%減)となりました。
3) 生活商品事業
ペーパータオルの販売数量は前年同期並みでしたが、価格競争の激化等から平均売価は低下しました。引き続き、新商品開発や収益改善に注力してまいります。トイレットペーパーにつきましては、販売数量・価格ともに安定的に推移しました。
この結果、当セグメントの売上高は16,962百万円(前年同期比0.1%減)、営業利益は527百万円(前年同期比40.9%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は10,418百万円となり、前連結会計年度末に比べ917百万円の減少となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は8,771百万円となり、前連結会計年度に比べ3,201百万円の減少となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益の減少であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は3,785百万円となり、前連結会計年度に比べ3,069百万円の減少となりました。主な要因は、有形固定資産の取得の減少であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は5,928百万円となり、前連結会計年度に比べ3,132百万円の増加となりました。主な要因は、自己株式の取得の増加であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)
産業素材事業46,6494.3
特殊素材事業18,0531.4
生活商品事業14,8521.5
報告セグメント計79,5553.1
その他8△85.2
合計79,5643.0

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっており、自社利用分も含まれております。
3 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
4 当連結会計年度より、セグメントの変更を行っており、「前年同期比(%)」は、前連結会計年度の数値を
変更後のセグメント区分に組替えて算出しております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
その他1,882△2.6640△4.3

(注)1 受注実績は、その他のうち土木・造園工事について記載しております。
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
産業素材事業37,7703.8
特殊素材事業21,365△0.7
生活商品事業16,962△0.1
報告セグメント計76,0991.6
その他2,9875.2
合計79,0861.8

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)
日本東海インダストリアルペーパーサプライ株式会社15,93020.533,74642.7

3 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
4 当連結会計年度より、セグメントの変更を行っており、「前年同期比(%)」は、前連結会計年度の数値を
変更後のセグメント区分に組替えて算出しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(退職給付に係る負債)
従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件には、割引率、年金資産の長期期待運用収益率などの要素が含まれております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、その影響は数理差異として累積され、将来の会計期間にわたって償却されるため、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1) 財政状態
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、129,119百万円となり、前連結会計年度末に比べて2,680百万円の減少となりました。主な要因は、現金及び預金の減少によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、56,351百万円となり、前連結会計年度末に比べて776百万円の減少となりました。主な要因は、有利子負債、事業構造改善引当金の減少によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、72,767百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,903百万円の減少となりました。主な要因は、資本政策目的で取得した自己株式の増加によるものであります。自己資本比率は51.4%となり、前連結会計年度末に比べて0.5ポイント低下しました。
2) 経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は79,086百万円となり、前連結会計年度に比べて1,367百万円(1.8%増)の増加となりました。セグメント別の売上高につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は11,506百万円となり、前連結会計年度に比べて2,554百万円(18.2%減)の減少となりました。これは主に、原燃料価格が上昇したことによるものであります。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は3,932百万円となり、前連結会計年度に比べて775百万円(16.5%減)の減少となりました。これは主に、産業素材事業において、日本製紙株式会社との事業提携により販売機能を日本東海インダストリアルペーパーサプライ株式会社に移転したことによる販売費の減少があったものの、売上総利益が減少したことによるものであります。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は3,202百万円となり、前連結会計年度に比べて1,873百万円(36.9%減)の減少となりました。これは主に、営業利益が減少したことに加え、持分法による投資損失が増加したことによるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は2,193百万円となり、前連結会計年度に比べて1,658百万円(43.1%減)の減少となりました。これは主に、経常利益が減少したことに加え、前連結会計年度にチップサイロ火災事故に対する受取保険金を特別利益に計上したことによるものであります。
3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性
1) 資金需要
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。運転資金需要の主なものは紙パルプ製造・販売における原材料及び商品仕入れ、製造費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、設備資金需要の主なものは紙製造工程の維持更新投資、エネルギー関連投資、研究開発関連投資等、固定資産購入によるものであります。
2) 財務政策
当社グループは、短期運転資金等の短期性資金については、主に金融機関からの短期借入金にて調達し、長期運転資金及び設備投資等の長期性資金については、内部資金及び金融機関からの長期借入金並びに金融機関を引受先とする社債(私募債)発行等により調達しております。また、資金の性格、今後の資金需要、金利動向等の調達環境、予想される貸借対照表の流動比率及び借入金長短比率等を総合的に考慮し、調達額及び調達方法を適宜判断して実施しております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、企業価値の向上と継続的な成長を目的として、営業利益及び経常利益、ROEを重要な指標として位置付けております。当連結会計年度における営業利益は39億円、経常利益は32億円、ROEは3.3%となりました。第四次中期経営計画を推進することで、計画最終年度となる平成31年度は営業利益55億円、ROE5.0~6.0%を目指してまいります。
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。