四半期報告書-第70期第1四半期(平成27年4月1日-平成27年6月30日)

【提出】
2015/08/03 10:02
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34項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
なお、当第1四半期連結累計期間より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号) 平成25年9月13日)等を適用し、「四半期純利益」を「親会社株主に帰属する四半期純利益」としています。
(1)業績の状況
当第1四半期連結累計期間における世界経済は、米国経済は個人消費の増加や失業率の低下による着実な景気回復がみられ、欧州経済においても外需の拡大で緩やかながら回復しつつあります。一方、中国経済は内需・外需ともに減速し、景気拡大の速度が一段と鈍化しました。日本経済においては緩やかな回復基調が続き、輸出や生産をはじめ、雇用や所得環境に改善の動きがうかがえました。
当社グループの関連市場である電子部品業界については、世界的にスマートフォンやサーバー、車載関連部材の需要が伸び悩みました。一方、為替は円安に推移しました。
このような状況の下、当第1四半期連結累計期間の売上高は12,447百万円(前年同期比6.8%増)となりました。
PWB(プリント配線板)用部材については、リジッド基板用部材やPKG(半導体パッケージ)基板用部材の販売数量は前年同期を下回りましたが、高機能品の増加や為替が円安に推移した影響もあり販売金額は前年同期を上回りました。この結果、PWB用部材の売上高は11,680百万円(前年同期比13.8%増)となりました。
FPD(フラットパネル・ディスプレイ)用部材については、PDP(プラズマディスプレイ・パネル)用部材の生産を終了したことにより販売数量・販売金額ともに前年同期を下回りました。この結果、FPD用部材の売上高は76百万円(前年同期比92.0%減)となりました。
以上の結果、営業利益は2,601百万円(前年同期比23.7%増)、経常利益は2,616百万円(前年同期比21.2%増)となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,764百万円(前年同期比20.5%増)となりました。
セグメントの業績は以下のとおりです(売上高にはセグメント間の内部取引が含まれています)。
① 日本
日本を構成する連結会社は生産販売子会社である太陽インキ製造株式会社及び中外化成株式会社です。
PKG基板用部材の高機能品はスマートフォン関連部材を中心に需要が好調に推移しました。また、中外化成株式会社を当第1四半期連結会計期間より連結したことに加え、為替が円安に推移した影響もあり販売金額は前年同期を上回りました。
この結果、売上高は4,282百万円(前年同期比10.5%増)、セグメント利益は766百万円(前年同期比22.0%増)となりました。
② 中国(含む香港)
中国を構成する連結会社は生産販売子会社である太陽油墨(蘇州)有限公司及び永勝泰油墨(深圳)有限公司と主に華南市場向け営業活動を行う販売子会社であるTAIYO INK INTERNATIONAL(HK)LIMITED及び太陽油墨貿易(深圳)有限公司です。なお、永勝泰油墨(深圳)有限公司は永勝泰科技股份有限公司の子会社です。
PWB用部材は車載やスマートフォン関連部材を中心に需要が伸び悩み、販売数量は前年同期を下回りましたが、為替が円安に推移した影響もあり販売金額は前年同期を上回りました。
この結果、売上高は5,296百万円(前年同期比19.4%増)、セグメント利益は1,050百万円(前年同期比45.4%増)となりました。
③ 台湾
台湾を構成する連結会社は生産販売子会社である台湾太陽油墨股份有限公司及び永勝泰科技股份有限公司(その他 子会社3社)です。
PWB用部材は、サーバーや車載、スマートフォン関連部材を中心に需要が伸び悩み、販売数量は前年同期を下回りましたが、為替が円安に推移した影響もあり販売金額は前年同期を上回りました。
この結果、売上高は2,559百万円(前年同期比13.2%増)、セグメント利益は556百万円(前年同期比37.9%増)となりました。
④ 韓国
韓国を構成する連結会社は生産販売子会社である韓国タイヨウインキ株式会社です。
FPD用部材はPDP用部材の生産を終了したことにより販売金額は前年同期を下回りました。一方、利益率が高いPKG基板用部材は高機能なスマートフォン関連部材の需要が好調に推移したため、利益は前年同期を上回りました。
この結果、売上高は1,992百万円(前年同期比21.9%減)、セグメント利益は339百万円(前年同期比17.3%増)となりました。
⑤ その他
その他を構成する連結会社はTAIYO AMERICA,INC.及びTAIYO INK INTERNATIONAL(SINGAPORE)PTE LTDです。
TAIYO AMERICAにつきましては、前年同期並みの水準で推移しました。
TAIYO INK INTERNATIONAL(SINGAPORE)につきましては、車載関連部材市場の拡大により好調に推移しました。
この結果、売上高は1,097百万円(前年同期比6.9%増)、セグメント利益は135百万円(前年同期比1.2%増)となりました。
