有価証券報告書-第13期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループは、2017年度にスタートした第四次中期経営計画の最終年度を迎え、「NEXT10 ~次なる成長 次なる挑戦~」のもと、グループの更なる成長と基盤強化を図ってまいりました。本計画における主要テーマとして、「成長戦略施策」では、①高機能シート分野への挑戦、②新市場開拓・海外販売の強化、③環境関連分野の収益化、「基盤事業の強化・変革施策」では、①事業モデルの見直し、②新商品の開発・販売、③製造工程の見直し・改善を掲げ、次なる成長に向けた諸施策を推進してまいりました。
第四次中期経営計画期間中においては、特殊素材事業では主力商品の販売強化から新商品開発まで幅広く施策を手掛けたものの、成果摘み取りは次期経営計画に持ち越すこととなりました。産業素材事業では、コスト削減等の基盤強化策を着実に実施するとともに最適地生産の実行等、日本製紙株式会社との合弁による効果も確実にあげることができました。生活商品事業では、衛生用紙は供給体制の強化、ラミネートは多用途展開にそれぞれ注力したものの、事業環境が厳しく成果が相殺されました。この結果、第四次中期経営計画で掲げた最終年度の営業利益5,500百万円には大幅未達となりました。
当連結会計年度、特殊素材事業におきましては、商品開発の方向性である「NaSFA(ナスファ)」のもと、多くの開発を進めております。機能紙分野では、第3四半期で上市した特殊機能紙について、その関連製品の上市に向けて検討を進めております。セキュリティー分野では、第2四半期の大型案件に続き、その技術を利用した新たな案件に着手いたしました。また、海外展開の一環として、11月に開催された偽造防止技術の国際会議 High Security Printingへの参加により、海外偽造防止用紙の引き合いがあり開発を進めております。ファンシーペーパー分野では、海外向けファンシーペーパーの上市を当年度中に見込んでおりましたが、新型コロナウイルスの影響により延期になりました。また、国内向けでは2件の新商品を上市する予定でしたが、同様に延期になりました。
産業素材事業におきましては、連結子会社の新東海製紙株式会社において、更なるコスト面・品質面での競争力向上に取り組んでおります。
生活商品事業におきましては、ペーパータオルやラミネート製品の分野において新商品開発を進めております。
当社グループは、これらの3事業に加え、新たに自然環境の活用や資源の再活用を目指した環境関連事業をセグメント化し、将来の収益基盤の強化を図ってまいります。また、当社は、資源再活用ビジネスを今後更に強化・発展させるべく、1月に株式会社駿河サービス工業の株式を取得し、連結子会社化いたしました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,726百万円増加し、132,655百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ761百万円増加し、54,977百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,964百万円増加し、77,678百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高80,603百万円(前年同期比1.6%減)、営業利益2,870百万円(前年同期比8.7%減)、経常利益5,389百万円(前年同期比0.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,694百万円(前年同期比12.3%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
1) 産業素材事業
主力製品である段ボール原紙及びクラフト紙につきましては、日本東海インダストリアルペーパーサプライ株式会社向けの売上が減少したことなどにより、当セグメントの売上高は39,159百万円(前年同期比4.7%減)となりました。利益面につきましては、パルプの外販価格低下の影響等により、営業利益は1,039百万円(前年同期比7.7%減)となりました。
2) 特殊素材事業
特殊機能紙につきましては、海外向け一部製品の販売が順調に推移するとともに、消費税率引上げに伴う影響緩和策に関連して一部製品の受注が増加、加えて国内初の偽造防止技術を付与した新規セキュリティー用紙の販売を開始し、販売数量・金額ともに前期を上回りました。一方、特殊印刷用紙につきましては、国内外において複数の新製品を投入しましたが、その効果の発現に時間を要しており、販売数量・金額ともに前期を下回りました。利益面では、新商品上市に係る工場能率への影響、三島工場の新ガスエンジン稼働に伴う一時的な固定費の増加、成長戦略推進のための試験研究費の増加、物流経費の増加等により、大幅な減益となりました。
この結果、当セグメントの売上高は21,911百万円(前年同期比2.9%減)、営業利益は1,271百万円(前年同期比23.8%減)となりました。
3) 生活商品事業
ペーパータオルにつきましては、原燃料高騰を緩和するため販売価格への転嫁を進めた影響が残り、販売数量が前期を下回りました。新型コロナウイルスの感染拡大以降は、社会全般の衛生意識の向上に伴って需要が増加しており、安定供給に努めております。トイレットペーパーにつきましては、販売数量が堅調に推移したとともに、販売価格の値上げ効果もあり、大幅な増益となりました。
この結果、当セグメントの売上高は17,860百万円(前年同期比1.5%減)、営業利益は536百万円(前年同期比91.5%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は9,908百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,181百万円の増加となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は11,014百万円となり、前連結会計年度に比べ2,774百万円の増加となりました。主な要因は、売上債権の減少であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は9,598百万円となり、前連結会計年度に比べ3,296百万円の増加となりました。主な要因は、子会社株式の取得であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は234百万円となり、前連結会計年度に比べ3,396百万円の減少となりました。主な要因は、借入金の増加であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっており、自社利用分も含まれております。
3 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 受注実績は、土木・造園工事について記載しております。
3 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
3 上記の金額には消費税等は含まれておりません。 4 当連結会計年度より、表示方法の変更を行っており、「前年同期比(%)」は、
