有価証券報告書-第148期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する分析・検討内容は次のとおりです。
(1) 経営成績の状況の概要
当連結会計年度における日本経済は、高水準の企業収益や雇用情勢の改善を背景に緩やかな回復基調で推移しました。しかし、米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題などにより世界経済の不確実性が増し、輸出や生産を中心に先行きへの不透明感は高まりました。
新聞界においては、無購読層の拡大やメディア構造の変化などを背景に新聞総発行部数は減少が続いています。新聞広告も厳しい状況が続きました。
このような状況の下、当社グループは魅力的で質の高いコンテンツを最先端の技術で伝える「テクノロジー・メディア」を目指し、グループ一体での経営改革を推し進めました。その中核となるデジタル事業では、紙の新聞との一体編集体制を本格化させ、編集とデジタル技術の融合を加速するとともに、最新技術の開発や活用に取り組み、成長基盤の整備を進めました。営業分野においても、広告、イベント、文化事業などを「メディアビジネス」として統括する組織改編を行い、当社グループがもつ様々なソリューションをワンストップで企業に提案する総合営業を展開しました。グローバル事業では、フィナンシャル・タイムズ・グループ(FT)との協業による収益拡大に取り組みました。
当連結会計年度の業績は、売上高が3,568億84百万円(前期比0.4%増)、営業利益が142億85百万円(前期比10.1%増)、経常利益が134億18百万円(前期比7.3%減)、税金等調整前当期純利益が102億8百万円(前期比20.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が35億60百万円(前期比31.0%減)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりです。
①メディア・情報事業
当事業の中核となる新聞関連では、紙面に先行して、ビジネスパーソンが必要とする時間帯に、必要な情報を届ける「デジタルファースト」の編集方針のもと、紙とデジタルの融合を進めました。取材にも最新のテクノロジーを取り入れ、データエコノミーの光と影に迫った連載企画「データの世紀」とネット社会に関する一連の調査報道は当年度の新聞協会賞(編集部門)を受賞しました。
日経電子版の有料会員数に、日経産業新聞、日経MJ、日経ヴェリタスの紙面ビューアー契約数、人事ウオッチ契約数を合算したデジタル購読数は12月には74万に達し、無料と合わせた登録会員数全体で466万に拡大しました。営業分野においても「新聞広告IoT宣言」のもと、デジタル技術を活用した新聞広告の効果測定方法の開発や、AR(拡張現実)アプリ「日経AR」のリリースなどの一連の取り組みが新聞協会賞(経営・業務部門)を受賞。編集部門とのダブル受賞となりました。また、9月に関西での新たな印刷拠点となる日経大阪別館が稼働しました。
英文媒体の「Nikkei Asian Review」は編集体制の強化を進め、電子版と連携して特集記事を同時発信するなど、質の高いコンテンツが評価を得ています。
FTとの協業では、グローバル人材育成プログラム「Excedo」の販売を2月から開始しました。
イベント関連では、フランス・パリで開催した「日経能パリ公演」が、国外では初めて本格的な能舞台を設置して上演され、現地において高い評価を得ました。
販売収入は、電子版が好調に推移しましたが、紙媒体の部数減少により、全体としては減収となりました。12月本紙朝刊販売部数(ABC部数)に電子版有料会員数を加えた購読数は、293万となりました。
広告収入は、素材・エネルギー、観光・外国政府、政府公共機関などの業種で前年を上回りましたが、建設・不動産、精密・事務機器、証券などが前年を下回り、全体で減収となりました。
FTは3月に紙とデジタルを合わせた有料購読者数が100万を突破しました。紙媒体の販売・広告収入が減少したものの、デジタル有料会員の増加などにより全体で増収となりました。また、5月には新本社「ブラッケンハウス」に移転しました。
出版関連では、雑誌販売は引き続き厳しい環境が続きましたが、書籍販売は「FACTFULNESS」「天才を殺す凡人」などのヒットがあり、デジタル媒体やイベントも好調で、全体ではほぼ前年並みとなりました。
デジタル関連では、「日経テレコン」などのWebサービスは「日経スマートクリップ」や「日経バリューサーチ」がけん引する形で堅調に推移し、「NEEDS」などのデータ事業も増収となりました。「QUICK FactSet Workstation」なども好調で増収となりました。また、官公庁の大型統計調査の受注もあり、全体でも増収となりました。
以上の結果、「メディア・情報事業」の売上高は3,522億30百万円(前期比0.5%増)、営業利益は113億62百万円(前期比15.0%増)となりました。
②その他の事業
賃貸関連収入は堅調でしたが、大型台風の影響を受けた旅行関連が減収となるなど、全体では減収となりました。
「その他の事業」の売上高は93億5百万円(前期比3.0%減)、営業利益は29億14百万円(前期比5.5%減)となりました。
なお、米国子会社において、2019年9月、悪意ある第三者による虚偽の指示に基づき、同社の社員が約32億円を流出させる事案が発生しました。同社は被害発覚後直ちに被害届を提出しました。当社は親会社として同社とともに捜査に全面的に協力し、被害回復に努めております。
(2) 財政状態の状況の概要
総資産は、前連結会計年度末と比較して4.6%増の6,059億70百万円となりました。これはIFRS第16号「リース」(以下、「IFRS第16号」という。)適用による使用権資産の計上が主な要因です。負債合計は、長期借入金は減少しましたが、IFRS第16号適用によるリース債務の計上などで前連結会計年度末比5.4%増の3,115億24百万円となりました。純資産額は、前連結会計年度末3.8%増の2,944億45百万円となりました。これは、退職給付に係る調整累計額や為替換算調整勘定の変動などの影響によるものです。この結果、当連結会計年度末の1株当たり純資産額は前連結会計年度末の10,434円54銭に対し、10,788円23銭となりました。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の連結会計年度末の数値で比較を行っております。