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処する課題について、重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
当社グループは「我がグループの「あらゆる技術」を高め、革新的な製品をもって、夢あるさまざまなモノをグローバルに生み出し、楽しい社会を実現します。」という経営理念のもと、エレクトロニクス分野で高度情報化社会や快適な環境に貢献する各種絶縁材料、導電性材料等の研究開発を行っています。
なお、当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は601百万円です。
注力した研究内容と成果は以下のとおりです。
① ソルダーレジスト
当社の主力製品であるリジッド基板に使用されるソルダーレジストは、お客様とのコミュニケーションを第一にあらゆる要求に素早く確実に応えるべく研究開発を推進しています。スマートフォンに代表される情報端末用基板では、小型、高密度化が進展し、配線の微細化に伴い位置精度の向上が求められダイレクト露光方式が浸透しています。当社ではこの露光方式に適合させたソルダーレジストを早くから開発し採用されています。今後とも更なる生産性向上を目的とした高感度なソルダーレジストの開発に注力していきます。
PKG基板に使用されるソルダーレジストは、微細化・薄膜化に有利なドライフィルムの採用が増大しています。高い絶縁信頼性をドライフィルムで実現することによりスマートフォン関連部材である最先端PKG基板に採用されています。ドライフィルムは従来の液状と比較し、加工中の溶剤の揮発が少なく環境に優しい特性も有しており、今後の需要の増加に応えるべく着実に開発を進めています。また、お客様の御要望が多様化され、緑色だけでなく、黒色のドライフィルム型ソルダーレジストについても評価が進んでいます。
省エネルギーの観点から注目されているLEDランプの特性を最大限に発揮することを目的に、高反射白色ソルダーレジストが採用されています。近年では長期信頼性を目的とした不純物を削減した白色ソルダーレジストを開発し、お客様の採用が決定しています。
自動車の電装基板に使用されるソルダーレジストは、高温下での使用や振動など過酷な環境に曝されるため、従来よりも耐熱性や強度が必要とされます。これに十分に耐えうる熱分解温度と強度を向上させた高耐熱ソルダーレジストを開発しました。今後は市場への展開を進めていきます。
近年、注目されているインクジェット塗布機に対応したソルダーレジストを開発し、お客様と共に評価を進めています。インクジェット塗布工法は、乾燥・露光・現像工程が省略され、環境に優しい基板作製工法の一つです。今後も新規工法に対応した製品開発を進めていきます。
② 導電材料
スマートフォン、タブレットPCを中心に市場拡大が著しいタッチパネル向け電極材料の開発を積極的に進めており、スクリーン印刷用銀ペーストを開発し採用されています。さらに高精細パターン形成が可能なフォトタイプの材料開発をお客様とともに進めています。また、将来材料として貴金属を使用しない導電ペーストの研究も進めています。
③ 層間絶縁材
PKG基板に使用される層間絶縁材料のうちドライフィルムタイプの絶縁材料を開発しており、PKG基板製造への新規参入や、新しい工法で基板製造を検討しているお客様のニーズに合致した製品を開発しています。現在、エンドユーザー様にて採用に向けた認定試験を受けている段階ですが、今後はドライフィルムだけに留まらず、お客様の新しい要求に沿った製品を開発していきます。
④ 感光性カバーレイ
スマートフォンやタブレットPCの軽量薄型化により、基板を搭載する内蔵スペースが狭小化してきたため、従来のリジッド基板主体から、柔軟で折りたたみ収納できるフレキシブル基板の使用が増加しています。当社は市場のニーズである微細加工性と耐熱性・折り曲げ性などの機械特性の両立に応えるため、感光性カバーレイを新規に開発・発表しました。今後はこの新材料の実用化と用途拡大に向けてお客様と共に開発を進めていきます。
⑤ 導電性接着剤
スマートフォンやタブレットPCなどの情報端末機器は、メインボードにリジッド基板が、その他にはフレキシブル基板が多く使用されています。これらの基板を接合する方法として一般的にコネクターが使用されていますが、高密度化に伴う狭ピッチ接続対応や軽量化に寄与するため、低温かつ短時間硬化が可能な異方導電性接着剤が求められており、その開発を行いサンプルワークを開始しました。
⑥ ウェアラブル用部材
現在、新規エレクトロニクス市場としてのウェアラブルデバイス市場の成長が広く注目されています。
ウェアラブルデバイス市場は、スマートウォッチやスマートグラスに代表される「体外デバイス」だけでなく、活動量計/導電性繊維を使ったスポーツ・ヘルスケア分野向け「体表デバイス」、更には医療機器向け生体センサーといった「電子皮膚デバイス」分野にも広がってきています。
ウェアラブルデバイスは「体に密着させて使用する電子製品」であるため、折り曲げが可能なフレキシブル性に留まらない他の特性を要求されることが多くなっています。これまでのPWB用部材で当社が培ってきた技術をベースに、成長が期待されるウェアラブルデバイス市場への参入を目指し、新規部材の調査/市場開拓を狙って材料開発を開始しました。