有価証券報告書-第154期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/26 16:04
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(1)経営成績等の状況の概要
当期連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、先進国を中心とした景気回復が継続し安定的な拡大となりました。一方で、地政学的な懸念材料が顕在化し、先行き不透明な状態が続きました。わが国経済は、いざなぎ景気を超え長期の景気回復が続いております。個人消費の拡大、所得や雇用環境の改善、株価上昇による資産効果が、好調の要因です。最近になって、政治的な不安定要素が発生し不透明感が漂い始めました。化学業界におきましては、基礎原料ナフサ価格は前年と比べ上昇基調で推移しており楽観を許さない状況にあります。
当社グループの5カ年経営計画「REACT1000-飛躍への行動を-」は第三年度が終わりました。マザー工場と位置づけた霞の新工場が2015年12月に本格稼働し、電子材料、土木用薬剤を中心に増産体制が整いました。4年連続して更新した最高益の業績を下支えする貢献でした。2017年12月に非イオン界面活性剤の製造設備を稼動させました。2019年6月には、着手したばかりの機能性ウレタン製品の製造設備が完成します。エネルギー分野の強化のために中国の有力企業と資本提携の契約を締結しました。新分野として手がけたライフサイエンスのプロジェクトが最終段階に入っています。未来作りの先行投資を計画通りに進めています。償却負担が増加する2018年度ながら、5カ年経営計画の目標達成に向けての「飛躍への行動」を加速いたします。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ49億30百万円増加し、739億76百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ10億14百万円増加し、420億15百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ39億16百万円増加し、319億60百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は569億55百万円(前年同期比9.0%増)、営業利益は50億53百万円(前年同期比28.1%増)、経常利益は47億25百万円(前年同期比25.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は33億51百万円(前年同期比34.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
界面活性剤の売上高は214億16百万円(前年同期比8.2%増)、営業利益は21億71百万円(前年同期比3.7%増)となりました。
アメニティ材料の売上高は75億2百万円(前年同期比7.4%増)、営業利益は6億38百万円(前年同期比54.4%増)となりました。
ウレタン材料の売上高は91億15百万円(前年同期比0.2%増)、営業利益は1億円(前年同期比20.7%減)となりました。
機能材料の売上高は140億70百万円(前年同期比12.4%増)、営業利益は19億26百万円(前年同期比47.5%増)となりました。
電子デバイス材料の売上高は48億50百万円(前年同期比25.6%増)、営業利益は2億15百万円(前年同期比2億12百万円の増加)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べて21億6百万円増加し、114億2百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は50億17百万円(前年同期は37億50百万円)となりました。これは、売上債権の増加16億45百万円(前年同期は16億14百万円)、たな卸資産の増加14億66百万円(前年同期は4億9百万円の減少)などにより資金が減少したことに対し、税金等調整前当期純利益55億9百万円(前年同期は35億47百万円)、減価償却費24億73百万円(前年同期は23億35百万円)などにより資金が増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は11億30百万円(前年同期は33億36百万円)となりました。これは、台湾の連結子会社である晋一化工股份有限公司における将来の工場移転に備えた不動産の処分等による有形固定資産の売却18億22百万円(前年同期は27百万円)などにより資金が増加したことに対し、非イオン界面活性剤製造設備の建設等による有形固定資産の取得25億5百万円(前年同期は39億円)などにより資金が減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は18億58百万円(前年同期は4億77百万円)となりました。これは、長期借入金の新規借入40億円(前年同期は83億93百万円)などにより資金が増加したことに対し、長期借入金の返済48億円(前年同期は37億72百万円)、配当金の支払い6億6百万円(前年同期は5億26百万円)などにより資金が減少したことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
界面活性剤(百万円)16,640109.8
アメニティ材料(百万円)5,977101.5
ウレタン材料(百万円)7,275116.1
機能材料(百万円)7,049114.0
電子デバイス材料(百万円)4,299121.0
合計(百万円)41,242111.3

(注)1.生産実績の金額は平均販売価格で表示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループは、受注生産を行っていないため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
界面活性剤(百万円)21,416108.2
アメニティ材料(百万円)7,502107.4
ウレタン材料(百万円)9,115100.2
機能材料(百万円)14,070112.4
電子デバイス材料(百万円)4,850125.6
合計(百万円)56,955109.0

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しているため省略しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ49億30百万円増加し、739億76百万円となりました。
流動資産は409億32百万円となり、前連結会計年度末に比べ49億84百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が21億44百万円、当連結会計年度末日が金融機関の休日であった影響等により受取手形及び売掛金が16億82百万円増加したことなどによるものであります。
固定資産は330億44百万円となり、前連結会計年度末に比べ53百万円減少いたしました。これは主に株価の上昇等により投資その他の資産が7億62百万円増加したものの、台湾の連結子会社である晋一化工股份有限公司における将来の工場移転に備えた不動産の処分等により、土地をはじめ有形固定資産が8億6百万円減少したことなどによるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ10億14百万円増加し、420億15百万円となりました。