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (表示方法の変更)」に記載のとおり、組替後の前連結会計年度の連結財務諸表の数値を用いて比較しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1) 財政状態
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、132,655百万円となり、前連結会計年度末に比べて2,726百万円の増加となりました。主な要因は、のれんの増加によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、54,977百万円となり、前連結会計年度末に比べて761百万円の増加となりました。主な要因は、有利子負債の増加によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、77,678百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,964百万円の増加となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加によるものであります。自己資本比率は53.5%となり、前連結会計年度末に比べて0.4ポイント上昇しました。
2) 経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は80,603百万円となり、前連結会計年度に比べて1,297百万円(1.6%減)の減少となりました。セグメントごとの売上高につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は10,803百万円となり、前連結会計年度に比べて58百万円(0.5%増)の増加となりました。これは主に、原燃料価格が下落したことによるものであります。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は2,870百万円となり、前連結会計年度に比べて272百万円(8.7%減)の減少となりました。これは主に、試験研究費・物流経費を中心とした販管費が増加したことによるものであります。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は5,389百万円となり、前連結会計年度に比べて35百万円(0.7%増)の増加となりました。これは主に、持分法による投資利益が増加したことによるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は3,694百万円となり、前連結会計年度に比べて517百万円(12.3%減)の減少となりました。これは主に、特別利益が減少したことによるものであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標としては、収益稼得水準の観点から営業利益を最も重視しており、また営業外の活動を反映する経常利益や、株主に対する還元の基準となる親会社株主に帰属する当期純利益についても重要視しております。加えて、投下資本の生産性を示す指標としてROAやROEについても、重要な経営指標と考えております。
当連結会計年度における営業利益は28億円、経常利益は53億円、ROEは5.3%となりました。次期経営計画を推進することで、引き続き当該指標の改善に邁進していく所存でございます。
d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
また、資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
(資金需要)
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。運転資金需要の主なものは紙パルプ製造・販売における原材料及び商品仕入れ、製造費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、設備資金需要の主なものは紙製造工程の維持更新投資、エネルギー関連投資、研究開発関連投資等、固定資産購入によるものであります。
(財務政策)
当社グループは、短期運転資金等の短期性資金については、主に金融機関からの短期借入金にて調達し、長期運転資金及び設備投資等の長期性資金については、内部資金及び金融機関からの長期借入金並びに金融機関を引受先とする社債(私募債)発行等により調達しております。また、資金の性格、今後の資金需要、金利動向等の調達環境、予想される貸借対照表の流動比率及び借入金長短比率等を総合的に考慮し、調達額及び調達方法を適宜判断して実施しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(有形固定資産)
有形固定資産の簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、減損の有無を判定しております。この判定は、事業用資産についてはグルーピングした各事業単位の将来キャッシュ・フローの見積りに基づいて行っております。将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額の見積りは合理的であると考えておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
(のれん及びその他の無形固定資産)
のれん及びその他の無形固定資産について、事業環境や将来の業績見通しの悪化、事業戦略の変化等、減損の兆候が発生した場合に減損の判定を行っております。当社グループは、株式会社駿河サービス工業を連結子会社化したことに伴い、のれんを計上しております。のれんの公正価値の見積りにあたっては、外部専門家による評価を活用しており将来の収益力を適切に反映しているものと判断しておりますが、同社における将来の収益力の低下等により、減損損失が発生する可能性があります。
(退職給付に係る負債)
従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件には、割引率、年金資産の長期期待運用収益率などの要素が含まれております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、その影響は数理差異として累積され、将来の会計期間にわたって償却されるため、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループは、2017年度にスタートした第四次中期経営計画の最終年度を迎え、「NEXT10 ~次なる成長 次なる挑戦~」のもと、グループの更なる成長と基盤強化を図ってまいりました。本計画における主要テーマとして、「成長戦略施策」では、①高機能シート分野への挑戦、②新市場開拓・海外販売の強化、③環境関連分野の収益化、「基盤事業の強化・変革施策」では、①事業モデルの見直し、②新商品の開発・販売、③製造工程の見直し・改善を掲げ、次なる成長に向けた諸施策を推進してまいりました。