(3) キャッシュ・フローの状況の概要
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ117億65百万円(10.8%)減少し、976億7百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により得られた資金は255億87百万円であり、前連結会計年度に比べ144億59百万円(36.1%)減少しています。これは、法人税等の支払額が増加したことや税金等調整前当期純利益が減少したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は231億45百万円であり、前連結会計年度に比べ83億35百万円(56.2%)増加しています。これは、投資有価証券の取得による支出が増加したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は143億18百万円であり、前連結会計年度に比べ2億20百万円(1.6%)増加しています。これは、社内預金制度の廃止による支出などによるものです。
当社グループの事業活動における運転資金需要のうち主なものは、人件費、材料費、販売費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、設備投資や事業会社への出資等によるものです。
資金の源泉については、主として営業キャッシュ・フローを源泉とした自己資本に加え、金融機関からの借入れによって安定的に確保することを基本としています。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は976億円となっており、現在必要とされる資金水準を十分に満たす流動性を保持していると考えています。
(4) 生産、受注及び販売の実績
販売実績
当社グループの生産、販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また受注生産形態をとらないものが多いため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため販売の状況についてのみ「(1) 経営成績の状況の概要」における各セグメント業績に関連付けて示しています。
(注)1.上記金額には、消費税等は含まれていません。
2.主要な販売先に総販売実績の100分の10を超える相手先はありません。
3.セグメント間の取引については相殺消去しています。
(5) 重要な会計方針および見積り 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。
(1) 経営成績の状況の概要
当連結会計年度における日本経済は、高水準の企業収益や雇用情勢の改善を背景に緩やかな回復基調で推移しました。しかし、米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題などにより世界経済の不確実性が増し、輸出や生産を中心に先行きへの不透明感は高まりました。
新聞界においては、無購読層の拡大やメディア構造の変化などを背景に新聞総発行部数は減少が続いています。新聞広告も厳しい状況が続きました。
このような状況の下、当社グループは魅力的で質の高いコンテンツを最先端の技術で伝える「テクノロジー・メディア」を目指し、グループ一体での経営改革を推し進めました。その中核となるデジタル事業では、紙の新聞との一体編集体制を本格化させ、編集とデジタル技術の融合を加速するとともに、最新技術の開発や活用に取り組み、成長基盤の整備を進めました。営業分野においても、広告、イベント、文化事業などを「メディアビジネス」として統括する組織改編を行い、当社グループがもつ様々なソリューションをワンストップで企業に提案する総合営業を展開しました。グローバル事業では、フィナンシャル・タイムズ・グループ(FT)との協業による収益拡大に取り組みました。
当連結会計年度の業績は、売上高が3,568億84百万円(前期比0.4%増)、営業利益が142億85百万円(前期比10.1%増)、経常利益が134億18百万円(前期比7.3%減)、税金等調整前当期純利益が102億8百万円(前期比20.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が35億60百万円(前期比31.0%減)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりです。
①メディア・情報事業
当事業の中核となる新聞関連では、紙面に先行して、ビジネスパーソンが必要とする時間帯に、必要な情報を届ける「デジタルファースト」の編集方針のもと、紙とデジタルの融合を進めました。取材にも最新のテクノロジーを取り入れ、データエコノミーの光と影に迫った連載企画「データの世紀」とネット社会に関する一連の調査報道は当年度の新聞協会賞(編集部門)を受賞しました。
日経電子版の有料会員数に、日経産業新聞、日経MJ、日経ヴェリタスの紙面ビューアー契約数、人事ウオッチ契約数を合算したデジタル購読数は12月には74万に達し、無料と合わせた登録会員数全体で466万に拡大しました。営業分野においても「新聞広告IoT宣言」のもと、デジタル技術を活用した新聞広告の効果測定方法の開発や、AR(拡張現実)アプリ「日経AR」のリリースなどの一連の取り組みが新聞協会賞(経営・業務部門)を受賞。編集部門とのダブル受賞となりました。また、9月に関西での新たな印刷拠点となる日経大阪別館が稼働しました。
英文媒体の「Nikkei Asian Review」は編集体制の強化を進め、電子版と連携して特集記事を同時発信するなど、質の高いコンテンツが評価を得ています。
FTとの協業では、グローバル人材育成プログラム「Excedo」の販売を2月から開始しました。