流動負債は227億12百万円となり、前連結会計年度末に比べ21億65百万円増加いたしました。これは主に当連結会計年度末日が金融機関の休日であった影響等により支払手形及び買掛金が17億58百万円増加したことなどによるものであります。
固定負債は193億3百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億50百万円減少いたしました。これは主に長期借入金が9億27百万円減少したことなどによるものであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ39億16百万円増加し、319億60百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益33億51百万円及び剰余金の配当6億8百万円により利益剰余金が27億43百万円増加したことなどによるものであります。
2)経営成績
当連結会計年度の業績といたしましては、景気回復が続くなか、『機能材料』は、ゴム・プラスチック用途の難燃剤やIT・電子用途の光硬化樹脂用材料が顕著に伸長し、当連結会計年度の売上高は569億55百万円(前年同期比9.0%増)となりました。
損益面につきましては、『界面活性剤』や『機能材料』のIT・電子用途等を中心とした高付加価値品の売上高が顕著に伸長し、原材料価格が低水準で推移しましたことから、営業利益は50億53百万円(前年同期比28.1%増)となりました。また、営業外収支は悪化しましたが、経常利益は47億25百万円(前年同期比25.2%増)となりました。これに特別損益として、国内の連結子会社において、事業環境の悪化に伴う収益性の低下による固定資産の減損損失が発生しましたが、台湾の連結子会社において、将来の工場移転に備えた不動産の処分による売却益が発生し、税金費用を差し引きました結果、親会社株主に帰属する当期純利益は33億51百万円(前年同期比34.7%増)となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
2015年4月からスタートした中期経営計画「REACT1000-飛躍への行動を-」は、3年が経過しました。売上高は過去最高となりました。難燃剤・光硬化樹脂用材料が顕著に伸びたことが主な理由です。また営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、いずれも4期連続で過去最高益となりました。ナフサ由来の原料価格が安価な水準であること、開発した高採算事業が順調に伸びていること、そして、コストダウンの取り組みが功を奏していることが理由です。さらに工場移転に備え、台湾の不動産の処分による売却益の発生が利益を押し上げました。
c.資本の財源及び資金の流動性
1) 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
2) 資金需要
当社グループの事業活動による資金需要は主に、製品の原材料の仕入、製品の製造費、外注費及び販売費といった運転資金需要や、新製品を創製するための研究開発費などがあります。また、投資活動による資金需要は主に、生産性の向上や新製品の製造のための設備の購入、IT設備投資及び事業展開上必要な投資有価証券の取得などがあります。
3) 財務政策
当社グループは中期経営計画「REACT1000-飛躍への行動を-」を達成するため積極的に投資活動を行っていますが、これを支えるため自己資金で不足する分は、金融機関は長期借入金を主とする資金調達を行っております。また、78億円のコミットメントライン契約を締結し、機動的な資金確保にも留意しております。今後も、資本市場からの調達を視野に入れた財務体質の改善強化、あるいは流動資産をはじめとする資産効率の改善に努めます。
なお、海外子会社につきましては、邦銀の現地拠点等から直接に資金を調達しております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断をするための客観的な指標等
当社グループは、昨年、経営計画の副題とした「飛躍への行動」ができていないと判断して、売上高の見直し、ローリングを行いました。これは、行動の革新を論じる作業でした。計画の経営方針、基本戦略と利益目標は不変です。
①連結売上高 670億円以上
②連結売上高営業利益率 9.0%以上
ローリングした中期経営計画を達成すべく、残り2年、全社一丸となって目標実現に励みます。
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(界面活性剤)
界面活性剤の売上高は、総じて伸長しました。
国内では、ゴム・プラスチック用途がやや低調に推移しましたが、機械・金属用途は好調に推移し、IT・電子用途は伸長しました。石鹸・洗剤用途は顕著に伸長しました。
海外では、塗料・色材用途がやや低調に推移しましたが、ゴム・プラスチック用途は堅調に推移し、繊維産業用途は好調に推移しました。
その結果、当セグメントの売上高は214億16百万円(前年同期比8.2%増)、営業利益は21億71百万円(前年同期比3.7%増)となりました。
(アメニティ材料)
アメニティ材料の売上高は、総じて伸長しました。
国内では、セルロース系高分子材料は飼料用途がやや低迷しましたが、医薬品用途は好調に推移し、エネルギー・環境用途は伸長しました。ビニル系高分子材料はトイレタリー産業用途が好調に推移しました。ショ糖脂肪酸エステルは食品用途が堅調に推移しました。
海外では、ショ糖脂肪酸エステルは食品用途及び香粧品用途が好調に推移しました。
その結果、当セグメントの売上高は75億2百万円(前年同期比7.4%増)、営業利益は6億38百万円(前年同期比54.4%増)となりました。
(ウレタン材料)
ウレタン材料の売上高は、総じて堅調に推移しました。
建築用途等の機能性ウレタンは低迷しましたが、土木用薬剤は公共工事の増加により好調に推移しました。フロン規制に関連する環境配慮型の合成潤滑油はやや低調に推移しました。
その結果、当セグメントの売上高は91億15百万円(前年同期比0.2%増)、営業利益は1億円(前年同期比20.7%減)となりました。
(機能材料)
機能材料の売上高は、総じて大幅に伸長しました。
国内では、水系ウレタン樹脂は繊維用途が伸長し、難燃剤はゴム・プラスチック用途が伸長しました。光硬化樹脂用材料はIT・電子用途が顕著に伸長しました。
海外では、光硬化樹脂用材料はIT・電子用途が伸長し、難燃剤はゴム・プラスチック用途が顕著に伸長しました。
その結果、当セグメントの売上高は140億70百万円(前年同期比12.4%増)、営業利益は19億26百万円(前年同期比47.5%増)となりました。
(電子デバイス材料)
電子デバイス材料の売上高は、総じて顕著に伸長しました。
射出成形用ペレットは大きく落ち込みましたが、太陽電池用途の導電性ペーストは需要の回復により顕著に伸長しました。
その結果、当セグメントの売上高は48億50百万円(前年同期比25.6%増)、営業利益は2億15百万円(前年同期比2億12百万円の増加)となりました。