有価証券報告書-第157期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/25 16:00
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141項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延の影響を大きく受けました。緊急事態宣言の再発令や一部宣言延長に伴い、飲食、旅行などの個人消費や、サービス業を中心に低迷しています。一方で、テレワーク等の普及拡大によりソフトウェア業界や、宅配ビジネスの需要増により輸送業界などが堅調となっており、業種間で格差が現れました。一部ワクチン接種は始まったものの、変異ウイルスの拡大やワクチン供給の遅れが懸念材料であり、収束は見通せません。
世界経済において、中国の今年の成長率は、8.5%見込みと全人代の発表を2.5%上回る予想です。欧米でも復調しておりますが、先行き不透明な状況が依然として継続しています。
当社は、中期経営計画「FELIZ 115」の1年目を減収増益で着地しました。計画最初の2年間を「事業再構築期間」と位置付けています。不採算事業の見直し、経営資源の再配分、業績評価・報酬体系の再構築などの重点施策を進めます。1年目の数値目標の未達成分を2年目で挽回し、計画に掲げたテーマの推進に取り組みます。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ32億96百万円増加し、850億33百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1億57百万円増加し、476億28百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ31億39百万円増加し、374億4百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は591億40百万円(前期比3.8%減)、営業利益は44億85百万円(前期比8.0%増)、経常利益は43億14百万円(前期比22.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は25億63百万円(前期比27.2%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
界面活性剤の売上高は173億3百万円(前期比8.8%減)、営業利益は17億52百万円(前期比33.6%増)となりました。
アメニティ材料の売上高は70億81百万円(前期比11.4%減)、営業利益は72百万円(前期比74.2%減)となりました。
ウレタン材料の売上高は74億84百万円(前期比11.6%減)、営業損失は2億82百万円(前期は2億35百万円の損失)となりました。
機能材料の売上高は210億77百万円(前期比1.1%増)、営業利益は29億33百万円(前期比3.6%増)となりました。
電子デバイス材料の売上高は57億58百万円(前期比21.4%増)、営業利益は4億30百万円(前期比28.4%増)となりました。
ライフサイエンスの売上高は4億35百万円(前期比1.7%増)、営業損失は4億21百万円(前期は3億70百万円の損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比べて14億5百万円増加し、115億31百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は49億55百万円(前期は37億66百万円)となりました。これは、たな卸資産の増加7億70百万円(前期は4億67百万円)、仕入債務の減少15億57百万円(前期は15億46百万円)などにより資金が減少したことに対し、税金等調整前当期純利益37億59百万円(前期は33億64百万円)、減価償却費32億63百万円(前期は27億24百万円)及び売上債権の減少5億60百万円(前期は4億62百万円)などにより資金が増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は38億4百万円(前期は58億42百万円)となりました。これは、当期は投資有価証券の売却による収入が10億27百万円ありましたが、有形固定資産の取得による支出43億98百万円(前期は55億38百万円)、投資有価証券の取得による支出5億2百万円(前期は32百万円)などにより資金が減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は2億55百万円(前期は49億46百万円)となりました。これは、長期借入金の返済72億66百万円(前期は52億89百万円)、リース債務の返済4億77百万円(前期は3億3百万円)及び配当金の支払い7億12百万円(前期は10億67百万円)などにより資金が減少したことに対し、長期借入による収入59億8百万円(前期は60億円)、セール・アンド・リースバックによる収入29億18百万円(前期は32百万円)などにより資金が増加したことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前期比(%)
界面活性剤(百万円)13,00387.5
アメニティ材料(百万円)4,99277.3
ウレタン材料(百万円)5,65884.1
機能材料(百万円)10,51198.7
電子デバイス材料(百万円)5,028143.7
ライフサイエンス(百万円)578117.8
合計(百万円)39,77293.2

(注)1.生産実績の金額は平均販売価格で表示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループは、受注生産を行っていないため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前期比(%)
界面活性剤(百万円)17,30391.2
アメニティ材料(百万円)7,08188.6
ウレタン材料(百万円)7,48488.4
機能材料(百万円)21,077101.1
電子デバイス材料(百万円)5,758121.4
ライフサイエンス(百万円)435101.7
合計(百万円)59,14096.2

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価について
は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しているため省略しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ32億96百万円増加し、850億33百万円となりました。
流動資産は439億97百万円となり、前連結会計年度末に比べ14億2百万円増加しました。これは主に受取手形及び売掛金が6億66百万円減少したものの、現金及び預金が12億58百万円、商品及び製品などのたな卸資産の合計が8億15百万円増加したことなどによるものです。
固定資産は410億35百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億94百万円増加しました。これは主に四日市工場霞地区における光硬化樹脂用材料製造設備の建設等により有形固定資産の合計が10億43百万円増加したことや投資有価証券が9億6百万円増加したことなどによるものです。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1億57百万円増加し、476億28百万円となりました。