イベント関連では、フランス・パリで開催した「日経能パリ公演」が、国外では初めて本格的な能舞台を設置して上演され、現地において高い評価を得ました。
販売収入は、電子版が好調に推移しましたが、紙媒体の部数減少により、全体としては減収となりました。12月本紙朝刊販売部数(ABC部数)に電子版有料会員数を加えた購読数は、293万となりました。
広告収入は、素材・エネルギー、観光・外国政府、政府公共機関などの業種で前年を上回りましたが、建設・不動産、精密・事務機器、証券などが前年を下回り、全体で減収となりました。
FTは3月に紙とデジタルを合わせた有料購読者数が100万を突破しました。紙媒体の販売・広告収入が減少したものの、デジタル有料会員の増加などにより全体で増収となりました。また、5月には新本社「ブラッケンハウス」に移転しました。
出版関連では、雑誌販売は引き続き厳しい環境が続きましたが、書籍販売は「FACTFULNESS」「天才を殺す凡人」などのヒットがあり、デジタル媒体やイベントも好調で、全体ではほぼ前年並みとなりました。
デジタル関連では、「日経テレコン」などのWebサービスは「日経スマートクリップ」や「日経バリューサーチ」がけん引する形で堅調に推移し、「NEEDS」などのデータ事業も増収となりました。「QUICK FactSet Workstation」なども好調で増収となりました。また、官公庁の大型統計調査の受注もあり、全体でも増収となりました。
以上の結果、「メディア・情報事業」の売上高は3,522億30百万円(前期比0.5%増)、営業利益は113億62百万円(前期比15.0%増)となりました。
②その他の事業
賃貸関連収入は堅調でしたが、大型台風の影響を受けた旅行関連が減収となるなど、全体では減収となりました。
「その他の事業」の売上高は93億5百万円(前期比3.0%減)、営業利益は29億14百万円(前期比5.5%減)となりました。
なお、米国子会社において、2019年9月、悪意ある第三者による虚偽の指示に基づき、同社の社員が約32億円を流出させる事案が発生しました。同社は被害発覚後直ちに被害届を提出しました。当社は親会社として同社とともに捜査に全面的に協力し、被害回復に努めております。
(2) 財政状態の状況の概要
総資産は、前連結会計年度末と比較して4.6%増の6,059億70百万円となりました。これはIFRS第16号「リース」(以下、「IFRS第16号」という。)適用による使用権資産の計上が主な要因です。負債合計は、長期借入金は減少しましたが、IFRS第16号適用によるリース債務の計上などで前連結会計年度末比5.4%増の3,115億24百万円となりました。純資産額は、前連結会計年度末3.8%増の2,944億45百万円となりました。これは、退職給付に係る調整累計額や為替換算調整勘定の変動などの影響によるものです。この結果、当連結会計年度末の1株当たり純資産額は前連結会計年度末の10,434円54銭に対し、10,788円23銭となりました。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の連結会計年度末の数値で比較を行っております。
(3) キャッシュ・フローの状況の概要
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ117億65百万円(10.8%)減少し、976億7百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により得られた資金は255億87百万円であり、前連結会計年度に比べ144億59百万円(36.1%)減少しています。これは、法人税等の支払額が増加したことや税金等調整前当期純利益が減少したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は231億45百万円であり、前連結会計年度に比べ83億35百万円(56.2%)増加しています。これは、投資有価証券の取得による支出が増加したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は143億18百万円であり、前連結会計年度に比べ2億20百万円(1.6%)増加しています。これは、社内預金制度の廃止による支出などによるものです。
当社グループの事業活動における運転資金需要のうち主なものは、人件費、材料費、販売費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、設備投資や事業会社への出資等によるものです。
資金の源泉については、主として営業キャッシュ・フローを源泉とした自己資本に加え、金融機関からの借入れによって安定的に確保することを基本としています。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は976億円となっており、現在必要とされる資金水準を十分に満たす流動性を保持していると考えています。
(4) 生産、受注及び販売の実績
販売実績
当社グループの生産、販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また受注生産形態をとらないものが多いため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため販売の状況についてのみ「(1) 経営成績の状況の概要」における各セグメント業績に関連付けて示しています。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| メディア・情報事業 | 351,706 | 100.5 |
| その他の事業 | 5,177 | 96.2 |
| 合計 | 356,884 | 100.4 |
(注)1.上記金額には、消費税等は含まれていません。
2.主要な販売先に総販売実績の100分の10を超える相手先はありません。
3.セグメント間の取引については相殺消去しています。
(5) 重要な会計方針および見積り 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。