四半期報告書-第124期第3四半期(平成26年10月1日-平成26年12月31日)

【提出】
2015/02/09 10:54
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32項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間の世界経済は、堅調な米国景気に牽引され、全体としては安定的に推移しましたが、欧州の回復は金融危機やロシアの経済制裁などによる先行き不透明感から足踏み状態となり、中国をはじめ新興国においても景気の拡大基調が鈍化しました。日本経済は、消費増税による影響からの持ち直しの動きが弱く、消費低迷が続きました。
当社グループを取り巻く経営環境は、半導体においては、スマートフォンやタブレット型端末が、汎用グレードを中心に販売が伸長するとともに、パソコンでもOSのサポート切れに伴う買い替え需要があり、好調に推移しました。自動車においては、北米や中国が引き続き堅調でしたが、欧州は回復基調に力強さがなく、国内も低調に推移しました。国内の住宅着工件数は、消費増税前の駆け込み需要の反動が長期化し、持家や分譲住宅が減少しました。
当社グループはこのような経営環境の中、身の丈経営の実践によりスリム化した企業体質の維持に努めるとともに、次の方針を掲げて新たなる成長に向け総合力を結集して取り組んでまいりました。
①国内既存事業の再生、ビジネスモデルの転換
②新規事業立ち上げ、創生
③海外事業の収益力強化、規模拡大
この結果、当第3四半期連結累計期間の連結売上高は、主力の半導体封止用エポキシ樹脂成形材料や高機能プラスチックの販売増に加え、円安による押上げにより、1,531億62百万円と、前年同期比で8.3%、116億85百万円の増収となりました。
損益についても、半導体関連材料などの売上増が寄与し、連結営業利益は前年同期比で25.8%増の77億0百万円となり、連結経常利益は、前年同期比で15.9%増の80億4百万円となりました。連結純利益は、前年同期比で14.3%増の51億59百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間のセグメントの概況は、次のとおりであります。
①半導体関連材料
[連結売上高 35,975百万円(前年同期比 2.9%増)、連結営業利益 4,579百万円(同 18.8%増)]
半導体封止用エポキシ樹脂成形材料および半導体用液状樹脂は、スマートフォンやタブレット型端末向けが好調を継続したほか、中国などでの拡販やMUF(モールドアンダーフィル)など戦略製品も寄与し、売上高は増加しました。
半導体パッケージ基板材料「LαZ®」は、主要顧客での新機種切り替えなどの影響を受け、売上高は減少しました。現在の主要用途であるアプリケーションプロセッサに加え、メモリーなどのボリュームゾーンへの拡販に注力してまいります。
②高機能プラスチック
[連結売上高 67,446百万円(前年同期比 16.0%増)、連結営業利益 3,300百万円(同 21.1%増)]
フェノール樹脂成形材料、工業用フェノール樹脂および成形品は、自動車用途で北米や中国の需要が好調であったほか、欧州でも回復基調で推移し、国内も消費増税に伴う需要低迷を輸出が下支えし、売上高は増加しました。
銅張積層板は、車載やLED照明用途が堅調に推移し、売上高は増加しました。
③クオリティオブライフ関連製品
[連結売上高 49,210百万円(前年同期比 2.8%増)、連結営業利益 2,028百万円(同 15.4%減)]
医療機器製品は、主力のドレナージ、栄養管理関連製品が堅調であったことに加え、「オルフィス CV キット®」や「クリオドレーンバック®」などの戦略製品も貢献し、売上高は増加しました。
ビニル樹脂シートおよび複合シートは、医薬品包装用途がジェネリック薬向けを中心に好調で、産業用フィルムもスマートフォン向けなどで伸長しましたが、前期に実施した半導体実装用キャリアテープ事業の再構築により、売上高は減少しました。なお、中国南通市に建設した食品包装および産業用フィルム新工場は9月より稼働しており、今後地産地消による拡販に努めてまいります。
ポリカーボネート樹脂板、塩化ビニル樹脂板のプレート製品は、サングラス用途の偏光板やパソコン、パワーコンディショナー用途の絶縁材など、高付加価値品の拡販に注力した結果、売上高は増加しました。
防水関連製品は、リフォーム向けなどは堅調に推移したものの、消費増税の影響による住宅の新築需要の落ち込みが長引き、売上高は減少しました。
④その他の連結売上高は529百万円となり連結営業利益は9百万円となりました。
なお、Vaupell Holdings, Inc.およびその関係会社4社の航空機内装部品事業、医療機器事業の売上高については、7月から9月の3カ月分を当第3四半期に計上しております。
(2)財政状態の分析
①資産の部
総資産は、前連結会計年度末に比べ458億57百万円増加し、2,826億82百万円となりました。
これは主に、のれんが225億59百万円、受取手形及び売掛金が68億83百万円、有形固定資産が64億72百万円増加したことによるものであります。
②負債の部
負債合計は、前連結会計年度末に比べ294億92百万円増加し、1,159億72百万円となりました。
これは主に、長期借入金が261億35百万円、流動負債その他が19億55百万円、支払手形及び買掛金が15億29百万円増加したことによるものであります。
③純資産の部
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ163億65百万円増加し、1,667億9百万円となりました。
これは主に、配当金の支払24億8百万円および退職給付会計基準等の変更に伴う累積的影響額10億76百万円による減少があった一方で、四半期純利益を51億59百万円計上したことに加え、為替換算調整勘定が137億6百万円増加したことによるものであります。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は76億15百万円であります。
当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の状況の重要な変更は、次のとおりであります。
高機能プラスチック事業において、米国Vaupell社が当社グループに加わったことにより、航空機内装部品および構造部材において、素材から成形加工、塗装ならびに組み立てという幅広いソリューションを提供することが可能となりました。これに伴い、高機能プラスチック製品事業本部内に「航空機部品事業部」を設置し、本事業部内に「パネルプロジェクトチーム」を設置しました。
クオリティオブライフ関連製品事業において、S-バイオ事業部内で開発を進めてきた体外診断薬である胃がん診断チップの商品化の目処が立ち、同製品の開発および販売には薬事法に基づき組織の独立性が要求されることから、神戸事業所内に「診断薬開発部」を設置しました。
(5)従業員数
当第3四半期連結累計期間において、従業員数が前連結会計年度末と比較して1,558名増加する一方、臨時従業員数が844名減少しております。
主な要因といたしましては、Vaupell Holdings, Inc.およびその関係会社4社を第1四半期連結会計期間より連結の範囲に含めたこと、中国地区の子会社の組織改編に伴い雇用形態を変更したことによるものであります。