流動負債は220億71百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億72百万円減少しました。これは主に支払手形及び買掛金が18億48百万円減少したことなどによるものです。
固定負債は255億56百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億29百万円増加しました。これは主に長期借入金が8億40百万円減少したものの、リース債務が24億49百万円増加したことなどによるものです。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ31億39百万円増加し、374億4百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益25億63百万円及び剰余金の配当7億12百万円により利益剰余金が18億51百万円、株価の上昇によりその他有価証券評価差額金が10億21百万円増加したことなどによるものです。
2)経営成績
当連結会計年度の業績といたしましては、売上高は、IT・電子用途の光硬化樹脂用材料は大幅に伸長しましたが、新型コロナウイルス感染症の抑制に向けた外出自粛や移動制限が、自動車関連分野の需要の落ち込みに繋がり591億40百万円(前期比3.8%減)となりました。
損益面につきましては、『電子デバイス材料』セグメントの増収や価格是正、拡売等の営業努力に加え外出自粛や移動制限などにより営業経費が減少し、営業利益は44億85百万円(前期比8.0%増)となりました。また、金融収支が大幅に改善し経常利益は43億14百万円(前期比22.4%増)となりました。これに特別損益として株式の持合い解消に伴う投資有価証券売却益を計上しましたが、『ライフサイエンス』セグメントの固定資産の減損処理などにより、税金費用等を差し引きました親会社株主に帰属する当期純利益は25億63百万円(前期比27.2%増)となりました。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
2020年4月から始動した中期経営計画「FELIZ 115」の1年目が終了しました。売上高は、IT・電子用途の光硬化樹脂用材料は大幅に伸長しましたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延の影響による需要の落ち込みで減収となりました。一方、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、昨年から増益となりました。『電子デバイス材料』セグメントの増収や価格是正、拡売等の営業努力に加え外出自粛や移動制限などにより営業経費が減少したことが主な要因です。
c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
1) 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
2) 資金需要
当社グループの事業活動による資金需要は主に、製品の原材料の仕入、製造に要した費用、外注費及び販売費といった運転資金需要や、新製品を創製するための研究開発費などがあります。また、投資活動による資金需要は主に、生産性の向上や新製品の製造のための設備の購入、IT設備投資及び事業展開上必要な投資有価証券の取得などがあります。
3) 財務政策
当社グループは中期経営計画「FELIZ 115」の資金として2020年2月に銀行保証付私募債を発行し、60億円を調達しております。また、かねてより78億円のコミットメントライン契約(契約期間3年)を締結することで、機動的な資金確保にも留意しております。今後も、資本市場からの調達を視野に入れた財務体質の改善強化、あるいは流動資産をはじめとする資産効率の改善に努めます。
なお、海外子会社につきましては、邦銀の現地拠点等から直接に資金を調達しております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画「FELIZ 115」では、2025年3月期を最終年度として、数値目標を掲げております。
①連結売上高 850億円
②連結営業利益 100億円
③連結営業利益率 11.7%
④総資産 920億円(予想)
⑤総資産回転率 1.0回
⑥設備投資額 120億円(5年累計)
⑦売上高研究開発費率 5.0%
⑧ROE 10%以上
世界経済の不確実性、地勢力学の変化により、先行き不透明な状況が続きますが、中期経営計画の最終年度の数値目標は変えずに、全社一丸となって実現に励みます。
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(界面活性剤)
界面活性剤の売上高は、総じて大きく落ち込みました。
国内では、IT・電子用途は堅調に推移しましたが、機械・金属用途、繊維用途は低調に推移し、ゴム・プラスチック用途は大きく落ち込みました。また、新型コロナウイルス感染症の抑制に向けた外出自粛や移動制限などによりホテルリネン市場の稼働率が低下し、業務用の石鹸・洗剤用途が大きく落ち込みました。
海外では、塗料・色材用途は堅調に推移しましたが、繊維用途、ゴム・プラスチック用途は低調に推移しました。
その結果、当セグメントの売上高は173億3百万円(前期比8.8%減)、営業利益は17億52百万円(前期比33.6%増)となりました。
(アメニティ材料)
アメニティ材料の売上高は、総じて大きく落ち込みました。
国内では、セルロース系高分子材料はエネルギー・環境用途、医薬品用途が低調に推移し、ショ糖脂肪酸エステルは食品用途が低調に推移しました。
海外では、ショ糖脂肪酸エステルは香粧品用途が低調に推移し、食品用途は大きく落ち込みました。
その結果、当セグメントの売上高は70億81百万円(前期比11.4%減)、営業利益は72百万円(前期比74.2%減)となりました。
(ウレタン材料)
ウレタン材料の売上高は、総じて大きく落ち込みました。
機能性ウレタンはIT・電子用途が大幅に伸長しましたが、建築用途等は大きく落ち込みました。
土木用薬剤は堅調に推移しましたが、自動車関連分野の低迷からフロン規制に関連する環境配慮型の合成潤滑油は大きく落ち込みました。
その結果、当セグメントの売上高は74億84百万円(前期比11.6%減)、営業損失は2億82百万円(前期は2億35百万円の損失)となりました。
(機能材料)
機能材料の売上高は、総じて堅調に推移しました。
国内では、難燃剤はゴム・プラスチック用途が低調に推移しましたが、光硬化樹脂用材料はIT・電子用途が大幅に伸長しました。
海外では、光硬化樹脂用材料はIT・電子用途が堅調に推移し、難燃剤はゴム・プラスチック用途が堅調に推移しました。
その結果、当セグメントの売上高は210億77百万円(前期比1.1%増)、営業利益は29億33百万円(前期比3.6%増)となりました。
(電子デバイス材料)
電子デバイス材料の売上高は、総じて大幅に伸長しました。
ディスプレイ用途のイオン液体、太陽電池用途の導電性ペーストは大幅に伸長しました。
その結果、当セグメントの売上高は57億58百万円(前期比21.4%増)、営業利益は4億30百万円(前期比28.4%増)となりました。
(ライフサイエンス)
ライフサイエンスの売上高は、総じて堅調に推移しました。
医薬品添加物や天然素材からの抽出物の濃縮化、粉末化による健康食品等の受託事業は堅調に推移しました。
その結果、当セグメントの売上高は4億35百万円(前期比1.7%増)、営業損失は4億21百万円(前期は3億70百万円の損失)となりました。