第四次中期経営計画期間中においては、特殊素材事業では主力商品の販売強化から新商品開発まで幅広く施策を手掛けたものの、成果摘み取りは次期経営計画に持ち越すこととなりました。産業素材事業では、コスト削減等の基盤強化策を着実に実施するとともに最適地生産の実行等、日本製紙株式会社との合弁による効果も確実にあげることができました。生活商品事業では、衛生用紙は供給体制の強化、ラミネートは多用途展開にそれぞれ注力したものの、事業環境が厳しく成果が相殺されました。この結果、第四次中期経営計画で掲げた最終年度の営業利益5,500百万円には大幅未達となりました。
当連結会計年度、特殊素材事業におきましては、商品開発の方向性である「NaSFA(ナスファ)」のもと、多くの開発を進めております。機能紙分野では、第3四半期で上市した特殊機能紙について、その関連製品の上市に向けて検討を進めております。セキュリティー分野では、第2四半期の大型案件に続き、その技術を利用した新たな案件に着手いたしました。また、海外展開の一環として、11月に開催された偽造防止技術の国際会議 High Security Printingへの参加により、海外偽造防止用紙の引き合いがあり開発を進めております。ファンシーペーパー分野では、海外向けファンシーペーパーの上市を当年度中に見込んでおりましたが、新型コロナウイルスの影響により延期になりました。また、国内向けでは2件の新商品を上市する予定でしたが、同様に延期になりました。
産業素材事業におきましては、連結子会社の新東海製紙株式会社において、更なるコスト面・品質面での競争力向上に取り組んでおります。
生活商品事業におきましては、ペーパータオルやラミネート製品の分野において新商品開発を進めております。
当社グループは、これらの3事業に加え、新たに自然環境の活用や資源の再活用を目指した環境関連事業をセグメント化し、将来の収益基盤の強化を図ってまいります。また、当社は、資源再活用ビジネスを今後更に強化・発展させるべく、1月に株式会社駿河サービス工業の株式を取得し、連結子会社化いたしました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,726百万円増加し、132,655百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ761百万円増加し、54,977百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,964百万円増加し、77,678百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高80,603百万円(前年同期比1.6%減)、営業利益2,870百万円(前年同期比8.7%減)、経常利益5,389百万円(前年同期比0.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,694百万円(前年同期比12.3%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
1) 産業素材事業
主力製品である段ボール原紙及びクラフト紙につきましては、日本東海インダストリアルペーパーサプライ株式会社向けの売上が減少したことなどにより、当セグメントの売上高は39,159百万円(前年同期比4.7%減)となりました。利益面につきましては、パルプの外販価格低下の影響等により、営業利益は1,039百万円(前年同期比7.7%減)となりました。
2) 特殊素材事業
特殊機能紙につきましては、海外向け一部製品の販売が順調に推移するとともに、消費税率引上げに伴う影響緩和策に関連して一部製品の受注が増加、加えて国内初の偽造防止技術を付与した新規セキュリティー用紙の販売を開始し、販売数量・金額ともに前期を上回りました。一方、特殊印刷用紙につきましては、国内外において複数の新製品を投入しましたが、その効果の発現に時間を要しており、販売数量・金額ともに前期を下回りました。利益面では、新商品上市に係る工場能率への影響、三島工場の新ガスエンジン稼働に伴う一時的な固定費の増加、成長戦略推進のための試験研究費の増加、物流経費の増加等により、大幅な減益となりました。
この結果、当セグメントの売上高は21,911百万円(前年同期比2.9%減)、営業利益は1,271百万円(前年同期比23.8%減)となりました。
3) 生活商品事業
ペーパータオルにつきましては、原燃料高騰を緩和するため販売価格への転嫁を進めた影響が残り、販売数量が前期を下回りました。新型コロナウイルスの感染拡大以降は、社会全般の衛生意識の向上に伴って需要が増加しており、安定供給に努めております。トイレットペーパーにつきましては、販売数量が堅調に推移したとともに、販売価格の値上げ効果もあり、大幅な増益となりました。
この結果、当セグメントの売上高は17,860百万円(前年同期比1.5%減)、営業利益は536百万円(前年同期比91.5%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は9,908百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,181百万円の増加となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は11,014百万円となり、前連結会計年度に比べ2,774百万円の増加となりました。主な要因は、売上債権の減少であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は9,598百万円となり、前連結会計年度に比べ3,296百万円の増加となりました。主な要因は、子会社株式の取得であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は234百万円となり、前連結会計年度に比べ3,396百万円の減少となりました。主な要因は、借入金の増加であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
産業素材事業 | 42,018 | △9.5 |
特殊素材事業 | 18,931 | 2.1 |
生活商品事業 | 15,100 | △2.1 |
報告セグメント計 | 76,050 | △5.4 |
その他 | 18 | 46.4 |
合計 | 76,069 | △5.4 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっており、自社利用分も含まれております。
3 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
特殊素材事業 | 40 | △77.3 | 0 | △100.0 |
報告セグメント計 | 40 | △77.3 | 0 | △100.0 |
その他 | 5,145 | 96.5 | 2,780 | 234.6 |
合計 | 5,186 | 85.4 | 2,780 | 205.7 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 受注実績は、土木・造園工事について記載しております。
3 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
産業素材事業 | 37,226 | △4.0 |
特殊素材事業 | 21,168 | △0.4 |
