有価証券報告書-第120期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/27 16:40
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【項目】
125項目

研究開発活動

DNPは、新規事業の創出・新製品開発から生産技術の開発に至るまで、幅広い研究開発活動を続けており、その活動は事業活動の原動力として機能している。
DNPの研究開発は、研究開発センター、事業開発センター、電子システムセンター、技術開発センターの本社4センター及び事業分野の開発部門を中心に推進している。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は30,820百万円であり、この中には各事業部門に配分していない基礎研究費用等の9,295百万円が含まれている。
当連結会計年度における各事業部門の主な研究開発とその成果は次のとおりである。
(1) 情報コミュニケーション部門
出版印刷分野では、国際的にICT(情報通信技術)導入が進む教育分野に向けて、デジタルペンと紙を活用したハイブリッド学習システム「OpenNOTE®」を開発した。生徒が記入した文字や図形を瞬時にデータ化して授業の進行を支援するシステムで、電子黒板上の手書きコメントをデータへ反映するなどの機能を付加している。新たな出版メディアとして期待が高まる電子雑誌においては、雑誌データを記事単位で管理・流通することができる「コンテンツビジネスバンク™」を開発し、雑誌コンテンツの活用の幅を広げ、より細分化されたニーズに対応できるサービスを開始した。
セールスプロモーション分野では、O2O(Online to Offline)市場向けのソリューションとして、スマートフォンでレシートを撮影することで簡単に支出管理や献立の検討ができる家計簿アプリ「レシーピ!」や、手軽に商品の購買証明を行いキャンペーンに応募できる「レシプレ!™」、購買促進等の機能をクラウド型で提供するプラットフォーム「PASSMART™」を開発した。また、生活者のウェブサイト閲覧履歴などを統合管理するDMP(Data Management Platform)を活用したマーケティング支援サービスを開始した。
カード・セキュリティ分野では、ICカードビジネスで培った国内最高水準の技術と実績を強みとして、NFCスマートフォンサービスの開発に積極的に取り組んでいる。M2M(機器間通信:Machine to Machine)に対応し、ネットワークに接続された機器同士が送受信するデータを保護し、改ざんを防止するセキュアな環境を実現できるSIM(Subscriber Identity Module)アプリケーション技術を開発した。また、電子マネーなどに利用できるFeliCa機能を搭載し、キーホルダーやストラップとして利用可能な小型非接触IC媒体「Smart-Jacket™」の安価版を発売した。偽造防止媒体では、通常は無色透明で、紫外線や赤外線を照射すると絵柄が見える印刷技術を開発し、セキュリティ製品のラインアップを拡充した。
当部門に係る研究開発費は8,663百万円である。
(2) 生活・産業部門
包装分野では、多様化するニーズを受けて、ユニバーサルデザインや環境負荷の低減などの市場環境に適合した製品、及び新たな機能を持った環境配慮型製品の開発を進めた。特に、植物由来材料を利用し、バイオマスマーク認定を受けた「バイオマテック」の開発や、高機能化及び高付加価値化を目的としたバリア技術の開発を推進した。
住空間マテリアル分野では、DNP独自のEB(電子線:Electron Beam)技術などの強みを活かし、「快適な暮らし」を指向した環境配慮型製品の開発に取り組んでいる。環境・エネルギー、健康・快適、高齢化などに対応し、機能性と信頼性に優れた製品やシステムの設計・開発を推進した。また、EB技術を応用して、自動車部材用途を中心とし、プラスチックに新たな機能を付与する成型システムの開発を推進している。
情報記録材分野では、写真の楽しさや利便性を生活者に提供する製品・サービスの拡充に向けた開発を継続している。スマートフォンで撮影した写真データを無線で受信して即時プリントするシステム「Party Print」のほか、証明写真ボックス「Ki-Re-i EX」で撮影した画像データをスマートフォンに保存できるサービス「Withスマホ」、編集の自由度を高めたフォトブックの制作が行えるサービス「DreamPages+」等のラインアップを展開した。
エネルギーシステム分野では、太陽電池パネルの高効率化や高信頼性、コストダウンの実現に向けて、コンバーティング技術を活用した封止材やバックシート等の太陽電池用部材の開発を継続した。蓄電池分野においては、タブレット端末や携帯機器、車載用機器などの様々な用途で採用が進むリチウムイオン電池向けに、高い信頼性を備えたソフトパック部材の技術開発を推進した。
アドバンストオプティクス分野では、テレビやスマートフォン、タブレット端末等の薄型ディスプレイ向けに、各種反射防止・防眩用フィルムの開発と実用化を進めた。より薄く、より軽くという市場のニーズに応えるため、DNP独自の微細パターン複製技術を用いた高機能光学フィルムシートの開発を進めている。また、薄型ディスプレイに対応した高性能な静電容量式タッチパネル用電極フィルムとして、銅メッシュシートを開発し、電子黒板やデジタルサイネージなどの大画面タッチパネルの製品化を推進した。
当部門に係る研究開発費は6,283百万円である。
(3) エレクトロニクス部門
電子デバイス分野では、高度に微細化された先端半導体製品の実現に向けて、世界で開発が進む様々なリソグラフィ技術に対応するため、光リソグラフィ用の先端フォトマスクの開発に加え、ナノインプリント用のテンプレート、EUVリソグラフィ用マスクの技術確立と実用化を進めている。また、モジュール・システム製品では、ディスプレイに表示される画像をより実物に近い色調に補正できるカラーマネジメント機能を搭載した半導体製品について、Quanta Computer Inc.との共同開発を通じて、ノートパソコンやタブレット端末への採用を進めている。さらに、NFC機能を有していない電子機器に同機能を容易に組み込むことができるNFCモジュール製品を開発し、様々な用途での採用を目指している。
ディスプレイ製品分野では、高輝度LEDバックライトに適合し、低消費電力化と高画質化に対応できる液晶ディスプレイ用カラーフィルターの開発を進めている。タッチパネルについては、DNPが保有する大型マザーガラス基板に対応した生産技術を活かした、カバーガラス一体型タッチパネルの開発を進めている。
当部門に係る研究開発費は6,578百万円である。
(4) 清涼飲料部門
該当事項はない。