生活商品事業 | 17,575 | △1.5 |
報告セグメント計 | 75,970 | △2.4 |
その他 | 4,633 | 14.8 |
合計 | 80,603 | △1.6 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | ||
販売高(百万円) | 割合(%) | 販売高(百万円) | 割合(%) | |
日本東海インダストリアルペーパーサプライ株式会社 | 34,044 | 41.6 | 31,301 | 38.8 |
3 上記の金額には消費税等は含まれておりません。 4 当連結会計年度より、表示方法の変更を行っており、「前年同期比(%)」は、
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (表示方法の変更)」に記載のとおり、組替後の前連結会計年度の連結財務諸表の数値を用いて比較しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1) 財政状態
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、132,655百万円となり、前連結会計年度末に比べて2,726百万円の増加となりました。主な要因は、のれんの増加によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、54,977百万円となり、前連結会計年度末に比べて761百万円の増加となりました。主な要因は、有利子負債の増加によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、77,678百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,964百万円の増加となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加によるものであります。自己資本比率は53.5%となり、前連結会計年度末に比べて0.4ポイント上昇しました。
2) 経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は80,603百万円となり、前連結会計年度に比べて1,297百万円(1.6%減)の減少となりました。セグメントごとの売上高につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は10,803百万円となり、前連結会計年度に比べて58百万円(0.5%増)の増加となりました。これは主に、原燃料価格が下落したことによるものであります。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は2,870百万円となり、前連結会計年度に比べて272百万円(8.7%減)の減少となりました。これは主に、試験研究費・物流経費を中心とした販管費が増加したことによるものであります。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は5,389百万円となり、前連結会計年度に比べて35百万円(0.7%増)の増加となりました。これは主に、持分法による投資利益が増加したことによるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は3,694百万円となり、前連結会計年度に比べて517百万円(12.3%減)の減少となりました。これは主に、特別利益が減少したことによるものであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標としては、収益稼得水準の観点から営業利益を最も重視しており、また営業外の活動を反映する経常利益や、株主に対する還元の基準となる親会社株主に帰属する当期純利益についても重要視しております。加えて、投下資本の生産性を示す指標としてROAやROEについても、重要な経営指標と考えております。
当連結会計年度における営業利益は28億円、経常利益は53億円、ROEは5.3%となりました。次期経営計画を推進することで、引き続き当該指標の改善に邁進していく所存でございます。
d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
また、資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
(資金需要)
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。運転資金需要の主なものは紙パルプ製造・販売における原材料及び商品仕入れ、製造費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、設備資金需要の主なものは紙製造工程の維持更新投資、エネルギー関連投資、研究開発関連投資等、固定資産購入によるものであります。
(財務政策)
当社グループは、短期運転資金等の短期性資金については、主に金融機関からの短期借入金にて調達し、長期運転資金及び設備投資等の長期性資金については、内部資金及び金融機関からの長期借入金並びに金融機関を引受先とする社債(私募債)発行等により調達しております。また、資金の性格、今後の資金需要、金利動向等の調達環境、予想される貸借対照表の流動比率及び借入金長短比率等を総合的に考慮し、調達額及び調達方法を適宜判断して実施しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(有形固定資産)
有形固定資産の簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、減損の有無を判定しております。この判定は、事業用資産についてはグルーピングした各事業単位の将来キャッシュ・フローの見積りに基づいて行っております。将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額の見積りは合理的であると考えておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
(のれん及びその他の無形固定資産)
のれん及びその他の無形固定資産について、事業環境や将来の業績見通しの悪化、事業戦略の変化等、減損の兆候が発生した場合に減損の判定を行っております。当社グループは、株式会社駿河サービス工業を連結子会社化したことに伴い、のれんを計上しております。のれんの公正価値の見積りにあたっては、外部専門家による評価を活用しており将来の収益力を適切に反映しているものと判断しておりますが、同社における将来の収益力の低下等により、減損損失が発生する可能性があります。
(退職給付に係る負債)
従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件には、割引率、年金資産の長期期待運用収益率などの要素が含まれております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、その影響は数理差異として累積され、将来の会計期間にわたって償却されるため、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。